会社の悩みを相談したいのに相談できる人がいない、と困っている人は少なくありません。また、相談できる相手がいたとしても、相手に迷惑をかけたり、心配させたりするのではないか、と思いためらってしまう人もいるのではないでしょうか。
本記事では、会社に相談できる人がいない原因と対処法を紹介します。また、相談できる人を見つけるポイントや無料で相談できる相談窓口も紹介しますので、参考にしてください。
・会社に相談できる人がいない原因は、「会社に信頼できる人がいない」「上司が怖い」「人間関係が悪い」などがある
・相談できる人を見つけるには、「積極的にコミュニケーションをとる」「勇気を出して声をかける」「相談ではなく質問をする」などがおすすめ
・相談できない環境が続くと、ストレスの原因や会社に損害を与えてしまう可能性があるので注意
・会社に相談できる人がいない場合は、総合労働相談コーナー・労働条件相談ほっとライン・こころの声などがおすすめ
目次
会社に相談できる人がいない原因と対処法
会社に相談できる人がいない原因と対処法について紹介します。
- 会社に信頼できる人がいない
- 直属の上司が怖くて相談できない
- 職場の人間関係が悪くて相談できない
- 仕事が忙しくて相談できる時間がとれない
- 相談するのが恥ずかしくてできない
人によって相談できない理由が異なります。自分がなぜ相談できないのか原因を分析し、対処法を見ていきましょう。
会社に信頼できる人がいない
会社に信用できる人がいない場合、誰にも相談できません。会社での相談先としては、上司や同僚が一般的です。とくに同僚は相談しやすい相手です。しかし、既に同僚が辞めてしまったり、異動になってしまったりしていない場合もあるでしょう。
上司は会社の中で一番接する時間の多い存在です。自分の仕事状況などを把握しているため、相談しやすいです。しかし、上司と仲が悪かったり、一度相談したときに精神論で返されたりした人は、相談しにくくなります。
相談したのにまともに話を聞いてもらえない、悩んでいることを否定されてしまう、といったことがあれば、その人に対する信頼は失われてしまいます。このように会社に信頼できる人がいない場合は、相談窓口を利用しましょう。
例えば、社内の相談窓口や後ほど紹介する総合労働相談コーナーなどがおすすめです。ただし、今後のためにも信用できる相手を作っておくほうがよいです。信頼できる人は1人だけでも問題ありません。複数人と信頼関係を構築せずとも、この人なら大丈夫と思える人を作っておきましょう。
信頼関係を構築するには、自分から積極的にコミュニケーションをとってください。また、誰かの相談を聞いてあげることも大切です。
直属の上司が怖くて相談できない
仕事の悩みは直属の上司に相談するのがおすすめですが、上司が怖い、話を聞いてもらえないなどの場合は相談できません。上司に相談しようとしても「自分で解決しろ」「なんでもっと早く言わなかったんだ」「そんなことで悩むな」といわれるのではないかと懸念して躊躇してしまう人もいます。
上司が怖くて相談するのを躊躇している人は、思い切って相談してみましょう。例えば、仕事のミスを怒られるのが怖くて相談せずにいると、状況が悪化してしまう恐れがあります。状況が悪くなってから相談するよりも、すぐに相談していたほうが被害が少なく済みます。
どうしても直属の上司に相談できない場合は、別の上司や上司よりも地位の高い人に相談しましょう。本来は直属の上司に相談したほうがいいですが、状況によっては別の上司でも構いません。
職場の人間関係が悪くて相談できない
職場の人間関係が悪い場合は、相談できる環境ではありません。例えば、風通しが悪くコミュニケーションの少ない職場や、個人主義が多く協力性のない職場などです。このような職場では、相談相手がいなかったり、いたとしてもまともな回答が得られなかったりするでしょう。また、誰かに相談することで自分の噂が広まってしまう恐れがあります。
会社に相談できる環境が整っていない場合は、外部の相談窓口に相談することをおすすめします。自分の所属する部署や店舗の人間関係が悪い場合は、部署や店舗を異動し、環境を変えても良いでしょう。職場環境が悪くストレスになる状態で働き続けても自分の成長につながりません。ストレスが溜まってしまい体調を崩すきっかけにもなるため、早めに環境を変えることをおすすめします。
仕事が忙しくて相談できる時間がとれない
自分を含め会社全体が忙しく、相談できる暇がない場合も相談できません。相談することで相手の時間をとってしまい、迷惑になってしまうことを恐れて相談できない人もいるでしょう。とくに内向的な人や気を遣いすぎる人に当てはまります。相手のことばかり気にかけて相談できない人は、勇気を出して声をかけてください。
普段忙しそうにしている上司や同僚でも、相談があると伝えれば時間をつくってくれます。上司が部下の相談を聞くことも仕事の一つです。そのため、遠慮せずに上司に相談してみましょう。ただし、仕事が忙しい相手に相談するときは配慮が必要です。以下のポイントを押えてください。
- 相談者の空いている時間に自分が合わせること
- 相談時間が長くならないように話をまとめておくこと
- いきなり相談するのではなく事前に相談したい旨を伝えること
相談するのが恥ずかしくてできない
コミュニケーションが苦手な人やプライドが高い人は、相談するのが恥ずかしくて相談できない場合があります。この場合は、主に相手の問題ではなく自分の問題です。自分の性格によって相談できる人をなくしてしまっているのです。わからないことや、悩んでいることを相談するのは、恥ずかしいことではありません。
勇気を出して相談してみましょう。対面で話すのが苦手な人や自分のことを知っている人に相談するのが苦手な人は、社内外の相談窓口を利用してください。相談窓口であれば、電話やメールで相談できますし、自分のことを知らない人と話せます。職場の人間に相談するより、相談しやすいのではないでしょうか。
社内の相談窓口を利用して相談することに慣れてきたら、職場の上司や同僚などに相談しても良いでしょう。まずは、相談することに慣れることから始めてください。
会社で相談できる人を見つけるポイント
「会社に相談できる人がいない」と思っている人は、相談できる人を見つけることから始めましょう。実際は会社に相談できる人がいたとしても、あなたの行動によって相談できる人を減らしている可能性があります。以下のポイントを参考に、相談できる人を見つけましょう。
- 普段から積極的にコミュニケーションをとる
- 相談することに対するハードルを下げる
- 相談すれば100%解決すると思わない
- 勇気を出して声をかける
- 相談ではなく質問にする
普段から積極的にコミュニケーションをとる
会社で相談できる人を見つけるには、普段から上司や同僚と積極的にコミュニケーションをとることです。職場の人間関係が良好な人は、気軽に相談できる環境が構築されています。例えば、仲の良い同僚がいる人は、仕事帰りに飲みに行って仕事の相談する人もいます。自分から職場の人に声をかけることから始めましょう。
コミュニケーションをとるのが苦手な人は、挨拶から始めることです。相手よりも先に自分から挨拶するだけでも、印象が変わります。いきなり全員と仲良くする必要はありませんが、自分と波長の合う人を見つけその人とコミュニケーションをとっていきましょう。その人をきっかけに他の人とも仲良くなることもありますので、まずは1人相談できる相手を見つけましょう。
相談することに対するハードルを下げる
相談すれば相手に迷惑がかかる、相談すれば自分を否定されてしまうなど、相談することに対して自分の中でハードルが高くなっている可能性があります。そのため、相談することに対してハードルを下げることが大切です。まずは何が原因で相談しにくいのか分析しましょう。
例えば、「相談したら自分を否定されるのでは?」と思ってしまい相談できない場合、信頼できる相談者を選ぶことです。自分のことをある程度、理解してくれている人であれば、自分を否定するようなことはいいません。
あなたが思っている以上に相談は気軽にできるものです。時間をつくって二人だけの空間で相談することに対してハードルが高い場合は、日常会話の中で相談したり、ちょっとした休憩のタイミングで話してみたりしても良いでしょう。
相談すれば100%解決すると思わない
相談すれば悩み事が100%解決すると思ってはいけません。相談すれば解決すると思って相談してしまうと、悩み事が解決されなかったときに期待を裏切られてしまいます。相談しても意味がないと感じ、相談できる相手がいなくなってしまいます。何度も相談しながら解決の糸口を探すことが大切です。
そのため、「この人に相談すればすぐに解決できる」と思うのではなく、「この人に相談すれば自分の悩みを聞いてもらえる」というスタンスで相談相手を見つけましょう。
勇気を出して声をかける
会社に相談できる人がいないと思って誰にも相談していない人は、勇気を出して誰かに相談してみてください。相談したいときは、自分から声をかけてアポイントメントをとることが重要です。相手から悩み事があるか聞いてもらえるのを待っていては、いつまで経っても解決しません。自分から行動に移すことが大切です。
相談事を聞いてもらえなさそうな上司であっても、勇気を出して声をかけて見れば、相談に乗ってもらえるかもしれません。自分から他の従業員とコミュニケーションをとり、相談しやすい環境を整えておきましょう。
相談ではなく質問にする
いきなり相談することに抵抗を感じる人は、相談ではなく質問形式で話を聞いてもらいましょう。質問形式であれば、わざわざ時間を作って二人だけで話をせずとも、日常会話の中で相談できます。例えば、給与が低く転職しようか相談したいときは、以下のように質問します。
- 〇〇さんは今の給与に満足していますか?
- うちの会社は給与が低いと思うのですが、〇〇さんは副業とかされていますか?
- 給与が低くて悩んでいるのですが、何かいい案ありますか?
- 給与がなかなか上がらないのですが、昇格すればある程度高くなりますか?
愚痴や雑談のように質問するのがポイントです。上記のような質問をして、まともの返答をもらえれば相談者としてふさわしいと判断できます。
また、わざわざ時間作らなくても、自分の悩みを解決するために必要な最低限の回答をもらえます。自分の質問にしっかりとした回答を得られるか見極めながら、相談できる人を探しましょう。
会社に相談できる人がいない状況が続くデメリット
会社に相談できる人がいない状態は危険です。以下のようなデメリットがあります。
- 悩み事が解決せずにストレスになる
- 会社に損害を与えてしまう可能性がある
- 会社で孤独感を感じてしまう
それぞれについて見ていきましょう。
悩み事が解決せずにストレスになる
会社に相談できる人がいなければ、悩み事が解決されないためストレスになってしまいます。どうすればいいかわからない状態は、不安やストレスの原因になります。精神的な疲労は、体調不良の原因になり悪化すればうつ病や精神疾患にもなりうるため危険です。
仕事に対するモチベーションが上がらない、仕事に行きたくなくなるなど、業務に支障をきたす恐れがあります。そのため、一人で抱え込まず、誰かに相談することが大切です。
会社に損害を与えてしまう可能性がある
相談内容によっては、会社に損害を与えてしまう可能性があります。例えば、取引先に必要な資料がわからなかったが、相談せずに自分で判断して資料をまとめたとします。この場合、自己判断で資料をまとめてしまったため、必要な資料を間違えている可能性が高いです。当然、間違った資料を提出しても使えないため、取引先との商談が上手くいかず会社に損害を与えてしまいます。
自分に関する悩み事であれば会社への損害は少ないですが、仕事でのミスや業務に必要なことであれば、会社に影響を与える可能性が高くなります。相談せずに作業を進めたことにより会社への損害が大きくなってしまえば、損害賠償を請求される可能性も少なくありません。
社会人にとって「報・連・相」は重要です。会社に相談できる人がいない状況が続けば、自分だけでなく会社にも迷惑をかけることになるので、早めに相談者を見つけましょう。
会社で孤独感を感じてしまう
会社に相談できる人がいなければ、孤独感を感じてしまう恐れがあります。相談者がいないことは、自分の味方がいないことと変わりません。そのため、精神的にひとりぼっちで仕事をしている感覚に陥りやすくなります。孤独感を強く感じてしまうと、自分は嫌われている、無視されているなどの気持ちになってしまいます。
精神的にも辛いですし、チームワークが取れずに悪影響を及ぼすため、デメリットでしかありません。
会社に相談できる人がいないときに相談できる無料窓口
会社に相談できる人がいない場合は、無料で相談できる相談窓口を利用しましょう。6つの相談窓口を紹介しますが、それぞれ特徴が異なります。そのため、自分の状況に合わせて相談窓口を選びましょう。
- 社内の相談窓口
- 総合労働相談コーナー
- 労働条件相談「ほっとライン」
- みんなの人権110番
- こころの耳
- 職場のトラブル相談ダイヤル
社内の相談窓口
2022年4月より全面的に「パワハラ防止法」が施行されました。この法律では、「1.相談に対応できる体制を整えること」「2.相談があった場合、迅速かつ適切に対応し、再発防止に向けて措置を講ずること」などが義務付けられています。多くの会社がパワハラ防止法に則り、相談窓口を設置しているため利用しましょう。
社内に設置されているため、事実の確認や対応までの措置が早いことがメリットです。ただし、会社によって相談窓口の対応が異なります。そのため、あくまで相談だけを聞き、何の対処もしてもらえない場合があります。まずは社内の相談窓口を利用して対処してもらえるか判断しましょう。社内の相談窓口で納得いかない場合は、次に紹介します社外の相談窓口を利用してください。
総合労働相談コーナー
総合労働相談コーナーは、いじめ・パワハラ・解雇・賃金の引き下げなど、あらゆる分野の労働問題に対応しています。各都道府県労働局や全国の労働基準監督署内に設置されています。予約は不要で面談または電話で対応可能です。土・日・祝日・年末年始(12月29日から1月3日)は、閉庁しています。
相談者のプライバシーを保護してくれますので、会社に相談したことがバレることはありません。法的な処置はできませんが、助言・指導・あっせんなどは対応してもらえます。そのため、相談だけでなく会社に相談内容を改善してほしい人におすすめです。
労働条件相談「ほっとライン」
労働条件相談ほっとラインは、厚生労働省が委託した「株式会社東京リーガルマインド」の相談員が相談に乗ってくれます。労働時間や賃金、職場の安全衛生など労働条件に関する相談が可能です。平日17:00〜22:00、土・日・祝日9:00〜21:00(12月29日~1月3日を除く)まで相談できます。相談できる時間帯が長い点がメリットです。
労働条件相談「ほっとライン」は、電話相談のみで匿名での相談が可能です。労働条件以外の相談に関しては、別の相談機関を紹介してくれますので、労働条件に含まれるかどうかを考えずに相談して構いません。
長時間になる場合は、翌日以降にかけ直す必要がありますので、あらかじめ話す内容についてまとめておきましょう。
みんなの人権110番
みんなの人権110番は、法務省が管轄の無料相談窓口です。差別や虐待など人権に関する相談ができます。電話すると最寄りの法務局につながり、法務局職員または人権擁護委員が相談に乗ってくれます。電話・メール・面談の3つで相談可能です。相談できる時間帯は、平日8:30~17:15までです。
相談すると必要に応じて職員や人権擁護委員が、関係者の任意で調査します。調査結果によっては、援助や通告、告発などの救済措置を行います。救済措置は自主的な改善を促すものであり、強制力はありません。また、人権擁護委員は、民間のボランティアです。専門家と違い個人で知識の差があります。そのために、人によって対応が異なる可能性がありますので、注意しましょう。
こころの耳
こころの耳は、厚生労働省が委託した「株式会社法研」の相談員が相談に乗ってくれます。こころの悩みや仕事・人間関係の悩み・過重労働による健康障害などについて相談できます。電話・SNS・メールでの相談が可能です。こころの耳電話・SNS相談は、月曜日・火曜日の17:00~22:00と土曜日・日曜日の10:00~16:00に実施しています。
相談できる日にちが限られていますので、注意しましょう。また電話の相談は最長20分までです。あまり長く話せないため、事前に話をまとめておきましょう。SNSでは最長60分相談できますの、長く相談したい人はSNS相談を利用しましょう。なお、メールでの相談は、24時間いつでも受付していますが、土日祝日・年末年始は対応しておりません。
職場のトラブル相談ダイヤル
職場のトラブル相談ダイヤルは、全国社会保険労務士会連合会による無料相談窓口です。解雇・退職・残業・未払い賃金・労働環境などの相談ができます。まずは電話で無料相談し、対面相談、あっせんという流れで進みます。
相談できる時間は、平日の11:00~14:00です。受付時間が短いので注意しましょう。
まとめ
会社で相談できる人がいない原因と対処法について紹介しました。原因によって対処法が異なりますので、まずは相談できない原因が何か分析しましょう。相談できない状況が続くと、ストレスの原因になったり、会社に被害を及ぼしたりする可能性があります。一人で抱え込まず社内外の相談窓口を利用してください。
また、相談できない環境を変えることが重要です。現職では改善できない場合は、退職・転職を検討しましょう。
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