リモートワークでコミュニケーションが不足する原因と解決法を解説

リモートワークでコミュニケーションが不足する原因と解決法を解説

リモートワークは一人で作業する時間が長いため、他の従業員とコミュニケーション不足に陥りやすいです。コミュニケーション不足や情報伝達が遅くなることから、働きにくさを感じる人もいるのではないでしょうか。コミュニケーション不足すると、仕事へのモチベーションが低下したり、部下の成長が把握しにくかったりするので、問題解決を目指しましょう。

本記事では、リモートワークでコミュニケーションが不足する原因と解決法について解説します。リモートワークに関する不満を抱えている人は、ぜひ参考にしてください。

本記事の結論

・リモートワークでコミュニケーションが不足する原因は、コミュニケーションを取るタイミングが合わない、情報量が制限される、業務以外のコミュニケーションが減るなど
・リモートワークでコミュニケーション不足になるときの解決法は、コミュニケーションツールを導入する、1on1ミーティングを実施する、業務連絡以外のコミュニケーションを増やすなど
・リモートワークでコミュニケーションが不足するデメリットは、モチベーションが低下する、孤立しやすくなる、部下の成長が把握しにくいなど

 リモートワークでコミュニケーションが不足する原因は?

リモートワークでコミュニケーションが不足する原因はさまざまです。ここでは、6つの原因について解説しますので、見ていきましょう。

  • コミュニケーションを取るタイミングが合わない
  • コミュニケーションツールの使い方に慣れていない
  • リモートワークだと伝える情報量が制限させる
  • 業務以外のコミュニケーションが減る
  • テキストでのコミュニケーションが増える
  • 気軽に話しかけにくくなる

コミュニケーションを取るタイミングが合わない

リモートワークは、職場外の場所で作業するため、職場の様子を把握できません。聞きたいことや連絡がある場合でも、相手が何の作業をしているかわからないため、コミュニケーションを取るタイミングが合わないことがあります。職場で働いていれば、相手の様子がわかるので、手の空いたタイミングや近くを通ったときに声をかけられます。

また、リモートワークはメールやチャットで連絡するため、タイムラグが発生するケースが多いです。例えば、上司がパソコンで作業しているとき、職場であれば声をかけることですぐに質問できます。いくら作業に没頭していても、声をかければ100%気づいてもらえます。

しかし、リモートワークのコミュニケーションツールはメールやチャットなので、作業に没頭していると気づかない可能性が高いです。タイムラグが発生するれば、作業効率が悪くなってしまうので、いつもより時間がかかってしまったり、聞きたいことが最後まで聞けなかったりします。

コミュニケーションツールの使い方に慣れていない

リモートワークのコミュニケーションツールを使い慣れていない人も少なくありません。リモートワークのコミュニケーションツールには、メール・チャット・LINE・バーチャルオフィス・Web会議システムなどがあります。メールはほとんどの会社で導入されているので、使い方に慣れている人は多いです。しかし、バーチャルオフィスやWeb会議システムなどは、普段から活用しない人が多いため、使い方がわからない人もいます。

また、たとえメールであっても文章を打ち慣れていない人は、用件を伝えるまでに時間がかかってしまいます。人が1分間話すときの文字数は、約300文字です。慣れている人でも300文字入力するのに5~10分程度かかります。

慣れていない人からすれば、この作業はストレスになってしまい、連絡を控えたり、時間がかかったりします。

リモートワークだと伝える情報量が制限させる

リモートワークのコミュニケーションは、主にメールやチャットなどのテキストです。先ほど説明した通り、1分間話す場合300文字書かなければいけません。口頭で5分程度話す内容をそのまま文章にすれば、1,500文字になりますので、すべてを文章にして送るわけにはいきません。例えば、作業中の細かいアドバイスや豆知識などの情報は、制限されてしまいます。

そのため、会議やミーティングなどで得られる情報と比較すると、メールやチャットは伝えられる情報量が制限されるのがデメリットです。中には長い文章を書くのに疲れて、情報を制限する人もいるでしょう。

業務以外のコミュニケーションが減る

情報量が制限されると、仕事に関する最低限の連絡にとどまってしまいます。そのため、業務以外のコミュニケーションが減ってしまうのです。出社時であれば、例えば作業着に着替えるときや、たばこ休憩のとき、トイレで会ったときなど、ちょっとしたタイミングで業務以外のコミュニケーションを図れます。

しかし、リモートワークでは相手の状況を把握しきれないため、雑談のタイミングがわかりません。また、返答にもタイムラグがあるので、仕事の連絡と雑談が入り混じってしまう恐れがあります。メールやチャットだと、雑談を切り出しにくい人もいるでしょう。

テキストでのコミュニケーションが増える

サイボウズチームワーク総研の調査によると、在宅勤務時(リモートワーク)のコミュニケーション手段にメールを用いる人は、約80%と一番多いです。電話やWeb会議などと併用しながら利用することが多いですが、多くの企業でテキストを中心にコミュニケーションを取りあっています。テキスト中心のコミュニケーションの課題は、以下の通りです。

  • 文章作成に時間がかかってしまう
  • 情報が正確に伝わらず認識がずれてしまう
  • 対面で話すよりも伝わりにくい

これらの課題が原因で、コミュニケーション不足になってしまうことは多くあります。もちろん、テキストだと好きなタイミングでメッセージが送れる、時間の制限がないなどのメリットもあります。

参考元:サイボウズチームワーク総研

気軽に話しかけにくくなる

リモートワークだと気軽にやりとりできないことも、コミュニケーション不足の原因の一つです。繰り返しになりますが、リモートワークでは相手の状況がわかりません。目の前にいる相手に声をかけるのと、状況がわからない相手にメールを送るのは、心理的なハードルが異なります。

「すぐに返事が来るか」「他の作業に追われていないか」などを考えると、「これくらいの連絡ならわざわざ言わなくてもいいか」と思う人もいるでしょう。また、このようなちょっとした連絡や確認を怠ってしまい、ミスにつながるケースも少なくありません。

リモートワークでコミュニケーション不足になるときの解決法

リモートワークでコミュニケーション不足になることを、課題に挙げている企業は多いです。リモートワークでコミュニケーション不足になるときは、以下の解決法を試してください。

  • コミュニケーションツールを導入する
  • 上司と1on1ミーティングを取り入れる
  • 業務連絡以外のコミュニケーションを増やす
  • リモートワークでの昼食会や懇親会を増やす
  • 業務スケジュールを把握しやすくする

それぞれについて見ていきましょう。

コミュニケーションツールを導入する

解決法の一つ目は、コミュニケーションツールの導入です。メールやチャットなどのテキストだけの連絡でコミュニケーションが不足する場合は、他のツールを利用しましょう。例えば、以下のようなコミュニケーションツールがおすすめです。

【チャットツール】

チャットツールは基本的にチャットがメインですが、コミュニケーションが図りやすいのが特徴です。LINEやChatwork、Slackなどがあります。雑談部屋やグループを作れたり、電話やビデオ通話ができたりします。

【オンライン会議ツール】

オンライン会議ツールは、オンラインでできるビデオ通話システムです。対面でやりとりができるため、コミュニケーションが図れます。ミーティングや研修などで使われるのが一般的ですが、雑談やランチ会などでも活用できます。顔を見ながらコミュニケーションを取れるのが特徴です。

【メタバース】

メタバースは、仮想空間上でアバターを操作しコミュニケーションを図れるツールです。自分の会話に合わせてアバターが泣いたり、笑ったりするので自分の意図が伝わりやすくなります。

上司と1on1ミーティングを取り入れる

リモートワークと出社時を比べると、圧倒的にコミュニケーションが不足します。積極的に雑談を取り入れることが重要ですが、より相手を理解するために1on1ミーティングを取り入れましょう。ひとり一人の時間を設けることで、コミュニケーション不足を補えます。

社員数が少ない場合は、簡単なミーティングを週に1回取り入れても良いでしょう。多い場合は、月に1回はミーティングができるようにスケジュール調整してみてください。

業務連絡以外のコミュニケーションを増やす

1on1ミーティングだけでなく、業務連絡以外のコミュニケーションを増やすことも大切です。先ほど紹介したコミュニケーションツールを活用して、雑談の時間を増やしてみましょう。雑談部屋の作成、ゲーム大会の実施、勉強会の開催など、イベントを設けるのも一つの手です。

ただし、業務連絡以外のコミュニケーションを強制してはいけません。リモートワークを希望する人の中には、人とコミュニケーションを取るのが苦手な人もいます。参加を自由にするなど、柔軟に対応しましょう。

リモートワークでの昼食会や懇親会を増やす

業務連絡以外のコミュニケーションを増やす方法として、リモートワークでの昼食会や懇親会を積極的に増やすことがおすすめです。オンライン会議ツールは、研修やミーティングなどで利用されがちですが、雑談の場を設けることにも効果的です。出社時であれば、休憩時間に雑談する機会がありますが、リモートワークでは制限されるので、取り入れてみても良いでしょう。

業務スケジュールを把握しやすくする

コミュニケーションを取るタイミングが合わないことが原因で、コミュニケーション不足が生じます。業務スケジュールがわかるようにすれば、相手が何をしているのか把握できるため、タイミングを合わせやすくなります。業務内容を可視化するには、タスク管理ツールがおすすめです。

また、定期的に業務内容や進捗状況を報告する機会を設けることも大切です。進捗状況を把握し、状況に合わせてアドバイスやフィードバックすることで、コミュニケーションが増えます。また、互いに進捗状況を把握できれば、信頼関係の構築にもつながります。

リモートワークでコミュニケーションが不足するデメリット

リモートワークでコミュニケーションが不足すると、以下のようなデメリットがあります。

  • 社員のモチベーションが低下する
  • 社員が孤立し不安を感じやすくなる
  • 部下の成長が把握しにくい
  • 業務の進捗状況がわかりにくくなる

それぞれについて見ていきましょう。

社員のモチベーションが低下する

リモートワークでコミュニケーションが不足すると、他の従業員から受ける刺激が減ってしまうため、モチベーションの低下につながります。例えば、コミュニケーションが不足することで疎外感を感じる、成長が実感できない、楽しさを感じられないといったことから、モチベーションが低下します。

社員が孤立し不安を感じやすくなる

リモートワークでコミュニケーションが不足すると、他の社員との連帯感がなくなってしまい、不安を感じやすくことがデメリットです。リモートワークは社内で働いていないため、視覚的にひとりで働いている感覚が強くなります。リモートワークであっても会社に属していることは変わりませんが、所属意識が薄れてしまい不安を感じる原因になります。

部下の成長が把握しにくい

部下の成長が把握しにくいこともデメリットの一つです。社内で直接部下と接していると、仕事に対する向き合い方がよくわかります。例えば、やる気はあるときや仕事で悩んでいるときなどが、働いている姿から読み取れます。

しかし、リモートワークでは働いている姿がわからず、業務連絡のやりとりが多くなるため、悩み事や成長を把握することが困難です。そのため、定期的に1on1ミーティングを実施するなど、業務外のやりとりを増やすようにしましょう。

業務の進捗状況がわかりにくくなる

リモートワークでは、働いている姿が見えないため、いつどのような仕事をしているか把握しきれないことがあります。社内で働いていれば、働いている様子が見えるだけでなく、近くを通ったときに逐一確認することも可能です。そのため、定期的に進捗状況を聞いたり、ミーティング回数を増やしたりなど、対策を講じましょう。

リモートワークでのコミュニケーション不足に関するよくある質問

リモートワークでのコミュニケーション不足に関するよくある質問は、以下の通りです。

  • リモートワーク導入に対する課題は?
  • リモートワークが個人や社会に与えるメリット・デメリットは?
  • そもそもリモートワークを導入している企業は多い?

それぞれについて見ていきましょう。

リモートワーク導入に対する課題は?

総務省が発表した「令和5年度テレワークセキュリティに係る実態調査」によれば、リモートワーク(テレワーク)導入にあたり、一番課題となったのは「セキュリティの確保」です。その他の課題については、以下の表を参考にしてください。

セキュリティの確保 39.5%
テレワークに必要な端末等の整備 37.5%
テレワークをする社員の労働時間の管理 31.5%
テレワーク業務に関する就業規則の整備 29.8%
通信環境の整備(通信速度や回線の不足等) 27.6%
取引先や顧客への対応 24.2%
テレワークをする社員への指示・指導・評価 22.8%
個々の従業員による業務の進捗管理 21.6%
社内コミュニケーションの不足、情報共有の困難 18.0%

参考元:総務省「令和5年度テレワークセキュリティに係る実態調査」

リモートワーク導入にあたりさまざまな課題がありますが、コミュニケーション不足よりもセキュリティ面での課題が多いようです。また、端末や就業規則などの整備も課題となります。

リモートワークが個人や社会に与えるメリット・デメリットは?

国土交通省が発表した「令和5年度テレワーク人口実態調査-調査結果(概要)-」によれば、リモートワークが個人や社会に与えるメリット・デメリットは以下の通りです。

【メリット】

通勤の負担が軽減される 67.2%
通勤に費やしている時間を有効に使える 62.3%
鉄道混雑や交通渋滞が緩和される 59.9%
出勤が負担になる人(子育て、介護、病気など)も働きつづけられる 59.6%
災害や事故発生時に出勤しなくても業務を行える 55.9%
生活(家事、趣味、介護、育児など)や健康を重視するようになる 51.2%
今後の働き方や収入について考えるようになる 47.0%
自宅周辺での活動(買い物・外食等)が増える 32.8%
業務の効率・生産性が上がる 31.0%

リモートワークは自宅で働けるため、通勤せずに済むのが一番のメリットです。移動時間は労働時間に含まれないので、少しでもなくしたいものです。移動時間に関する悩みを抱える人も多くいますので、以下の関連記事も参考にしてください。

関連記事:移動時間(出張・通勤など)は労働時間に含まれるのか?具体的なケースを紹介!

【デメリット】

運動不足になる、外出が減る 53.6%
オン・オフの切り替えが難しくなる 49.3%
コミュニケーションがとりにく、業務効率が低下する 43.0%
勤務時間が長くなる、いつでも勤務してしまう 35.2%
消費活動がオンライン化し、地域での消費活動が減る 27.9%

参考元:国土交通省「令和5年度テレワーク人口実態調査-調査結果(概要)-」

コミュニケーション不足に関するデメリットは、3番目に多いです。デメリットの1位は、運動不足です。業務に関する悩みよりも、健康面に関する悩みのほうが上位にきています。

そもそもリモートワークを導入している企業は多い?

国土交通省が発表した「令和5年度テレワーク人口実態調査-調査結果(概要)-」によれば、雇用型テレワーカー(リモートワーカー)の割合は、24.8%です。内訳を見てみると、首都圏では38.1%、地方都市圏では16.3%となっています。

新型コロナウイルスをきっかけに、2020年ごろからリモートワークを導入する企業が急激に増えました。しかし、新型コロナウイルスが落ち着き始めると、リモートワークを導入する企業も落ち着き、2021年をピークに減少傾向です。

まとめ

リモートワークでコミュニケーションが不足する原因と解決法について解説しました。コミュニケーション不足を解決するには、コミュニケーションツールの導入や、1on1ミーティングの実施などが効果的です。コミュニケーションが不足すると、モチベーションの低下や、孤立感を強めてしまうため、リモートワークを導入する前に準備を整えておきましょう。

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