近年、働き手の熱意や使命感につけ込み、正当な報酬や労働条件を与えない「やりがい搾取」が社会問題になりつつあります。自分では気づかないうちに不当な扱いを受けている可能性もあり、注意が必要です。ブラックな環境に巻き込まれないためにも、正しい知識を身につけておきましょう。
本記事では、やりがい搾取とは何か説明します。また、原因や対策、具体例も紹介しますので参考にしてください。
・やりがい搾取とは、労働者のやりがいにつけ込んで、低賃金や過重労働を強いること
・やりがい搾取が起きる原因は、評価制度や報酬体系が不透明、自己犠牲を美徳としている、やりがいを過度に重んじている
・やりがい搾取の具体例は、最低賃金以下で働かされる、残業代が支払われない、有給が取得できない、正当な評価や昇給が行われないなど
・やりがい搾取が起きたときの対策は、証拠を集める、信頼できる人に相談する、転職や部署異動も選択肢に入れるなど
やりがい搾取とは?
まずはやりがい搾取とは、どのような意味なのか紹介します。
- やりがいの意味
- やりがい搾取の意味は?
- やりがい搾取を英語で言い換えると?
やりがいの意味
やりがいとは、仕事や行動に対して充実感や達成感、意義を感じられることを指します。例えば、自分の仕事が誰かの役に立っていると感じたり、スキルが活かせて楽しいと思えたりすることです。
やりがいがあると、モチベーションを高く保ちやすく、前向きに働く原動力になります。仕事に満足感を求める人にとって、やりがいはお金と同じくらい大切な要素といえるでしょう。
やりがい搾取の意味は?
やりがい搾取とは、働き手の「やりがい」や「情熱」につけ込んで、低賃金や過重労働を強いることを意味します。好きな仕事だから、夢がある業界だからといった言葉で正当な報酬や待遇を軽視されるのが特徴です。
とくにクリエイティブ職や福祉・教育業界など、使命感を持ちやすい分野で起きやすい問題です。やりがいを理由に、残業代が支払われなかったり、休日出勤が当たり前になっていたりするケースは、やりがい搾取に該当します。
やりがい搾取を英語で言い換えると?
やりがい搾取に該当する明確な英語表現は存在しませんが、状況に応じて以下のように表現されます。
- Exploitation of passion(情熱の搾取)
- Unpaid labor masked as “passion”(情熱という名の無償労働)
- Emotional exploitation in the workplace(職場での感情的搾取)
海外ではこのような搾取的な働かせ方に対して敏感で、不当な扱いを受けた場合にはすぐに上司や会社に異議を申し立てたり、転職したりする文化があります。
成果に見合わない報酬や待遇が続くことは少なく、労働者の権利意識も高いです。そのため、日本に比べてやりがい搾取が起こりにくい傾向があります。
やりがい搾取が起きる原因は?
やりがい搾取は、個人の問題というよりも、企業の体質や社会全体の価値観に深く関係しています。やりがい搾取が起きる原因について見ていきましょう。
- 企業文化として「やりがい重視」が浸透している
- 評価制度や報酬体系が不透明または不十分
- 自己犠牲を美徳とする社会的価値観がある
企業文化として「やりがい重視」が浸透している
やりがい搾取が起きやすい職場は、やりがいを最優先にすべきとする企業文化が根付いているケースが少なくありません。とくに福祉、教育、出版、NPO、アート業界などでは、お金ではなく使命感や熱意で働くべきといった価値観が常識のように語られます。
その結果、給料は少なくても好きな仕事ができているのだから満足すべきといった風潮が生まれ、労働条件の改善や待遇の見直しが後回しにされがちです。経営者や管理職もこの価値観に依存し、正当な報酬を支払う努力を怠ってしまうことがあります。
また、新人や若手がやりがいを感じるなら給料が安くても当然と思い込み、自分の価値を低く見積もってしまう点も問題です。やりがいを否定することなく、報酬や労働環境と両立させることが必要です。
評価制度や報酬体系が不透明または不十分
やりがい搾取が起きる大きな要因の一つに、評価制度や報酬体系の不透明さがあります。どれだけ成果を出しても給与や待遇に反映されない職場では、やりがいがあるから頑張ろうという心理だけが拠り所になってしまいがちです。
こうした状況では、成果に見合わない労働を強いられることになりやすく、従業員のモチベーションも長期的に低下します。
また、報酬の決定基準が曖昧な会社では、上司の主観や社内政治に左右されることが多く、実力や貢献度が正しく評価されません。とくに成長過程にあるベンチャー企業や人事制度の整っていない業界では、このような問題が顕著に見られます。
自己犠牲を美徳とする社会的価値観がある
日本社会には、自己犠牲を美徳とする価値観が根強く残っています。人のために尽くす、自分より組織やお客様を優先するといった考え方が、学校教育や企業研修などを通じて刷り込まれているため、多くの人が知らず知らずのうちに頑張って当然と思わされているのです。
この価値観のもとでは、過剰な働き方をしても努力が足りない、やりがいがあるなら苦労すべきと正当化されがちです。弱音を吐くのは甘え、給料の話をするのはいやらしいといった風潮が、労働者自身が声を上げることをためらわせます。
やりがい搾取の具体例
やりがい搾取は、表面的には前向きな言葉で覆われているため、本人が自覚しにくいのが特徴です。以下に紹介する具体例に一つでも心当たりがある場合は、やりがい搾取の可能性を疑ってみましょう。
- 最低賃金以下の給与で働かされる
- 残業代が適切に支払われない
- 有給休暇の取得を申し出ると嫌味を言われる
- 任意とされるイベントへの参加が強制される
- 正当な評価や昇給が行われない
- 精神論や根性論で過重労働が正当化される
最低賃金以下の給与で働かされる
やりがい搾取の代表的なケースとして、最低賃金を下回る報酬で働かされる状況があります。とくに若手クリエイターや演劇、保育、介護、NPOなどの業界では、経験を積めるだけでもありがたいといった言葉を使って、実質的な無報酬や低賃金での労働を正当化する企業が存在します。
労働基準法では最低賃金の保証が義務づけられており、最低賃金以下で働かせることは違法です。しかし、やりがいを盾にされた労働者は、嫌なら辞めればいいと言われることも多く、反論しづらい環境に追い込まれます。やりがいは大切ですが、それが正当な報酬の代替になるわけではありません。
残業代が適切に支払われない
うちは成果主義だから、全員が遅くまで頑張っているなどの不当な理由で、残業代がきちんと支払われない職場もやりがい搾取の一例です。とくにベンチャー企業や中小企業では、社員の情熱や責任感に頼って長時間労働を強いられるケースが少なくありません。
労働時間に見合った賃金が支払われない状況は、労働基準法に反しています。しかし、みんなも働いているから、会社の成長のためという空気が支配していると、不満を口に出すことが難しいです。
やりがいは残業代の代わりにはなりません。適切な勤怠管理と労働時間の対価が確保されていない職場では、やりがい搾取の可能性を疑う必要があります。残業代が適切に支払われないときの対処法については、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:残業代が計算されない理由は?未払いの残業代を請求する方法を解説
有給休暇の取得を申し出ると嫌味を言われる
有給休暇の取得を申し出たときに、嫌味を言われたり、取得を拒まれたりすることも、やりがい搾取の一種です。本来、有給休暇は労働者の権利であり、会社は有給休暇の取得を拒否できません。もちろん、取得理由を伝える義務もありません。
しかし、本気で仕事するなら休まず働くべきといった精神論が根強い職場では、有給を取ること自体が悪のように扱われる風潮があります。こうした環境では、従業員が心身をすり減らしながら働き続けることになり、やがて離職やメンタル不調につながるリスクが高まります。
有給休暇の取得ができないときの対処法については、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:有給が取れない場合の対処法は?人手不足でも取得するコツや違法について解説
任意とされるイベントへの参加が強制される
参加は自由と言いつつ、実際には参加を強要される会社行事もやりがい搾取の典型例です。例えば、休日のボランティアイベントや社内勉強会、飲み会、社内旅行などが該当します。
とくに新人や若手に対して、成長のため、チームの一体感のためといった理由で強制的に参加を求めることが多く、断ると協調性がない、やる気がないと評価されかねません。
こうした風土のある企業では、従業員がプライベートの時間を犠牲にするのが当たり前とされ、長時間拘束や無償労働が正当化されやすくなります。やりがいやチームワークを理由に、業務外の拘束が常態化していないか見直す必要があります。
正当な評価や昇給が行われない
努力して成果を上げても、昇給や昇進に反映されない職場では、やりがい搾取が起きやすくなります。とくに曖昧な評価基準が存在する会社では、従業員の貢献が軽視される傾向があります。
言葉では褒められても、待遇が変わらなければ本当の意味で評価されているとはいえません。やりがいだけで働かせ、待遇の改善を後回しにする姿勢は、長期的には従業員のモチベーションを奪います。
公正な評価制度と透明なキャリアパスがなければ、やりがいは搾取されるだけになってしまうのです。正当に評価されない理由とすべきことに関しては、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:仕事をしても評価されない理由とすべきこと!特徴は?辞めてもいい?
精神論や根性論で過重労働が正当化される
精神論で過重労働が正当化されるケースも、やりがい搾取の一環です。とくに体育会系の文化が色濃い企業や、ベンチャー企業の中には、長時間労働や休日出勤を美徳のように扱う風土が残っています。
まだ若いから休まずに働ける、新入社員が休むのは甘えなど、労働基準法を無視して働かすブラック企業も少なくありません。
本来、健康的な労働環境とやりがいは両立できるはずです。精神論に頼って無理をさせる職場では、やりがいが利用されている可能性が高いため、慎重に見極めることが必要です。
やりがい搾取が起きやすい企業の特徴
やりがい搾取は、理念やビジョンを強く掲げる企業や、待遇面が不透明な企業で起きやすい傾向があります。企業の方針や制度に注意を払い、働き方の実態を見極めることが大切です。
- 理念やビジョンを強く押し出している
- 給与や待遇に関する情報が不透明
- みなし残業や裁量労働制を導入している
- 若手に責任ある仕事を任せることを「成長機会」として美化する
理念やビジョンを強く押し出している
企業が掲げる理念やビジョンは、本来であれば組織の方向性を示す大切な指針です。しかし、これを過剰に強調する企業では、従業員に対して理念に共感するなら頑張って当然という空気を作り出している傾向があります。
例えば、私たちは社会のために挑戦している、お客様の笑顔のために限界を超えようといった言葉を繰り返すことで、やりがいを盾にした無理な働き方が常態化することも少なくありません。
この理念が理解できない場合は、熱意が足りないと評価され、自分の意見を聞き入れてもらえなくなります。その結果、どれだけ努力しても報われない構造が生まれやすいため注意が必要です。
給与や待遇に関する情報が不透明
やりがい搾取が行われている企業では、給与や昇給、手当といった待遇面の情報があいまいなことが多いです。例えば、年功序列ではなく実力主義と求人票に書いていても、実際の評価基準が不明確な場合もあります。
また、昇給のチャンスはあると上司に言われても、何を達成すれば給与が上がるのか具体的な説明がないケースがあります。このような不透明さは、従業員がやりがいだけで働かされてしまう原因です。
求人情報と実際の待遇に乖離がある場合は、やりがいという言葉で本来支払うべき報酬を曖昧にしている可能性もあります。入社前に労働条件や報酬の根拠をしっかり確認することが重要です。求人情報と労働条件が違うときの対処法については、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:求人情報と労働条件が違うときの対処法と違法について!転職時の注意点を紹介
みなし残業や裁量労働制を導入している
みなし残業や裁量労働制は、自由な働き方を実現する仕組みとして設けられているものですが、悪用されると過重労働の温床になります。例えば、月30時間分の残業代を含んだみなし残業制度の場合、実際の残業が40時間を超えていても、追加の残業代が支払われないことがあります。
裁量労働制においても、成果が出るまで働くのが当然とされれば、時間外労働が無限に発生しかねません。
若手に責任ある仕事を任せることを「成長機会」として美化する
若手社員に大きな仕事を任せることは、成長につながる一面もあります。しかし、それをやりがいや挑戦という言葉で美化し、サポートや報酬が伴っていない場合、実質的には責任の押しつけになってしまいます。
入社1〜2年目の社員が数千万円規模のプロジェクトを1人で回すような状況や、店長・責任者として長時間働くことが当然とされる職場は要注意です。任せてもらえるのは信頼の証と思いがちですが、実際には教育や体制が不十分なまま現場に放り出されているケースも多く見られます。
本当に成長できる環境かどうかは、責任の重さだけでなく、適切なサポート体制や評価制度があるかで見極めることが大切です。
やりがい搾取が起きたときの対策
やりがい搾取に気づいたときは、自分を守るための行動が必要です。感情的に動くのではなく、冷静に状況を整理し、相談や転職なども含めた選択肢を考えましょう。具体的な対処法を紹介します。
- まずは証拠を集めて状況を整理する
- 信頼できる上司や人事に相談してみる
- 労働基準監督署や労働組合など外部機関に相談する
- 転職や部署異動も選択肢に入れる
まずは証拠を集めて状況を整理する
やりがい搾取に対して最初に行うべきなのは、証拠を集めることです。自分の働き方がどれだけ過酷なのか、待遇がどれほど不当なのかを主観だけで訴えても、第三者に伝わりにくいからです。
勤務時間や残業時間を記録したメモや給与明細、業務の指示が記されたメール、出退勤記録などを保管しておきましょう。業務日誌やカレンダーにその日の仕事内容を書き残す習慣をつけておくと、後々証拠として役立ちます。
また、モラハラやパワハラに該当する発言があれば、その内容を日時付きでメモするのも有効です。証拠を集めて整理することは、自分の状況を客観視する助けにもなりますし、後に労働基準監督署や弁護士へ相談する際の大きな武器になります。
証拠の集め方については、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:パワハラの証拠集めはどうする?注意点とポイントをわかりやすく解説します
信頼できる上司や人事に相談してみる
証拠を集めて状況を整理したら、次に社内の相談ルートを探ってみましょう。信頼できる上司や人事担当者がいれば、その人物に現状を説明し、改善の可能性を探るのも一つの手段です。
実際には、現場のマネージャーが部下の過酷な働き方を把握できていない場合もありますし、人事部門が現場の問題に目を光らせていないケースもあります。自分が黙って耐えているだけでは、会社としても問題が起きていないと認識してしまう可能性があるのです。
もちろん、相談する際には冷静に事実を伝えることが大切です。感情的に不満をぶつけるのではなく、どのような状況がいつ、どのように発生しているのかを明確にし、どうすれば改善できるかを一緒に考える姿勢が効果的です。
労働基準監督署や労働組合など外部機関に相談する
社内に信頼できる相談先がなかったり、相談しても改善が見込めなかった場合は、外部の機関に相談することを検討しましょう。代表的なのが労働基準監督署です。労働基準法に基づいて企業を指導・監督する行政機関であり、違法な長時間労働や未払い残業代などの通報にも対応しています。
匿名で相談することも可能なので、身元が明かされることを心配せずに利用できます。また、会社に労働組合があれば、そちらに相談するのも有効です。労働組合は従業員の権利を守る役割があり、企業と交渉するための力を持っています。
ほかにも、NPOや労働問題に強い弁護士など、相談できる機関は多岐にわたります。相談窓口に関しては、以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
関連記事:会社に相談できる人がいない場合どうする?対処法と相談窓口を紹介します
転職や部署異動も選択肢に入れる
やりがい搾取の問題は、制度や人事に相談しても改善されないことがあります。その場合は、思い切って環境を変える選択も視野に入れてみましょう。具体的には、部署異動を申し出て職場を変えるか、別の企業への転職を検討することです。
部署異動であれば、同じ会社にいながらも働く環境が大きく変わる可能性があります。ただし、異動先も同様の文化が根強い場合は根本解決にはならないかもしれません。一方、転職ではより自分に合った企業風土や働き方を選べます。
最近ではブラック企業の情報を集めた口コミサイトなどもあり、事前に企業体質を調べやすくなっています。何より、自分の働きが正当に評価される環境で働くことが、長期的に見て心身の健康にもキャリアにも良い影響を与えるでしょう。
やりがい搾取されやすい人の特徴
やりがい搾取されやすい人の特徴を解説します。自分自身に当てはまるものがないか確認し、予防の意識を持つことが大切です。
- 責任感が強く、頼まれると断れない
- 社会経験の浅い新入社員
- 評価や感謝の言葉に弱い
- 労働条件に対する知識が少ない
責任感が強く、頼まれると断れない
責任感が強く、頼まれごとを断れない人は、やりがい搾取の対象になりやすい傾向があります。こうした人は職場のためにと、自分の業務量が限界を超えていても無理をしてしまうことが少なくありません。
上司や同僚からの評価も高く、真面目で信頼できると見なされやすいため、さらに多くの業務を振られてしまう悪循環に陥ることがあります。本来であれば、業務の割り振りは適切であるべきです。
しかし、あの人ならやってくれるだろうという周囲の期待がエスカレートすると、結果的に過重労働や低待遇を受け入れざるを得なくなります。こうした状況を避けるには、自分のキャパシティを明確に伝え、できませんと言える勇気を持つことが重要です。
社会経験の浅い新入社員
社会経験が少ない新入社員も、やりがい搾取のリスクが高い層です。右も左も分からない状況で入社し、上司や先輩に言われるがまま業務をこなしてしまうケースが多く見られます。新入社員は、まだ自分が未熟だから、会社に貢献しなければと考えてしまうことが多く、無理な要求にも従ってしまいがちです。
また、入社直後は労働基準法や適切な労働環境に関する知識が乏しく、会社側の理不尽なルールや待遇に違和感を覚えても、それが本来許されないものであることに気づけないこともあります。
その結果、低賃金や長時間労働に甘んじてしまうケースが少なくありません。新入社員こそ、客観的な情報に基づいた正しい労働知識を学び、自分の権利を理解する必要があります。
評価や感謝の言葉に弱い
ありがとう、助かったよなど、感謝や称賛の言葉に弱い人も、やりがい搾取されやすい特徴を持っています。人から認められることに喜びを感じやすく、その喜びが報酬の代わりになってしまうと、労働条件が不適切でも納得してしまう傾向があります。
とくに、職場においては賃金や休暇などの目に見える報酬が軽視され、言葉で動機付けをされ続けると、自分の権利を見失ってしまうことがあります。もちろん、感謝や評価を受けること自体は悪いことではありませんが、それと引き換えに労働条件が不当であってはなりません。
適切な対価と労働環境の両立こそが、健全な職場のあり方だと理解することが必要です。
労働条件に対する知識が少ない
労働基準法や労働条件に関する知識が乏しい人は、自分がやりがい搾取の対象になっていることに気づきにくい傾向があります。これが普通だと思っていた思い込みが、不当な働き方を受け入れる原因になってしまうのです。
みなし残業制度の適用範囲や、時間外手当の計算方法、有給休暇の取得条件などは、制度の細かい理解が必要です。知識が不足していると、会社に都合の良いように使われてしまいがちです。
情報収集の手段としては、厚生労働省の公式サイトや労働相談窓口、信頼できる書籍などがあります。正しい知識を持っていれば、自分の働き方を見直すきっかけにもなりますし、不当な扱いをされそうになった際にも毅然と対応できるようになります。
まとめ
やりがい搾取は、一見前向きな言葉に隠れて労働者の権利を侵害する深刻な問題です。責任感が強い人や、新入社員、労働知識が乏しい人ほど狙われやすく、知らず知らずのうちに過重労働や低賃金に耐えてしまうケースが少なくありません。
違和感を感じたときは、労働条件を確認したり、信頼できる人に相談したりしましょう。また、ブラック企業だと思われる場合は転職・退職も視野に入れてください。退職に関する悩みや不安がある場合は、退職代行ほっとラインへご相談ください。
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