転職を成功させるには、市場価値を高めることが大切です。自分を商品として考えたときに、価値が高ければ、さまざまな会社から採用されやすくなります。しかし、自分の市場価値を高める方法がわからない人も少なくありません。市場価値の高め方は、年齢によって多少ポイントが異なります。
本記事では、転職における市場価値の高め方について解説します。年齢別にポイントを紹介していますので、参考にしてください。
・転職における市場価値の高め方は、新しいスキルや知識を身につける・ポータブルスキルを身につける・新規ビジネスの経験を積むなど
・20代の転職における市場価値を高めるポイントは、基礎スキルを構築し基盤を整えること
・30~40代の転職における市場価値を高めるポイントは、具体的な実績の提示と即戦力となるスキルを身につけること
・転職前に市場価値を確かめておく重要性は、自分の強みや弱みが把握できることや、転職先を絞りやすくなるなど
目次
転職における市場価値の高め方
転職における市場価値の高め方は、以下の通りです。
- 1.自分の市場価値を測定する
- 2.市場で求められている人材を知る
- 3.新しいスキルや知識を身につける
- 4.ポータブルスキルを身につける
- 5.新規ビジネスの経験を積む
- 6.アピールできる実績を作る
- 7.市場価値の高い希少人材を目指す
それぞれについて見ていきましょう。
1.自分の市場価値を測定する
市場価値を高めるためには、自分の市場価値がどの程度あるのか知ることから始めましょう。現在の市場価値が分かれば、どのくらい市場価値を高めればいいのか目安になります。自分の市場価値を測定するには、自分の業界や同年齢の標準年収を調べて、自分の年収と比較することです。
標準よりも高いほど、市場価値が高いといえます。例えば、男女別・年齢別の平均年収は以下の通りです。なお、平均年収は「月収×12ヶ月」となっていますので、ボーナスは含まれておりません。
年齢階級 | 男性 | 女性 | 男女計 |
---|---|---|---|
平均 | 約421万円 | 約315万円 | 約382万円 |
~19歳 | 約229万円 | 約226万円 | 約228万円 |
20~24歳 | 約275万円 | 約264万円 | 約266万円 |
25~29歳 | 約321万円 | 約295万円 | 約301万円 |
30~34歳 | 約363万円 | 約312万円 | 約343万円 |
35~39歳 | 約405万円 | 約324万円 | 約378万円 |
40~44歳 | 約446万円 | 約332万円 | 約407万円 |
45~49歳 | 約476万円 | 約338万円 | 約427万円 |
50~54歳 | 約501万円 | 約343万円 | 約445万円 |
55~59歳 | 約513万円 | 約338万円 | 約452万円 |
60~24歳 | 約401万円 | 約296万円 | 約367万円 |
65~69歳 | 約352万円 | 約261万円 | 約324万円 |
上記の表と自分の年収を比較して、市場価値を測定してください。また市場価値を測定する方法としては、転職エージェントを利用したり、市場価値を調べる診断ツールを使用したりなどがあります。自分に合った方法を選びましょう。
2.市場で求められている人材を知る
市場でどのような人材が求められているのか知ることが重要です。新しいスキルや知識を身につけることで、自分の市場価値を高められます。しかし、必要のないスキルや知識を身につけても、意味がありません。そのため、市場が求めている人材を把握する必要があります。
会社の求める人材は、会社の採用ページなどに記載されていることが多いので、しっかり確認しておきましょう。
3.新しいスキルや知識を身につける
新しいスキルや知識を身につけることも、自分の市場価値を高める方法の一つです。自分の能力が上がれば、対応できる範囲が広がりますので、より多くの会社に求められやすくなります。スキルや知識を身につける方法としては、以下を参考にしてください。
- 資格を取得する
- 興味のある分野を独学する
- セミナーや研修に参加する
- 上司に新しい業務を教えてもらう
どのようなスキルを身につけても自分のためになります。ただし、転職活動を成功させるには自分が応募したい業界・会社が必要とするスキルを身につけましょう。上記でも説明しましたが、会社が求める人材は採用ページや求人情報などに記載されていますので、その内容を参考にすることが大切です。
会社によって必要なスキルが異なります。応募する会社が絞り込めていない人は、ポータブルスキルを身につけましょう。
4.ポータブルスキルを身につける
ポータブルスキルとは、業種や職種が変わっても持ち運びができる職務遂行上のスキルのことです。簡単にいえば、どの会社でも必要とされるスキルのことです。例えば、コミュニケーションや対応力、提案力などがあります。厚生労働省では、ポータブルスキルを「仕事のし方」と「人との関わり方」の2つの視点にわけています。
【仕事のし方(対課題)】
リサーチスキル、ヒアリングスキル、現状把握スキル、アサインスキル、スケジュール管理能力、リスクマネジメントスキル、進捗管理能力、的確な指示を出すスキル、臨機応変な対応力
【人との関わり方(対人)】
プレゼンスキル、報連相のスキル、ヒアリング能力、提案力、コミュニケーションスキル、マネジメントスキル、コーチングスキル、傾聴力、周りを巻き込むスキル
ポータブルスキルは、時代の変化に影響されにくいため、身につけておけば将来的にも活用できるスキルです。厚生労働省では、ポータブルスキルを測定し、自分の能力を活かせる職務・職位を提示する「ポータブルスキル見える化ツール(職業能力診断ツール)」を紹介していますので、参考にしてください。
5.新規ビジネスの経験を積む
安定した組織の中で淡々と業務をこなすよりも、新規ビジネスやサービスの立ち上げ経験を積んでいるほうが、市場価値が高くなります。以下の2つを例に考えてみましょう。
A:前任者から作業を引継ぎ、安定した経営の中で業務を遂行する
B:ベンチャー企業で新規事業の立ち上げメンバーとして活躍、転勤先で傾いた業績を立て直す
上記のAとBでは、Bの経験を積んでいたほうが高い評価を得られる可能性があります。新規ビジネスの経験は、誰でも経験できるものではありません。とくに社歴の短い人は難しいでしょう。
そのような場合は、「困難な状況を打開した経験」や「ピンチの状態から売り上げを伸ばした実績」などでも構いません。希望する業界や会社に関連するエピソードがないか洗い出しましょう。エピソードがない場合は、転職する前に新規プロジェクトに参加するなど、アピールできる実績を作りましょう。
6.アピールできる実績を作る
アピールできる実績を作ることが大切です。中途採用は即戦力となるスキルや実績が重視されます。実績や成果を残していれば、即戦力となる能力を証明できます。とくにリーダー・マネジメントの経験がおすすめです。例えば、新規プロジェクトのリーダーなどです。リーダーシップやマネジメントスキルは、ポータブルスキルの一つでもあり、多くの会社が必要としています。
ただし、実績を作るには時間がかかります。そのため、すぐに転職するけど実績がない人は、業務効率を上げたエピソードや、仕事をする上で大切にしていること、失敗から学んだことなどをアピールしましょう。
7.市場価値の高い希少人材を目指す
希少性の高い人材を目指すことも、市場価値を高める方法の一つです。専門性に特化したスキルは、他の転職者と差別化が図れるため、市場価値が高くなります。また、専門性に特化したスキルでなくても、複数のスキルを掛け合わせることで希少性を高めることも可能です。例えば、いかのようなものがあります。
- 「コミュニケーションスキル」×「分析スキル」×「営業スキル」
- 「プログラミングスキル」×「スケジュール管理能力」×「リーダーシップ力」
- 「論理的思考力」×「ヒアリング力」×「提案力」
上記のように各スキルを掛け合わせて自分のできることをアピールすれば、高評価に期待できます。
もちろん、上記のスキルや専門性に特化したスキルは、すぐに取得できるものではありません。どのようなキャリアプランを描くのか、計画的に目標を立てるようにしましょう。
転職における市場価値を高めるポイントを年齢別に紹介
転職における市場価値を高めるポイントを年齢別に紹介します。
- 20代:転職における市場価値を高めるポイント
- 30代:転職における市場価値を高めるポイント
- 40代:転職における市場価値を高めるポイント
- 50代:転職における市場価値を高めるポイント
20代:転職における市場価値を高めるポイント
20代は将来性を重視されやすいため、実績よりも成長意欲に期待される年代です。20代で市場価値を高めたい場合は、基盤を固めることが大切です。業種や職種に応じた基礎スキルを磨きましょう。例えば、営業職であれば対応力や傾聴力、事務職であればコミュニケーションスキルや基本的なパソコンスキルなどです。
また、ある程度キャリアの方向性を定めることを意識しましょう。将来像をイメージし、キャリアの方向性を定めることで、将来必要になるスキルの取得に早い段階で取り組めます。スキルや資格の取得は時間のかかるものもありますので、早めに取り組んでおけば転職時に役立つでしょう。
30代:転職における市場価値を高めるポイント
30代になると経験や実績を積み始めるため、即戦力のスキルが求められます。そのため、資格の取得など専門性を高めたり、アピールできる実績を作ったりすることがポイントです。指示される側から指示する側に変わりますので、リーダー経験やマネジメント経験を積むのが効果的です。
そのため、課題に対してチーム全体で取り組めているか、周りを巻き込んで作業にあたれているか、などの視点からアピールするといいでしょう。
40代:転職における市場価値を高めるポイント
40代は、経験や実績が豊富にありますので、具体的な数値を用いた説明が求められます。それだけではなく、組織全体とのかかわり方も重視される年代です。経営者としての視点を持っているか、自部門の働きが会社の利益のどのように結びついているかなどを意識してください。
また、チームを引っ張るだけでなく部下の教育など、後進育成について会社に利益をもたらしているかもポイントの一つです。売上だけでなく、多方面から会社の利益の貢献を担えるように取り組みましょう。
50代:転職における市場価値を高めるポイント
50代は、個人の専門スキルよりも、部門やプロジェクトを統括する力や部下を育成するスキルが求められる年代です。会社や若手の成長に貢献する行動が重要です。少しでも転職活動の選択肢を広げるためには、専門分野以外のスキルも身につけておくとよいでしょう。
転職における市場価値とは?
転職における市場価値とは、「会社から求められている度合い」を表す言葉です。会社が求めるスキルを持ち合わせているほど、市場価値が高くなります。専門的なスキルも重要ですが、そのスキルを必要とする会社がなければ、希少性の高いスキルを持ち合わせていても意味がありません。
- 市場価値は3つの要素で決まる
- 転職における市場価値が高いとは?
- 市場価値を測る方法・確かめ方
市場価値は3つの要素で決まる
市場価値は一般的に「能力」「経験」「実績」の3つの要素で決まります。ただし、会社のニーズは景気動向や雇用情勢などによっても影響を受けます。そのためこれら3つだけでなく、企業のニーズや社会情勢も含まれると考えておきましょう。
1.能力
市場価値を決める要素として転職者の「能力」は重要です。とくに中途採用は、即戦力となるスキルが求められます。専門的な業務に必要な「テクニカルスキル」や、業種や職種に関係なく持ち運べる「ポータブルスキル」など、自分の保有しているスキルを洗い出しましょう。
2.経験
これまでの経験も市場価値を決める要素の一つです。「所属部署」「担当業務」「社歴」「担当プロジェクト」など、経験に関する項目についてまとめてください。経験から得たものや学んだことも一緒に書いておくといいでしょう。社歴の長い人は、豊富な経験がありますので、応募する業界や会社に合った内容を選別してください。
社歴が短い人は、「仕事への取り組み方・姿勢」や「仕事に対する工夫」などをキーワードに考えてみましょう。
3.実績
実績や成果は、応募者を評価するポイントになります。実績や成果を残すことで、保有している知識やスキルを証明することが可能です。たとえ資格を10個取得していたとしても、何も実績を残せていなければ高い評価を得られません。逆に何も資格を取得していなくても、「売上を〇%伸ばした」「〇〇件の契約を結んだ」などの実績があれば市場価値が高くなります。
第二新卒などの社歴が短い人は、実績よりも学歴や将来性を考慮されやすいため、さほど気にする必要はありません。
転職における市場価値が高いとは?
転職における市場価値が高いとは、会社の求めるスキルやニーズをどれほど持ち合わせているかによります。専門的な知識を持ち合わせているだけではなく、会社がその知識を求めているかが重要です。転職における市場価値は、需要と供給のバランスによって決まるため、時代とともに変化します。一般的に需要は「会社が求めるスキルや経験」、供給は「会社が求めるスキルや経験を持ち合わせた求職者の数」を指します。
近年ではテクノロジーの進化によりIT関係のスキルが重宝され、需要が高いです。一方、AIに代用されるような計算スキルや機械の操作スキルなどは需要が低くなります。
このように時代とともに需要が変わりますので、企業が何を求めているかをしっかりと把握し、そのスキルを自分が持ち合わせているかが重要です。
市場価値を測る方法・確かめ方
自分の市場価値を測る方法は、以下のようなものがあります。
- 業界・年齢などの年収と自分の年収を比較する
- 転職エージェントに相談する
- 市場価値を診断するツールを利用する
- SNSなどで情報を集める
転職前に市場価値を確かめておく重要性
転職前に市場価値を確かめておくと、以下の3つのメリットがあります。
- 自分の強みや弱みを洗い出せる
- 転職先を絞りやすくなる
- 自分に合った年収が把握できる
それぞれについて見ていきましょう。
自分の強みや弱みを洗い出せる
自分の市場価値を確かめる際に、自身のスキルや強み、弱み、実績などを洗い出します。洗い出した結果、自分に足りないものやアピールできるポイントを把握できるのがメリットです。自分の強みや弱みが理解できれば、自分の市場価値を高めるための行動に移せます。
転職先を絞りやすくなる
上記で説明した通り、自分の強みや弱みが洗い出せるため、自分に適した転職先を絞りやすくなります。適正の合わない会社に応募しても、採用される確率が低く、ミスマッチの原因や時間の無駄になるため、避けるべきです。市場価値を確かめておけば、これらのリスクを回避できることがメリットです。
自分に合った年収が把握できる
自分の市場価値を確かめる方法として、業界や職種、年齢などの標準年収を調べて、自分の年収と比較する方法があります。自分の市場価値を確かめることで、転職先の年収を把握できます。適正年収を把握できれば、応募先を絞りやすくなるのもポイントの一つです。自分の能力に対して、年収の低い会社へ応募するリスクも避けられます。
転職における市場価値の高め方についてよくある質問
転職における市場価値の高め方についてよくある質問を見ていきましょう。
- 転職における市場価値の高い人はどんな人?
- 将来的に市場価値が高まる人とは?
- 市場価値を転職活動に活かすには?
転職における市場価値の高い人はどんな人?
転職における市場価値の高い人の特徴は、以下の通りです。
- 専門的なスキルを保有している人
- 多くのポータブルスキルを保有している人
- 豊富な実績と経験がある人
- リーダー・マネジメント経験がある人
- 自分の実績を再現できる人
- 会社の利益に貢献できる人
先に説明した通り、スキルや経験は応募する会社の求めるものでなければ意味がありません。この点が非常に重要ですので、間違えないようにしましょう。
また、提示した実績や成果を転職先で再現する必要があります。そのため、自分の実績や成果を論理的に説明できる人は市場価値が高い傾向があります。
将来的に市場価値が高まる人とは?
将来的に市場価値が高まる人は、環境の変化に柔軟に対応できる人です。現在、急速にAI技術が進化し、世界情勢の変動が多いことからVUCA時代といわれています。VUCA時代とは、「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字をとっており、将来を予測するのが難しい時代のことです。
新型コロナウイルスや地球温暖化、ウクライナ情勢など、私たちの予測ができないさまざまな出来事が起きています。この目まぐるしく変わる環境の中で成果を残すためには、従来の手法にとらわれず、状況に応じて柔軟に対応することです。
市場価値を転職活動に活かすには?
自分の市場価値を把握できれば、転職活動に活かすことが重要です。例えば、転職活動のタイミングを見極めることに活かせます。市場の求めるスキルに比べ、自分の保有しているスキルが不足している場合は、現職にとどまり資格を取得したりや業績を残したりすることでタイミングを図れます。
また、自分の保有しているスキルが市場の求めるスキルとマッチしているときは、そのスキルを積極的にアピールすること高評価を期待できるでしょう。
まとめ
転職における市場価値の高め方は、以下の通りです
- 自分の市場価値を測定する
- 市場で求められている人材を知る
- 新しいスキルや知識を身につける
- ポータブルスキルを身につける
- 新規ビジネスの経験を積む
- アピールできる実績を作る
- 市場価値の高い希少人材を目指す
年齢に応じて市場価値の高め方が異なります。例えば、20代であれば基礎スキルを構築することが大切です。30~40代は、即戦力となるスキルが求められるだけでなく、具体的な実績の提示が求められます。
なお、市場価値の高め方や転職に関する悩みは、転職エージェントに相談すると効果的です。また、退職に関する悩みがあれば退職代行サービスを利用しましょう。
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