公務員でも退職代行は利用できる?利用すべき人や注意点を解説

「退職代行サービスを利用したいけど、公務員は利用できないのでは?」と悩む公務員の方はいるのではないでしょうか。公務員は民間企業と違い、退職の際に任命権者(事業所長等)からの承認が必要です。そのため、民間の退職代行サービスでは、対応しきれないケースがあります。

しかし、弁護士運営型の退職代行サービスであれば利用可能です。本記事では、公務委は退職代行サービスを利用できるのか、利用するときの手順やリスクについて解説します。

本記事の結論

・公務員でも退職代行サービスを利用できる
・退職代行サービスの種類によって対応できる範囲が異なる
・バックレようとしている、退職させてもらえない、精神的疲労により退職手続きできない、などの人は退職代行サービスを利用すべき
・退職代行サービスを利用する手順は、①電話やLINEで相談、②サービス内容を確認してお金を振り込む、③担当者が地職手続きを代行、④返却物を返して退職

目次

公務員でも退職代行サービスは利用できる

公務員でも退職代行サービスは利用できます。利用できる退職代行サービスや、種類について見ていきましょう。

  • 公務員が利用できる退職代行は弁護士運営
  • 退職代行サービスには労働組合・民間企業運営もある

公務員が利用できる退職代行は弁護士運営

公務員が退職代行サービスを利用することは可能です。公務員は退職代行サービスを利用してはいけない、といった法律はありません。ただし、公務員が利用できるのは「弁護士運営」の退職代行サービスです。後ほど解説しますが、退職代行サービスには、労働組合運営・民間企業運営もあります。

弁護士は民間企業と雇用の法律が異なりますので、弁護士運営以外では十分に対応できない可能性が高いです。そのため、公務員が退職代行サービスを利用する場合は、弁護士運営をおすすめします。

退職代行サービスには労働組合・民間企業運営もある

上記でも述べましたが、退職代行サービスには弁護士運営以外にも労働組合運営・民間企業運営があります。それぞれが対応できる範囲は、以下の表を参考にしてください。

退職代行サービスの内容 弁護士運営 労働組合運営 民間企業運営
退職意思を伝える
退職届を提出する
直接本人に連絡を入れないようにする 伝えるのみ(交渉不可)
希望の退職日に調整する 伝えるのみ(交渉不可)
離職票を提出してもらう 伝えるのみ(交渉不可)
退職前に有給休暇を消化する 伝えるのみ(交渉不可)
退職金を請求する 伝えるのみ(交渉不可)
未払いの残業代・給料を請求する 伝えるのみ(交渉不可)
ハラスメントに対する慰謝料を請求する 伝えるのみ(交渉不可)
強く交渉する
損害賠償の請求に関して対応する

労働組合運営は、弁護士運営に近いサービスを受けられる退職代行サービスです。労働組合は団体交渉権がありますので、有給消化や退職金などの交渉が可能です。ただし、損害賠償の請求など裁判に関する対応はできません。

民間企業運営は、料金が安い分できる範囲が限られています。交渉権がありませんので、退職日や有給休暇などの意思表示しかできません。民間企業運営は、退職日や有給休暇などを交渉すると、「非弁行為(弁護士法72条)」に当てはまる可能性が高いです。

公務員が民間の退職代行サービスを利用しないほうがいい理由

公務員が退職代行サービスを利用するときは、弁護士運営がおすすめです。民間企業運営を利用しないほうがいい理由が4つあります。

  • 公務員と民間企業では退職時の規定が異なるから
  • 公務員は退職時期を調整しづらいから
  • 公務員は「職員団体」に所属しているから
  • 自衛隊員は希望日に退職できない場合があるから

それぞれについて見ていきましょう。

公務員と民間企業では退職時の規定が異なるから

公務員は、退職時の規定が民間企業と異なります。民間企業を退職するときの規定は、民法627条で定められています。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用元:民法 | e-Gov 法令検索

上記のように、民間企業であれば退職日から2週間前に退職意思を伝えれば、退職することが可能です。これに対して公務員の場合、民法627条だけでなく国家公務員法・地方公務員法といった法律で以下のように規定されています。

職員の休職、復職、退職及び免職は任命権者が、この法律及び人事院規則に従い、これを行う。
引用元:国家公務員法 | e-Gov 法令検索

一方の公務員の場合は、退職するために任命権者(事業所長等)の許可が必要です。許可を得られないまま出勤しなくなると、無断欠勤扱いになってしまいます。民間企業よりも退職のハードルが高くなっており、民間企業運営の退職代行サービスでは対応しきれないケースがあります。

しかし、弁護士運営であれば第三者の法律事務を代行することが可能です。対応しきれないケースがほとんどなく、国や自治体も弁護士を通して退職手続きを済ませれば、基本的に拒否できません。

公務員は退職時期を調整しづらいから

上記で説明した通り、公務員の場合は任命権者(事業所長等)の許可がなければ退職できません。自治体や所属事務所などと調整しながら退職手続きを進めるので、退職時期がケースバイケースです。

「即日退職可能」「2週間で退職できる」と謳っている民間企業運営の退職代行サービスでも、公務員の退職の場合は宣言通りにならない、もしくは対応できない可能性があります。退職日を調整したい方は、弁護士運営の退職代行サービスを利用しましょう。

公務員は「職員団体」に所属しているから

公務員は「労働組合」ではなく「職員団体」に所属しています。労働組合は、労働者を中心に賃金や労働条件の改善を会社と交渉する組織です。公務員が労働組合を結成することは法律で禁じられています。

一方の職員団体は、職員の勤務条件の改善を図ることを目的とした組織です。それぞれの目的が異なるため、労働組合運営の退職代行サービスが団体交渉権で交渉することができない可能性が高いです。つまり、民間企業運営・労働組合運営では、退職日や有給休暇などの交渉ができません。

団体権 団体交渉権 団体行動権
自衛隊・警察官・消防士・海上保安庁など 行使不可 行使不可 行使不可
国家公務員(一般職)・地方公務員(一般職) 行使可 行使不可 行使不可
民間企業の従業員 行使可 行使可 行使不可

自衛隊員は希望日に退職できない場合があるから

自衛隊員は、希望日に退職できない可能性があります。

第三十一条第一項の規定により隊員の退職について権限を有する者は、隊員が退職することを申し出た場合において、これを承認することが自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときは、その退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いては、任用期間を定めて任用されている陸士長等、海士長等又は空士長等にあつてはその任用期間内において必要な期間、その他の隊員にあつては自衛隊の任務を遂行するため最少限度必要とされる期間その退職を承認しないことができる。
引用元:自衛隊法 | e-Gov 法令検索

自衛隊法第40条で定めた通り、「職場が任務の遂行に著しく支障をきたす場合は、退職期間を遅らせることが可能」です。自分が担当している任務によっては、すぐに退職できない可能性があることを認識しておきましょう。

退職代行サービスを利用すべき公務員は?

退職代行サービスの利用をおすすめする公務員は、以下の通りです。

  • 退職手続きが面倒でバックレようとしている公務員
  • 退職意思を伝えても無視される公務員
  • 精神的に退職手続きが難しい公務員
  • 退職手続きに時間を割けない公務員

基本的に自分で退職手続きをしたくない・できない方は、退職代行サービスの利用を検討してください。

退職手続きが面倒でバックレようとしている公務員

「退職手続きが面倒」「退職させてもらえない」などの理由で、バックレようと考えている方は、退職代行サービスを利用してください。民間企業は、退職届を出せばバックレても退職できます。しかし、公務員がバックレた場合は無断欠勤扱いになり、罰則の対象です。

人事院の「懲戒処分の指針について」では、正当な理由もなく無断欠勤した人には以下のような罰則を科すと定めています。

  • 正当な理由もなく10日以内の間、無断欠勤した職員は、減給又は戒告とする
  • 正当な理由なく11日以上20日以内の間、無断欠勤した職員は、停職又は減給とする
  • 正当な理由なく21日以上の間、無断欠勤した職員は、免職又は停職とする

懲戒解雇扱いになれば、再就職が不利になってしまいます。職場に顔を出したくない方は、弁護士運営の退職代行サービスに相談しましょう。

退職意思を伝えても無視される公務員

公務員が退職するときは、直属の上司に報告し、許可を得る必要があります。場合によっては、上司が話を聞いてくれない・退職の許可が下りないことも少なくありません。また、強く引き止められて退職を先延ばしにされる可能性もあります。

繰り返しになりますが、民間企業の場合は上司や会社の許可に関係なく退職することが可能です。しかし、公務員の場合は必ず任命権者(事業所長等)からの許可を得なければ辞められません。このように退職意思を示しても辞められない場合は、退職代行サービスを利用しましょう。

精神的に退職手続きが難しい公務員

精神的・体力的に退職意思を伝えるのが困難な方は、退職代行サービスを利用しましょう。退職手続きは心身に負荷がかかる作業です。素直に退職を認めてくれる会社は少なく、多くの会社は引き止めや退職日の遅延などがあります。そのため、心身に疲労が溜まっている状態で、退職手続きを進めるのは難しいでしょう。

無理して会社に出向いて、さらに体調を悪化する場合もありますので、このような場合は、退職代行サービスを利用しましょう。

退職手続きに時間を割けない公務員

日々の業務が忙しいと退職手続きや転職活動に時間を割けません。十分な時間が確保できなければ、退職や転職が先延ばしになってしまいます。しかし、退職代行サービスを利用すれば、退職業務を代行してもらえるため、時間に余裕ができます。また、転職エージェントを利用すれば、さらに効率よく転職活動を進めることが可能です。

退職代行ほっとラインでは、退職率100%だけでなく、退職後は提携している転職エージェントも紹介できます。退職代行サービスも転職エージェントもまとめて探している方は、ぜひご相談ください。

公務員が退職代行サービスを利用するときの手順

初めて退職代行サービスを利用する人が多いと思いますので、大まかな手順を知っておきましょう。

  • 1.LINEや電話などで退職について相談する
  • 2.サービス内容を確認して費用を払う
  • 3.担当者が会社と退職手続きを済ませる
  • 4.返却物を郵送して退職完了

今回は実際に「退職代行ほっとライン」を例に利用手順を見ていきましょう。

1.LINEや電話などで退職について相談する

まずは、退職代行ほっとラインのホームページにアクセスします。

右上の四角に囲まれたところから、電話・LINE・メールで相談できます。相談できる媒体は退職代行サービスごとに異なりますので、注意しましょう。

退職代行ほっとラインでは、電話相談は平日10~19時、メール・LINE相談は24時間365日受け付けています。相談は職種に関係なく誰でも無制限に無料です。悩みやつらいこと、退職についてとことん相談してください。

2.サービス内容を確認して費用を払う

相談時には、費用やサポートできる範囲などサービス内容について気になることがあれば、質問しましょう。しっかりと納得した上で依頼することが大切です。サービス内容に問題がなければ、先に費用を支払います。退職代行サービスは、基本的にどこも先払いのシステムです。

退職代行ほっとラインでは、万が一、サービス内容に満足できなかった場合、全額返金保証があります。そのため、安心して依頼することが可能です。

3.担当者が会社と退職手続きを済ませる

入金を確認次第、即座に会社への退職連絡を代行します。会社とのやりとりは担当者が行いますので、会社から依頼者に直接連絡が来ることは基本的にありません。もし、連絡が来た場合でも、対応しなくて構いません。会社から連絡が来たことを担当者に伝えれば、担当者が代わりに対応します。

担当者から依頼者へ質問や確認する場合があります。退職手続きを代行したからといって、担当者からの連絡を放置していると、退職手続きが遅れてしまいますので、担当者からの連絡を返せるようにしておきましょう。

4.返却物を郵送して退職完了

基本的に退職代行サービスに手続きを丸投げすればよいですが、返却物は自分で返却する必要があります。ただし、直接会社へ返却する必要はありません。担当者から会社へ郵送で返却する旨を伝えますので、郵送での返却が可能です。その他、退職時にもらう書類なども、会社から郵送で送られてきますので、自分でとりに行く必要はありません。

公務員が民間の退職代行サービスを利用する場合のリスクも知っておこう

公務員が民間の退職代行サービスを利用する場合のリスクを紹介します。

  • 損害賠償を請求されるリスクがある
  • 会社から直接連絡が来るリスクがある
  • 依頼後に追加料金が発生するリスクがある
  • 一部の退職手続きしか対応できないリスクがある

それぞれについて見ていきましょう。

損害賠償を請求されるリスクがある

退職代行サービスの中には悪徳業者も存在します。悪徳業者に引っかかってしまうと、損害賠償を請求されるリスクがあります。例えば、「退職手続きが完了したので、明日から出勤しなくて大丈夫です」といった連絡があったにもかかわらず、実際は何も手続きをしていないといったこともありえます。

この場合、会社は退職することを聞かされておらず、従業員が急に無断欠勤した状態です。業務に支障をきたし、不利益が生じるようなことがあれば、損害賠償を請求される可能性があります。

退職代行サービスを利用するときは、会社の実績や信用性があるか確認してから依頼しましょう。

会社から直接連絡が来るリスクがある

退職代行サービスを利用すれば、基本的に会社と直接やり取りすることはありません。担当者に依頼すれば、会社から直接連絡がこないように調整してくれるからです。ただし、民間企業運営の退職代行サービスの場合、連絡しないように伝えるだけで強制力はありません。そのため、会社によっては直接連絡が来ることもあります。

もちろん連絡が来たとしても対応しなくて構いません。

しかし、依頼者によっては直接連絡を取ってしまいトラブルになるケースも少なくありません。無駄なトラブルを避けるためには、弁護士が対応する退職代行サービスを利用しましょう。

依頼後に追加料金が発生するリスクがある

退職代行サービスを利用するときは、追加料金が発生しなか確認することが重要です。基本的には追加料金が発生することは少ないですが、業者によっては「今回は特別な対応だったため」などを理由に追加料金を請求されることもあります。最初の相談時に、トータルどのくらいかかるのか、追加料金は発生しないか、などを確かめた上で依頼しましょう。

一部の退職手続きしか対応できないリスクがある

民間企業運営の退職代行サービスは、対応できる範囲が限られています。退職意思の伝達や事務的な退職手続きは可能ですが、有給休暇や未払いの残業代の請求などには対応できません。会社と交渉する権利がないからです。民間企業運営の退職代行サービスが会社と交渉すると、「非弁行為(弁護士法72条)」に当てはまる可能性があります。

弁護士運営の退職代行サービスであれば、すべてに対応しています。なお、その他にもトラブルが起きるケースがありますので、事前にリスクを知っておくことが大切です。退職代行サービスでよくあるトラブルは、「退職代行でよくあるトラブル事例15選!リスクを避けて確実に辞めるにはどうしたらいい? – 退職代行ほっとライン」こちらを参考にしてください。

公務員が退職代行サービスを利用するときのよくある質問

公務員が退職代行サービスを利用するときのよくある質問は、以下の通りです。

  • 公務員が退職代行サービスを利用すれば即日退職は可能ですか?
  • 公務員が退職代行サービスを利用するときの費用は?
  • 公務員が退職代行サービスを利用した場合、辞令交付式に出席する必要があるの?

公務員が退職代行サービスを利用すれば即日退職は可能ですか?

条件さえそろっていれば、即日退職可能です。まず、即日退職するためには有給休暇が残っている必要があります。退職日まで休めるだけの有給休暇がないと、出勤しなければなりません。

即日退職のやり方については、こちら「即日で退職することは可能?即日退職の条件・やり方・注意点をわかりやすく解説! – 退職代行ほっとライン」を参考にしてください。

公務員が退職代行サービスを利用するときの費用は?

退職代行サービスの費用の相場は以下の通りです。

  • 民間企業運営:2~3万円
  • 労働組合運営:2~3万円
  • 弁護士運営:5~10万円

民間企業運営・労働組合運営の費用が少し安く、弁護士運営が少し高くなっています。業者によって費用はさまざまですので、比較しながら利用する退職代行サービスを探しましょう。

公務員が退職代行サービスを利用した場合、辞令交付式に出席する必要があるの?

公務員が退職代行サービスを利用した場合、辞令交付式に出席する必要はありません。出席したい場合は、出席しても構いません。出席しない場合でも辞令交付書は必要です。

そのため、後日会社に取りに行くか、出向きたくない人は郵送してもらいましょう。出席しない場合は、事前に担当者に相談しておくとスムーズに退職できます。

まとめ

公務員が退職代行サービスを利用することは可能です。しかし、民間企業と退職に関する法律が異なることや、職員団体に加入していることから、民間企業運営の退職代行サービスでは対応しきれないケースがあります。そのため、弁護士運営や弁護士と連携している退職代行サービスを利用しましょう。

退職代行ほっとラインは、全国の弁護士と提携している退職代行サービスです。満足いかなかった場合は全額返金保証があるので、安心して依頼できます。退職だけでなく転職エージェントも紹介してくれますので、退職と転職の両方をサポートしてくれます。退職を検討されている方は、ぜひご相談ください。

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