退職代行でよくあるトラブル事例15選!リスクを避けて確実に辞めるにはどうしたらいい?

近年、退職代行サービスの利用者が増えてきましたが、それと同時にトラブルに遭ったり、退職を失敗したりする人も増えています。自ら退職を切り出せない人にとっては、力強いサービスですが、「ノーリスク」ではないことを頭に入れておきましょう。

本記事では、退職代行のトラブル事例15選を紹介します。事例と同じようなトラブルに遭わないためにも、注意点を押さえておきましょう。また、リスクを避けて確実に辞めるにはどのようにすればいいか、解説していますので、参考にしてください。

退職代行サービスとのトラブル事例

最初のトラブル事例は、退職代行サービスとのトラブルです。退職代行サービスを利用する場合、以下の5つのトラブルに注意しましょう。

  • 退職代行サービスが提示する内容と相違がある
  • 料金支払い後に連絡が取れない
  • 利用者の要望や相談を聞き入れない
  • 説明のない料金が発生した
  • 会社と交渉してもらえない

それぞれについて解説します。

退職代行サービスが提示する内容と相違がある

利用者は退職代行サービスの料金・サービス内容・実績などをもとに、依頼する退職代行サービスを決めます。しかし、実際のサービス内容がホームページなどで提示している内容とは、異なる場合もあるのです。

トラブル内容として多い事例は「表示され金額よりも高い」「追加料金はないはずなのに追加料金が発生した」などです。

このようなトラブルは、値段の低い退職代行サービスで発生しやすい傾向があります。

退職代行サービスの相場は3万円前後ですが、1万円前後の安い退職代行サービスに見受けられるトラブルです。料金が安いことは魅力的ですが、安さだけで選ぶのは危険です。料金だけで選ぶのではなく、実績や口コミなども参考にしながら、退職代行サービスを選びましょう。

料金支払い後に連絡が取れない

最悪のトラブルともいえるのが「料金を支払った後に連絡が取れなくなる」ことです。退職代行サービスの中には悪質な業者がいます。退職代行サービスは、基本的に先払いとなっているため、そのシステムを活用して詐欺を働くのです。

音信不通になってしまうと、支払った料金が返ってこないだけでなく、円満退職もできなくなってしまいます。また、料金を支払う前に連絡が途絶えるパターンもあります。

退職代行サービスは、営業時間が決まっている退職代行サービスもあれば、24時間相談可能な退職代行サービスもありさまざです。事業により連絡が遅れることもありますが、返事が一切こなくなる事例もあります。料金は支払っていないものの、一から退職代行サービスを探すことになり、これまでの時間や労力が無駄になってしまいます。

利用者の要望や相談を聞き入れない

退職代行サービスは繰り返し利用する人よりも、初めて利用する人がほとんです。退職代行サービスの利用方法を熟知しておらず、「料金を先に払わなければ対応してもらえない」と思っている利用者も少なくありません。これをいいことに、事前に利用者の要望や相談を聞き入れない退職代行サービスを存在します。

利用者は料金を支払ったあとに、質問や相談することになります。利用者が思ってたサービス内容ではなかったとしても、キャンセルができないといった事例もあるのです。相談や質問に応じない、または対応が悪い退職代行サービスは注意してください。

また利用者は退職代行サービスを利用する前に、利用方法や契約までの流れなどをしっかり見ておきましょう。

説明のない料金が発生した

詐欺まがいな悪質行為をする退職代行サービスも存在します。安い料金を提示し、後から追加料金を請求するやり口です。詐欺まがいでなくても、円満退職に向けて問題を解決するには、追加料金が発生するケースもあります。

例えば、会社側が退職に応じない場合は、交渉のために別途〇円発生する、というようなものです。円満退職するには追加料金が必要ですが、事前に説明がない場合はトラブルの元になります。

追加料金を発生させないために、解決(退職)に至るまでに必要な費用の総額を提示してもらいましょう。またこのときには、起こりうる可能性も費用に入れてください。上記の例えのように、予想外の事態も考慮して見積もりを出してもらえば、見積金額以上を請求されることはありません。

会社と交渉してもらえない

利用者が希望している通りに、会社と交渉してもらえるとは限りません。例えば、料金の安い退職代行サービスは、料金に見合ったサービスになりやすいです。退職代行サービスのレベルが低いと、納得のいくサービスを提供してもらえない場合があります。

退職代行サービスの実力が足りない場合もあります。冒頭でも述べましたが、退職代行サービスは「ノーリスク」ではありません。退職に失敗するリスクもあります。希望通りに交渉してもらえず、失敗するリスクがあることも頭に入れておきましょう。

退職代行サービスを利用する側のトラブル事例

次は退職代行サービスを利用する側(利用者)のトラブル事例です。退職代行サービスだけでなく利用者も円満退職に向けて行動しなければなりません。退職代行サービスを利用する側のトラブル事例は、以下の4つです。

  • 依頼後に連絡が取れない
  • 会社への提出物や返却物の対応が遅い
  • 自らも会社へ連絡してしまう
  • 会社への要望が決まっていない

それぞれについて解説します。

依頼後に連絡が取れない

連絡がつかなくなるのは、退職代行サービスだけでなく利用者も同じです。退職代行サービスは、利用者に変わって会社と退職手続きをします。手続きを進めていく中で「〇〇について確認してほしい」「〇〇について教えてください」など、会社から要求されることも少なくありません。

もちろん、退職代行サービスが勝手に答えることはできないため、利用者へ確認が必要です。しかし、利用者と連絡が取れず、退職手続きが進められないため、無断欠勤扱いになってしまうケースがあります。

利用者は退職代行サービスに依頼することで、会社に行く必要がなく気持ちも楽になるため、連絡が疎かになることがあります。利用者は、退職の話が落ち着き手続きが完了するまで、いつでも連絡が取れるようにしておきましょう。

会社への提出物や返却物の対応が遅い

退職代行サービスに依頼すれば、すべて手続きをしてもらえるわけではありません。先ほどのように、会社からの確認に対しては、利用者の意見が必要になります。また会社への提出物や返却物も利用者が対応しなければなりません。

退職手続きがスムーズに進んだとしても、利用者が返却物を返さなければ、処理が遅くなりトラブルになる可能性があります。「返却物を返さなかったため利用者が実費で払うことになった」「転職先での就職手続きが遅れてしまった」といったトラブルも実際にあります。

会社への提出物や返却物は、退職代行サービスが関与できない範囲なので、自ら対処しましょう。

自らも会社へ連絡してしまう

「退職代行サービスが会社と交渉し、交渉内容を利用者に伝える」というのが一般的な利用の流れです。しかし、利用者の中には自ら会社へ連絡してしまう人もいます。もちろん、会社と連絡することは法的にも問題ありませんし、利用者の自由です。

しかし、自ら退職の話を進める中で、退職代行サービスと話の食い違いが生じ、トラブルになるケースもあります。この場合は、自らの手でトラブルを作ってしまったため、利用者の責任です。退職代行サービスを利用する場合は、退職代行サービスと連携しながら円満退職を目指しましょう。

会社への要望が決まっていない

会社を退職するときは、有給消化や離職票、雇用保険被保険者証、健康保険資格喪失証明書などについて、利用者の要望があるでしょう。要望を伝えることは問題ではありませんが、事あるごとに要望が増えていくと、会社側も良く思いません。

とくに各機関への申請・承認が必要な書類に関しては、要望が二転三転すると痺れを切らして「直接会社へ確認しにきてほしい」「退職代行サービスを介さず連絡がほしい」といわれる可能性があります。退職するときは、会社への要望を事前にまとめて退職代行サービスに伝えましょう。

会社側とのトラブル事例

最後は会社側とのトラブル事例です。ブラックな会社では、退職を認めてもらえないことがあります。そのため、退職代行サービスを利用するのですが、トラブルなってしまうケースがあります。会社側とのトラブル事例は、以下の6つです。

  • 退職を認めないまたは遅らせる
  • 有給消化ができない
  • パワハラなど圧力をかけられる
  • 退職代行業者と交渉してもらえない
  • 残業代や退職金が支払われない
  • 損害賠償を請求される

それぞれについて解説します。

退職を認めないまたは遅らせる

退職の意思を提示した後、会社によっては社内で確認するため一時保留にするケースがあります。退職する社員が優秀であったり、会社が繁忙期であったりすると、意図的に退職を遅らせるケースも少なくありません。最悪のケースは、退職を認めず辞められないことです。

たとえ退職代行サービスを利用しても、退職代行サービスからの連絡を無視していれば退職手続きが進みません。会社が理不尽な理由で退職を認めなかったとしても、法律上、退職意思を伝えてから2週間後には会社を辞めることが可能です。

民法627条には、以下のように記載されています。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用元:民法 | e-Gov法令検索

会社の就業規則が1ヶ月前と記載されていても、法律が優先されるので問題ありません。どうしても辞められない場合は、弁護士に相談してください。

有給消化ができない

有給休暇が残っている人は、消化してから辞めたいものです。しかし、退職代行サービスを利用しても「有給消化できなかった」といったトラブルが起こります。ブラックな会社は、この傾向があります。有給休暇の交渉は、民間の退職代行サービスではできません。

有給消化の交渉は、「労働組合型」または「弁護士事務所型」を利用しましょう。ただし、労働組合型であっても担当者が法律の知識が乏しいと交渉できないため、確実に交渉したい人は弁護士事務所の退職代行サービスに依頼しましょう。

パワハラなど圧力をかけられる

退職代行サービスをよく思わない会社もあります。退職代行サービスを利用したことに腹を立てた会社がパワハラなどの圧力をかけ、トラブルが起きます。また、退職代行サービスと関連のあるハラスメントといえば、「慰留ハラスメント」です。

慰留ハラスメントとは、退職意思を示した従業員に対して、必要以上に引き留める行為です。具体的には退職を認めない、嫌がらせする、脅すなどの行為を指します。ハラスメントがひどく、うつ病や精神疾患などの被害に遭わないように気をつけましょう。

退職代行サービスと交渉してもらえない

会社によっては、退職代行サービスとの交渉を拒否する会社もあります。知識のある会社の場合、「弁護士以外とは法的なトラブルは交渉しない」と交渉を拒否する事例もあります。いくら退職代行サービスが連絡を入れても、無視されれば退職手続きが進みません。

退職手続きが一向に進まない場合は、法的手続きのできる弁護士に依頼しなければなりません。また、それでも交渉しない場合は、労働審判や訴訟など裁判所手続きを利用するのが最適です。

残業代や退職金が支払われない

ブラックな会社は残業代や退職金を支払わない事例があります。もちろん、退職代行サービスを利用したからといって、残業代や退職金を受け取る権利がなくなるわけではありません。理不尽な理由で、もらえるべき残業代や退職金を支払ってもらえないときは、弁護士に相談しましょう。

交渉力のある弁護士の場合、残業代や退職金、給与、有給休暇などの交渉が可能です。

損害賠償を請求される

会社が損害賠償を請求するトラブルがあります。ただし、会社が社員を損害賠償で訴えても、認められるのは稀です。会社よりも個人のほうが立場的に弱く、労働者の権利を民法や労働基準法が守っているからです。ブラックな会社やワンマン社長は、損害賠償の被害に遭う可能性があります。

会社に対する「債務不履行」または「不法行為」がなければ、とくに怯える必要はありません。

リスクを避けて確実に辞めるには

退職代行サービスを利用してもトラブルがゼロになるわけではありません。そのため、リスクを避けて確実に辞めるには、以下の3つを意識してください。

  • 退職代行のサービス内容を把握する
  • 弁護士に依頼する
  • 損害賠償が認められる行為をしない

それぞれについて解説します。

退職代行のサービス内容を把握する

退職代行サービスを利用するときは、サービス内容を把握した上で依頼しましょう。退職代行サービスは、一般的に「弁護士」「労働組合」「民間企業」の3つに分類されます。それぞれで提供できるサービスが異なります。具体的には以下の表を参考にしてください。

サービス内容 弁護士 労働組合 民間企業
退職意思を伝える
退職届を代わりに提出する
窓口となり話を聞く △(交渉不可)
退職日を調整する △(交渉不可)
離職票をもらう △(交渉不可)
有給休暇を取得する △(交渉不可)
退職金・残業代を請求する △(交渉不可)
強く交渉する
損害賠償の訴訟対応

弁護士は基本的にどのサービスにも対応しています。ただし料金は高いため、確実に退職したい人におすすめです。労働組合は弁護士とサービス内容はほとんど同じですが、法律関係は対応できません。民間企業は、基本的に意思表示のみです。交渉ができないため、何かあったときに対応できません。

退職代行サービスを初めて利用する人は、サービス内容の範囲やそれに伴う料金、〇〇の場合はどのように対処してもらえるのか、といったことを詳しく聞いてから利用しましょう。

弁護士に依頼する

上記の表を見てわかるように、何かあったときに柔軟に対応できるのは弁護士です。確実性を求める場合は、弁護士に依頼しましょう。ただし料金が高いというデメリットがあります。民間企業は相場が3万円程度ですが、弁護士の相場は5万円程度です。

「退職手続きが難航しそう」「会社がブラック」といった場合は、とくに弁護士に依頼することをおすすめします。

損害賠償が認められる行為をしない

「会社が社員を損害賠償で訴えても、認められるのは稀です」と説明しましたが、損害賠償が認められるケースもあります。「債務不履行」または「不法行為」に該当する場合は、損害賠償が認められやすいです。具体的には以下のような場合です。

  • 引継ぎ作業が一切なく、会社に大きな損害を与えたとき
  • (有期雇用契約を結んでいる場合)契約期間が残っているにもかかわらず一方的に退職するとき
  • 会社の名誉を傷つけたとき
  • 会社の機密情報を漏らしたとき
  • 無断欠勤が2週間以上続いているとき
  • 退職するときに、他の社員も一緒に引き抜いたとき
  • その他、明らかに会社に対して被害を与えたとき

リスクを避けて退職するには、上記のような行為は避けましょう。

まとめ

退職手続きに不安を感じている人にとって、退職代行サービスは強い味方です。しかし、退職代行サービスを利用してもトラブルは起きます。本記事で紹介したトラブル15選を参考にして、同じトラブルが起こらないようにしましょう。

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