未払いの残業代を請求する方法|証拠の集め方や手順、自力で解決できるのか解説

未払いの残業代は退職後でも請求できますが、時効がありますので早めに請求することをおすすめします。一般的には弁護士に相談するケースが多いですが、自力で解決することも可能です。

請求するときは証拠が必要となりますので、集め方や有効な証拠を理解しておきましょう。本記事では、未払いの残業代を請求する方法を詳しく紹介します。

また、証拠の集め方や手順も解説していますので、参考にしてください。

本記事の結論

・残業代を自力で請求することは可能、交渉がポイント
・残業代を請求するに必要な証拠は、怠管理システムの記録、パソコンのログ履歴、業務日報やスケジュール帳、上司の証言など
・残業代を請求するための手順は、残業代を計算する、証拠を集める、会社に交渉する、内容証明郵便を送って請求する、弁護士などに相談する、労働審判・訴訟で請求する
・自力で残業代を請求するときのポイントは、就業規則を確認しておく、交渉するタイミングを図る、交渉するときの伝え方を意識するなど

目次

残業代を自力で請求することは可能

未払いの残業代は、必ずしも弁護士や労働基準監督署を通さなくても請求できます。タイムカードや就業規則などの証拠をもとに、会社へ直接交渉することで支払いに応じてもらうことは可能です。

ただし、弁護士に相談したほうがいいケースもあります。どちらの選択肢がいいか、メリット・デメリットから判断しましょう。

  • 自力で請求するメリット・デメリット
  • 弁護士に相談するメリット・デメリット

自力で請求するメリット・デメリット

未払い残業代を自力で請求する大きなメリットは、費用をかけずに解決を目指せることです。弁護士に依頼すれば着手金や成功報酬などが必要になりますが、自分で交渉すれば経済的な負担を避けられます。

また、単なる会社の計算ミスや事務処理の不備であれば、証拠を示すだけで支払いに応じてもらえることもあり、自分の力で円満に解決できる可能性もあります。

法律知識や交渉力が不足していると、会社から残業代は発生していないと主張をはねつけられてしまうのがデメリットです。相手が頑なに姿勢を崩さないと、交渉自体が成立せず話し合いが進まないこともあります。

そのため、解決しやすい内容であれば自力で請求できますが、法的手段が必要な場合などは弁護士のサポートが必要です。

弁護士に相談するメリット・デメリット

未払い残業代の請求を弁護士に相談する最大のメリットは、法律の専門知識を活かして有利に交渉を進められることです。

弁護士が代理人となることで、会社側も安易に請求を無視できなくなり、支払いに応じる可能性が高まります。また、労働審判や訴訟に進んだ場合も一貫して対応してもらえるため、解決までの手続きがスムーズです。

弁護士に依頼する最大のデメリットは、着手金や報酬といった費用が高いことです。そのため、未払いの残業代を回収できたとしても、一部は弁護士代として支払うことになります。

残業代は請求できるケースとできないケースがある

未払い残業代といっても、必ず請求できるとは限りません。労働基準法に基づき、労働時間や割増賃金が正しく計算されていない場合には請求が認められます。

一方で管理監督者やみなし労働制に該当するなど、法律上残業代が発生しないケースも存在します

  • 残業代を請求できるケース
  • 残業代を請求できないケース

残業代を請求できるケース

残業代を請求できるケースは、以下の通りです。

  • 1日8時間、週40時間を超えて働いた場合
  • 法定休日に出勤した場合
  • 午後10時から午前5時までの深夜労働をした場合
  • 固定残業代制度を導入していても、残業時間が上回った場合
  • 労働時間を記録する証拠があるにもかかわらず未払いになっている場合

たとえば、法定労働時間を超える勤務をしているにもかかわらず通常の賃金しか支払われていない場合や、固定残業代を導入している会社で実際の残業が制度上の上限を超えている場合などがよくあるケースです。

労働基準法に違反する形で長時間労働を強いられ、適切な対価が支払われていないケースは、残業代を請求できる可能性が高くなります。

残業代を請求できないケース

残業代を請求できないケースは、以下の通りです。

  • 管理監督者に該当する役職についている場合
  • 裁量労働制やみなし労働時間制が適用されている場合
  • 労働時間にあたらない待機時間や自主的な残業をしている場合
  • 労働契約や就業規則で適切に残業代が支払われている場合

とくに間違えやすいのが、会社からの指示がなく自主的に残業を行ったケースです。朝早くから準備のために出勤している人や、残った仕事を家に持ち帰って仕事している人も会社からの指示がなければ労働時間としてみなされません。

たとえ、証拠があったとしても請求できませんので注意しましょう。また、裁量労働制やみなし労働時間制が導入されている職場では、一定の労働時間を働いたものとみなされるため、原則として残業代の請求は認められにくいです。

関連記事:管理職には残業代が出ないの?もらえるケースともらえないケースを解説します

残業代を請求するには証拠が必要!集め方は?

未払い残業代を請求する際に最も重要なのが証拠です。いくら長時間働いたと主張しても、裏付けとなる記録がなければ認められない可能性が高くなります。

有力な証拠がない場合でも、日々の勤務時間を記録しておくなど、自分で準備しておくことも大切です。残業代を請求するときに必要な証拠の集め方について紹介します。

  • 残業時間を証明するために有効な証拠
  • 労働条件を証明するために有効な証拠
  • 有力な証拠がないときの対処法

残業時間を証明するために有効な証拠

まずは、実際にどれだけ働いた残業時間(労働時間)を示す証拠が必要です。

タイムカードや勤怠管理システムの記録

タイムカードや勤怠管理システムの記録は、実際に働いた時間を客観的に示す有力な証拠になります。ただし、打刻後に働かされたり、勝手に修正されたりして実態と異なる場合もあります。

その際は他の証拠と併せて主張することが大切です。

パソコンのログイン・ログオフ履歴や業務メール・チャットの送受信記録

パソコンのログイン・ログオフ履歴は、勤務終了時刻を示す有力な証拠です。とくに事務作業のように業務内容が一定の場合、ログだけでも残業の有無を裏付けられます。

さらに、業務メールやチャットの送受信記録があれば信頼性が高まります。スマホのLINEでの業務連絡や報告も証拠として有効です。

電話の履歴を用いる際は、同時に働いていたことを示す別の資料とあわせて提示する必要があります。

業務日報やスケジュール帳

日々の業務内容や作業時間を記録した業務日報やスケジュール帳は、残業時間を示す有効な証拠です。会社に提出している業務日報であれば、会社側が内容を把握し認めていたと判断されやすくなります。

自分のスケジュール帳に記録する場合は、継続して記録を残すことが大切です。捏造を疑われないために、書き終えたページをスマホで撮影しておくと、証拠としての信頼性をさらに高められます。

防犯カメラや入退室管理システムの履歴

オフィスや工場に設置された防犯カメラの映像、入退室管理システムの履歴も残業を証明する有効な証拠です。タイムカードを打刻した後でも、実際にその時間帯に職場へ出入りしていた事実を客観的に示せます。

ただし、職場にいたことは証明できますが、働いている姿が映っていなければ業務をしていないと、会社から反論される恐れがあります。

また、カメラ映像は保存期間が短いことが多いため、早めにコピーを依頼することが重要です。入退室記録についても、会社が管理しているケースが多いため、必要に応じて開示を求めましょう。

同僚や上司の証言

一緒に働いていた同僚や、業務を管理していた上司の証言も重要な証拠になります。第三者が残業をしていたと証言すれば、自分だけの主張よりも客観性が増すため、裁判や労働審判でも有利に働きます。

ただし、証言してくれる人が社内に残っている場合は、会社との関係性から協力を得にくいことも少なくありません。そのため、証言をお願いする際は信頼関係のある人を選び、慎重に進めることが大切です。

労働条件を証明するために有効な証拠

次は、未払いの残業代を計算するために労働条件を証明するために有効な証拠が必要です。

雇用契約書・労働契約書

雇用契約書や労働契約書は、労働者と会社が合意した勤務条件を証明する基本的な資料です。就業時間や給与、業務内容、休日などが明記されているため、残業代の計算や請求の根拠として活用できます。

署名や押印があると、契約の合意が確実にあったことを示せるため、裁判や労働審判での証拠力も高まります。契約書に記載されている条件と実際の勤務状況を照らし合わせることが重要です。

就業規則や給与規程

就業規則や給与規程は、会社が定めた労働条件のルールブックです。残業代の計算方法や支払い条件、固定残業代の扱いなどが記載されているため、未払いがあった場合の確認資料として有効です。

就業規則は労働者に周知されている必要があり、違反があれば会社に是正義務が生じます。給与規程とあわせて確認することで、残業代の算定基礎や除外対象の手当を正確に把握できます。

給与明細

給与明細には、基本給や各種手当、控除の内訳が記載されており、残業代の計算基礎を確認するための重要な資料です。残業代に含まれない手当を特定したり、固定残業代の有無を確認したりする際に活用できます。

複数月分をそろえることで、継続的に残業代が支払われていなかった事実を示すことが可能です。また、会社側も公式文書として否定しにくいため、請求時の証拠として信頼性が高い資料となります。

有力な証拠がないときの対処法

まず、証拠は可能な限り退職前に集めておくことが望ましいです。退職後は就業規則や賃金規程など、会社内部の資料が閲覧できなくなるケースがあります。残業時間を裏付ける証拠が不足している場合は、会社に証拠の開示を求めましょう。

会社側が保管している「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」などは、法律上3年間の保存義務があるため、直近3年間分は会社が保有しているはずです。

ただし、こうした証拠を会社が隠ぺいしたり、改ざんしたりする可能性があります。そのため、法的手段に進む場合は裁判所に申し立てて、証拠を確保しておくことが重要です。

残業代を請求するための具体的な手順

未払いの残業代を請求する際は、段階を追って手続きを進めることが重要です。残業代を請求するための具体的な手順を紹介します。

  • 1.請求前に未払いの残業代を計算する
  • 2.労働した証拠を集める
  • 3.会社に未払いの残業代について交渉する
  • 4.内容証明郵便を送って請求する
  • 5.労働基準監督署や弁護士に相談する
  • 6.労働審判で残業代を請求する
  • 7.訴訟で残業代を請求する

1.請求前に未払いの残業代を計算する

まず、自分が受け取るべき残業代を正確に算出しましょう。計算式は「基礎単価 × 割増率 × 残業時間」です。基礎単価は基本給や各種手当、控除額を確認して算出し、割増率は深夜労働や休日労働など変わるため注意が必要です。

残業の種類が複数ある場合は計算が複雑になるため、エクセルや専用ツールを使うと正確に算出できます。算出結果は交渉や請求時に必要になりますので、事前に準備して記録しておきましょう。

2.労働した証拠を集める

残業代を請求するには、実際に働いたことを示す証拠が必要です。証拠があれば、会社との交渉でも認めてもらいやすくなり、支払いに応じない場合に労働基準監督署や弁護士へ相談するときにも役立ちます。

有力な証拠には以下のものがあります。

  • タイムカードや勤怠管理システムの記録
  • パソコンのログイン・ログオフ履歴、業務メール・チャットの送受信記録
  • 業務日報やスケジュール帳
  • 防犯カメラや入退室管理システムの履歴
  • 給与明細
  • 同僚や上司の証言

証拠を用意できない場合も、会社に情報開示を求めるなどして諦めず、可能な限り記録を確保することが重要です。

3.会社に未払いの残業代について交渉する

自力で残業代を回収する場合、会社との交渉は最も重要なステップです。まず、事前に計算した未払い額や集めた証拠を整理し、冷静かつ具体的に提示します。交渉の際は感情的にならず、事実と法的根拠に基づいて話すことが大切です。

会社側の計算ミスや確認不足であれば、交渉だけで解決できることもあります。また、交渉中は相手の反応や社内ルールを確認し、こちらの主張が正当であることを示すことで説得力が増します。

しかし、証拠が不十分だったり会社が応じない場合は、内容証明郵便で正式に請求するなど、次のステップを視野に入れて計画的に行動することが重要です。

4.内容証明郵便を送って請求する

会社が交渉に応じない場合や、自力での話し合いだけでは解決が難しい場合は、内容証明郵便を使って正式に請求します。内容証明郵便とは、誰が、いつ、どの内容を送ったかを郵便局が証明してくれるものです。

法的手段に進む際の重要な証拠となり、未払い残業代の金額や計算方法、支払い期限などを具体的に記載します。具体的な書き方については、後に紹介するので参考にしてください。

内容証明郵便を送ることで、会社に一定のプレッシャーを与えることができますが、万一反応がない場合は、労働基準監督署や弁護士など第三者のサポートを求めることも検討しましょう。

5.労働基準監督署や弁護士に相談する

交渉や内容証明郵便で解決が難しい場合は、労働基準監督署や弁護士に相談することが有効です。労働基準監督署では、会社の労働条件や未払い状況を調査し、違反があれば改善勧告や指導を行ってもらえます。

この指導により、会社がリスク回避のために支払うケースもあります。ただし、労働基準監督署は個人への支払い義務を強制できないため、必ずしも解決につながるとは限りません。

一方、弁護士に依頼すると、未払い残業代の請求を法的に進める手続きや交渉を代理で行ってもらえます。

費用はかかりますが、証拠の整理や計算方法の確認、会社とのやり取りなど専門的なサポートを受けられるため、請求の成功率や安心感が高まります。状況に応じて両方の相談を活用し、最適な対応を検討することが大切です。

6.労働審判で残業代を請求する

労働審判は、裁判所が専門的知識を持つ裁判官、労働審判官、調査官を交えて、迅速に解決を図る手続きです。通常、1回から3回程度の審理で結論が出るため、訴訟よりも短期間での解決が期待できます。

申立てには、未払い残業代の計算書や証拠書類、請求内容をまとめた資料が必要です。労働審判は専門家の助言を受けながら進められるため、初めて法的手段を取る場合でも比較的安心して利用できます。

7.訴訟で残業代を請求する

交渉や労働審判でも解決できない場合は、訴訟によって残業代を請求することになります。手続きには時間がかかることがありますが、証拠が十分に整っていれば、比較的早期に結論が出る場合もあるでしょう。

裁判所の判断により支払い命令が出されると、会社には法的な従う義務が生じます。万一従わない場合は、強制執行として財産の差押えが行われることもあります。

自力で残業代を請求するなら交渉がポイント

自力で残業代を請求する場合、会社との交渉が解決のカギになります。証拠や計算が整っていても、交渉の進め方次第で結果が大きく変わることがあります。

交渉時に意識するポイントやタイミング、交渉時に提出する請求書の書き方について見ていきましょう。

  • 社内ルールや就業規則を確認する
  • 交渉するタイミング
  • 交渉するときの伝え方
  • 交渉時に提出する請求書の書き方

社内ルールや就業規則を確認する

交渉を始める前に、自分の会社の就業規則や賃金規程をしっかり確認しておくことが重要です。残業手当の支給条件や計算方法、申請の手続きが明記されていれば、自分の請求が規則上正当であることを具体的に示せます。

また、規則に沿った手順で請求することで、会社側も受け入れやすく、感情的な対立を避けやすくなります。就業規則に記載がない部分やあいまいな点があれば、労働基準監督署や社内の相談窓口に確認することも検討しましょう。

交渉するタイミング

まずは、証拠や計算が整い、自分の請求内容を明確に整理できた段階で行うことが望ましいです。退職前であれば、社内資料や出勤記録を直接確認できるため、有利に進めやすくなります。

また、繁忙期や業務が立て込んでいる時期を避けることで、会社側も他の業務に追われることがなく問題に向き合ってくれます。

さらに、話し合いの場を設ける前に、口頭でのやり取りだけでなく、事前にメールなどで交渉の意向を伝えておくと、トラブル防止や記録としても役立つでしょう。

交渉するときの伝え方

交渉の際は、根拠となる証拠に基づいて説明していることを明確に伝えましょう。口頭での説明だけでなく、計算した未払い残業代や就業規則のコピーなどを提示すると、説得力が増します。

また、未払いの残業代を支払わないことは法律違反であるため、単なるお願いではなく、規則に基づく請求であることを示すことが重要です。

ただし、高圧的な態度は避け、相手の意見もきちんと聞きながら、反論や疑問には冷静に対応する姿勢を持つことがポイントとなります。

交渉時に提出する請求書の書き方

内容証明郵便を使って会社と交渉する際には、請求書が必要です。具体的な書き方については、以下を参考にしてください。

20〇〇年〇〇月〇〇日

〇〇株式会社

代表取締役 〇〇〇〇殿

〇県〇市〇町〇〇〇〇

〇〇 〇〇(氏名)

請求書

 

私は貴社に勤務しておりました〇〇(氏名)と申します。下記の通り、未払いとなっている残業代の支払いを請求いたします。

対象期間は20XX年〇月〇日から20XX年〇月〇日までで、当期間の残業時間は総計XX時間となり。合計の未払い残業代はXXX円です。つきましては、20XX年〇月〇日までに上記金額をご指定口座にお振込みくださいますようお願い申し上げます。

なお、支払いが確認できない場合は、労働基準監督署への相談や法的手段を取らせていただくこともございますので、ご了承ください。

請求書を作成する際は、まず宛先を正確に記載し、誰に送るかを明確にします。自分の氏名や住所、連絡先を記載することで書面としての信頼性が高まります。

請求内容は、期間や残業時間、計算方法、請求金額を具体的に示すことが重要です。あわせて支払い期限を明記し、会社に行動を促す効果を持たせます。

また、請求書には労働基準法や社内規則に基づく正当な請求であることを示す文言を入れ、単なるお願いではないことを伝えることがポイントです。

最後に、期限までに支払いがなければ労働基準監督署への相談や法的手段に移る可能性がある旨を記載しておくと、会社側に適度なプレッシャーを与えつつ冷静に交渉を進めやすくなります。

残業代を請求するときは時効に注意

未払いの残業代を請求する際には、時効に注意しなければなりません。労働基準法では、残業代などの賃金請求権は原則3年間で消滅します。

そのため、過去にさかのぼって請求できるのは直近3年分までであり、それ以前の分は請求できなくなるのです。準備に時間をかけすぎると、本来受け取れる金額を失う可能性があるため、早めに動き出すことが大切です。

また、時効はそのまま進行してしまいますが、一定の方法で止めることが可能です。代表的な方法としては、内容証明郵便を送って会社に請求の意思を示すことや、労働審判や訴訟を申し立てることが挙げられます。

これらの手続きを行うと、その時点で時効が中断され、改めてカウントが始まります。

残業代の請求についてよくある質問

残業代の請求についてよくある質問について紹介します。

  • 残業代を請求するときに相談できる窓口は?
  • 残業代の請求について弁護士に相談するときの費用は?
  • 残業代を請求しないほうがいいケースは?
  • 残業代の請求で勝率を高めるには?
  • 残業代を請求しないという誓約書は違法?

残業代を請求するときに相談できる窓口は?

残業代の未払いを解決するために相談できる主な窓口は、以下の通りです。

  • 労働基準監督署
  • 弁護士
  • 労働組合(ユニオン)
  • 労働局のあっせん制度
  • 総合労働相談コーナー

一般的には、労働基準監督署や弁護士へ相談することで解決につながることが多いです。

総合労働相談コーナーなども利用できますが、専門的な対応が必要と判断されれば、最終的には労基署や弁護士にまわされるケースが少なくありません。

残業代の請求について弁護士に相談するときの費用は?

弁護士に残業代請求を依頼する場合、主に「相談料」「着手金」「報酬金(成功報酬)」が発生します。相談料は30分あたり5,000円前後が相場ですが、初回無料相談を実施している事務所も多いです。

着手金は請求金額や依頼内容によって変動し、10万円前後から設定されることがあります。報酬金は実際に回収できた金額の20〜30%程度を目安として請求されるのが一般的です。

費用負担が気になる場合は「完全成功報酬型」を掲げる法律事務所や、法テラスの法律扶助制度を利用する方法もあります。依頼前に料金体系を必ず確認し、自分に合ったプランを選ぶことが大切です。

残業代を請求しないほうがいいケースは?

残業代の請求は労働者の正当な権利ですが、状況によっては請求による不利益が大きくなる場合もあります。請求額や対応の手間、今後のキャリアなどを総合的に考えて判断することが重要です。

  • 請求額がごく少額で、弁護士費用や手間が大きく上回る場合
  • 次の転職先が決まっており、労使トラブルを避けてスムーズに退職したい場合
  • 未払いの残業代が少なく、現職で将来的にも長く働き続けたい人

自力で解決できる場合は少額でも請求して問題ありません。しかし、弁護士に依頼する必要がある場合は費用が請求額を上回り、損をする可能性があります。

また、将来的にも現在の会社に長く勤めたい人は、未払いの残業代を請求すると関係が悪化するリスクがあるため、あえて請求しないことも選択肢の一つです。

残業代の請求で勝率を高めるには?

残業代の請求で成功率を高めるには、事前の準備と証拠の確保が欠かせません。タイムカードや勤怠管理システムの記録、業務日報、メールやチャットの履歴など、働いた時間や業務内容を裏付ける証拠は必ず集めておきましょう。

さらに、自力で交渉するよりも、労働基準監督署や弁護士などの専門機関のサポートを得ることで、請求の説得力が増し、勝率を高められます。

残業代を請求しないという誓約書は違法?

会社が「残業代を請求しない」と署名させる誓約書や同意書を作成しても、労働基準法上、効力は認められません。未払い残業代は労働者の法的権利であり、これを放棄する契約自体が無効とされます。

仮に署名してしまっても、後から請求することは可能です。ただし、会社によっては誓約書の存在を理由に支払いを渋ったり、関係性に影響を与えようとする場合があります。

そのため、誓約書の内容を軽視せず、署名前に内容を確認し、疑問があれば労働基準監督署や弁護士に相談することが重要です。

まとめ

未払い残業代を請求することは、労働者に認められた正当な権利です。自力で請求する場合も、弁護士や労働基準監督署などの専門機関を活用する場合も、共通して重要なのは「証拠の確保」と「事前の準備」です。

タイムカードや勤怠管理システム、業務日報など、働いた時間や業務内容を裏付ける資料を整えることで、交渉や法的手続きの成功率が大きく高まります。

在職中に未払いの残業代を請求すると会社に居づらくなることもあります。退職を考えている場合や、直接やり取りするのが気まずいときは、退職代行サービスを利用するのも有効な手段です。

退職に関する悩みや不安のある人は、退職代行ほっとラインまでご相談ください。

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