賞与カットの違法性とは?ボーナスを減らされたときの対処法を紹介

賞与(ボーナス)を突然カットされたとき、多くの人が「これは違法なのか」「取り返せるのか」と不安を抱きます。

賞与は法律で義務化された制度ではありませんが、企業の運用方法によってはカットが違法となることも少なくありません。

とくに、就業規則に反した減額や退職の申し出への報復的カットは違法性が高く、争える可能性があります。

本記事では、賞与カットが違法になる条件、合法と判断されるケース、カットされたときの具体的な対処法を紹介します。

本記事の結論

・賞与(ボーナス)カットが違法になる場合は、就業規則や賞与規程に反している、差別的な減額・カット、長年の支給実績や慣行を無視した場合など
・賞与カットが違法にならないケースは、労働者側に重大な勤務不良や懲戒理由がある、業績悪化により全従業員が対象となる一律カットなど
・違法性のある賞与カットをされたときの対処法は、理由や根拠を会社に確認する、労基署・労働相談窓口、弁護士などに相談する
・減額された賞与を請求する方法は、直接交渉して支給を求める、内容証明郵便で請求する、労基に申告するなど

目次

賞与(ボーナス)カットの違法性は?

賞与(ボーナス)は法律で支給が義務付けられた賃金ではありませんが、会社が自由に減額できるわけではありません。

実際には、就業規則や賞与規程に基づいて運用される制度であり、会社にはその内容を守る義務があります。

支給条件や評価基準が明確に定められているにもかかわらず、会社が一方的にカットした場合は違法です。実際どのようなケースで違法になるのか見ていきましょう。

賞与カットが違法になる場合

賞与カットが違法になるのは、会社が正当な理由や手続きを欠いたまま減額を行ったときです。とくに、就業規則や賞与規程に反した扱い、差別的な減額、報復目的のカットは違法性が高いです。

違法となる具体的な条件を解説します。

  • 就業規則や賞与規程に反して一方的にカットされた場合
  • 評価や勤務態度とは無関係に差別的な減額・カットをされた場合
  • 退職を申し出たことへの報復としてカットされた場合
  • 十分な説明や事前通知のないままカットをされた場合
  • 長年の支給実績や慣行を無視した一方的なカット

就業規則や賞与規程に反して一方的にカットされた場合

賞与カットが最も問題になりやすいのが、就業規則や賞与規程の内容を無視した一方的な減額です。企業は、就業規則に定めた支給条件や評価基準に従って賞与を決定する義務があります。

にもかかわらず、規程に沿わない理由で突然カットした場合は、労働契約法第7条・第8条の「就業規則の周知・内容遵守」の原則に反する可能性があります。

また、規程変更を行う場合でも、労働者への周知や合理性の確保が欠けていると違法と判断されやすいです。

評価や勤務態度とは無関係に差別的な減額・カットをされた場合

評価や勤務態度と無関係に特定の労働者だけ賞与を減額する行為は、差別的取り扱いに該当し、違法性が非常に高いです。

賞与は会社の裁量で変動する制度ですが、支給基準には客観性と公平性が求められます。にもかかわらず、個人的な感情や特定の属性を理由にした減額が行われると、法令違反となる可能性があります。

また、パワハラやセクハラが背景となる不当なカットも問題です。

たとえば、上司が好意を寄せる部下に対し、食事の誘いを断られたことへの腹いせとして賞与を減額するケースなどは、職権濫用による明確な不利益取り扱いにあたります。

このような減額には合理性がなく、差別的扱いとして違法と判断されやすくなります。

退職を申し出たことへの報復としてカットされた場合

退職の意思を伝えたことを理由に賞与を減額する行為は、報復的な扱いとなり違法性が極めて高いです。

忙しい時期に辞めると他の従業員に迷惑がかかるといった理由や、会社を裏切るなら賞与をカットするといった対応を取る企業も存在します。

しかし、これらは客観的な基準に基づかない不利益扱いであり、当然ながら合理性がありません。そもそも退職は労働者の自由であり、その権利行使に対して報復する考え方自体が誤っています。

十分な説明や事前通知のないままカットをされた場合

賞与を減額する際には、会社がその理由や算定方法を明確に示すことが前提です。にもかかわらず、説明をしないまま突然カットするケースがあります。

賞与は法律で義務付けられていないため、正当な理由があれば減額自体は可能です。しかし、労働者から理由を求められたときに答える義務があります。

「不景気だから」や「就業規則が変わったから」といった簡易な説明だけでは、合理的な根拠として不十分です。支給基準の透明性を欠く減額は、不当な扱いとして違法と評価されやすくなります。

長年の支給実績や慣行を無視した一方的なカット

賞与は会社の裁量で運用される制度ですが、長年にわたり継続して支給されてきた場合は、一定の労働条件として扱われることがあります。

つまり、就業規則に明記されていなくても、年に2回〇か月分の賞与が何年も続けて支払われていた企業では、その運用自体が慣行といえるのです。

にもかかわらず、合理的な理由なしに支給実績を急に変更したり、慣行を無視して一方的にカットしたりする行為は違法性が高くなります。

支給の有無や額が安定していた企業で急激な減額が行われると、労働契約の内容を不利益に変更したものとして評価される可能性があります。

賞与カットが違法にならないケース

賞与カットがすべて違法になるわけではありません。

賞与は法律で支給が義務付けられていない制度であり、会社の裁量が広く認められているため、減額に正当な理由や客観的な基準がある場合は違法とは評価されません。

賞与カットが違法にならないケースを紹介します。

  • ボーナスが個人評価を基準にしている場合
  • 労働者側に重大な勤務不良や懲戒理由がある場合
  • 会社の業績悪化により全従業員が対象となる一律カットの場合

ボーナスが個人評価を基準にしている場合

賞与額が個人評価を基準に決定される制度で運用されている場合は、評価結果に応じた減額が合法と判断されます。

賞与は全従業員が同じ金額になるわけではなく、個々の成果やスキルなどによって支給額が変動します。このような制度では、評価が低い労働者の賞与が下がることは合理的な扱いです。

ただし、評価方法や算定ルールは全従業員に共通である必要があります。基準が明確で透明性がある場合、減額は会社の裁量として認められます。

労働者側に重大な勤務不良や懲戒理由がある場合

労働者に重大な勤務不良がある場合や、懲戒処分の対象となる行為があった場合には、賞与の減額が合法と判断されます。

賞与は成果や勤務態度を評価して支給される性質があるため、問題行動が評価に反映されることは合理的です。

遅刻や欠勤の常習化、業務命令違反、重大なトラブルを引き起こしたケースなどは、評価が大きく下がる原因になります。

懲戒処分が適用されるレベルの行為があった場合は、賞与が減額されても違法とはいえません。

会社の業績悪化により全従業員が対象となる一律カットの場合

会社全体の業績が悪化したことを理由に、全従業員を対象として賞与を一律に減額する場合は、違法とは評価されません。

賞与は企業の業績に応じて変動する性質があり、利益が低下した状況では支給額が下がることに合理性があるためです。

特定の労働者だけを狙った減額ではなく、全社的な基準に基づいて公平にカットが行われる場合は、企業の裁量として認められます。

業績と連動した算定方法が採用されている企業ほど、この理由による減額は合法と判断されやすくなります。

違法性のある賞与カットをされたときの対処法

賞与カットに違法性が疑われる場合は、理由や根拠を整理しつつ状況を確認することが大切です。

とくに、規程に反する扱いや報復的な減額などが行われたときは、事実関係を明らかにすることで判断がしやすくなります。

違法性のある賞与カットをされたときの対処法について解説します。

  • 会社の就業規則・賞与規程の内容を確認する
  • ボーナスカットの理由や根拠を会社に確認する
  • 支給実績や評価記録・通知書など証拠を集めておく
  • 労基署・労働相談窓口などに相談する
  • 弁護士へ相談して請求の可否を確認する

会社の就業規則・賞与規程の内容を確認する

違法性が疑われる賞与カットがあったときは、まず就業規則や賞与規程にどのような支給基準が定められているかを確認することが重要です。

賞与の算定方法や評価項目、支給条件などが明文化されている場合、その内容に沿わない減額は不当な扱いとして判断されやすくなります。

規程に記載がない場合でも、長年にわたり同じ基準で支給が行われていた企業では、運用実態が労働条件として扱われることがあります。

ルールと実態の双方を確認することで、カットの正当性を判断することが大切です。

ボーナスカットの理由や根拠を会社に確認する

賞与が減額されたときは、会社がどのような理由や根拠にもとづいて判断したのかを確認することが重要です。

賞与は会社の裁量が大きい制度ですが、減額の理由には何らかの基準や判断材料が存在するはずです。

会社側の説明が客観的で合理的なものであれば、減額が適切な評価に基づいている可能性があります。

しかし、「不景気だから」や「判断は会社の自由」といった抽象的な説明しか示されない場合は、運用の透明性が欠けていると評価されます。

支給実績や評価記録・通知書など証拠を集めておく

違法性が疑われる賞与カットに対処するためには、減額の前後でどのような扱いがあったのかを示す証拠を集めておくことが重要です。

賞与の支給実績が記録された給与明細や、過去の評価通知書などがあれば、会社の運用が一貫していたかどうかを確認できます。

長年にわたり同じ支給基準で運用されていた企業では、実績自体が支給慣行の根拠となる可能性がありますので、支給額の推移がわかる資料をそろえることで、カットの合理性を比較できます。

また、評価制度を採用している会社では、評価表や通知書の内容が重要な判断材料です。

過去の評価結果と今回の評価内容に大きな差がある場合、減額が妥当な評価に基づくものなのかを検討しやすくなります。

労基署・労働相談窓口などに相談する

違法性を疑う賞与カットに直面した場合は、外部の専門機関に相談するのが賢明です。労働基準監督署(労基署)や各都道府県の労働相談窓口では、不当な賞与カットの相談を受け付けています。

これらの窓口では、労働条件の変更や賞与支給の慣行に関するアドバイスを受けられます。

また、相談時には収集した証拠(就業規則・賞与規程・給与明細・評価通知書など)を用意しておくと、より具体的な助言を得やすいです。

相談する際は、いつ、どのような形で賞与が減額されたかを整理しておくと、適切な対応をもらえやすくなります。

弁護士へ相談して請求の可否を確認する

賞与カットの違法性が強く疑われる場合は、労働問題に詳しい弁護士へ相談すると状況を正確に判断できます。

弁護士は就業規則の内容や支給実績、評価制度の運用状況などを総合的に確認し、法的に請求できるかどうかを具体的に判断します。

個別事情を踏まえて分析するため、違法性の判断が難しいケースでも適切な見解を得やすいです。また、証拠の整理方法や、会社側が主張しそうな反論への備えについても助言を受けられます。

弁護士への相談は、請求の可否だけでなく、どのような手段が最適かを検討するうえでも役立ちます。

交渉で解決できるのか、労働審判が向いているのか、訴訟を選択すべきかなど、状況に応じて取るべき対応を判断することが可能です。

減額された賞与を請求する方法

違法性が疑われる賞与カットが行われた場合でも、適切な手順で請求すれば支給される可能性があります。会社に対して賞与の支払いを求める方法を紹介します。

  • 会社と直接交渉して支給を求める
  • 内容証明郵便で賞与の支払いを正式に請求する
  • 労働基準監督署に違法性のある賞与カットを申告する
  • 弁護士に依頼して労働審判・民事訴訟で請求する

会社と直接交渉して支給を求める

賞与カットに疑問がある場合は、まず会社と直接交渉して支給を求める方法があります。就業規則や賞与規程と異なる扱いが行われている場合、会社側が説明不足のまま減額していることも少なくありません。

減額理由や評価基準の運用状況を踏まえて、どの部分に不合理があるのかを整理して伝えることで、対応が変わる可能性があります。

交渉の際は、過去の支給実績や評価通知書などの客観的資料を示すことが大切です。まずは事実関係を確認しながら、穏やかに状況改善を求めることから始めましょう。

内容証明郵便で賞与の支払いを正式に請求する

会社との話し合いで改善が見られない場合は、内容証明郵便を使って賞与の支払いを正式に請求する方法があります。

内容証明は「いつ・だれが・どんな内容を送ったか」を郵便局が証明する仕組みであり、会社に対して強い意思を示す手段として有効です。

口頭でのやり取りでは記録が残らないため、後々のトラブルを避けるうえでも書面での請求が役立ちます。

内容証明では、賞与カットが不当であると考える理由や、支給実績との矛盾点などを簡潔に記載しましょう。

あわせて、支払いを求める期限を明確に示すことで、会社側に対応を促しやすくなります。法的手段を視野に入れる意思を示せるため、会社が再検討しやすくなるのがメリットです。

労働基準監督署に違法性のある賞与カットを申告する

会社の対応に改善が見られず、賞与カットに明らかな違法性が疑われる場合は、労働基準監督署へ申告しましょう。

労基署は、労働基準法や関連法令に違反する行為がないかを調査し、必要に応じて企業へ是正指導を行います。

就業規則と異なる扱いが行われているケースや、報復的なカットが疑われるケースでは、行政機関の介入が状況改善に役立つことがあります。

申告する際は、賞与カットに至った経緯や会社の説明内容、支給実績を示す資料などを用意しておきましょう。

調査の結果、明確な法違反が認められた場合には、企業が改善を命じられる可能性があります。

弁護士に依頼して労働審判・民事訴訟で請求する

会社が対応を改めず、賞与カットに強い違法性があると判断される場合は、弁護士へ依頼して労働審判や民事訴訟で請求することが可能です。

労働審判は比較的短期間で結論が出やすく、証拠に基づいて賞与の支払いが認められる可能性が高まります。

減額理由に合理性が見られないケースや、就業規則との整合性に明確な矛盾があるケースでは、司法手続きが有効です。

訴訟では、支給実績・評価記録・就業規則などをもとに裁判所が違法性を判断します。法的手続きは時間や負担がかかるものの、専門家のサポートを受けながら主張を整理できることが大きなメリットです。

賞与カットされたら辞めるべき?判断基準と見極めポイント

賞与カットが続くと、「このまま働き続けるべきか」「転職を考えるべきか」と悩む人は多いです。賞与カットされたら辞めるべきか、判断基準と見極めポイントを紹介します。

  • 業績悪化による賞与カットなら退職を検討する
  • 賞与カットの理由に違法性があるなら辞めるべき
  • 賞与カット以外にも問題があるなら辞めるべき
  • 会社との関係が良好で改善が期待できるなら辞めない

業績悪化による賞与カットなら退職を検討する

会社全体の業績が悪化していることを理由に賞与が減額されている場合は、退職を検討するタイミングかもしれません。

業績と賞与は密接に連動するため、経営状態が悪い企業では支給額が下がり続ける可能性があります。

業績の悪化が一時的なものであれば問題ありませんが、継続して悪化している場合は新しい環境を検討したほうがいいでしょう。改善の見込みが乏しい場合、昇給やキャリア形成にも影響が及びます。

賞与だけでなく、労働環境や福利厚生にもしわ寄せが出る恐れがあるため、将来性を慎重に見極めることが重要です。

賞与カットの理由に違法性があるなら辞めるべき

賞与カットの理由に違法性が見られる場合は、早めに退職を検討することが重要です。

就業規則に反した扱いや、退職の申し出への報復、特定の労働者だけに向けた不公平な減額などは、企業の姿勢そのものに問題がある可能性が高いです。

こうした会社では、今後も同様の不利益が生じる恐れがあります。

違法性のある賞与カットを行う企業は、いわゆるブラック企業である可能性もあります。賞与だけでなく、サービス残業の強要や退職金の未払いなど、別のトラブルが発生するリスクも否定できません。

危険な環境で働き続けるよりも、早めに職場を変えることで、自分のキャリアや健康を守りやすくなります。

賞与カット以外にも問題があるなら辞めるべき

賞与カットだけでなく、日常的な働き方にも問題が見られる場合は、退職を検討する価値があります。

たとえば、恒常的な長時間労働が続いている環境や、上司のパワハラが放置されている職場では、今後も同じような不利益が生じる可能性はゼロではありません。

会社が社員の働きやすさよりも経営側の都合を優先している状況では、長く働き続けるほど負担が大きくなります。

賞与カットが起きる背景には、組織の管理体制や人事制度の問題が潜んでいることもあります。

人手不足を理由に業務量が過剰になっている企業や、評価制度が機能していない企業では、キャリア形成にも悪影響が出やすいです。

職場全体に複数の問題が見られる場合は、自分の将来を守るためにも環境を変える選択が現実的です。

会社との関係が良好で改善が期待できるなら辞めない

賞与カットが発生したとしても、会社との関係が良好であり、制度の見直しや業績回復が期待できる状況であれば、すぐに退職を決断する必要はありません。

経営状況が一時的に悪化しているケースや、人事評価の制度改革が進んでいるケースでは、状況が改善する可能性があります。

会社側が丁寧に説明を行い、減額の理由や今後の方針を明確に示している場合は、信頼関係が維持されやすいです。

また、上司や同僚との関係性が良い職場であれば、賞与以外の面で働きやすさを感じられることもあります。

自分のキャリアにとって成長の機会がある環境であれば、残留することで得られるメリットも大きいです。改善の兆しが見られる企業では、状況を見守りながら慎重に判断することが大切です。

賞与(ボーナス)カットの違法性に関するよくある質問

賞与(ボーナス)カットの違法性に関するよくある質問を紹介します。

  • 退職理由によって賞与カットするのは違法?
  • 病院で賞与カットが増えているって本当?
  • 賞与カットされたら転職したほうがいい?
  • 会社都合で一方的に賞与カットするのは違法?
  • 育休・産休を理由に賞与カットされるのは違法?
  • 賞与カットの告知義務はありますか?

退職理由によって賞与カットするのは違法?

退職理由をもとに賞与をカットする行為は、原則として違法です。退職は労働者の自由であり、その意思表示によって不利益を与える行為は、報復的扱いとして問題になります。

「辞めるなら賞与はなし」「退職者には支給しない」といった対応は、客観的な基準に基づかない不当な減額に該当します。

就業規則に支給対象の明確な基準がある場合を除き、退職理由を根拠にしたカットは正当化できません。

病院で賞与カットが増えているって本当?

医療・介護・福祉の現場では、近年賞与の大幅な引き下げが続いています。

日本医療労働組合連合会の集計によると、2024年の年末一時金は昨年の52万7047円から42万8164円へと約9万9000円減りました。東京では約26万円もの大幅なマイナス回答が出たケースもあります。

全産業平均が82万円台で推移する中、医療・介護従事者の賞与はその半分ほどにとどまる見込みです。

背景には、診療報酬・介護報酬の低水準や物価高騰による経営悪化があります。賞与の減少は離職増加にもつながり、手術件数や救急受け入れに影響する可能性も指摘されています。

人手不足が深刻化するなか、賞与カットは医療の現場全体に大きな負担を与える問題となっているのです。

賞与カットされたら転職したほうがいい?

賞与カットが続く場合でも、すぐに転職すべきとは限りません。カットの理由が業績悪化による一時的なものであれば、会社の説明や今後の改善方針を確認したうえで判断するほうが現実的です。

一方で、就業規則に反した扱いや報復的な減額など、明らかな違法性がある場合は、早めに環境を変える選択が妥当です。

賞与だけでなく、評価制度や働き方に問題が広がっている場合は、キャリア形成にも悪影響が出やすくなります。状況の背景を見極めながら、転職の必要性を判断しましょう。

会社都合で一方的に賞与カットするのは違法?

会社の都合だけを理由に、明確な基準や説明を示さないまま賞与を一方的にカットする行為は、違法となる可能性があります。

賞与は会社の裁量が大きい制度ですが、就業規則や賞与規程に定められた基準を無視した扱いは認められません。

また、支給実績が長年続いている場合は、その運用自体が労働条件として扱われることがあります。合理的な理由がない減額や、特定の労働者だけを対象とした不公平な扱いは、不当なカットとして問題になります。

育休・産休を理由に賞与カットされるのは違法?

育休や産休を取得したことを理由に賞与を減額する行為は、原則として違法です。育児休業法や男女雇用機会均等法では、育休・産休を理由とした不利益取り扱いを明確に禁じています。

休業が業務評価に直接影響するものではないため、休んだ期間を理由に賞与をカットする対応は、差別的扱いとして問題になります。

合理的な基準に基づかない減額は、不当な扱いとして違法性が高くなります。

賞与カットの告知義務はありますか?

賞与を減額する際に、会社には明確な「告知義務」があります。賞与は会社の裁量が大きい制度ですが、減額の理由や算定方法を労働者に説明せず、突然カットすることは認められません。

就業規則や賞与規程に基づいて運用されている以上、その基準に沿った説明が必要です。これらのルールを無視した一方的な減額は、運用の透明性を欠き、不当な扱いと判断される可能性があります。

賞与カットが認められるケースであっても、事前の通知や説明が不足している場合は、制度運用そのものが問題視されやすくなります。

まとめ

賞与(ボーナス)のカットは会社の裁量で行われる面がありますが、どのような理由でも減額が許されるわけではありません。

就業規則に反した扱いや特定の労働者だけを狙った不公平な減額、退職の申し出への報復といった行為には違法性があり、適切な手続きや合理的な根拠を欠くカットは問題となります。

一方で、業績悪化による全従業員への一律カットや、評価制度に基づく減額など、合法と判断されるケースも存在します。

状況によっては、職場環境を見直し、より良い働き方を選ぶことも大切です。退職に関する悩みや不安がある人は、退職代行ほっとラインへご相談ください。

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