「転職しない方がよかった」「転職に失敗してしまった」と後悔する人は少なくありません。短期間の内に転職を繰り返してしまうと、企業へ与える印象が悪くなってしまいます。
転職で後悔しないためにも、失敗から学ばなければなりません。本記事では、転職で後悔した理由や後悔しないためにすべきことを紹介します。
・転職で後悔しないためには、転職軸を固めたり、失敗パターンを把握することが大切
・転職で後悔しやすい人の特徴は、「自己分析・企業研究が不十分」「転職理由が曖昧」
転職で後悔した理由ランキング
転職で後悔した理由として多いのは、以下の通りです。
- 第1位:転職したのに給料が思ったより低い(34.7%)
- 第2位:転職先の組織風土が合わなかった(22.8%)
- 第3位:転職時に思い描いていた役職・業務内容ではなかった(19.9%)
- 第4位:人間関係に不満があった(19.1%)
- 第5位:上司からの指示が曖昧だった(18.8%)
- 【その他】転職で後悔したよくある理由
株式会社識学が2022年6月に行った「識学転職の調査」の結果内容をもとに、ランキングを見ていきましょう。
第1位:転職したのに給料が思ったより低い(34.7%)
転職して後悔した理由として最も多いのが、「転職したのに給料が思ったより低かった」ことです。株式会社マイナビが発表した「転職動向調査2024年版」によれば、「給料が低い」ことを理由に転職する人が多くいます。
つまり、現職の給料が低いから転職したにもかかわらず、転職先でさらに給料が低くなってしまい後悔しているのです。給料が思ったよりも低くなってしまう理由としては、以下が考えられます。
- 希望する年収を低く言ってしまった
- 提示された給料と手取りの給料を間違って認識していた
- 前職よりも企業規模の小さい企業に転職した
- 都会から地方の企業に転職した
- 未経験分野に転職した
一般的には転職すると給料が高くなります。厚生労働省が発表した「令和5年雇用動向調査結果の概況」を見てみましょう。
転職により給料が増加した割合は37.2%、減少した割合は32.4%、変わらない割合は28.8%となっています。令和3年雇用動向調査結果では、給料が減少した割合の方が高くなっていることから、近年では転職すると給料が高くなる傾向があります。
そのため、転職して給料を上げるつもりが思ったより低くなってしまうと「後悔した」と感じてしまうでしょう。
第2位:転職先の組織風土が合わなかった(22.8%)
前職と転職先の風土(社風)に差があると、そのギャップに後悔することがあります。例えば、以下のような理由が考えられます。
- ベンチャー企業から大手企業に転職し、古い体質が自分に合わなかった
- 前職はアットホームな環境だったが、給料の高い企業に転職すると軍隊のようにきっちりしていた
- 外資系企業に転職し、成果主義の風土が合わなかった
- 思った以上に他の部署との連携が上手くいかなかった
- 時代遅れの慣習や風潮が自分に合わなかった
転職者は給料や仕事内容を重視する傾向がありますが、社風や風土をあまり確認せずに転職する人は少なくありません。組織に馴染むまでに時間がかかってしまい、後悔する人もいます。
転職時は給料に目が行きがちですが、社内見学をしたり、転職先の社員から話を聞いたりして、職場の雰囲気を味わっておくことも大切です。企業によって組織風土はさまざまですので、入社後のミスマッチが起きないように気をつけましょう。
第3位:転職時に思い描いていた役職・業務内容ではなかった(19.9%)
「転職前に聞いていた業務内容と違う」といったギャップは、比較的よくあります。役職や業務内容がイメージと異なることで、やりがいを感じなくなるケースも少なくありません。
とくにキャリアアップを考えていた人によって、自分が思っていた役職に就けない場合は不満を感じることもあるでしょう。
入社前と聞いていた内容が大きく異なる場合や、労働通知書に記載されている内容と異なる場合は、違法にあたる可能性があります。労働基準法第15条では、「労働契約に明記した内容と異なる場合はすぐに契約を解除できる」と定められています。
思い描いていた役職・業務内容ではなかった、と後悔しないためにも転職前に企業研究を念入りすることが大切です。
第4位:人間関係に不満があった(19.1%)
入社してから人間関係に不満を感じるケースはよくあることです。一緒に働く人がどのような人かは、配属されてからでないとほとんどわかりません。人間関係に不満がある理由としては、以下のようなことが考えられます。
- 前職と社員のタイプが異なる(前職は熱血タイプ、転職後は物静かなタイプなど)
- 社内で派閥がありグループが別れていた
- 入社前に意気投合していた上司が異動になり、口うるさい上司になった
- 全体的に社員の雰囲気が暗い
- 一緒に働く社員と趣味や価値観が全く合わなかった
職場の人間関係に不満を感じる人は、比較的女性に多いです。マイナビが発表した「転職動向調査2024年版」によれば、転職理由で「職場の人間関係が悪い」と答えた人の内、6.8%が男性で13.7%が女性でした。
入社してすぐに良好な人間関係を築くのは、難しいです。そのため、自分の味方になってくれる人や価値観の合う人を少しずつ増やしていくように心がけましょう。とくに入社して数ヶ月は、「わからないことがあれば聞いて」といったスタンスの社員が多いため、積極的にコミュニケーションを取りましょう。
第5位:上司からの指示が曖昧だった(18.8%)
転職後は新しい上司に就きますが、新しい上司に不満を感じる人も少なくありません。その理由として多いのが、上司からの指示が曖昧であることです。例えば、指示が単語ばかりで説明がわからない、これ・それ・あれが多いなどです。
指示が曖昧であるため、詳しい説明を求めると不機嫌になる上司もいます。これまで上司に恵まれていた人が転職して、相性の悪い上司に当たってしまうと、「転職して後悔した」と思ってしまうでしょう。
転職先の上司を変えることは難しいため、自分からアクションを起こし変えることが大切です。例えば、上司から「資料まとめといて」と曖昧な指示があったとします。この場合は「〇〇に使う資料を〇〇ごとにまとめればよいでしょうか」というように、自分から具体的に提案することが大切です。
何も聞かずに資料をまとめてしまうと、「このまとめ方だとわかりにくい」といった上司から注意されることがあります。上司と良好な関係を保つためにも、自分から歩み寄ることを心がけましょう。
【その他】転職で後悔したよくある理由
転職で後悔した理由を5つ紹介しましたが、上記以外の理由を簡単にまとめましたので、参考にしてください。
- サボっている社員がいたから
- 自分の成長につながる環境や制度が不十分だったから
- 残業時間が長かったから
- 目標となる上司や社員がいなかったから
- 自分の成果に対して正当な評価をしてもらえなかったから
- 自分に対する評価が低かったから
- 上司から言われた目標設定が曖昧だった
- 頑張っていることを上司にアピールして評価されている社員がいたから
- 自分が想像していたキャリアを歩めそうになかったから
転職で後悔しないためにすべき4つのこと
転職で後悔しないためにすべきことは、以下の4つです。
- 転職に失敗するパターンを知っておく
- 自己分析を徹底し転職軸を決める
- 転職先の情報を集めギャップを減らす
- 転職エージェントを利用してみる
それぞれについて見ていきましょう。
転職に失敗するパターンを知っておく
転職を後悔しないためには、失敗パターンを把握し対策することです。つまり、何が原因で転職することになったのか「転職する理由」を知っておきましょう。厚生労働省が発表した「令和5年雇用動向調査結果の概況」から、何が原因で転職することになったのか転職する理由をまとめました。
順位 | 転職理由【男性】 | 割合 |
---|---|---|
1位 | その他(定年・会社都合・出向など) | 36.7% |
2位 | その他個人的な理由 | 17.3% |
3位 | 職場の人間関係が悪い | 9.1% |
4位 | 給料が少ない | 8.2% |
5位 | 労働条件(労働時間・休日など)が悪い | 8.1% |
順位 | 転職理由【女性】 | 割合 |
---|---|---|
1位 | その他個人的な理由 | 25.1% |
2位 | その他(定年・会社都合・出向など) | 22.0% |
3位 | 職場の人間関係が悪い | 13.0% |
4位 | 労働条件(労働時間・休日など)が悪い | 11.1% |
5位 | 給料が少ない | 8.1% |
その他の理由を除けば、転職する理由として一番多いの男女ともに「職場の人間関係が悪い」ことです。男性と女性では、4位と5位の順番が違いますが、転職理由は同じでした。
そのため、転職に失敗するパターンとしては「職場の人間関係」「給料」「労働条件」の3つを対策することが大切です。例えば、良好な人間関係をつくりあげるにはコミュニケーション能力が重要です。
自分から積極的に話しかけるだけでなく、相手の意見を聴く「傾聴力」が求められます。相手のマイナスな部分ばかり見るのではなく、良いところを探すなどの対策が必要です。
自己分析を徹底し転職軸を決める
転職軸をしっかりと決めておくことが大切です。転職軸とは、「給料〇〇万円以上」「残業時間〇〇時間以内」など、転職時に重要視する項目を指します。何を軸にするかは人それぞれです。例えば、給料・労働条件・待遇・勤務地・通勤時間などがあります。
「これだけは譲れない」という軸を決めることで、自分の一番大切にしている部分で後悔することがなくなります。転職軸を決めるためには、自己分析が大切です。
自分の価値観や性格などを客観的に分析し、自分が重要視していることは何かを見つけましょう。
転職先の情報を集めギャップを減らす
転職で後悔するありがちなミスは、情報の収集不足です。情報をしっかり集めきれておらず、入社後にギャップが生じてしまうのです。例えば、「転職後の給料が思ったよりも低い」という後悔をした人は少なくありません。
給料の情報は、ほとんどの場合で転職先のホームページに記載されいます。また、転職先の企業と給料を交渉する場合であっても、提示された給料が手取りなのか、ボーナスはどのくらい貰えるのかなどを確かめておけば、「給料が思ったよりも低い」といったことにならないでしょう。
ただし、職場の人間関係や上司との相性などは、実際に働いてみないと分からない部分もあります。この場合は情報収集だけでは対策しきれません。そのため、コミュニケーション能力を高めるなど、別の対策と合わせて行いましょう。
転職エージェントを利用してみる
転職で後悔しないために、転職エージェントを利用することも1つの手です。転職エージェントを利用すれば、転職先の情報を集めやすくなりますし、自分の理想とする企業へ転職しやすくなります。第三者からアドバイスをもらうことで、自分では気がつかないことを発見できます。
転職を繰り返し何度も後悔している人や、思ったように転職が進めない人は転職エージェントを利用してみましょう。
転職で後悔しやすい人の特徴は?
転職で後悔しやすい人は、以下のような特徴があります。
- 自己分析・企業研究が不十分
- 転職理由(キャリアアップ)が曖昧
- 転職すれば悩みが解決すると思っている
それぞれについて見ていきましょう。
自己分析・企業研究が不十分
自己分析や企業研究が不十分な人は、入社後にギャップが生じやすく後悔してしまう場合があります。「転勤がないと思っていたのに異動になった」「福利厚生が整っていない」などは、企業研究すればわかる内容です。
また「自分の性格から接客業は不向き」といったことも、自己分析すればわかります。転職する前に事前準備をしっかりしていれば、転職で後悔することも少なくなります。
自己分析や企業研究は、新卒だけでなく中途採用(転職時)にも必要なことです。自分には関係ないと思わずに、徹底して行いましょう。
転職理由(キャリアアップ)が曖昧
なんとなく今の会社が嫌だから転職する、という人も中にはいます。明確な理由がないまま転職しても、転職先の決め手に欠けてしまうため、後悔することになるのです。また、明確な理由がないまま転職すると、「前職の方が条件が良かった」と後悔することもあります。
転職すれば悩みが解決すると思っている
転職すれば悩みが解決すると思って転職したものの、転職先でも同じような状況になってしまい後悔するケースがあります。これは、職場だけでなく自分にも問題がある可能性が高いです。
自分に問題がある場合は、職場をいくら変えたところで問題が解決しません。そのため、どの職場においても似たような問題が発生してしまいます。
もちろん、転職することで解決する悩みもあります。自分の抱えている悩みの原因が何かを追究してから、転職を検討しましょう。
転職で後悔する人に関するよくある質問
転職で後悔する人に関するよくある質問は、以下の通りです。
- 転職を後悔している人の割合は?
- 転職で後悔して立ち直れないときはどうする?
- 転職先を後悔したときに乗り越えるには?
- 転職先の決め手になった理由は?
- 転職で後悔してすぐに再転職してもいいの?
- 転職時に円満退社するには?
それぞれについて見ていきましょう。
転職を後悔している人の割合は?
厚生労働省が発表した「令和2年転職者実態調査の概況」によると、転職後に後悔(不満)がある人は以下の通りです。
満足 | 後悔(不満) | どちらでもない | |
---|---|---|---|
総合結果 | 53.4% | 11.4% | 34.5% |
男性 | 56.4% | 9.9% | 32.8% |
女性 | 49.3% | 13.4% | 36.9% |
1,000人以上の規模 | 66.9% | 6.8% | 26.8% |
300~999人 | 60.7% | 8.3% | 30.2% |
100~299人 | 56.7% | 10.1% | 33.1% |
30人~99人 | 52.6% | 10.6% | 36.2% |
5~29人 | 49.9% | 13.3% | 35.8% |
総合結果を見ると、転職後に後悔している人は11.4%です。また男性よりも女性の方が、後悔している割合が多いことがわかります。さらに、事業所規模で比較すると、事務所規模が小さくなるほど後悔している人が増えるようです。
大企業や有名企業は、給料が高く福利厚生もしっかりと整っている企業が多くあります。そのため、転職しても比較的満足している人が多くなっています。
また、同調査で後悔している項目が多いのは、以下の通りです。併せて参考にしてください。
- 給料(27.1%)
- 労働時間・休日(16.3%)
- 人間関係(14.2%)
- 会社の将来性(13.2%)
- 安全や衛生面などの職場環境(11.3%)
- 通勤関係(11.1%)
- 福利厚生(10.7%)
- 仕事内容(8.7%)
- 役職(5.1%)
- 会社の規模・知名度(5.0%)
転職で後悔して立ち直れないときはどうする?
転職で後悔して立ち直れないときは、気分を切り替えてリフレッシュすることをおすすめします。趣味や自分の好きなことをして、気持ちを整理することが大切です。友達や同僚、転職エージェントに相談することも1つの手です。
自分一人で抱え込んでいるより、誰かに相談するほうが楽になる場合もありますし、効果的なアドバイスをもらえることもあります。ある程度、気持ちに余裕ができれば転職に失敗した原因を分析し、対策を考えましょう。
転職先を後悔したときに乗り越えるには?
転職先を後悔したときに乗り越えるには、前職と比較しないことです。「前職と比べて〇〇が悪くなった」「前職のように〇〇であれば」というように比較してしまうと、後悔が募るばかりです。
前職と比べるのではなく、現職でどのようにすればよいかを考えてください。例えば、前職に比べて給料が下がったとします。その場合は、資格を取って資格手当をもらったり、積極的に実績をつくり給料を交渉したりなどを考えましょう。
この会社で自分が成長できることを考え、前向きに行動することが後悔を乗り越えるポイントです。
転職先の決め手になった理由は?
先ほど紹介した「転職を後悔している人の割合は?」や「転職に失敗するパターンを知っておく」で紹介していますので、参考にしてください。
主な理由としては「給料が低い」「職場環境の人間関係が悪い」「労働条件が悪い」などがあります。
転職で後悔してすぐに再転職してもいいの?
転職後、すぐに再転職することは可能です。しかし、短期間で転職を繰り返すと企業へ与える印象が悪くなってしまいます。そのため、次の転職が難しくなる可能性が高くなります。
可能であれば、すぐに転職するのではなく半年~1年ほど働いてから転職するのがおすすめです。
転職時に円満退社するには?
転職時に円満退社するには、各企業で定めている「就業規則」に則った方法で退職を進めることです。例えば、法律上では2週間前に退職意思を伝えれば辞められます。
しかし、就業規則では1ヶ月~2ヶ月前に退職意思を伝えるように定められているケースがほとんどです。
この場合は、就業規則に従い1ヶ月~2ヶ月前に退職意思を伝えましょう。円満退職する方法については、こちら「円満な退職の伝え方を解説!上司や同僚に伝えるポイントや例文を紹介 – 退職代行ほっとライン」の記事で詳しく紹介していますので、参考にしてください。
まとめ
転職で後悔する理由として多いのが「給料の低さ」や「人間関係のトラブル」です。ただし、厚生労働省の調べによれば、転職後に満足している割合が53.4%と成功している人の方が多くなっています。
転職で後悔しないためには、自己分析や企業研究を徹底し、転職軸を決めておきましょう。
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