休日出勤を断るときの正当な理由は?断るときの注意点や対処法を解説

「休日は予定が入っているので休日出勤を断りたい」「休日出勤を断ったらクビになる?」などの疑問を持っている人は、多いのではないでしょうか。結論からいえば、正当な理由があれば休日出勤を断ることが可能です。

本記事では、休日出勤を断るときの正当な理由7つと、断るときの注意点について詳しく解説します。

本記事の結論

・休日出勤を断るときの正当な理由は「体調不良の場合」「引っ越しの場合」「業務上必要がない場合」など
・「36協定が結ばれていない」「雇用契約書や就業規則で定められていない」場合は、休日出勤を命じると違法になる
・休日出勤を強要されたときは、半日出勤にしてもらえないか交渉したり、予定が入っていることを伝えて断る

休日出勤を断るときの正当な理由は7つ

休日出勤を断るときの正当な理由は、以下の7つです。

  • 1.体調不良の場合
  • 2.冠婚葬祭の場合
  • 3.引っ越しの場合
  • 4.育児や介護の場合
  • 5.通院の場合
  • 6.業務上必要がない場合
  • 7.既に休暇申請の許可をもらっている場合

それぞれについて見ていきましょう。

1.体調不良の場合

病気やケガなど体調不良の場合、休日出勤を断ることが可能です。会社としても、体調不良の状態で出勤させて、平日に休まれても困るはずです。また、会社は労働者の健康・安全を配慮しなければならないことが、労働契約法第5条で定められています。

そのため、体調不良を訴えているにもかかわらず、休日出勤を命じる場合は労働契約法に違反します。体調不良で休日出勤を断るときは、医師の診断書があればさらに効果的です。

2.冠婚葬祭の場合

冠婚葬祭の理由に休日出勤を断ることは可能です。「お祝い事や法事などを仕事で欠席させるのは気が引ける」と思う上司は少なくありません。とくにお葬式の場合は、突発的に起きることなので休日出勤を断りやすい理由です。

結婚式の場合は、予定日がわかっていますので事前に上司に伝えておくと、休日出勤を要求されることはないでしょう。

ただし、何度も冠婚葬祭を理由に休日出勤を断っていると嘘だと疑われるため、注意しましょう。また、冠婚葬祭だと嘘の理由を伝えていた場合、本当に冠婚葬祭があったときに休みにくくなります。使うタイミングには気をつけましょう。

3.引っ越しの場合

引っ越しの場合は、事前に引っ越し業者と予定が決まっていますので、休日出勤を断る正当な理由です。引っ越し日を急に変更できないため、上司も納得するでしょう。ただし、あらかじめ予定が決まっている場合は、事前に報告しておく方が賢明です。

引っ越しは嘘の理由として使えませんので、注意してください。引っ越しした場合は、会社へ報告する必要があります。住所が変わったことを伝えなければ、税金や社会保険料、年金などの支払い、交通費申請、就業規則などに影響が出てしまいます。

引っ越ししたのに、住所変更がされていないとすぐに嘘だとバレますので注意しましょう。

4.育児や介護の場合

育児や介護が必要な場合も休日出勤を断れるケースが多いです。ただし、育児や介護は日常的に発生するため、安易な理由では断れない場合もあります。子どもの運動会や文化祭などイベントごとであれば、断りやすいでしょう。

また介護も自分の代わりになる介護者がいない場合は、上司も休日出勤を強要することがないでしょう。自分の代わりになる介護者がいなければ、急に予定が変えられませんので休めない旨を伝えましょう。

介護ではありませんが、子どもや両親が風邪をひき看護が必要な場合も休日出勤を断れます。

5.通院の場合

病院へ通院している人の中には、平日に仕事があるため土日にまとめて通院する人も少なくありません。このようなケースでは、上司も休日出勤を強要することがないでしょう。また、本人の通院ではなく、両親の通院に付き添わなければならないときも、急に予定を変えられないため休日出勤を断れます。

診断書を求められるケースもありますが、診断書の提出は義務ではありませんので、必ずしも提出が必要ではありません。プライバシーにかかわることなので、提出したくない場合は理由を説明して断りましょう。

6.業務上必要がない場合

業務上、休日出勤する必要がない場合は断ることが可能です。休日にわざわざ働かせるのですから、それなりの理由がなければなりません。休日出勤を要求する理由を聞いて、次の出勤日でも間に合うような事情であれば、会社と交渉しましょう。

業務上、必要のない理由で休日出勤ばかり要求される場合、あなたへの嫌がらせの可能性もあります。また、会社の仕事は多岐にわたりますので、あなたの判断だけでは業務上、必要であるか判断しきれない場合もあります。このようなときは、労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。

7.既に休暇申請の許可をもらっている場合

事前に予定がわかっている場合は、休暇申請を提出しておき休みをもらっておきましょう。会社から既に休暇申請の許可を得ている場合は、会社が休日出勤を命じられません。既に許可している休日出勤を取り消し、出勤させることは不当行為です。この場合は、休日出勤を命じられても断ることが可能です。

休日出勤させると違法になる場合

以下の2つの条件の場合、休日出勤させつと違法になります。

  • 36協定が結ばれていない
  • 雇用契約書や就業規則で定められていない

それぞれについて見ていきましょう。

36協定が結ばれていない

36協定が結ばれていない場合、会社が休日出勤を命ずると労働基準法違反になります。36協定とは、時間外労働や休日労働に関する書面協定のことです。労働基準法第36条に、時間外労働や休日労働に関する規定が定められていることから「36(サブロク)協定」と呼ばれています。

休日出勤させる場合や時間外労働させる場合には、36協定を結び労働基準監督署へ届け出をしなければなりません。一般的な会社であれば、36協定が結ばれていますが、規模の小さい会社や労務管理ができていない会社などは、36協定がない場合もあります。

雇用契約書や就業規則で定められていない

雇用契約書や就業規則で「休日出勤を命じれば出勤しなければならない」などの規定が定められていなければ、休日出勤を断ることが可能です。たとえ、36協定が結ばれていたとしても、雇用契約書や就業規則で規定がなければ、効力を発揮しません。

つまり会社が以下の2つの条件をクリアしていなければ、休日出勤を拒否できます。

  • 36協定を結んでいる
  • 雇用契約書や就業規則で「休日出勤を命じれば出勤しなければならない」などの規定を定めている

また、就業規則には周知義務があり、労働者が就業規則を周知していなければなりません。周知していなければ、就業規則で規定を定めていたとしても無効となります。会社が以下のように就業規則を周知させているか確かめておきましょう。

  • 各作業場の目に入りやすい場所に提示または備え付けられている
  • 就業規則を従業員に配布している
  • 社内のパソコンの共有フォルダなどにデータが入っており、いつでも閲覧できるようになっている

休日出勤を断るときの注意点

休日出勤を断るときの注意点は、以下の3つです。

  • 何度も同じ理由を使わない
  • 曖昧な理由で断らない
  • 休日出勤しなくていいように通常で成果を出す

それぞれについて見ていきましょう。

何度も同じ理由を使わない

休日出勤を断るときに同じ理由ばかりで断っていると、上司から怪しまれるので注意しましょう。例えば、冠婚葬祭は頻繫にあるものではないため、繰り返し使うと怪しまれます。普段から体調不良で休みがちな人は別ですが、普段休まない人であれば、休日出勤を要求した日に限って体調不良で断っていると怪しまれます。

ただし、通院や付き添いなどは何度使っても怪しまれにくいです。例えば、平日は仕事なので土日に通院している人は、通院の日が土日に固定されているので同じ理由を使っても違和感がないでしょう。噓の理由で断るときは、前回断った理由をしっかり覚えておき、墓穴を掘らないように注意しましょう。

曖昧な理由で断らない

プライベートな理由で休日出勤を断るときは、理由を曖昧にしないほうがいい場合もあります。例えば、「明日は用事があるので休日出勤できません」といって断る場合、用事の重大性がわからないため、上司も納得しにくいでしょう。

しかし、「明日は一人旅に行く予定でホテルも予約している」「好きなアーティストのライブに行く予定でチケットも購入している」と明確に伝えることで、断りやすくなります。とくに既にお金が発生している場合や、断るとキャンセル料が発生する場合など、お金が絡んだ事情を説明すると上司も納得せざるを得ないでしょう。

「本当の理由をいえば怒られる」と思う人も少なくありません。しかし、理解力のある上司なら、あえて本当の理由を伝えるほうがいい場合もあります。上司との関係性なども考慮した上で、休日出勤を断る理由を伝えましょう。

休日出勤しなくていいように通常で成果を出す

仕事のスピードが遅かったり、仕事をさぼっていたりすると、業務が遅れて休日出勤が必要になる場合があります。そのため、自分が出勤している日にしっかりと成果を出し、作業の遅れを作らないことが大切です。作業が円滑に進んでいれば休日出勤してまで、働かなくても済むかもしれません。

休日出勤を強要されたときの対処法

休日出勤を強要されたときの対処法は、以下の4つです。

  • 半日出勤にできないか交渉する
  • 既に予定があることを伝えて断る
  • 労働基準監督署や弁護士に相談する
  • 転職を検討する

それぞれについて見ていきましょう。

半日出勤にできないか交渉する

休日出勤が必要になった場合、半日出勤に変えてもらえないか交渉してみましょう。休日は労働者の休息に必要な時間です。その時間を奪うことになるので、会社は労働者の要望に配慮すべきです。会社によっては、労働者のプライベートを配慮してくれる場合があるため、交渉に応じてもらえるでしょう。

また、半日出勤が無理な場合は、他の日に変わりの休日をもらえないか提案しても良いでしょう。

既に予定があることを伝えて断る

前日など突発的に休日出勤を要請されても、急に予定を変えることは困難です。既に予定が入っている場合は、素直にその予定を伝えて休日出勤できないことを伝えましょう。

また、予定を伝えるときはなるべく変更が難しい旨を伝えてください。例えば「動物園に行くチケットを買ってしまった」「ホテルの予約を取っている」などです。友達と遊ぶだけであれば、「予定を変えてほしい」といわれてしまいます。

しかし、チケットを既に買っていたり、予約を取っていたりする場合は、変更が難しいです。この場合は、上司も納得せざるを得ないでしょう。

労働基準監督署や弁護士に相談する

「正当な理由で断っているのに休日出勤を強要される」「正当な理由で休日出勤を断るとパワハラされた」など、違法性がある場合は労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。

労働基準監督署は、違法性がある場合には会社に対して調査を行い、問題があれば指導や是正勧告を行います。労働基準監督署に相談することで、会社から強要されなくなることが期待できます。ただし、違法性がある証拠がなければ、動いてもらえない可能性もありますので、注意しましょう。

弁護士であれば、法的手段をとることが可能です。「休日出勤したのに賃金が支払われない」「会社の違法行為を訴えたい」といった場合におすすめです。弁護士に相談する場合は、労働問題への実績が多い弁護士(法律事務所)を選びましょう。弁護士によっても得意不得意がありますので、労働問題を多く取り扱っているか確認しましょう。

転職を検討する

休日出勤が多くて休みがとりにくいなど、労働環境に問題がある場合は転職を検討しましょう。今の職場よりも好条件な会社は多くあります。転職を考えることも1つの手です。転職する前に、休日出勤を減らしてもらえないか交渉したり、違法性がある場合は労働基準監督署に相談したりしましょう。

色々な策を講じても改善が見られない場合は、転職がおすすめです。

休日出勤に関するよくある質問

休日出勤に関するよくある質問は、以下の通りです。

  • 新人は休日出勤を断る権利がない?
  • 休日出勤を断ると評価が下がりますか?
  • 休日出勤を断るとクビになりますか?
  • 休日出勤を断るときに嘘の理由をいってもいいのか

それぞれについて見ていきましょう。

新人は休日出勤を断る権利がない?

上司によっては「新人だから人一倍働け」「新人は休日出勤を断れない」といったことを理由に、休日出勤を要求することがあります。もちろん新人であっても休日出勤を断る権利はあります。とくに以下の7つの理由であれば、断りやすいでしょう。

  • 1.体調不良の場合
  • 2.冠婚葬祭の場合
  • 3.引っ越しの場合
  • 4.育児や介護の場合
  • 5.通院の場合
  • 6.業務上必要がない場合
  • 7.既に休暇申請の許可をもらっている場合

勤務年数を理由に「休日出勤が断れない」「多く命じられる」場合はパワハラです。労働基準法違反にあたりますので、労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。

休日出勤を断ると評価が下がりますか?

会社が正当な理由を持って休日出勤を命じており、正当な理由もなく休日出勤を断ると評価が下がる恐れがあります。36協定を締結しており、就業規則などに休日出勤に関する規定がある場合は、業務命令にあたります。業務命令に従わない場合は、業務命令違反にあたりますので評価が下がる可能性が高いです。

1回断った程度であれば、あまり影響はありません。しかし、何度も断っている場合は懲戒処分になる可能性がありますので、注意しましょう。

休日出勤を断るとクビになりますか?

休日出勤を断るとクビになる可能性があります。しかし、可能性としては極めて低いです。上記でも説明しましたが、正当な理由もなく休日出勤を断ることは業務命令違反にあたります。懲戒処分を科され、最悪の場合は懲戒解雇になってしまいます。

ただし、懲戒解雇は簡単に認められるわけではありません。普段から勤務態度が悪い、何度も注意しているにもかかわらず理由もなく休日出勤を断るなど、悪質な場合でなけれなクビになりません。

1回断った程度でクビになった場合は、不当な解雇になります。この場合は、労働基準監督署や弁護士に相談して損害賠償を請求しましょう。

休日出勤を断るときに嘘の理由をいってもいいのか

休日出勤を断るときに嘘の理由をいっても構いませんが、リスクがあることを覚えておきましょう。嘘がバレてしまうと、「会社の秩序を乱した行為だ」と懲戒処分になる可能性があります。もちろんクビになることはありませんが、評価が下がったり、減給になったりすることもあります。

理解力のある上司なら、嘘をつかず本当の理由を伝えた方が得策です。予定が入っていることを素直に伝えれば理解してもらえるでしょう。

まとめ

休日出勤を断るときは、以下の7つの正当な理由がおすすめです。

  • 1.体調不良の場合
  • 2.冠婚葬祭の場合
  • 3.引っ越しの場合
  • 4.育児や介護の場合
  • 5.通院の場合
  • 6.業務上必要がない場合
  • 7.既に休暇申請の許可をもらっている場合

正当な理由があれば、休日出勤を断ることが可能です。また正当な理由がない場合は、上司に予定が入っていることを伝え、半日出勤や別の日に変えてもらうなど交渉しましょう。

休日出勤を断っても強要されるときは、労働基準監督署や弁護士への相談がおすすめです。

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