「上司に退職を言い出せない」「会社を辞めたいけれど手続きが面倒」といった悩みを抱える人の間で注目を集めているのが退職代行サービスです。
退職代行を利用すれば、依頼者に代わって会社へ退職の意思を伝え、手続きを進めてもらえます。精神的な負担を軽減できる一方で、費用や業者選びには注意が必要です。
本記事では、退職代行サービスの仕組みや費用相場、メリット・デメリット、失敗しない選び方をわかりやすく解説します。
・退職代行サービスとは、依頼者に代わって会社へ退職の意思を伝えてくれるサービスで、民間・労働組合・弁護士の3種類がある
・退職代行を利用するメリットは、会社と直接関わることなく退職できる、即日退職できる、有給休暇の消化をサポートしてもらえるなど
・退職代行を利用するデメリットは、費用がかかる、対応範囲が限られる、悪徳業者がいるなど
・退職代行サービスの失敗しない選び方は、運営元、料金体系が明確で追加費用がないか、口コミ・実績などを確認する
目次
退職代行サービスとは?仕組みや費用を紹介
退職代行サービスとは、依頼者に代わって会社へ退職の意思を伝え、手続きを進めるサービスです。まずは、退職代行サービスの基本的な仕組みや種類、費用などを見ていきましょう。
- 退職代行サービスの基本仕組み
- 退職代行サービスの利用が広がる背景
- 退職代行サービスの種類
- 退職代行サービスの費用相場と支払い方法
退職代行サービスの基本仕組み
退職代行サービスは、利用者の代わりに退職の意思を会社へ通知し、退職手続きを進める仕組みです。依頼者は電話やLINE、メールなどで業者に相談し、必要な情報を伝えます。
その後、退職代行業者が会社に連絡し、「〇月〇日付で退職したい」という内容を代行して伝達します。基本的に依頼者は会社とのやり取りをする必要がありません。
法律上、退職は労働者の自由な意思に基づき行えます。そのため、退職代行を利用しても原則として会社は退職を拒めません。
ただし、業者によって対応範囲に差があり、退職日の調整や有給消化交渉などは、弁護士資格の有無でできる範囲が変わります。そのため、サービス内容をよく確認して選ぶことが大切です。
退職代行サービスの利用が広がる背景
マイナビの「退職代行サービスに関する調査(2024年)」によると、直近1年間に転職した人のうち16.6%が退職代行サービスを利用していることがわかりました。
とくに20代では18.6%と利用率が高く、若手ほどサービスを積極的に利用する傾向が見られます。
また、企業側でも退職代行の利用経験者は増えており、「自社で退職代行を使って退職した人がいた」と回答した企業は、2024年上半期で23.2%です。
2021年16.3%、2022年19.5%、2023年19.9%と、毎年増加していることからも利用が定着しつつある現状がうかがえます。
退職代行を利用した理由として最も多いのは、「引き留められた、または引き留められそうだったから」40.7%という結果でした。
退職を申し出ても強く引き留められたり、精神的な負担を感じるケースが多いことが背景にあります。
上司への退職意思の伝達や手続きに心理的な壁を感じる人が増える中で、自分では言いにくいことを代わりに伝えてほしいというニーズが高まっていることが、退職代行サービスの普及を後押ししています。
退職代行サービスの種類
退職代行サービスには「民間業者」「労働組合」「弁護士法人」の3種類があります。それぞれ対応できる範囲や費用、権限が異なるため、自分の状況に合ったサービスを選ぶことが大切です。
| 民間業者 | 労働組合 | 弁護士法人 | |
|---|---|---|---|
| 運営元 | 一般企業・代行業者 | 労働組合・ユニオン | 弁護士・法律事務所 |
| 費用相場 | 2〜5万円前後 | 2〜3万円前後+組合費 | 4〜10万円以上+相談料 |
| 法的な交渉権限 | なし | 簡易交渉可 | あり |
| 対応範囲 | 退職の意思伝達 書類受け渡しサポート |
退職連絡 有給消化の交渉も可能 |
退職連絡 有給・残業代請求 トラブル対応 |
| 向いている人 | とにかく退職を代行してほしい人 | 有給の消化や労働条件の交渉も求めたい人 | 法的トラブルを抱えたまま辞めたい人 |
民間の退職代行サービスは利用者が最も多く、費用を抑えつつスムーズな退職をサポートしてくれますが、会社との交渉や有給の消化を求める場合には対応できません。
一方で、労働組合が運営するサービスであれば、法律に基づいて企業との簡易的な交渉が可能です。比較的料金も手頃で、有給休暇の消化などにも応じてもらえるケースがあります。
弁護士法人による退職代行は最も費用が高いものの、退職手続きに加えて残業代請求やパワハラ問題などの法的トラブルにも対応できます。
退職にあたって企業側と揉めるリスクが高い人や、労働問題を解決したい人にとっておすすめです。
どの種類にもメリットと制限があるため、退職する理由や現在の状況に応じて、最適なタイプを選ぶことが重要です。
退職代行サービスの費用相場と支払い方法
退職代行サービスの費用は、運営元によって大きく異なります。民間業者は比較的安く、弁護士が運営するサービスは高額になる傾向があります。一般的な費用相場は以下のとおりです。
- 民間業者(一般企業・代行業者):2万〜5万円前後
- 労働組合(ユニオン系):2万〜3万円前後+組合費
- 弁護士法人:4万〜10万円以上+相談料や追加費用
帝国データバンクの退職代行サービスに関する調査によれば、最低料金(着手金など含む、正社員、税込)の平均は2万9410円となっています。
民間業者は約22,500円、弁護士法人は約44,700円となっており、約2倍ほど費用が異なるのが特徴的です。
支払い方法は、クレジットカード決済や銀行振込が主流ですが、最近ではコンビニ決済や後払い・分割払いに対応している業者も増えています。
ただし、料金体系にはオプション費用や追加料金が設定されていることがあるため、事前に詳細を確認することが重要です。
また、低価格で提示されているサービスでも、実際には退職日の調整や書類のやり取りなどで追加費用が発生する場合があります。
料金だけで選ばず、対応範囲や追加料金の有無を確認した上で選びましょう。
退職代行を利用する8つのメリット
退職代行を利用するメリットを紹介します。
- 会社と直接関わることなく退職できる
- 上司に退職の意思を直接伝えなくていい
- 即日退職も可能
- 退職に関するトラブルを防ぎやすい
- 有給休暇の消化をサポートしてもらえる
- 面倒な退職手続きを任せられる
- 人間関係の悪化やパワハラなどのストレスから解消される
- 転職先の準備を整えられる
会社と直接関わることなく退職できる
退職代行サービスの最大のメリットは、自分で会社とやり取りせずに退職できることです。
通常は、退職の意思を上司に伝える、退職届を提出する、退職日を調整する、書類の作成を行うなど、退職が確定するまでに複数回のやり取りが発生します。
職場の人間関係が悪い場合や、退職について相談しづらい雰囲気がある場合は、これらの手続きが大きなストレスになるでしょう。
しかし、退職代行を利用すれば、こうしたやり取りをすべて専門のスタッフが代わりに対応してくれます。
利用者は、必要な情報(退職希望日、会社への要望、私物の送付方法など)を事前に伝えるだけで済みます。依頼後は会社から連絡がくることもなく、本人が直接対応する場面はありません。
上司に退職の意思を直接伝えなくていい
退職代行サービスを利用すると、上司に直接退職の意思を伝える必要がなくなります。
通常であれば、退職の相談はまず直属の上司に行うのが一般的ですが、「退職を切り出しにくい」「関係が悪くて話したくない」と感じている人も少なくありません。
とくに、上司から厳しい態度を受けている場合や、引き止められる不安があると、退職を切り出すこと自体が大きなハードルになります。
退職代行に依頼すれば、上司との面談や連絡をすべて代行業者が引き受けてくれるため、本人が直接やり取りをする必要はありません。
代行業者が電話やメールで退職の意思を伝え、退職日や今後の流れについて会社側と調整します。このことで、本人は精神的な負担を感じることなく退職手続きを進められます。
関連記事:退職は何日前までに伝えるべき?法的ルールと正しい辞め方を解説します
即日退職も可能
退職代行サービスを利用すれば、状況によっては即日で退職手続きを開始できる場合があります。
なかには「今日から出勤せずに退職したい」というケースや、「もう耐えられないので早く辞めたい」という強い希望を持つ人も少なくありません。
そのような場合、即日対応が可能な退職代行であれば、依頼した当日中に会社への連絡を済ませ、翌日以降の出社を避けることが可能です。
法律上、退職の意思は原則として退職日の2週間前までに伝えることが民法で定められています。
実務上は会社の同意や調整の有無によって柔軟に対応されることが多く、退職代行業者が間に入ることで、スムーズに退職が進められることがあります。
関連記事:即日で退職することは可能?即日退職の条件・やり方・注意点をわかりやすく解説!
退職に関するトラブルを防ぎやすい
自分で退職を申し出る場合、上司に強く引き止められたり、退職届を受け取ってもらえなかったりするケースもあります。
また、「退職日は会社が決めるものだ」「有給休暇は使わせない」など、法律に反する対応をされる可能性もゼロではありません。
退職代行を利用すれば、こうした問題を回避しながら手続きを進められます。代行業者は、退職の意向を明確に伝えたうえで、退職日や必要な手続きといった重要事項を会社に確認します。
弁護士や労働組合が運営している場合は、法律に基づいたやりとりが可能なため、有給休暇の消化や残業代の請求についても正しく対応を求められるのが安心です。
有給休暇の消化をサポートしてもらえる
退職時に有給休暇を消化できず、損をしてしまうケースは少なくありません。
本来、有給休暇は労働者が自由に取得できる権利であり、退職日までに残っている有給を申請すれば、会社は原則として拒否できません。
しかし実際には、「人手が足りないから無理だ」「繁忙期だから調整できない」などと理由をつけて取得を認めてもらえないケースが見られます。
退職代行サービスを利用すれば、こうした不当な拒否に対して、労働者の権利を根拠に有給休暇の取得を会社に伝えてくれます。
とくに労働組合や弁護士が運営するサービスであれば、有給休暇の申請だけでなく、消化に向けた交渉まで対応することが可能です。
ただし、民間の退職代行業者は会社との交渉権限を持たないため、有給休暇の交渉が必要な場合は、労働組合または弁護士運営のサービスを選ぶことが重要です。
関連記事:退職時に有給消化できない時の対処法は?有給の消化方法と違法について解説
面倒な退職手続きを任せられる
退職にあたって必要となる手続きは意外と多く、以下のような作業が求められます。
- 退職理由の説明や退職意思の伝達
- 退職届の作成・提出
- 最終出勤日の調整
- 有給休暇の申請と残日数の確認
- 社会保険や雇用保険関係の手続き
- 会社から受け取る書類(離職票・源泉徴収票など)の確認
- 貸与物(社員証・備品・制服など)の返却方法の確認
このように、退職は単に辞めますと伝えるだけでは完結せず、複数の手続きややり取りを同時並行で行う必要があります。
とくに、退職理由の説明や最終出勤日の調整といった場面では、会社側との会話や交渉が避けられず、慣れない手続きにストレスを感じる人も少なくありません。
退職代行サービスを利用すれば、これらの煩雑な手続きの多くを専門業者に任せることが可能です。退職の意思伝達から退職届の提出方法、会社との連絡手段の調整まで、一括でサポートしてもらえます。
人間関係の悪化やパワハラなどのストレスから解消される
退職を決断する背景には、業務内容よりも人間関係の悩みが大きく影響しているケースが少なくありません。
とくに、上司や同僚との関係悪化、パワハラやモラハラに悩まされている状況では、出勤自体が精神的な負担となり、退職を申し出る気力も奪われがちです。
「辞めたいけれど、どうしても直接伝える勇気がない」と感じてしまい、退職が先延ばしになることもあります。
退職代行サービスを利用すれば、こうした職場のストレスから一気に解放されます。
依頼後は会社とのやり取りをすべて代行業者が請け負うため、パワハラ上司や嫌な相手と顔を合わせることもありません。
また、電話やメールなどの連絡手段も断ち切れるため、退職に関する不必要な引き止めや説得もしっかり遮断できます。
転職先の準備を整えられる
退職代行を使えば、会社とのやり取りや調整はすべて代行業者が担当するため、利用者は面談や説明に時間を割く必要がありません。
退職確定までのプロセスがスムーズになることで、転職サイトの登録や書類作成、面接対策などの準備を早く進めることができます。
また、退職日までに有給休暇を消化できれば、実質的に「退職期間=転職準備期間」にすることも可能です。
退職代行を利用する4つのデメリット
退職代行はメリットが多いですが、デメリットも存在します。退職代行を利用するデメリットを見ていきましょう。
- 費用がかかる
- サービスによっては対応範囲が限られる
- 中には悪徳業者も存在する
- 仲が良かった同僚に直接感謝を伝えられない
費用がかかる
退職代行サービスを利用する場合、一般的には2万円〜5万円程度の費用が発生します。弁護士が運営するサービスでは、4万円以上かかるケースも珍しくありません。
とくに収入が限られている人や、次の仕事が決まっていない状態で退職する人にとっては、費用の負担が大きく感じられることがあります。
自分で退職手続きを進めれば費用はかからないため、お金を払ってでも頼む価値があるかを検討する必要があります。
サービスによっては対応範囲が限られる
退職代行サービスと一口にいっても、すべての業者が同じ対応範囲を持っているわけではありません。とくに注意が必要なのは、会社との交渉ができるかどうかという点です。
たとえば、民間の代行業者は退職の意思を伝えることはできますが、有給休暇の取得や退職日の調整、未払い賃金の請求など、法的な交渉が必要になる場面では対応できません。
交渉が必要な案件に対応できるのは、労働組合が運営するサービスや弁護士が介入するサービスに限られます。
対応範囲を理解せずに申し込むと、お金を払ったのに問題が解決しなかったという後悔につながる可能性があるため、事前の見極めが大切です。
中には悪徳業者も存在する
退職代行サービスが広く知られるようになった一方で、残念ながら悪質な業者も存在します。
実際に「料金を支払った途端に連絡が取れなくなった」「無許可で運営していた業者に依頼してしまい、手続きが進まなかった」などのトラブルも報告されています。
退職という大切な局面を代行してもらうからこそ、事前の慎重な情報確認が欠かせません。
こうした被害を避けるためにも、以下の点を事前にチェックしておきましょう。
- 運営元の企業情報(住所や代表者名)が明記されているか
- 無料相談などで、対応スピードや説明内容に不審な点がないか
- 弁護士法人・労働組合など、権限の根拠が明確か
- 料金体系や返金保証の条件が細かく書かれているか
- 第三者レビューサイトやSNSで実際の利用者の口コミが確認できるか
対応が不十分だったり、途中で放置されたりすると、かえって状況が悪化し、会社と自分で直接対応しなければならなくなる可能性もあります。
費用や甘い宣伝文句に惑わされず、実績と信頼性のある運営元を選ぶことで、安心して退職を進められるでしょう。
関連記事:退職代行でよくあるトラブル事例15選!リスクを避けて確実に辞めるにはどうしたらいい?
仲が良かった同僚に直接感謝を伝えられない
退職代行サービスを利用すると、会社や上司と直接やり取りせずに退職できる一方で、仲が良かった同僚やお世話になった人へ直接挨拶したり、感謝を伝えたりする機会が持てなくなることがあります。
とくに、日頃から支えてくれた人がいた場合や、これまでの関係を大切にしたいと感じている場合は、直接お礼を言えなかったという心残りが生まれることもあります。
退職代行サービスの失敗しない選び方
退職代行サービスを安心して利用するためには、料金だけで選ばずに運営元の信頼性や対応範囲の広さなど、複数の観点を踏まえて比較することが大切です。
ここでは、失敗しないための選び方を5つのポイントに分けて解説します。
- 運営元が信頼できるかを確認する
- 料金体系が明確で追加費用がないか確認する
- 対応範囲と交渉権限を確認する
- 実績や口コミを確認する
- アフターフォローや転職支援があるか確認する
運営元が信頼できるかを確認する
退職代行サービスを選ぶ際は、まず運営元の信頼性を確認することが大切です。会社名や所在地、代表者名、問い合わせ先などの情報が公式サイトに明記されていないサービスは避けましょう。
運営元が不透明な場合、依頼後に連絡が取れなくなるといったトラブルにつながる恐れがあります。
また、法律に基づく適切な運営がされているかどうかもチェックが必要です。
たとえば、転職支援や求人サポートを兼ねたサービスの場合は「有料職業紹介事業の許可番号(厚生労働大臣の認可)」が取得されていることが前提です。
これがない場合、違法な運営である可能性があり、依頼者が不利益を被るリスクがあります
料金体系が明確で追加費用がないか確認する
退職代行サービスを選ぶ際は、表示されている料金が総額かどうかを事前に確認することが重要です。
サービスによっては、基本料金が安く設定されていても、退職日調整や書類受け取り方法の案内などで追加費用が発生する場合があります。
とくに「有給休暇の交渉」「会社との連絡回数が増えた場合」などを想定して、オプション費用や追加料金の有無を確認しておくと安心です。
料金体系が明確な業者であれば、公式サイトに「基本プラン」「追加費用なし」「成功しなければ全額返金」などの文言が表示されていることが多く、サービス内容も細かく説明されています。
また、「振込手数料の負担」「分割払い・後払い対応の有無」「返金保証の条件」なども確認しておくと、費用に関する不安を軽減できます。
対応範囲と交渉権限を確認する
退職代行サービスを利用するうえで、どこまで対応してくれるのか、交渉力があるのかを事前に確認することが欠かせません。
退職の意思伝達だけでいいのか、有給休暇の消化や退職日の調整といった交渉も任せたいのかによって、選ぶべきサービスは変わります。
とくに、有給休暇の申請や賃金未払い、不当な引き止めが想定される場合は、交渉権限を持つ労働組合系・弁護士系サービスが適しています。
実績や口コミを確認する
退職代行サービスを選ぶ際には、公式サイトの情報だけでなく、第三者による評価や口コミを確認することも重要です。
利用者の声や実績が豊富に公開されているサービスは、安心して依頼できる可能性が高まります。
たとえば、「退職成功率100%」「年間相談件数〇〇件以上」といった実績が具体的に示されている場合、そのサービスが長く利用されている証拠といえます。
口コミを確認する際は、公式サイトだけでなくSNSや第三者レビューサイト、Google口コミなども参考にしましょう。
対応が丁寧だった、退職できたが説明不足だったなど、実際に利用した人の生の声は、サービスの質を見極める大切な手がかりになります。
一方で、口コミが極端に偏っている、または投稿数が不自然に少ない場合は、慎重に判断したほうがよいでしょう。
また、メディア掲載実績や弁護士・専門家からの推薦コメントがある場合も、信頼性を測る材料になります。
アフターフォローや転職支援があるか確認する
退職代行サービスの中には、退職手続きだけでなく、その後のフォロー体制が充実しているものもあります。
たとえば、離職票や源泉徴収票などの受け取りに関するアドバイス、社会保険・国民年金の切り替え方法のサポートといった、退職後に発生する手続きを丁寧に案内してくれるサービスがあります。
また、近年は「退職代行+転職支援」がセットになったサービスも少なくありません。
キャリアアドバイザーが在籍しているサービスや、提携する転職エージェントを無料で紹介してくれるケースでは、相談から内定までをスムーズに進められるのが魅力です。
一方で、こうしたアフターフォローや転職サポートが一切ないサービスもあります。
そのため、退職までをサポートしてもらえれば十分という人と、退職後もフォローを受けたいという人で、選ぶべきサービスは異なります。
退職代行サービスを利用するときの流れ
退職代行サービスを利用する際の手続きはシンプルで、一般的には以下のような流れで進みます。
- 1.退職代行業者に問い合わせ・相談する
- 2.ヒアリングシートで詳細を伝える
- 3.正式に申し込み・料金を支払う
- 4.退職代行が会社に連絡を行う
- 5.必要書類などの手続きを確認して退職
1.退職代行業者に問い合わせ・相談する
まずは、退職代行サービスの公式サイトやLINE、電話などを通じて相談を行います。
初回相談は無料としている業者が多く、退職に関する悩みや希望条件を伝えながら、サービス内容や費用について説明を受けます。この段階で気になることがあれば何でも質問しましょう。
とくに初回以降が有料になる場合は、初回の相談を有効に使いましょう。
2.ヒアリングシートで詳細を伝える
サービスの利用を決めたら、依頼内容を正確に伝えるためのヒアリングシート(聞き取りフォーム)に記入します。
ここでは、退職希望日、会社名、所属部署、上司名、残っている有給休暇日数、会社との連絡可否など、退職に関する具体的な情報を提出します。
この情報をもとに業者が退職連絡の準備を行うため、正確かつ具体的に記入することが大切です。
また、退職代行業者によっては、持ち出しが必要な私物や貸与品の返却方法、離職票などの書類をどう受け取りたいかといった詳細もヒアリングされます。
3.正式に申し込み・料金を支払う
ヒアリングが完了し、サービス内容や費用に納得できたら、正式に申し込みを行います。
申し込みは、業者から送られてくる契約書や同意書を確認し、必要事項を記入・送信する形で進められるのが一般的です。その後、指定された方法で料金を支払います。
支払い方法は、銀行振込やクレジットカード決済、コンビニ決済など、業者によって異なります。
支払いが確認されると、退職代行の準備が正式にスタートします。なかには後払いや分割払いが選べるサービスもあり、急ぎで退職したい場合でも柔軟に対応可能です。
4.退職代行が会社に連絡を行う
料金の支払いが完了すると、退職代行業者が依頼者の代わりに会社へ連絡を行います。連絡は通常、電話やメールで行われ、「〇月〇日付で退職したい」という退職の意思を正式に伝えます。
この際、退職業者が利用者へ連絡しないように伝えるため、一般的には会社から連絡が来ることはありません。
また、退職日や有給休暇の消化についての調整も、必要に応じて業者が会社側と対応します。
弁護士や労働組合が運営するサービスであれば、法的な根拠に基づき、有給休暇の申請や未払い賃金の確認といった交渉も任せられます。
5.必要書類などの手続きを確認して退職
会社への退職意思の連絡が済むと、退職代行業者から今後の流」について案内があります。
具体的には、離職票や源泉徴収票といった退職後に必要な書類の受け取り方法、健康保険証や入館証など会社から借りている備品の返却方法などを確認します。
多くの場合、これらの書類は後日自宅に郵送される形で手元に届くため、会社に出向く必要はありません。これらの手続きが完了し、退職日を迎えれば、正式に会社から退職となります。
退職代行を使って後悔しないために考えてほしい3つのポイント
退職代行サービスは、退職の負担を大幅に軽減してくれる便利な手段ですが、利用後に後悔する人もいます。
退職をスムーズに進めるだけでなく、自分の将来にとって最善の決断にするために、利用前に検討しておきたいポイントを紹介します。
- 本当に退職を言えない状況かを整理する
- 退職について相談できる相手がいないか確認する
- 引き継ぎをどう進めるかを考えておく
本当に退職を言えない状況かを整理する
退職代行を利用する前に、自分が本当に退職を自力で言えない状況なのかどうかを整理することが大切です。
たとえば、退職手続きが面倒くさい、上司に会うのが気まずいといった理由であれば、家族や友人、キャリア相談窓口などに話すことで気持ちが整理され、自分で退職を伝えられる場合があります。
一方で、上司からのパワハラや嫌がらせが深刻な場合、退職を告げることでさらにトラブルに発展する恐れがある場合などは、退職代行サービスを利用するメリットが大きくなります。
退職について相談できる相手がいないか確認する
退職は、一人で思い悩むよりも、誰かに相談して客観的な意見を求めることが大切です。
たとえば、家族や友人、信頼できる同僚に悩みを打ち明けることで、自分の気持ちを整理でき、退職代行を使わずとも退職の意思を直接伝えられるようになる場合があります。
また、身近に相談できる人がいない場合でも、自治体が提供する労働相談窓口や労働基準監督署、無料の法律相談など、第三者の専門機関に相談することが可能です。
とくに退職をめぐるトラブルやパワハラを抱えている場合は、専門家に相談することで、自分では気づかなかった選択肢や法的に保護される権利について知ることができます。
関連記事:退職時に相談する人がいないときの対処法!相談したほうがいい理由と話す相手を紹介
引き継ぎをどう進めるかを考えておく
退職代行を利用する場合、直接会社とやり取りをしないため、引き継ぎが不十分なまま退職する可能性があります。
引き継ぎは法律で義務付けられているものではなく、行わなかったからといって違法にはなりません。
しかし、引き継ぎをせずに退職すると、後任者やチームに業務負担がかかり、迷惑をかけてしまったと後悔するケースがあります。
そのため、退職代行を依頼する前に、できる範囲で業務内容や進行中の案件、関係者リスト、注意点などをまとめた「引き継ぎ用メモ」を作成しておくと安心です。
メモは紙やデータ形式で簡潔に整理すれば、退職代行業者を通じて会社に渡してもらえることもあります。
すべてを完璧に引き継ぐ必要はありませんが、最低限の情報は残しておくという意識を持つことで、円満退職を目指せます。
関連記事:退職代行を使えば引き継ぎ不要は嘘?リスクやトラブルの避け方を紹介
退職代行サービスに関するよくある質問
退職代行サービスに関するよくある質問を紹介します。
- 退職代行サービスを利用すると会社の人にバレる?
- 退職代行サービスを利用するのにおすすめ人は?
- 退職代行サービスを利用しても退職できないケースがある?
- 退職代行サービスを利用したのに会社から連絡が来ることもある?
- 退職代行サービスは危険?
退職代行サービスを利用すると会社の人にバレる?
結論として、退職代行サービスの利用が周囲に知られる可能性はあります。ただし、業者による連絡方法や自身の対応次第で、知られる範囲を最小限に抑えることは可能です。
退職代行業者が会社に連絡をする際は、「ご本人の依頼により退職の意思をお伝えします」という形で対応し、具体的に「退職代行サービスを利用した」という文面を伝えるわけではありません。
ただし、上司や人事担当者が「本人が直接言わない=退職代行を使った?」と推測するケースはゼロではありません。
退職代行サービスを利用するのにおすすめ人は?
退職代行サービスは、以下のような状況にある人に特におすすめです。
- 上司や会社に退職の意思を直接伝えることが難しい人
- パワハラや職場の人間関係に強いストレスを抱えている人
- 退職を申し出たら引き止められそうで不安な人
- 心身の負担を感じていて、出社や連絡が困難な人
- 有給を使い切って退職したいのに認めてもらえない人
- すでに次の仕事が決まっていて、早く退職したい人
これらに当てはまる場合、退職代行を利用することで、精神的負担を軽減しながら確実に退職へ進むことができます。
退職代行サービスを利用しても退職できないケースがある?
退職代行を利用すれば、原則として退職できないケースはほとんどありません。
なぜなら、日本の法律では労働者には退職の自由があると定められており、会社は労働者の退職意思を強制的に止めることはできないからです。
ただし、会社側が退職代行業者からの連絡に応じない場合や、退職日の調整に関する交渉が必要な場合はスムーズに手続きが進まない可能性があります。
退職代行サービスを利用したのに会社から連絡が来ることもある?
退職代行サービスを利用すれば、原則として会社と直接やり取りをする必要はありません。しかし状況によっては、会社から連絡が来る場合もあります。
たとえば、退職代行業者による連絡に会社側が気づかず、そのまま本人に電話をしてしまうケースや、緊急時の確認事項が発生した場合などです。
ただし、ほとんどの退職代行サービスでは、事前に「今後は本人に直接連絡しないようにお願いします」という依頼を行います。そのため、会社から直接連絡が来るケースはあまり多くありません。
退職代行サービスは危険?
退職代行サービスは合法的に運営されているものであれば危険ではありません。しかし、すべての業者が安全とは限らないため、利用前に慎重な見極めが必要です。
実際に、無許可で営業している業者や、料金を支払った後に連絡が取れなくなるなどのトラブル事例も報告されています。
安全に利用するためには、運営元が明確であること、実績や口コミが確認できること、そして弁護士や労働組合など適法な組織が運営しているかどうかといった点に注意しましょう。
まとめ
退職代行サービスは、自分では言い出せない状況でも、専門の業者が代わりに退職の意思を伝えてくれるため、精神的な負担を大きく減らせることがメリットです。
一方で、費用がかかることや、引き継ぎが不十分になるといったデメリットもあります。民間業者や弁護士法人によって対応できる範囲も異なりますので、自分の状況にあったサービスを選びましょう。
退職に関する悩みや不安などがあれば、退職代行ほっとラインまでご相談ください。

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