体調不良や精神的な疲労から会社を休みたいと思う人は少なくありません。しかし、どのような状態であれば仕事を休んでもいいのか、わからない人も多いのではないでしょうか。「頑張れば出勤できそう」「体調が悪いのに出勤したら迷惑になる?」など、判断基準が難しい場合があります。
本記事では、仕事を休むときの判断基準について解説します。また、仕事を休みたいのに休めないときの対処法についても紹介しますので、参考にしてください。
・仕事を休むか休まないかの判断基準は、37.5度以上の熱がある、頭痛や吐き気など体調不良のとき、精神的にストレスを抱えているとき
・仕事を休むか判断基準に迷ったら、相談窓口に相談する、医療機関を受診する、仕事を休むべきサインが出ているか確かめるなど
・仕事を休めないときの対処法は、誰かに出勤を変わってもらう、労働基準監督署や労働組合に相談する、仕事を休める会社へ転勤するなど
目次
仕事を休むか休まないかの判断基準は?
仕事を休むか休まないかの判断基準は難しいものです。人によっては高熱を出していても出勤する人もいます。もちろん、体調が悪いときは無理に出勤せずに休むべきです。仕事を休むか休まないかの判断基準について見ていきましょう。
- 37.5度以上の熱があるとき
- 頭痛・吐き気・腹痛などの体調不良のとき
- 妊娠中で体調が悪いとき
- 精神的なストレスを抱えているとき
- 休むことで体調が回復するとき
- 眠れない日が続いているとき
37.5度以上の熱があるとき
平熱の関係もありますが、37.5度以上の熱がある場合は仕事を休みましょう。37.5度以上の熱がある場合は、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの恐れがあります。この場合は、熱があることを会社に伝えた後に医療機関を受診しましょう。受診した結果、インフルエンザなどの病名のある病気であれば、会社に伝えておくと良いでしょう。
熱があるときは体の免疫力が低下していますので、無理に働くと症状が悪化する場合があります。また、注意力や判断力が低下することで、仕事のパフォーマンスが落ちてしまうので、他の従業員に迷惑がかかります。あなたの風邪が他の従業員に移る可能性がありますので、無理に出勤してはいけません。
頭痛・吐き気・腹痛などの体調不良のとき
熱がある場合は仕事を休むか判断しやすいですが、頭痛や吐き気、腹痛などで体調が悪いときは判断基準に悩む人は多いのではないでしょうか。結論からいえば、体調不良は会社を休む正当な理由です。熱がなかったとしても体調不良の場合は仕事を休みましょう。
熱がないことを理由に上司が出勤を強要する場合は、パワハラにあたる可能性が高いです。労働安全衛生法では、会社は従業員の健康と安全を守る義務があると定めています。体調不良の従業員を無理やり働かせることは、これに違反します。
頭痛や吐き気、腹痛などの症状を抱えたまま働いたとしても、通常通りのパフォーマンスはできません。集中力が低下したり、作業のミスが増えたりなどの支障をきたす恐れがあります。また、ストレスによってさらに体調を悪化させるため、休養を取ることが重要です。
妊娠中で体調が悪いとき
妊娠中の体調不良は、妊婦本人だけでなくお腹の中にいる胎児にも影響を及ぼす可能性があります。つわりやめまい、体力低下など妊娠特有の症状がある場合は、体を第一に考えて仕事を休みましょう。妊娠中の症状は人によって大きく異なります。特有の症状以外でも、体に異変を感じた場合は無理しないことが重要です。
妊娠中は免疫力が下がり、感染症や疲労に対するリスクも高くなります。お腹の中にいる赤ちゃんと母体の健康を守ることを最優先に考えて行動しましょう。会社によっては、時短勤務や休暇制度など妊娠中に活用できる制度を設けている場合があります。上司や就業規則を確認して、利用できる制度がないか確かめておきましょう。
精神的なストレスを抱えているとき
「会社に行きたくない」「上司に会いたくない」など、肉体的な疲労以外にも精神的なストレスを抱えている場合は、休息を取りましょう。精神的なストレスとしては、不眠、食欲不振、集中力の低下などがあります。このような場合は、無理に働き続けるとストレスが蓄積し、さらに症状が悪化する恐れがあります。必要に応じて専門家に相談しつつ、休息をしっかり取りましょう。
上司からパワハラやセクハラを受けていたり、集団いじめに遭っていたりする人は、とくに精神的なストレスを抱えやすいです。仕事を休んで休息を取ることも大切ですが、根本的な問題を改善する必要もあります。対処法については、以下の記事で解説していますので、参考にしてください。
関連記事:パワハラ被害にあった場合の無料相談窓口8選!被害にあったときの対処法とセットで解説します
関連記事:職場で無視されるときの対処法10選!無視は違法?パワハラになるのか解説
休むことで体調が回復するとき
明らかに休むことで体調が回復する見込みがある場合は、無理をせず休むべきです。体は疲れを感じると回復するためのサインを送ります。それを無視して働き続けると、回復に時間がかかるだけでなく悪化する恐れがあります。体調不良を事前に防ぐためにも、休みましょう。
何となく体がだるい、やる気が出ないなどの理由を言っても休ませてもらえない、と悩みを抱える人は多いのではないでしょうか。今日だけはどうしても休みたいけど、休む理由が見つからないときは以下の記事を参考にしてください。
関連記事:当日に会社を休む際の理由17選!例文付きで注意点も紹介
眠れない日が続いているとき
睡眠不足は、心身に大きな負担をかける要因です。仕事で精神的にストレスが溜まっている人は、とくに睡眠障害に陥りやすいです。眠れない日が続くと、集中力や判断力が著しく低下し、ミスやケガの原因になる可能性があります。また、夜中に寝られないことで、仕事中にうたた寝してしまい評価が下がる恐れもあります。
このような場合は、仕事を休んでしっかりと睡眠を取り、体のリズムを整えることが重要です。十分な睡眠を取ることで、心身のバランスが回復し、健康が維持されます。
仕事を休むか判断基準に迷ったら?
仕事を休むか判断基準に迷ったときは、以下の方法を試してみてください。
- 仕事を休むべきサインが出ているか確かめる
- 仕事を休むメリット・デメリットから判断する
- 相談窓口に相談する
- 出勤する前に医療機関に受診する
それぞれについて見ていきましょう。
仕事を休むべきサインが出ているか確かめる
仕事を休むか判断基準に迷ったときは、まず自分の体と心の状態をしっかりチェックすることが重要です。上記で紹介したように、眠れない日が続いている、精神的ストレスを抱えている、倦怠感ある、頭痛や吐き気がするといった、不調がないか確かめましょう。
これらの症状がある場合は、一度自分の体調を見直すためにも仕事を休んで休息を取ってください。無理に出勤しても、体調不良が悪化するだけでなく、他の従業員に迷惑をかけるリスクが高まってしまいます。
仕事を休むメリット・デメリットから判断する
体調不良がなくても、「モチベーションが上がらない」「今日は働きたくない」といった気分に陥ることもあります。このような場合は、仕事を休むメリット・デメリットから判断しましょう。仕事を休むメリットは以下の通りです。
【仕事を休むメリット】
・自由な時間ができる
・自分の体の状態を確かめられる
・普段休めない日に好きなことができる
・落ち込んだ気分をリフレッシュできる
仕事を休むメリットとしては、自由な時間ができるので、リフレッシュや休息などができることです。とくに普段平日を休むことがない人は、いつもと違った休日を楽しめます。次はデメリットを見ていきましょう。
【仕事を休むデメリット】
・出勤している従業員に迷惑がかかる
・罪悪感を感じる場合がある
・収入が減る
・評価が下がる可能性がある
仕事を休むデメリットとしては、上司や従業員に迷惑がかかることです。あなたが急に仕事を休むと、誰かがあなたの穴埋めをしなければなりません。例えば、休日だった上司が出勤したり、他の従業員の残業時間が長くなったりします。また、仕事を休む理由によっては「こんな理由で休んでもいいのか」と、罪悪感を感じる場合もあります。
このように、仕事を休むメリット・デメリットを考えて、自分の健康と職場の状況を天秤にかけながら冷静に判断することが重要です。
相談窓口に相談する
自分だけで判断しにくい場合は、上司や相談窓口に相談することも大切です。多くの会社では、社員の健康や労働環境をサポートするために窓口や制度が用意されています。自分の状況を説明することで、休むべきかどうか客観的な視点からアドバイスをもらえます。
とくに、精神的にストレスを抱えていたり、職場の人間関係で悩んでいる場合は、第三者の視点から意見をもらうことで、自分だけでは気づかない改善策が見つかるかもしれません。外部の相談窓口であれば、総合労働相談コーナーやこころの耳などがあります。相談窓口については以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
関連記事:会社に相談できる人がいない場合どうする?対処法と相談窓口を紹介します
出勤する前に医療機関に受診する
体調不良や精神的にストレスを抱えている場合は、出勤前に医療機関を受診することも一つの判断基準になります。医師の診断を受けることで、自分の体調不調の原因や深刻なのか、休むべきかどうかについて、専門的な判断を仰ぐことができます。また、診断書を会社に提出することで、仕事を休む正当な理由を証明できるので、余計なトラブルを回避することも可能です。
医療機関の診断は、自分の体調を知るだけでなく周囲への配慮にも役立つため、休むべきか判断基準に迷ったときは早めに受診しましょう。
仕事を休むと判断したときに会社へ連絡するときのポイント
仕事を休むと判断したときに会社へ連絡するときのポイントを、電話・メールの2パターンで紹介します。
- 電話で連絡するときのポイント
- メールで連絡するときのポイント
仕事を休むときは電話で連絡するのが一般的です。メールで連絡することも可能ですが、マナー違反にならないようにポイントを押えておきましょう。
電話で連絡するときのポイント
仕事を休むときは早めに上司へ連絡する必要があるため、基本的には電話で連絡しましょう。メールだと、相手が気づかない恐れがあります。電話で連絡するときは、仕事を休む理由を具体的に説明してください。例えば、以下のように伝えましょう。
お世話になっております。昨日の夜から発熱があり、朝体温を測ったところ38.2度と高熱があるため、本日は会社を休ませていただきます。明日の会議で必要になる資料は、〇〇さんに作業を引き継いでもらい完成させたいと思います。インフルエンザの可能性もありますので、後ほど医療機関へ受診しに行く予定です。診断結果がわかり次第、ご連絡いたします。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
必要な引継ぎがある場合は、どのように対処するか上司に伝えておきましょう。また、いつ頃出社できるか併せて伝えておくと良いでしょう。上司に連絡する際は、始業時間の15分前ほどに連絡してください。ただし、就業規則に定めがある場合はそれに従ってください。始業時間を過ぎてから連絡したり、同僚に上司へ伝えるように連絡したりしないように気をつけましょう。
メールで連絡するときのポイント
声が出ないほど喉が悪化していたり、上司からメールで連絡するように指示されていたりする場合は、メールで連絡しましょう。また、上司が会議中など電話に出られない状況だと把握しているときは、メールのほうが好ましいです。基本的な注意事項は電話と同じです。
仕事を休めないときの対処法
仕事を休みたいのに休めない場合があります。例えば、人手不足で休むと仕事が回らない、上司がパワハラで休めないなどです。このような状況において、どのように対処すればいいか見ていきましょう。
- 体調がさらに悪化しないように体調管理に気をつける
- 自分の代わりに出勤してくれる人を探す
- 正当な理由があるのに休めないのは違反だと伝える
- 労働基準監督署や労働組合に相談する
- 仕事を休めない会社は転職する
体調がさらに悪化しないように体調管理に気をつける
仕事が休めないときは、これ以上体調が悪化しないように工夫することが大切です。例えば、可能な限り睡眠を取る、栄養バランスの取れた食事を摂る、水分をしっかり補給するなどです。仕事中はこまめに休憩を取り、体への負担を和らげましょう。また、体調が悪いことを上司に伝えておき、半休にしてもらったり、定時に帰らせてもらったりなど提案することも大切です。
帰宅後は身体を休めることを最優先に考えてください。無理をして体調を悪化させると、結果的に長期間休む必要が出てくるため、セルフケアを徹底しましょう。
自分の代わりに出勤してくれる人を探す
職場の人間関係が良好であれば、自分の代わりに業務を引き受けてくれる人を探すことも一つの方法です。まずは、上司や同僚に現状を説明して、代わりに出勤してもらえないか提案しましょう。人間関係が良好であれば、休む理由を正直に伝えることで周囲の理解を得られやすくなります。
自分に役職がある場合は、代わりになる能力を持った人材がいないため休みにくくなります。そのため、部下に仕事を割り振っておき、自分が無理をせずに済む環境を作っておくことも重要です。逆に自分一人で作業を抱え込んでいると、業務を補えないため仕事を休めません。
正当な理由があるのに休めないのは違反だと伝える
体調不良や家庭の事情など、正当な理由があるにもかかわらず、仕事を休めない場合は、労働基準法に違反する可能性があることを上司や会社に伝えましょう。労働契約法第5条では、「労働者の生命・身体などの安全を確保しつつ労働できるように配慮すること」と定められています。また、労働安全衛生法では、会社は従業員の健康と安全を守る義務があると定めています。
正当な理由があるのに休めないのは、これらの法律に違反する行為です。上司や会社に法律違反であることを伝えましょう。伝えた上で、出勤を強要する場合は、労働基準監督署や労働組合に相談してください。
労働基準監督署や労働組合に相談する
労働基準監督署は、労働基準法に違反している会社に対して、あっせんや指導を行います。個人の意見は聞いてもらえない可能性がありますが、労働基準監督署から指導が入れば、労働環境を改める可能性があります。ただし、労働基準監督署への相談件数は非常多いため、すぐに対応してもらえない可能性もあるので注意しましょう。
その場合は、労働組合に相談してください。労働組合には団体交渉権があるので、会社は労働組合からの交渉を断れません。また、誠実交渉義務があるので、曖昧に回答したり、すぐに交渉を打ち切ったりすることもできません。労働組合に相談できる内容については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
関連記事:労働組合にはどんなことまで相談できる?相談事例や流れを解説
仕事を休めない会社は転職する
これまで紹介した対処法をしても効果がない、何をしても仕事を休めない場合は退職・転職を検討しましょう。そもそも仕事を休めないのは法律違反です。法律違反を平気で行っている会社はブラック企業の可能性が高いです。このような労働環境の中で働いていても、自分の成長につながりません。また、体調不良の状態で働き続けると、さらに症状が悪化し、転職が不利になる可能性があります。
仕事を休めないような会社は、辞めさせてもらえない可能性があります。このような場合は、退職代行サービスを利用しましょう。退職代行サービスでは、担当者があなたの代わりになって退職手続きを進めます。直接会社とやり取りせずに退職できるのが特徴です。
仕事を休むときの注意点
仕事を休むときは、いくつかの注意点があります。
- 無断欠勤はしない
- 早めに上司へ連絡する
- 仕事を休む理由は同じものを使わない
- 必要に応じて同僚や部下に引き継ぎ作業を伝える
無断欠勤はしない
仕事が休めないからといって、無断欠勤は絶対にしてはいけません。無断で休むとあなたの評価は大きく下がります。最悪の場合、懲戒処分になる可能性もあります。あなたが休んだ分、上司や同僚などが穴埋めしなければなりません。体調不良で休んだ場合は仕方ないと思う人が多いですが、無断欠勤で休んだ場合はサポートしたいとは思わないでしょう。人間関係を悪化させる要因になりますので、絶対に無断欠勤はやめましょう。
早めに上司へ連絡する
基本的には始業時間よりも早く連絡することが大切です。早めに知らせることで、代替えの準備がスムーズに行え、業務を滞りを最小限に抑えられます。基本的には電話で連絡するのが一般的ですが、会社のルールや状況に合わせてメールも活用しましょう。
例えば、朝早くから連絡するときは先にメールを送っておくといいでしょう。早い時間から電話すると寝ている上司を起こすことになる可能性があります。事前に会社を休むときは始業時間の何分前に連絡すればいいか、上司に確認しておくと安心です。
仕事を休む理由は同じものを使わない
「モチベーションが上がらない」「ちょっと体がだるい」などの理由で休むとき、本当の理由をいうと休ませてもらえない場合があります。その際に、別の理由で休んだときは、何度もその理由を使わないようにしましょう。同じ理由で何度も休んでいると、ずる休みしていると思われてしまいます。
上司が不信感を抱くと、本当に休みたいときに休めなくなる恐れがあります。そのため、私用で休むときでも「個人的な事情」などある程度休む理由をはっきりさせましょう。
必要に応じて同僚や部下に引き継ぎ作業を伝える
仕事を休むことで業務に影響が出る場合、同僚や部下などに引継ぎ作業を行うことも重要です。自分の担当している業務や必要な情報を共有することで、作業がスムーズに進むように配慮します。引き継ぎの際には、優先事項や注意点を明確にし、可能であれば資料やメモを用意しておくと効果的です。また、復帰後にスムーズに仕事を再開できるよう、引き継ぎ内容を記録しておくこともおすすめです。
まとめ
仕事を休むときの判断基準や仕事を休めないときの対処法について紹介しました。熱や体調不良のときは仕事を休むべきです。無理して働くと悪化したり、周りの従業員に迷惑がかかったりします。仕事を休むべきか判断基準に迷ったときは、相談窓口に相談したり、医療機関を受診したりしましょう。
パワハラ上司やブラック企業であれば、休ませてもらえない場合があります。このような会社は、退職するときもトラブルになりやすいです。そのため、「仕事が辞められない」「早く辞めたい」といった人は退職代行ほっとラインへご相談ください。退職代行ほっとラインであれば、退職率100%です。無料で相談できますので、ぜひご相談ください。
コメントを残す