【完全版】定年退職前後にやっておくことリスト|お金・手続き・生活準備を総まとめ

定年退職は、仕事中心の生活から自由な時間を持てる人生の転換点です。しかし、その前後にはお金の管理や各種手続き、生活スタイルの変化に向けた準備など、やるべきことが数多くあります。そのため、「何から手をつければいいかわからない」「手続きで漏れがないか不安」と感じる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、定年退職前後にやっておくことをお金・手続き・生活準備にわけて紹介します。定年後の生活に向けて、今のうちから準備を整えましょう。

本記事の結論

・【お金編】定年退職前にやっておくことは、定年退職前の金融資産や退職金がいくらもらえるか把握する、老後に必要なお金をシミュレーションする
・【手続き編】定年退職前後にやっておくことは、退職金の受け取り方を選ぶ、年金・雇用保険・健康保険・確定申告などの手続きを済ませる
・【生活準備編】定年退職後にやっておくことは。時間の使い方を考える、老後の住環境を見直す、やることリストを作っておくなど

目次

【お金編】定年退職前にやっておくこと

定年退職後の生活を安心して迎えるには、今ある資産や今後の収入・支出を正確に把握しておくことが重要です。とくに老後の生活費は長期間にわたるため、漠然とした不安を抱える人も少なくありません。そこでまずは、定年退職前に確認しておきたい3つのお金のポイントを紹介します。

  • 定年退職前の金融資産を把握する!平均1,147万円?
  • 退職金がいくらもらえるか把握する
  • 老後に必要なお金をシミュレーションする

定年退職前の金融資産を把握する!平均1,147万円?

最初に確認したいのが、自分が今どれだけの金融資産を持っているかという点です。定年退職後は給与収入がなくなるため、これまで築いてきた貯蓄や投資資産が生活の大きな支えになります。定年退職を目前に迎えた50代の金融資産保有額は、1,147万円です。

中央値は300万円となっています。

40代 50代 60代 70代
平均値 889万円 1,147万円 2,206万円 1,757万円
中央値 220万円 300万円 700万円 700万円
金融資産を保有していない 26.8% 27.4% 21.0% 19.2%
100万円未満 9.6% 9.1% 5.9% 5.6%
100~200万円未満 8.9% 6.4% 4.5% 5.1%
200~300万円未満 4.9% 3.8% 4.3% 4.3%
300~400万円未満 5.7% 3.9% 3.0% 4.7%
400~500万円未満 3.8% 3.9% 1.9% 2.5%
500~700万円未満 7.4% 5.6% 7.2% 6.2%
700~1,000万円未満 5.6% 5.5% 6.7% 5.8%
1,000~1,500万円未満 7.4% 8.9% 6.8% 10.2%
1,500~2,000万円未満 3.5% 4.2% 5.4% 6.6%
2,000~3,000万円未満 5.3% 5.4% 9.5% 7.4%
3,000万円以上 6.5% 11.2% 20.5% 19.7%
無回答 4.5% 4.8% 3.2% 2.6%

参考元:家計の金融行動に関する世論調査 令和5年(金融広報中央委員会)

金融資産非保有者を除けば、50~70代で金融資産保有額が最も多い割合は3,000万円以上です。金融資産を保有していない割合が多いことから、老後に向けてお金の準備をしていない人が多くいることがわかります。

まずは自分自身の預貯金、株式、投資信託、保険などの総額を一度整理しておきましょう。家族と共有しておくと、今後の資金計画も立てやすくなります。

退職金がいくらもらえるか把握する

退職金は、定年後の生活を支える大切な資金源です。しかしどれくらいの金額が支給されるのかを把握していない人も少なくありません。定年退職時に退職金がもらえる会社は多いですが、勤続年数や役職、企業規模によって支給額は大きく異なります。

大学卒 高校卒
満勤勤続 2,139.6万円 1,867.6万円
35年 2,019.9万円 1,319.8万円

参考元:厚生労働省

厚生労働省によれば、大学卒で満勤勤続による定年退職時に退職金は、2,139.6万円です。上記のように勤続年数が満期を迎える場合、2,000万円以上の退職金を受け取るケースもあります。

ここで気になるのが、「老後資金2,000万円問題」と呼ばれる話題です。これは、年金だけでは老後30年間の生活費がまかなえず、2,000万円ほど不足するという金融庁の試算から広まりました。退職金でこの金額をカバーできるかが一つの基準になりますが、本当に足りるのか、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

次の見出しでは、老後に必要なお金をシミュレーション形式で解説しています。ご自身の退職金と照らし合わせながら、今後の生活設計を考える参考にしてください。

老後に必要なお金をシミュレーションする

老後の暮らしを安心して送るには、どれほどの資金が必要なのでしょうか。まずは支出と収入の目安を見ていきましょう。

生命保険文化センターの2022年度調査によると、ゆとりある老後の生活費の目安は月約37万9,000円です。これは、日常生活費(23万2,000円)に加え、趣味・旅行・交際費などのゆとり費(14万8,000円)を含んだ金額となっています。

実際の支出はここまで高くない世帯も多く、総務省の「家計調査(2024年)」によると、高齢夫婦の無職世帯の実支出は月28万6,877円というデータもあります。この金額を参考に、標準的な生活を前提としたシミュレーションをしてみましょう。

【前提条件】

モデル世帯 65歳夫婦(無職)
生活費(月額) 28万6,877円
年金収入(月額) 22万円(夫:厚生年金 14.8万円、妻:国民年金 7.2万円想定)
平均寿命 男性:81歳、女性:87歳(厚労省・令和5年データ)
老後生活期間 約22年(65歳〜87歳)

【老後資金シミュレーション】

内容 金額
毎月の支出 286,877円
毎月の年金収入 220,000円
月の不足額 66,877円
年間の不足額 約80万円
老後22年間の不足総額 約1,760万円

このシミュレーションからわかる通り、年金だけでは毎月の生活費が6万6,000円ほど足りず、老後22年間で約1,760万円の資金不足が発生する可能性があります。これはあくまで標準的なケースであり、実際には医療費や介護費が加わりますので、支出額はさらに多くなります。

つまり、退職金が2,000万円以上あったとしても、老後の生活を賄えません。近年では物価が高騰しているため将来的な支出はさらに増加することが予想されます。定年退職後に備えてしっかりと、貯蓄しておくことが重要です。

参考元:厚生労働省|令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況 
厚生労働省|令和5年簡易生命表の概況 
経済省統計局|家計調査報告2024年(令和6年)平均結果の概要

【手続き編】定年退職前後に必ず確認しておきたい手続き

定年退職を迎えるにあたり、多くの人が直面するのが各種手続きです。とくにお金に関する手続きは、対応を間違えると損をしてしまうこともあります。退職金の受け取り方、年金や健康保険の申請、雇用保険や確定申告など、事前に知っておくべきポイントを押さえておきましょう。

  • 退職金は一括?年金形式?受け取り方を選ぶポイント
  • 退職後の年金手続きはどうする?申請に必要なものは?
  • 健康保険の切り替え手続きは?退職後の保険加入について
  • 雇用保険の手続きも忘れずに!失業保険を受け取る方法
  • 所得税の確定申告は必要?退職後の税務手続きについて

退職金は一括?年金形式?受け取り方を選ぶポイント

退職金の受け取り方法には「一時金(一括)」と「年金形式」の2つがあります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自身のライフプランに合わせて選ぶことが大切です。

一時金として一括受け取れば、大きな資金が手元に残るため住宅ローンの返済や資産運用に活用できます。ただし、金額が大きくなるほど所得税・住民税の負担も増えやすくなります。一方、年金形式で受け取る場合は、税制上の優遇が受けられるケースがあり、年金感覚で資金を分散して受け取れるため長期的な資金管理に向いています。

受け取り方を選ぶ際は、退職所得控除や公的年金等控除などの制度も踏まえて検討しましょう。必要であれば、税理士やファイナンシャルプランナーへの相談もおすすめです。

受け取り方法 メリット デメリット 向いている人
一時金(一括) ・まとまった資金が手元に残る
・住宅ローンや借金返済に使える
・使い道の自由度が高い
・所得税や住民税が高くなる場合がある
・計画的に使わないと資金が枯渇するおそれ
・すぐに大きな支出予定がある人
・資産運用に詳しい人
年金形式 ・税制優遇を受けやすい
・定期的に収入がある安心感
・長寿リスクに備えやすい
・一定額ずつしか受け取れない
・途中で大きな資金が必要な際に不便
・長期間にわたって生活費が必要な人
・資金管理に不安がある人

退職後の年金手続きはどうする?申請に必要なものは?

定年退職後に公的年金の受給を始めるためには、原則として年金請求書を提出する必要があります。対象者には、日本年金機構から65歳の誕生日の約3か月前に年金請求書が郵送されてきます。必要事項を記入し、年金事務所や市区町村の窓口で手続きを行いましょう。

申請には、年金手帳、本人確認書類、預金通帳などが必要です。なお、60歳以降に退職し、厚生年金の加入が終了した場合も離職票や退職証明書などを求められる場合があります。手続きを忘れると、受給が遅れるリスクがあるため注意しましょう。

なお、年金の繰り上げ・繰り下げ受給の選択肢もありますので、受け取り開始時期はライフプランとあわせて検討しましょう。

健康保険の切り替え手続きは?退職後の保険加入について

退職後は会社の健康保険から外れるため、新たに保険制度へ加入し直す必要があります。主な選択肢は「任意継続被保険者」「国民健康保険」「家族の扶養に入る」の3つです。任意継続は、これまでの健康保険を最長2年間継続できる制度で、保険料は全額自己負担になりますが、保険内容は現役時代とほぼ同等です。

国民健康保険は市区町村が運営しており、所得によって保険料が変動します。扶養に入れる場合は、配偶者が社会保険に加入していることが条件です。いずれの選択肢も、退職後14日以内に手続きを行う必要があるため、早めの確認と準備が求められます。

医療費の自己負担額なども比較し、もっとも負担が少なく済む選択をしましょう。

保険の種類 メリット デメリット 向いている人
任意継続被保険者 ・会社員時代と同じ保険内容を2年間継続できる
・高額療養費制度などの保障も同じ
・保険料を全額自己負担(会社負担分も含む)
・途中で脱退できない
・扶養家族が多い人
・保険内容を変えたくない人
国民健康保険 ・自治体によって保険料が異なる
・所得が少ないと保険料が軽くなる場合がある
・保障内容は会社員時代より手薄
・扶養の概念がないため1人ずつ加入が必要
・フリーランスや自営業を始める人
・退職後しばらく無職になる人
家族の扶養に入る ・保険料の自己負担が不要
・手続きが比較的簡単
・年収が一定以下(130万円未満など)の条件あり
・扶養者の勤務先によって条件が異なる
・パートやアルバイトなど収入が少ない人
・家族が会社員などで保険に加入している人

雇用保険の手続きも忘れずに!失業保険を受け取る方法

定年退職後、すぐに再就職の予定がない場合は、忘れずに雇用保険(いわゆる失業保険)の手続きを行いましょう。雇用保険の給付を受けるには、退職後にハローワークで求職の申込みを行い、失業の認定を受ける必要があります。

自己申告だけでなく、就職する意思と能力がある状態で求職活動を行っていることが条件です。

一般的に、定年退職は自己都合退職とは異なりますが、雇用保険上では「一般離職者(自己都合退職と同様の扱い)」として処理されることが多いです。ただし、定年退職の場合は給付制限が免除されるケースがほとんどなので、自己都合でも2ヵ月の給付制限期間がありません。

また、重要なポイントとして、65歳以上で退職した場合は通常の失業手当(基本手当)は受け取れません。その代わりに、「高年齢求職者給付金」という一時金が支給される制度があります。これは年齢や保険加入期間に応じて計算されるもので、一般的な失業保険のような毎月の分割支給ではなく、一括で支給される形式です。

金額は大きくありませんが、要件を満たしていれば申請可能なので、忘れずに確認しましょう。雇用保険の受給には期限があり、離職から1年以内に手続きを行わないと受給できなくなるため、定年退職後のタイミングを見て早めにハローワークへ相談することをおすすめします。

所得税の確定申告は必要?退職後の税務手続きについて

退職後は、場合によっては所得税の確定申告が必要になることがあります。とくに、年の途中で退職し年末調整が済んでいない場合は、自分で確定申告を行わなければなりません。また、退職金を受け取った際に退職所得の受給に関する申告書を提出していなかった場合、税額が高くなる可能性があるため、こちらも確認が必要です。

医療費控除や住宅ローン控除、寄付金控除などが該当する場合も、確定申告によって税金が還付されることがあります。なお、公的年金の受給者であっても、年金収入が一定額を超えると申告が必要になるケースがあります。

退職後の収入状況に応じて、申告の有無を確認し、必要に応じて2月〜3月の確定申告期間内に手続きを行いましょう。

【生活準備編】定年退職後に後悔しないためにやっておくこと

定年退職後は、自由な時間が増える一方で、生活環境や人間関係が大きく変化します。これまで当たり前だった仕事や人とのつながりがなくなることで、思わぬ不安や孤独を感じる人も少なくありません。老後を後悔なく、充実したものにするためには、退職前から生活面の準備を進めておくことが重要です。

  • 定年後の時間の使い方を考える
  • 人とのつながりを保てる?孤独を防ぐための人間関係の築き方
  • 住まいはこのままでいい?老後の住環境を見直そう
  • 「やることリスト」を作っておくと後悔しない

定年後の時間の使い方を考える

定年退職後は、今までのような仕事に追われる毎日から解放され、自由な時間が大幅に増えます。しかし、何も計画を立てずに過ごしてしまうと、最初は開放感を感じられても、やがて毎日が退屈、やることがないと感じてしまいがちです。

そのため、定年前にあらかじめ何をして過ごすのかを考えておくことが大切です。

合同会社フィンウェル研究所の調査結果によれば、70代に向けて力をいれたいことは以下のような結果になりました。

  • 食生活に注意したい:62.6%
  • 運動など健康管理に注意したい:48.3%
  • 旅行など今できることを優先したい:36.5%

食生活や運動など、健康管理に注意したいと回答した人が多くいます。そのため、基本的には健康維持のために何をすればいいかを考えると良いでしょう。その中で、趣味に打ち込む、地域ボランティアに参加する、旅行や登山などこれまでできなかったことに挑戦するなど、今できることを加えていくのがおすすめです。

参考元:合同会社フィンウェル研究所|「60代6000人の声」アンケート調査2025

人とのつながりを保てる?孤独を防ぐための人間関係の築き方

定年退職をきっかけに、職場での人間関係が一気に途絶えてしまう人も少なくありません。仕事中心の生活を送っていた人ほど、退職後に社会とのつながりが薄くなり、孤独感を抱えやすくなります。孤独は心の健康だけでなく、身体の健康にも影響を及ぼすことがあるため、対策を考えておくことが大切です。

地域のサークルに参加したり、自治会やボランティア活動に関わったりすることで、人との交流を持ち続けられます。また、趣味を通じて新しい友人関係を築くのも効果的です。最近では、オンライン上でつながるコミュニティも増えており、インターネットを活用すれば、住んでいる場所にかかわらず多様な人と交流できます。

住まいはこのままでいい?老後の住環境を見直そう

老後の生活を安心して過ごすには、住まいの環境が安全で快適であることが重要です。若い頃には気にならなかった階段の昇り降りや段差の多い家も、年齢を重ねるにつれて転倒のリスクが高まる要因になります。定年退職という節目に、今の住環境を見直しておくことをおすすめします。

例えば、バリアフリー化や手すりの設置、段差の解消などのリフォームは早めに検討しておきたいポイントです。また、戸建て住宅に住んでいる場合は、将来的に管理や掃除が難しくなることもあるため、マンションやサービス付き高齢者向け住宅などへの住み替えも選択肢の一つです。

どこに住むか、どんな環境で暮らすかによって、老後の安心感や満足度は大きく変わります。

「やることリスト」を作っておくと後悔しない

定年後の生活を後悔なく過ごすためには、「やりたいこと」「やるべきこと」を明確にリスト化しておくのが効果的です。リストには、趣味や旅行、健康づくり、ボランティア活動といった前向きな目標だけでなく、手続き関係や住環境の見直し、健康診断のスケジュールなども含めておきましょう。

リストを作ることで、ぼんやりとした不安を「具体的な行動」に変えることができ、毎日の過ごし方にメリハリが生まれます。また、達成した項目にチェックを入れていくことで自己肯定感が高まり、生活の充実度もアップします。

家族と共有すれば、お互いの価値観をすり合わせる機会にもなり、老後を一緒にどう過ごすかを話し合うきっかけにもなるでしょう。

例えば、以下のようにやることリストを作成してみてください。

  • 金融資産の棚卸し(預貯金・投資・保険など)
  • 退職金の金額・受け取り方の確認
  • 公的年金の受給見込み額を確認(ねんきん定期便・ねんきんネット)
  • 退職後の医療保険・健康保険の加入先を検討
  • 雇用保険(失業保険)の申請手続きを確認
  • 所得税や住民税などの納税スケジュールを整理
  • ゆとりある老後の生活費と必要な資金をシミュレーション
  • 生活スタイル(趣味・学び直し・ボランティアなど)の計画
  • 家族と今後の生活や介護に関する話し合い
  • 住まいの見直し(バリアフリー化・リフォーム・住み替え)
  • 老後に向けた終活(エンディングノート・遺言書の準備)

【働き方編】定年退職後も自分らしく働くためにやっておくこと

定年退職を迎えても、仕事を通じて社会とのつながりを持ち続けたいと考える人は少なくありません。年金や退職金だけでは生活が不安な場合もありますし、まだまだ働けるという健康面・意欲面での理由もあります。

  • 定年退職後も働き続けている人は21.7%
  • 再雇用制度を活用して同じ会社で働き続けるメリット
  • 定年後に再就職するにはハローワークがおすすめ!求人の探し方

定年退職後も働き続けている人は21.7%

内閣府の「令和6年版 高齢社会白書(全体版)」によると、労働人口6,925万人に対して定年退職後(60歳以上)の労働人口の割合は、21.7%です。定年退職後でも働き続けている人は、年々増えています。その中でも農業・林業・不動産・サービス業などでは、65歳以上の就業者の割合が多いです。

加えて、近年では人手不足の影響から、企業側も高齢者の雇用を積極的に進める動きが強まっています。再雇用制度や高齢者雇用安定法の整備により、60歳を過ぎても現役として働き続ける選択肢が広がっているのです。

まだ働きたい、社会とつながっていたいと考える人にとっては、定年後も新たな形で働ける環境が整いつつあります。自分の希望やライフスタイルに合わせて、どのような働き方を選ぶかを早めに考えておくと安心です。

参考元:内閣府|令和6年版 高齢社会白書(全体版)

再雇用制度を活用して同じ会社で働き続けるメリット

厚生労働省が公表した「令和6年 高年齢者雇用状況等報告」では、65歳までの雇用確保措置を講じている企業は99.9%に達しており、そのうち継続雇用制度を導入している企業は67.4%です。また、希望者全員を対象とする継続雇用制度を導入している企業は86.2%で、中小企業では87.6%、大企業では71.1%となっています。

再雇用制度は、定年時に一度退職扱いとなり、再度契約社員などの形で雇用される制度です。再雇用制度の最大のメリットは、新しい環境に慣れる必要がなく、引き続きこれまでの経験を活かせることにあります。また、職場の人間関係が変わらないため、心理的なストレスも少なく済みます。

一方で、給与水準が下がる場合も多く、業務内容や勤務時間が調整されるケースもあります。そのため、自分の希望と会社の再雇用条件が一致するかどうかを事前に確認しておくことが大切です。

参考元:厚生労働省|令和6年 高年齢者雇用状況等報告

定年後に再就職するにはハローワークがおすすめ!求人の探し方

定年後に新たな職場で働きたいと考えている方には、ハローワークの活用をおすすめします。ハローワークには、60歳以上を対象とした「シルバー人材向け求人」や「生涯現役支援窓口」などが設けられており、高齢者の就労支援に力を入れています。

また、ハローワークでは、職業相談・履歴書の書き方・面接対策なども無料で受けられるため、ブランクがあっても安心です。特に事務職や清掃、施設管理などの職種は、定年後でも比較的求人が見つかりやすい傾向にあります。

定年退職前後に関するよくある質問

定年退職前後に関するよくある質問を紹介します。

  • 定年退職前に退職すると損する?
  • 定年退職前に有給休暇を消化できるの?
  • 定年退職前にふるさと納税したほうがいい?
  • 定年退職がきっかけでうつ病になったら?
  • 定年は60歳から65歳になったの?

定年退職前に退職すると損する?

定年の少し前に退職すると、退職金や再雇用制度に影響が出る可能性があります。企業によっては定年退職と自己都合退職で退職金の計算方法が異なる場合があり、定年まで勤め上げた方が有利になるケースが多いです。

また、再雇用制度の対象が定年退職者のみとなっている企業もあるため、早期退職すると再雇用の選択肢がなくなることもあります。ただし、定年退職前でも、パワハラや人間関係の影響により、働くことが苦痛になっている場合は退職したほうが良いです。

退職に関する悩みや相談などがある場合は、退職代行サービスを利用してみましょう。会社とやりとりせずに退職できるため、ストレスの軽減になります。

定年退職前に有給休暇を消化できるの?

定年退職前に有給休暇をすべて使い切ることは可能です。企業は、従業員が希望すれば有給休暇の取得を拒否できません。引継ぎ業務などがある場合は、業務に支障が出ない範囲で計画的に取得するほうが円満退職につながります。

ただし、引き継ぎは法律で定められていることではないので、必須ではありません。

円満に退職するためにも、早めに上司や人事担当者に相談し、スケジュールを立てておきましょう。定年退職前に有給休暇を消化できないときの対処法は、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:退職時に有給消化できない時の対処法は?有給の消化方法と違法について解説

定年退職前にふるさと納税したほうがいい?

ふるさと納税は、原則としてその年の所得に応じた控除が受けられます。そのため、退職によって収入が減る予定があるなら、退職前の収入があるうちにふるさと納税を済ませた方が、控除額を最大限に活かせます。退職後に収入が大きく下がった場合、納税額が控除上限額を超えてしまい、自己負担が増える可能性があるため注意が必要です。

定年退職がきっかけでうつ病になったら?

定年退職後の生活は、自由な時間が増える反面、心身に大きな変化が訪れるタイミングでもあります。中には、長年続けてきた仕事から離れることでやりがいを失ったり、体調を崩して老いを意識するようになったりと、大きな環境の変化に直面することがあります。こうしたきっかけが引き金となって、心のバランスを崩すケースも少なくありません。

とくに65歳以上の高齢者に見られるうつ病は、「老年性うつ」「高齢者うつ」とも呼ばれています。これは加齢に伴う身体の衰えや社会的な役割の喪失、周囲との関係の変化などが背景にあるとされています。これまで健康そのものだったという方でも、60代を迎えて初めてうつ病を発症することは決して珍しいことではありません。

もし気分が落ち込む、何もやる気が起きない、夜眠れないなどの症状が続く場合は、早めに心療内科や精神科を受診することが大切です。自分ひとりで抱え込まず、周囲に相談することから始めてみましょう。

定年は60歳から65歳になったの?

定年が65歳に延長されたと思っている人も少なくありませんが、実際には法律で定められている定年は60歳のままです。ただし、2025年4月からは高年齢者雇用安定法の改正により、希望する人に対して65歳までは雇用を継続することが、すべての企業に義務付けられました。

これは定年の引き上げではなく、定年後も希望者を65歳まで雇用しなければならないというルールです。したがって、60歳で一度定年を迎えた上で、再雇用制度などを利用して働き続ける形になります。定年そのものが65歳になったわけではないため、誤解しないよう注意が必要です。

まとめ

定年退職前後でやっておくことについて、お金・手続き・生活準備など分けて紹介しました。定年退職前後はやることが多くありますので、事前に準備しておくことがポイントです。とくにお金に関してはすぐに準備できるものではないので、コツコツと貯蓄しておきましょう。

定年退職であっても退職手続きは必要です。退職時に悩みや不安がある人は、ぜひ退職代行ほっとラインへご相談ください。

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