離職票をもらえない時はどうするべき?対処法と理由、違法性について解説します

退職してからもらえる「離職票」は、失業保険を申請する上で必要な書類です。会社が離職票の交付を拒否することは法律上、違法になるためできません。そのため、離職票がもらえない場合は何かしらのトラブルが生じている可能性があります。

本記事では、離職票がもらえないときの対処法と離職票がもらえない理由について詳しく紹介します。ぜひ、参考にしてください。

本記事の結論
・離職票がもらえないときの対処法は「ハローワークに相談する」「失業保険の仮手続きを申請する」
・離職票がもらえない理由は「雇用保険に入っていない」「ハローワークの対応が遅れている」など
・会社が離職票を交付しないと罰則がある

離職票がもらえないときの対処法は4つ

離職票がもらえないときの対処法は、以下の4つです。

  • 退職した会社に問い合わせる
  • ハローワークに相談する
  • 失業保険の仮手続きを申請する
  • 労働問題に強い弁護士に相談する

自分の状況に合わせて適切な対処法を選びましょう。

退職した会社に問い合わせる

まずは会社へ問い合わせてみましょう。離職票の手続きが遅れていて、まだハローワークへ提出できていない可能性があります。または会社の認識違いで手続きができていない場合もあります。どちらにせよ、会社に連絡して現在の状況を確認しましょう。

一般的には離職票を依頼してから、10日から2週間程度で届きます。目安の日程を過ぎても離職票が届かない場合は会社に連絡し、会社が既にハローワークへ提出している場合は、ハローワークへ連絡してください。

ハローワークに相談する

会社が既にハローワークへ離職票を提出している場合は、ハローワークへ連絡すれば状況を説明してもらえます。また、会社から離職票がもらえないときも、ハローワークへ相談しましょう。ハローワークへ相談すると、会社へ催促の連絡を入れてくれます。冒頭でも述べましたが、離職票を交付しないと法律違反になります。

そのため、ハローワークから催促の連絡が来れば、会社もきちんと対応するでしょう。

失業給付の仮手続きを申請する

離職票がもらえないからといって、失業保険が申請できないわけではありません。離職票がない場合は、ハローワークで失業保険の仮手続きを申請しましょう。ただし、仮手続きは退職した翌日から12日目以降でなければ申請できませんので注意してください(例:3月31日付けで辞めた人は4月12日から可能)。

仮手続きするときは、以下のものを準備しておきましょう。

  • 証明写真(3cm×2.5cm)2枚
  • 通帳やキャッシュカード
  • 個人番号確認書類(マイナンバーカードなど)
  • 運転免許証
  • 印鑑

仮手続きをしてから4週間後の失業認定日までには、「離職票」が必要になります。それまでに準備しておきましょう。準備できなければ失業保険の給付が保留されます。

労働問題に強い弁護士に相談する

金銭的に余裕がなければ難しいですが、可能であれば労働問題に強い弁護士に相談しましょう。弁護士への相談は最終手段として考えてもらえば結構です。会社やハローワークへ相談しても対応してもらえない場合、弁護士を頼ってください。

弁護士であれば法的手続きを始められるため、会社も速やかに行動へ移してもらえます。

離職票がもらえない理由は?

離職票がもらえない理由としては、以下の4つがあります。

  • 雇用保険に入っていない
  • 離職票が必要ない人だと思われた
  • ハローワークの対応が遅れている
  • 会社から嫌がらせを受けている

離職票がもらえない理由としては、基本的に会社や退職者のミスや勘違いが原因です。それぞれについて解説します。

雇用保険に入っていない

雇用保険に入っていない人は、離職票が必要ありません。離職票は、雇用保険加入者が失業保険を申請するために必要な書類です。

雇用保険の加入条件は「1週間の所定労働時間が20時間以上である」「31日以上雇用の見込みがある」人です。正社員は全員加入が必須ですが、アルバイトやパートも加入条件を満たす場合は、雇用保険の加入が必要です。

そもそも自分が雇用保険に加入しているのかを確かめてください。雇用保険に入っている場合は、会社に離職票をもらいましょう。

離職票が必要ない人だと思われた

雇用保険に入っているからといって、必ずしも離職票が必要だとは限りません。先ほど述べたとおり、離職票は、失業保険を申請するために必要な書類です。つまり、雇用保険に入っていても、失業保険が不要な人には離職票が発行されません。

離職票が必要ない人には「雇用保険資格喪失確認通知書」という書類が送られます。「すぐに働く気がない」「しばらくは休職する」といった内容を上司などと話していると、「離職票がいらない人」だと勘違いされるケースもあります。

雇用保険資格喪失確認通知書ではなく離職票が必要な場合は、その旨を会社に伝えましょう。また、このような勘違いを防ぐためにも、退職を決めた段階で、離職票が必要であることを事前に伝えておくといいでしょう。

ハローワークの対応が遅れている

会社側の問題ではなく、ハローワークの対応が遅れている可能性があります。会社に問い合わせて、既にハローワークへ提出が済んでいる場合は、ハローワークに問い合わせてください。

そもそも離職票は会社が作るものではなく、ハローワークが作るものです。ハローワークの業務が多忙な時期などは、発行まで時間がかかる恐れがあります。ハローワークの対応が遅れていることを考慮して、少し待っていましょう。

会社から嫌がらせを受けている

可能性は低いですが、会社が嫌がらせで手続きを進めていないケースも考えられます。また、ハローワークから既に離職票を受け取っていたとしても、もらったままにしている、といった嫌がらせもあります。会社を辞めるときに揉めてしまった場合やブラック企業に所属している場合は気をつけましょう。

意図的に離職票の発行を遅らせている場合は、ハローワークに相談してください。

ハローワークから会社へ催促の連絡を入れてもらえます。会社は離職票を発行しなければ、罰則があります。そのため、手続きを進めるはずですが、それでも発行してもらえない場合は、弁護士や退職代行サービスなどを利用しましょう。

離職票がもらえない人の条件

離職票がもらえない人の条件は「雇用保険に加入していない」「離職票を請求していない」の2つです。雇用保険に入っていない人は、失業保険を受け取れる権利を持っていません。そのため、離職票が必要ないのです。

自分が雇用保険に入っているか確認するには、給料明細を確かめましょう。雇用保険に入っている人は、給料から雇用保険料が天引きされています。

会社は退職者が離職票を請求した場合、必ず発行しなければなりません。これは労働基準法22条に定められています。

労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。

引用元:労働基準法 | e-Gov法令検索

しかし、逆をいえば退職者が離職票を請求しなければ、会社は離職票を発行する義務がないということです。もし、あなたが離職票を請求していない場合は、離職票がもらえないので注意しましょう。

ただし、59歳以上の退職者は本人の有無に関係なく、離職票の交付が義務付けられています。59歳以上の人は、必ず離職票がもらえるため、もらえない場合は会社に問い合わせましょう。

離職票がもらえないのは違法なのか

先ほど述べたとおり、退職者が離職票を請求した場合、会社は離職票を発行しなければなりません。労働基準法22条で定められているため、発行しなかった場合は違法になります。嫌がらせなどで離職票を発行してもらえなかったとしても、違法行為にあたるため、堂々と立ち向かいましょう。

また離職票は「雇用保険法施行規則7条」「雇用保険法7条」の規定により、労働者が会社を退職した翌日から10日以内に離職証明書の届け出をしなければなりません。発行だけでなく期日も法律で定められています。

もし、これらの法律を無視して離職票を発行しなかった場合、「雇用保険法第83条」の規定により「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されます。

離職票がもらえないときに関するよくある質問

離職票がもらえないときに関するよくある質問は、以下のとおりです。

  • 離職票が発行されるまでの流れは?
  • 離職票がもらえないとき国民健康保険の切り替えはどうするの?
  • 離職票がもらえないとき労働基準監督署に相談すべき?
  • 離職票がもらえないとどうなるの?

それぞれについて解説します。

離職票が発行されるまでの流れは?

離職票は基本的に会社とハローワークとのやりとりで発行されるため、退職者が特に何かをする必要はありません。一般的に離職票が届くまで10日から2週間ほどかかり、以下のような流れで離職票が発行されます。

  1. 会社から離職票が必要か確認されるので、必要であれば請求する
  2. 会社が離職証明証・雇用保険被保険者資格喪失届を作成する
  3. 離職証明証の内容に誤りがないか確認する
  4. 会社が離職証明証・雇用保険被保険者資格喪失届をハローワークに届ける
  5. ハローワークが離職票を発行し、会社へ届ける
  6. 会社から離職票をもらう

会社から2週間以上経っても離職票をもらえないときは、会社に問い合わせましょう。

離職票がもらえないとき国民健康保険の切り替えはどうするの?

離職票がもらえないときでも、国民健康保険の切り替え手続きは可能です。離職票の代わりとして「退職日のわかる書類」を提出しましょう。具体的には、「退職証明書」や「健康保険資格喪失証明書」などです。

退職証明書は、公文書でないため会社ごとにフォーマットが異なります。うまくいけば即日発行もできるため、会社に「退職証明書を発行してほしい」と伝えましょう。

健康保険資格喪失証明書は、日本年金機構のホームページから請求書をダウンロードできます。会社に用意してもらう前に、事前に記入して持っていけばスムーズに発行してもらえます。

離職票がもらえないとき労働基準監督署に相談すべき?

離職票がもらえないとき、労働基準監督署に相談することも1つの手です。労働基準監督署は労働問題に詳しい職員が相談に乗ってくれるため、有益なアドバイスがもらえます。また国が設置した機関であるため、無料で何度でも相談できることがメリットです。

しかし、労働基準監督署に相談したからといって、直接会社に指導してくれるわけではありません。離職票関連は、雇用保険法で定められているため、労働基準監督署ではなくハローワークが管轄になります。つまり、問題を解決したい場合はハローワークに相談しましょう。

もちろん相談だけであれば、労働基準監督署でも問題ありません。最終的にはハローワークや弁護士などに相談するといいでしょう。

離職票がもらえないとどうなるの?

離職票がもらえないと失業保険の受け取りが遅くなってしまいます。離職票がもらえないからといって、手続きを怠ってしまうと、受給期間が短くなり、失業保険を満額もらえない可能性があります。自己都合で退職した人は、失業保険の受給期間が90~150日です。ただし、退職から1年経過すると打ち切られるので注意しましょう。

例えば、失業保険の受給期間が90日の人は退職日から6ヶ月以内、受給期間が150日の人は退職日から4ヶ月以内に申請しなければ、もらえる金額が減ってしまうので注意してください。

まとめ

離職票がもらえないときは、会社に問い合わせたり、ハローワークに相談したりしましょう。基本的には、手続きが遅れているか、勘違いで手続きができないことが理由で、離職票がもらえないことがあります。万が一、会社の嫌がらせにより離職票がもらえないときは、法的手続きも視野に入れましょう。

労働者が離職票を請求すれば、会社は必ず請求に応じなければなりません。請求を拒否すれば、「雇用保険法第83条」の規定により「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されます。離職票がもらえない場合は、ハローワークや弁護士などに相談し、対処しましょう。

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