派遣社員を今すぐ辞めたい!契約期間中でも辞める方法と注意点を解説

契約期間の途中でも派遣社員は辞められるのか、気になる人は多いのではないでしょうか。結論からいえば、辞めることは可能です。しかし、派遣社員が契約期間中に辞める場合は「やむを得ない理由」がなければ辞められません。

本記事では、派遣社員や契約期間中に辞める方法や注意点について解説します。

本記事の結論
・派遣社員が契約期間中に辞めることは可能
・派遣社員が契約期間中に辞める場合は「やむを得ない理由」が必要
・辞めるときは派遣会社に連絡する、辞める1ヶ月前には伝えるなどに注意が必要
・仕事が思った以上に辛い、給料が低い、正社員になりたいなどが退職理由として多い

目次

派遣社員を今すぐ辞めたいけど契約期間中でも辞められる?

派遣社員を今すぐ辞めたい場合、契約期間中でも辞められます。以下の2つについて見ていきましょう。

  • 契約期間中でも「やむを得ない理由」があれば辞められる
  • できる限り契約期間満了で辞めるべき

契約期間中でも「やむを得ない理由」があれば辞められる

契約期間中であっても、やむを得ない理由があれば派遣社員を辞められます。民法第628条では以下のように記載されています。

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

引用元:民法 | e-Gov 法令検索

やむを得ない理由であっても、派遣社員の一方的な過失による場合は、派遣会社から損害賠償を請求される可能性があるので注意しましょう。

できる限り契約期間満了で辞めるべき

本来、派遣社員が契約期間中に辞めることは、原則認められていません。契約期間満了までは働かなければならないことが、法律で定められています。

労働基準法第137条では、契約期間が1年を超えた場合は、いつでも期間前に解約できると定めています。つまり派遣社員が正当に仕事を辞める場合は、1年以上働かなければいけません。

契約期間中に辞めることは、派遣会社や派遣先に迷惑がかかってしまうため、できる限り契約期間満了で辞めるように意識しましょう。

派遣会社が契約期間中に辞めるときの「やむを得ない理由」とは

派遣会社が契約期間中に辞めるときには「やむを得ない理由」が必要です。では、このやむを得ない理由とは、どのような理由なのか見ていきましょう。

  • 病気・体調不良
  • 家族の事情
  • 職場での問題

病気・体調不良

1つ目のやむを得ない理由は、病気や体調不良により働くことが困難になった場合です。例えば以下のような理由があてはまります。

  • 骨折や人体断裂など身体的なケガ
  • うつ病や精神疾患などの精神的な病気
  • 心臓発作やリウマチなど持病の悪化
  • その他健康状態の悪化

病気や体調不良の場合は、無理に働かせることができないため、比較的に辞められやすいです。もちろん、風邪や捻挫など軽度な体調不良では、辞められません。また、派遣会社によっては、診断書の提出を求められる場合があります。

家族の事情

2つ目のやむを得ない理由は、家族の事業により働けない状態になった場合です。例えば以下のような理由があてはまります。

  • 高齢の両親の介護または看病
  • 結婚や出産
  • 配偶者の転勤

両親の介護や配偶者の転勤など、自分の意志とは関係なく退職せざるを得ない状況になる場合があります。この場合は、比較的に退職しやすいです。自分が原因ではないため、派遣会社も認めやすくなります。

また、女性の場合は結婚や出産のタイミングで退職する人が多いです。

職場での問題

3つ目のやむを得ない理由は、職場で問題が発生した場合です。例えば以下のような理由があてはまります。

  • 上司からハラスメントを受けた
  • 労働条件と実際の仕事内容が異なる
  • 賃金未払いなどの契約不履行

派遣先に法令違反がある場合は、退職が認められやすいです。職場での問題は、派遣社員が被害者になるケースばかりです。被害を受けた証拠を集め、会社に訴えかけましょう。

派遣社員がすぐに辞めるときに注意すべき5つのこと

派遣社員がすぐに辞めるときに注意すべき5つは、以下の通りです。

  • 1.辞めるときは派遣会社に連絡する
  • 2.退職意思は1ヶ月以上前に伝える
  • 3.今すぐ辞めたいからといって無断欠勤はしない
  • 4.次の仕事を見つけてから辞める
  • 5.辞める以外の選択肢も考える

それぞれについて見ていきましょう。

1.辞めるときは派遣会社に連絡する

派遣社員が契約期間中に辞める場合は、派遣先ではなく「派遣会社」に連絡しましょう。派遣社員が契約しているのは、派遣会社です。派遣先に辞めることを伝えても、契約先が派遣会社なので、派遣先ではどうすることもできません。

派遣先とトラブルの原因にもなるので、派遣会社に連絡しましょう。なお、派遣会社に辞めたいことを連絡すると、派遣会社が改善策を提示してくれます。例えば、上司との人間関係にトラブルがある場合は部署を変えてくれたり、業務がハードの場合は仕事量を減らしたりなどです。

改善策によっては働きやすくなることもありますので、すぐに辞めたい場合でもまずは派遣会社に相談しましょう。

2.退職意思は1ヶ月以上前に伝える

契約期間中に辞めたい場合は、少なくとも1ヶ月前に退職意思を伝えましょう。「今すぐ辞めたい」と思うかもしれませんが、急な申し入れは「派遣会社」や「派遣先の会社」に迷惑がかかります。

あなたの代わりになる人材を探したり、引継ぎ作業をしたりするには、時間がかかりますので。スムーズに退職するためにも退職日の1ヶ月前までに伝えましょう。

派遣社員のような有期雇用契約は、何日前に退職意思を伝えなければいけないかが、法律で定められていません。しかし、正社員のような雇用期間に定めのない契約と同様に、「退職意思から2週間前」には、辞めたいことを伝えましょう。

3.今すぐ辞めたいからといって無断欠勤はしない

一番してはいけないことが無断欠勤です。今すぐ辞めたいからといって無断欠勤すれば、「派遣会社」や「派遣先の会社」に迷惑がかかります。また、無断欠勤で何日も会社を休めば、現在契約している派遣会社から他の仕事がもらえなくなります。

「仕事が辛くてどうしても今日は行きたくない」といった日もあるでしょう。その場合は、無断欠勤するのではなく、派遣会社や派遣先の会社に連絡をしてから休みましょう。

当日に会社を休む理由が見つからない場合は、「当日に会社を休む際の理由17選!例文付きで注意点も紹介 – 退職代行ほっとライン」の記事でおすすめの理由を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

4.次の仕事を見つけてから辞める

契約期間中に限らず仕事を辞める場合は、次の仕事の見つけてから辞めることをおすすめします。派遣会社によっては、契約期間中に辞める人には次の仕事与えない会社もあります。

次の仕事を見つけるまでに時間がかかってしまうと、無収入の期間が長くなり、生活が苦しくなることもあるでしょう。また、契約期間中に辞める場合は、自己都合になるので失業給付金の支給まで時間がかかります。そのため、次の仕事を見つけてから辞めるのがおすすめです。

5.辞める以外の選択肢も考える

派遣社員が契約期間中に辞める場合は、「派遣会社が次の仕事を紹介してくれない」などリスクを伴います。そのため、すぐに退職意思を示すのではなく、辞める以外の選択肢がないか考えましょう。

例えば、派遣会社に他の仕事に変えてもらうことも1つの手です。働く意思はあるが、現在の仕事内容とは相性が合わないことを伝えれば、自分の適性に合った仕事に変えてもらえる可能性があります。

派遣社員が今すぐ辞めたいと思う退職理由

派遣は正社員よりも自由度の高い仕事ですが、給料の低さや不安定な雇用形態に不満を抱く人もいます。派遣社員が仕事を辞めたいと思う理由はさまざまですが、退職理由として以下の5つが考えられます。

  • 仕事が思った以上に辛くて辞めたい
  • 給料が少なくて辞めたい
  • 不安定な雇用から正社員になりたくて辞めたい
  • 人間関係が上手くいかないから辞めたい
  • 体調不良になってしまい辞めたい

それぞれについて見ていきましょう。

仕事が思った以上に辛くて辞めたい

実際に働いてみると、仕事量が多く辛く感じる場合があります。派遣社員に単純作業や雑務を押し付ける職場もあり、体力的にも精神的にも辛くなることがあるでしょう。

また、現在の仕事内容が自分に合わず「つまらない」「やりがいを感じらない」といった状況に陥ることもあります。仕事を初めて間もない場合は、辛いと感じても仕事に慣れるまで続けることがおすすめです。

単純に仕事に慣れていないだけであれば、その悩みは時間が解決してくれます。経験値を積み、仕事のコツがつかめればスムーズに作業が進むようになります。仕事に慣れれば辛く感じることもありますので、まずは継続してみましょう。

ただし、明らかに自分と合っていない、スキルが足りない、仕事量が多すぎる、といった場合は、派遣会社に相談してください。

給料が少なくて辞めたい

派遣社員は正社員に比べ給料が低くなります。日本の正社員の平均年収は、約543万円です。一方の派遣社員の平均年収は、約315万円です。なお、派遣社員の平均年収は「平均時給(1,510 円)×1年に働く時間(2085.7時間)」で計算しています。

一般的に派遣社員はボーナスや昇給が限られています。また、ほとんどの会社で時給制が採用されており、急な欠勤により収入が下がってしまうことが懸念点です。

正社員との平均年収の差を感じ、給料が上がる見込みがないことから、仕事を辞めたいと思う人は少なくありません。

参考元:厚生労働省 | 令和4年派遣労働者実態調査の概況

参考元:令和5年賃金構造基本統計調査  | 政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp)

不安定な雇用から正社員になりたくて辞めたい

上記で説明した給料の低さに加え、派遣社員は雇用が不安定であることも退職理由の1つです。派遣社員は、契約期間が終了しても必ず継続して契約されるとは限りません。しかし、正社員であれば、雇用期間に定めがないため、定年まで同じ会社で働き続けることが可能です。

いつ契約解除されるかわからない不安定な雇用形態から、安定して収入を得られる正社員になるために、派遣社員を辞める人もいます。

人間関係が上手くいかないから辞めたい

派遣社員は、派遣先の会社に属しているわけではなく外部の人員として扱われます。正社員と同じ環境で働いていても、同じメンバーとして扱われなかったり、疎外感を感じたりすることがあるでしょう。会社によっては、「派遣さん」と名前を呼んでもらえないこともあります。

このように人間関係が上手くいかないことも、退職理由の1つです。

体調不良になってしまい辞めたい

「仕事が思った以上に辛い」「人間関係が上手くいかない」などの理由から、体調不良になる人もいます。ストレスを抱え込んでしまい、精神的に疲労が溜まる人も少なくありません。

2~3日休んでも体調が良くならない場合は、医療機関を利用しましょう。医師に相談し、休養が必要になった場合は、派遣会社に相談してください。

場合によっては、部署の変更や労働条件の見直しを検討してもらえます。仕事よりも自分の体調の方が大切ですので、体調不良が治らない場合は退職を検討しましょう。

派遣社員を今すぐ辞める方法・手順

派遣社員を今すぐ辞める方法・手順は、以下の3つです。

  • 1.派遣会社に今すぐ辞めたいことを伝える
  • 2.派遣先の企業に辞めることを伝える
  • 3.退職後の手続きを進める

それぞれについて見ていきましょう。

1.派遣会社に今すぐ辞めたいことを伝える

派遣社員を辞めたいと思ったら、派遣会社に相談しましょう。退職理由を聞かれますので、具体的に説明してください。退職理由を伝えるときは、絶対に嘘をついてはいけません。労働条件や人間関係のトラブルなどがあれば、派遣会社が派遣先に状況確認し、かけあってもらえる場合があります。

嘘の退職理由を伝えていればすぐにバレてしまい、派遣会社との関係性が悪化する恐れがあるので注意しましょう。

2.派遣先の企業に辞めることを伝える

派遣会社に辞めたいことを伝え承認されれば、派遣会社と派遣先で退職の手続きが進みます。手続きが完了すれば、派遣先に退職することを伝え、職場の人に挨拶しましょう。手続きが完了するまでは、同僚や職場の人に辞めることを伝えてはいけません。

派遣会社と派遣先で交渉している間は、退職が確定していないため、変更になる場合があります。先走って退職することが伝えると、トラブルや混乱を招く恐れがあるからです。

3.退職後の手続きを進める

退職後は、そのまま派遣社員として働く場合や、正社員を目指す場合などいくつかのパターンが考えられます。退職後のことについては、退職前からプランを立てておきましょう。派遣社員として継続する場合は、新たな派遣先を紹介してもらいましょう。

派遣会社を辞める場合は、雇用保険や社会保険、年金などの手続きがあります。転職活動を始めるなど、自分の立てたプランに沿って進めましょう。

派遣社員を今すぐ辞めたいに関するよくある質問

派遣社員を今すぐ辞めたいに関するよくある質問は、以下の通りです。

  • 派遣社員は契約期間中でも転職活動していいの?
  • 派遣社員が契約期間中に辞めるデメリットは?
  • 派遣社員が退職理由を伝えるときのマナーは?
  • 派遣社員が辞めるときに退職届はいるの?

それぞれについて見ていきましょう。

派遣社員は契約期間中でも転職活動していいの?

派遣社員を辞めて正社員を目指す場合、契約期間中であっても転職活動をして問題ありません。ただし、契約期間中に転職活動する場合は、注意が必要です。

  • 転職活動することを派遣会社に伝えておく
  • 転職活動することを派遣先の会社(上司)には伝えない

転職活動することを派遣会社に伝えておくことで、派遣社員を辞める手続きがスムーズになります。また、派遣先とのトラブルも回避しやすいでしょう。逆に、派遣先の会社には転職活動することを伝えてはいけません。

派遣先は既に契約を結んでいる立場なので、転職活動を優先とするような行動に対してよい印象を持ちません。例えば、有給消化したいと伝えても、転職活動の一環だと思われて取得できない可能性があります。

できる限りトラブルを避けるためにも、派遣会社には伝えておき、派遣先の会社には伝えないようにしましょう。

派遣社員が契約期間中に辞めるデメリットは?

派遣社員が契約期間中に辞めるデメリットは、以下の通りです。

  • 派遣会社・派遣先の会社に迷惑がかかる
  • 場合によっては次の派遣先を紹介してもらえない

次の派遣先を紹介してもらえない可能性があることが、一番のデメリットです。派遣先に迷惑をかけることは、マナー違反ですが、辞める側としては関わることがなくなるので、あまり気にならないところです。

しかし、派遣会社に迷惑をかけると次の派遣先を紹介してもらえない可能性があります。

派遣社員を辞めて、正社員になる場合は、派遣会社・派遣先のどちらとも関わることがなくなるため、大きなデメリットはありません。

派遣社員が退職理由を伝えるときのマナーは?

派遣社員が退職理由を伝えるときのマナーは、以下の3つです。

  • 退職意思は早め(1ヶ月前)に伝える
  • 繁忙期を避ける
  • 退職することを他の従業員に話さない

正社員も派遣社員も基本的なマナーは変わりません。退職意思は早めに伝えましょう。退職手続きや代わりの人材を用意するには、時間がかかります。ギリギリに伝えるのではなく、期間に余裕を持って伝えましょう。

会社の繁忙期に退職意思を伝えることも避けるべきです。忙しい時期は、他の作業に追われているのでまともに取り合ってもらえない場合もあります。また、トラブルを避けるために、退職することは他の従業員に話してはいけません。

とくに派遣社員は、派遣会社と派遣先がトラブルにならないように配慮すべきです。

派遣社員が辞めるときに退職届はいるの?

派遣社員は正社員ではないため、一般的には退職届は必要ありません。退職に関する手続きは派遣会社と派遣先で行われるからです。ただし、派遣会社によっては、退職届を求められるケースがあります。その場合は、指示に従って提出しましょう。

まとめ

派遣社員は契約期間中であっても、辞めることが可能です。今すぐ辞めたいと思ったときは、派遣会社に相談しましょう。派遣先に伝えるとトラブルの原因になりますので、間違えないように気をつけてください。

「仕事がきつい」「人間関係が上手くいかない」などの退職理由がありますが、派遣会社に相談することで、部署や労働条件を変えてもらえる可能性があります。そのため、まずは派遣会社に相談することが大切です。

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