新卒は何年続けたほうがいいの?転職におすすめのタイミングを解説

「新卒で入社してまだ1年経っていないけど辞めていいの?」「新卒は何年続けたほうがいいの?」といった疑問を持つ人は少なくありません。新卒はとりあえず3年続けたほうがいい、といった意見をよく耳にしますが、実際は何年続ければよいのでしょうか。

本記事では、新卒は何年続けたほうがいいのか、おすすめの転職タイミングについて解説します。新卒が転職を成功させるコツも紹介しますので、併せて参考にしてください。

本記事の結論
・第二新卒・未経験職種で転職する場合は3年続けたほうがいい
・スキルや実績をアピールするなら5~12年続けたほうがいい
・新卒が3年以内に離職する割合は32.2%
・新卒が転職を成功させるには「自己分析・企業研究・面接対策を徹底すること」「離職率の低い業種を選ぶこと」「転職理由はポジティブにすること」

【新卒は何年続けたほうがいい?】転職におすすめのタイミング

「新卒はとりあえず3年続けたほうがいい」「辞めるなら早いほうがいい」など、転職に関してさまざまな意見があります。前提として「〇年目に転職すれば必ず成功する」というわけではありません。年数に関係なくチャンスがあることを念頭に置いておきましょう。

  • 第二新卒・未経験職種での転職は3年目
  • スキルや実績をアピールするなら5~12年目

上記では具体的な年数を提示していますが、あくまで目安としてとらえてください。

第二新卒・未経験職種での転職は3年目

「新卒はとりあえず3年続けたほうがいい」という意見がありますが、3年目に転職することをおすすめします。3年目という年数の根拠としては、3年目までは第二新卒として扱われるからです。第二新卒は新卒と同様に、「やる気」や「成長意欲」などポテンシャルを重視した採用になります。

そのため、実績やスキルなどがなかったとしても、将来性を見越して採用してもらえます。実績やスキルを問われないため、未経験職種への挑戦も可能です。現職が自分に合わない場合でも、3年までであれば比較的新しい職種へ挑戦しやすくなります。

第二新卒は新卒同様に、研修制度が充実している企業が多いです。そのため、専門的なスキルが問われる技術職であっても、入社後に知識を身につけられるので未経験職種へのハードルが低くなります。

第二新卒はある程度、社会人経験を得ているため基礎となるビジネスマナーが身についています。基礎的なスキルを身につけており、かつポテンシャルを重視できる年齢であるため、積極的に採用している企業も多いです。

スキルや実績をアピールするなら5~12年目

第二新卒・未経験職種での転職を狙わない場合は、スキルや実績をアピールできる5~12年がおすすめのタイミングです。一般財団法人労務行政研究所によると、新卒が最初に管理職になるのは早い人で7年~8年後です。

役職 最短年齢 標準年齢
係長 29.5歳 32.7歳
課長 33.4歳 33.9歳
部長 40.1歳 47.0歳

参考元: 一般財団法人 労務行政研究所 | 役職別昇進年齢の実態と昇進スピード変化の動向

早い人で7〜8年後、平均すると10年で管理職になれるスキルや実績を身につけられます。そのため、新卒で入社してから5~12年目には、スキルや実績が身についているといえるでしょう。

4年目からは第二新卒ではなく中途採用となるため、重視されるポイントが異なります。ポテンシャル重視の採用から、スキルや実績が求められる採用へと変わります。そのため、スキルや実績が身についているほうが、転職に有利です。

入社して12年(4年生大学卒であれば34歳)までがおすすめの根拠としては、以下のグラフとともに解説します。

上記のグラフからわかるように転職希望者の割合が高いのは、男女ともに34歳までです。新卒で入社してから5~12年目までに、転職を検討しましょう。

新卒は「とりあえず3年続けたほうがいい」といわれる理由

新卒は「とりあえず3年続けたほうがいい」といわれる理由は、転職に有利になるからです。新入社員として扱われるのは企業によって異なりますが、一般的に1年前後です。そのため、1年目で退職した新卒は、新入社員と同等のレベルだと認識されます。

一方、3年目の新卒は、新入社員扱いにはなりません。社会人経験を積んでいるため、採用担当者は一定のビジネスマナーやスキルが身についていると認識します。第二新卒はポテンシャル重視とはいえ、一定のスキルを身につけている3年目のほうが転職で有利になるのです。

「①第二新卒として扱われる」「②一定のスキルが身についていると認識される」という2点から、「とりあえず3年続けたほうがいい」といわれています。「新卒は何年続けたほうがいいの?」と悩んでいる人は、3年を一つの指標として考えるといいでしょう。

【新卒は何年続けたほうがいい?】新卒が3年以内に離職する割合・メリット・デメリット

「新卒は何年続けたほうがいい?」という疑問に対し、3年を一つの指標として考えると説明しました。次は、新卒が3年以内に離職する割合やメリット・デメリットなどについて解説します。

  • 新卒が3年以内に離職する割合は32.2%
  • 新卒3年以内の離職率が高い業種は宿泊業、飲食サービス業
  • 新卒が3年以内に転職する理由:仕事内容が合わないから
  • 新卒が3年以内に転職するメリット
  • 新卒が3年以内に転職するデメリット

具体的なデータなどを用いて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

新卒が3年以内に離職する割合は32.3%

新卒はとりあえず3年続けたほうがいいと説明しましたが、3年以内に離職する割合がどのくらいなのか見ていきましょう。

1年目 2年目 3年目 合計
2020年 10.6% 11.3% 10.4% 32.3%
2021年 12.3% 12.3% 24.6%
2022年 12.0% 12.0%

参考元:新規学卒者の離職状況 | 厚生労働省

厚生労働省の新規学卒者の離職状況によれば、新卒(4年生大学卒業)が3年以内に離職する割合は32.3%です。例年30%前後の新卒が3年以内に離職します。1987年からの結果を見ると大きな差はありませんが、1年目から3年目にかけて離職率が低くなる傾向があります。

つまり、新卒は「とりあえず3年続けたほうがいい」という意見があるものの、1年目に離職する人は3年目よりも多いのが現状です。

新卒3年以内の離職率が高い業種は宿泊業、飲食サービス業

次は新卒(4年生大学卒業)3年以内の離職率が高い業種と離職率が低い業種について解説します。

【離職率が高い業種】

順位 業種 割合
1位 宿泊業、飲食サービス業 51.4%
2位 生活関連サービス業、娯楽業 48.0%
3位 教育、学習支援業 46.0%
4位 医療、福祉 38.8%
5位 小売業 38.5%

参考元:新規学卒者の離職状況 | 厚生労働省

新卒3年以内の離職率が一番高い業種は、宿泊業、飲食サービス業(51.4%)です。次いで生活関連サービス業、娯楽業(48.0%)、教育、学習支援業(46.0%)となっています。

厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和6年7月分結果確報」によると、宿泊業、飲食サービス業は、一般労働者(パート・アルバイトを除く)の総実務労働時間が2番目に多い業種です。労働時間や残業時間の長さは、辞める原因の1つにもなります。

【離職率が低い業種】

順位 業種 割合
1位 電気・ガス・熱供給・水道業 10.5%
2位 鉱業、採石業、砂利採取業 13.5%
3位 製造業 19.0%
4位 金融業、保険業 26.3%
5位 情報通信業 27.9%

参考元:新規学卒者の離職状況 | 厚生労働省

新卒3年以内の離職率が一番低い業種は、電気・ガス・熱供給・水道業(10.5%)です。次いで鉱業、採石業、砂利採取業( 13.5%)、製造業( 19.0%)となっています。

電気・ガス・熱供給・水道業は、新卒3年以内の離職率が10.5%ですので、3年以内に辞めるのが適切ではないと考えられます。第二新卒での転職ではなく、スキルや実績を積み上げて、キャリアアップのための転職が適切なタイミングだといえるでしょう。

このように業種によっても新卒3年以内の離職率が異なるため、自分の属している業種や職種によって転職の適切なタイミングが異なります。

新卒が3年以内に転職する理由:仕事内容が合わないから

次は、新卒が3年以内に転職する理由について解説します。新卒が3年以内に転職する理由として多いものは、以下の通りです。

順位 新卒が3年以内に転職する理由 人数(合計498人)
1位 仕事内容が合わない 107人
2位 人間関係に問題がある 100人
3位 労働時間や休日など労働条件に不満がある 98人
4位 給料が低い(収入を増やすため) 56人
5位 他の仕事に挑戦してみたい 49人
6位 ハラスメントを受けた 38人
7位 会社の将来に不安を感じた 27人
8位 勤務地に不満がある 24人
9位 社風や風土が自分に合わない 23人
10位 引っ越しのために 18人

参考:Biz Hits

新卒が3年以内に転職する理由が一番多いのは「仕事内容が合わない(107人)」です。次いで、人間関係に問題がある(100人)、労働時間や休日など労働条件に不満がある(98人)となっています。

新卒は初めての社会人経験ですので、自分のイメージしている仕事内容と、実際の仕事内容にギャップを感じる場合があります。入社時に自分が希望する職種に必ず配属されるとも限りません。「技術職を希望していたのに、営業職に配属された」といった人もいます。

新卒が3年以内に転職するメリット

新卒が3年以内に転職するメリットは、以下の通りです。

  • 新しい職種に挑戦しやすい
  • 第二新卒を積極的に募集している企業が多い
  • 仕事へのストレスから早く解消される

新卒から3年以内であれば、比較的に新しい職種へ挑戦しやすいです。現在の仕事が自分に合わなかったとしても、第二新卒を積極的に募集している企業が多いので、素早く切り替えられます。

第二新卒はポテンシャル重視の採用ですので、スキルや実績がなかったとしても転職しやすいことがメリットです。また、ストレスを抱え込みながら仕事を続けていると、自分の心身の健康に被害を及ぼす可能性があります。

うつ病などになってしまうと、転職に不利です。ストレスで体を壊すくらいなら、1年目であってもすぐに転職するほうが賢明でしょう。

新卒が3年以内に転職するデメリット

新卒が1年以内に転職することに対し、悪い印象をもつ企業もあります。「採用してもすぐに辞めるのでは?」というように、仕事が続かない人だと思われてしまうのです。とくに新卒から3年以内に転職を繰り返せば、そう思われても仕方ありません。

また新卒で3年働いたとしても、転職時に給料が下がってしまう場合があります。繰り返しになりますが、3年以内は第二新卒として扱われます。新卒と同等の扱いになってしまうため、先に入社している1年目、2年目よりも給料が下がる可能性があるので、注意しましょう。

【新卒は何年続けたほうがいい?】転職におすすめの時期

転職する場合は、年数だけでなく転職する時期も大切です。新卒が転職する場合、おすすめの時期は「1~3月頃」「7~9月頃」の2つです。おすすめの時期やおすすめできない時期を見ていきましょう。

  • 1~3月頃:4月入社を目指す
  • 7~9月頃:10月入社を目指す
  • 新卒が転職におすすめできない時期

1~3月頃:4月入社を目指す

4月入社を目指す「1~3月頃」が転職におすすめの時期です。1~3月頃に転職活動を開始し、4月入社できれば、新卒採用者と同じ時期に入社できます。企業としても同じタイミングで入社させたほうが、研修などをまとめて開催できます。

転職者の立場からしても、新卒採用者と同じ研修を受けられ差を付けられることがないためおすすめです。また、年齢の近い同僚を作れることもメリットです。

1~3月頃は第二新卒の求人数が増え、転職先の幅が広がります。自分の理想の転職先が見つけやすくなるためおすすめです。

7~9月頃:10月入社を目指す

2つ目のおすすめ時期は、10月入社を目指す「7~9月頃」が転職におすすめの時期です。10月は中途採用の重要が高くなります。理由としては、一般的な企業は4月と10月に人事異動が多いため、この時期に中途採用しておくと配属先を決めやすいからです。

10月入社を目指す場合は、夏のボーナスを受け取ってから転職することも可能です。ボーナスを受け取る場合は、転職活動を早めに行ってもいいでしょう。

ボーナスをもらってから退職する方法は、「ボーナス・賞与をもらって辞めるのは問題なし?逆算スケジュールやポイントを解説します」の記事で詳しく紹介していますので、参考にしてください。

新卒が転職におすすめできない時期

新卒が転職におすすめできない時期は「4~6月頃」と「10~12月頃」の2つです。4~6月頃は、新入社員研修や入社後のフォローがあるため、人事部が忙しくなります。新しい人材が入ったばかりですので、求人募集も少なくなります。

また10~12月頃は、決算や年末調整の時期です。事務作業が増える時期になるため、求人募集が減る傾向があります。

新卒が転職を成功させるための7つのポイント

新卒が転職を成功させるための7つのポイントは、以下の通りです。

  • 1.自己分析を徹底し転職軸を決める
  • 2.企業研究を徹底し入社後のギャップを減らす
  • 3.転職理由はポジティブにする
  • 4.仕事に対する熱意をアピールする
  • 5.面接対策を徹底する
  • 6.離職率の低い業種を選ぶ
  • 7.仕事と並立して転職活動する

それぞれについて見ていきましょう。

1.自己分析を徹底し転職軸を決める

転職軸とは、自分にとって「譲れない条件」「重要な条件」などです。例えば、「給料は〇〇万円以上」「福利厚生が充実している」「勤務地は関西限定」など転職軸があります。

この転職軸が明確にできていなければ、転職後に不満を感じることが増え、辞めてしまう原因になります。転職軸を決めるには、自己分析がポイントです。自己分析で自分の強みやスキル、大切にしていることなどを明確にしましょう。

2.企業研究を徹底し入社後のギャップを減らす

新卒が3年以内に転職する理由として、「労働条件が悪い」「給料が低い」などがあります。これらの理由は、企業研究を徹底することで防げる内容です。転職先のホームページや転職サイトなどを参考に、情報収集しましょう。

給料や福利厚生、労働時間、休日など、ある程度の情報は記載されています。しかし、実際働いてみると記載されている情報通りではないこともあります。そのため、実際に働いている人の声を聞くことが大切です。

例えば、口コミを見たり、現場社員との面談や交流会に参加したりなどがあります。またより詳しい情報を集めたい場合は、転職エージェントの活用などもおすすめです。

3.転職理由はポジティブにする

転職先との面接時には、転職理由を聞かれることがほとんどです。転職理由を聞かれたときは、ポジティブな理由を答えましょう。新卒で入社してすぐに退職した場合、採用担当者は、「またすぐに辞めるのでは?」という印象を持っている場合があります。

この不安要素を払拭するためにも、ポジティブな転職理由が大切です。例えば「スキルアップのため」「他の職種にも挑戦したい」などがあります。ネガティブな転職理由もポジティブに変換することが可能です。

4.仕事に対する熱意をアピールする

第二新卒はポテンシャル採用なので、仕事に対する熱意をアピールすることが大切です。スキルや社会人経験が少ない分、やる気やフレッシュさを採用担当者にアピールしましょう。

また新卒から3年目の場合は、ある程度スキルを身につけている人もいます。その場合は、前職で培ったスキルを応募先の企業でどのように活かせるのか明確に伝えましょう。

5.面接対策を徹底する

初めて転職する場合は、面接対策を徹底しましょう。新卒と第二新卒では、同じような扱いですが、第二新卒は社会人経験があるので、全く同じではありません。新卒と同じような対策の仕方では、対応できません。

例えば、新卒で入社して退職が早ければ、採用担当者に「またすぐに辞めるのでは?」と思われてしまいます。こうして不安要素を払拭できるような対策が必要です。

また、前職での勤務期間が短かったとしても、「前職で学んだことは?」といった質問にも、具体的に説明する必要があります。社会人になって初めての面接になるので、しっかりと対策しておきましょう。

6.離職率の低い業種を選ぶ

業種によって離職率は変わります。何度も転職しないためには、離職率の低い業種を選ぶのも1つの手です。新卒3年以内の離職率が高い・低い業種を既に紹介していますので、一般的に離職率の高い・低い業種を紹介します。

【一般労働者の離職率が高い業種】

順位 業種 割合
1位 生活関連サービス業、娯楽業 20.8%
2位 サービス業(他に分類されないもの) 19.3%
3位 宿泊業、飲食サービス業 18.2%
4位 不動産業,物品賃貸業 13.4%
5位 医療、福祉 13.3%

参考元:令和5年雇用動向調査結果の概況 | 厚生労働省

一般労働者の離職率が一番高い業種は、サービス業(19.9%)です。次いで宿泊業、飲食サービス業(19.8%)、生活関連サービス業、娯楽業(19.2%)となっています。

1・3・5位は、新卒3年以内の離職率が高い業種でもランクインしている業種です。離職率が高いので、転職する際は気をつけましょう。

【一般労働者の離職率が低い業種】

順位 業種 割合
1位 複合サービス事業 6.8%
2位 製造業 8.7%
3位 鉱業、採石業、砂利採取業 9.3%
4位 運輸業,郵便業 9.4%
5位 電気・ガス・熱供給・水道業 9.4%

参考元:令和5年雇用動向調査結果の概況 | 厚生労働省

一般労働者の離職率が一番高い業種は、複合サービス事業(6.8%)です。次いで製造業(8.7%)、鉱業、採石業、砂利採取業(9.3%)となっています。上記の5つの業種は、離職率が低いため転職におすすめです。

7.仕事と並立して転職活動する

なるべく仕事と並立しながら転職活動するのがおすすめです。転職先が決まっていないのに退職してしまうと、転職先がなかなか決まらなければ、次の仕事までにブランクができる場合があります。また、退職期間は収入がなくなってしまうので、貯金がなければ経済的に厳しくなります。

そのため、退職してすぐに次の転職先で働けるよう、仕事と並立して転職活動するのがおすすめです。

まとめ

新卒は何年続けたほうがいいのか悩んだら、まずは3年を目標に続けることをおすすめします。新卒で入社してから1~2年で辞めてしまうと、採用担当者から「またすぐ辞める」といった印象を与えてしまいます。そのため、少なくとも3年が好ましいです。

また、3年以降は5~12年の間に転職するのがおすすめです。中途採用はスキルや実績重視で採用されますが、5~12年の間にスキルや実績が身につきます。身についた段階でキャリアアップを目指して、転職を考えましょう。

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