パワハラ被害にあった場合の無料相談窓口8選!被害にあったときの対処法とセットで解説します

パワハラ被害を会社に相談しても53.2%の会社は「何もしてくれない」ことをご存知でしょうか?社内の相談窓口は相談しやすいですが、何も対応してもらえない可能性があります。

しかし、社内以外であればどこに相談すればいいのかわからない人も多いのではないでしょうか。

本記事では、パワハラの無料相談窓口8選を紹介します。社内以外の相談窓口を7つ紹介していますので、自分に合った相談窓口を選んでください。また、被害にあったときの対処法や相談するまでに準備しておくことなども、紹介しますのでぜひ参考にしてください。

本記事の結論
・パワハラの無料相談窓口は「総合労働相談コーナー」「法テラス」「ハラスメント相談窓口」など
・パワハラを相談する前に証拠を集めておくことが大切
・パワハラ被害を会社に相談しても53.2%の会社は「何もしてくれない」

パワハラの無料相談窓口8選

パワハラの無料相談窓口は、以下の8つです。

  • 社内の相談窓口
  • 総合労働相談コーナー
  • NPO法人労働組合
  • ハラスメント悩み相談室
  • みんなの人権110番
  • こころの耳
  • 法テラス
  • 弁護士

相談窓口によって特徴が異なります。自分に合う合わないがありますので、参考にしながら相談する場所を探してください。

社内の相談窓口

厚生労働省が発表した「職場のハラスメントに関する実態調査について(令和5年度報告書)」によれば、パワハラを受けていることを認知した後、53.2%の会社が「特になにもしなかった」と回答しています。

また同調査において、パワハラを受けた後、社内の相談窓口に相談した人は4.5%(令和2年度調査:5.4%)となっています。4.5%と聞くと少なく感じるかもしれませんが、労働組合や弁護士などに相談した割合と比べれは高い方です。

社内の相談窓口は、社内に設置されていることもあり相談しやすいことがメリットです。社内でパワハラが起きていることを上層部や経営陣に伝える役割を担っています。ただし、上記の結果を見るとあまり期待はできません。

もちろんすべての会社が何も対応してもらえないわけではないため、一度相談することをおすすめします。もし、相談したにもかかわらず何も対応してもらえない場合は、社外の相談窓口を利用しましょう。

総合労働相談コーナー

総合労働相談コーナーは、パワハラはもちろん、嫌がらせ、いじめ、解雇、賃金の引き下げなど、さまざまな労働問題に対する悩みを相談できる公的機関です。労働者、事業者、学生、就活生、外国人などに対応しているため、誰でも気軽に相談できます。

予約は不要で面談もしくは電話から無料で相談可能です。土・日・祝日・年末年始(12月29日から1月3日)以外は開庁しています。開庁時間は各所在地によって異なりますので、ホームページから確認してください。

相談だけでなく会社への指導や紛争調整委員会によるあっせんなども利用可能です。プライバシーも保護されており、安心して利用できます。

NPO法人労働組合 作ろう!入ろう!相談センター

NPO法人労働組合は、パワハラ、セクハラ、労働時間、残業時間など労働に関する問題であれば、なんでも相談できるNPO法人です。相談方法は、メール・電話・面談(要予約)の3つです。労働者であれば誰でも相談できますが、経営者は相談できません。

上記の総合労働相談コーナーや労働基準監督署などと違い、完全に労働者側の立場に立って相談に乗ってもらえます。相談は無料で平日の午前9時から午後5時まで対応しています。

継続して相談したい場合は、ジャパンユニオンという労働組合へ加入が必要です。入会金(2,000円)と月額組合費(1,000円)が発生しますが、継続して個別相談ができるというメリットがあります。

ハラスメント悩み相談室

ハラスメント悩み相談室は、カスタマーハラスメントと就活ハラスメントについて相談できる相談窓口です。メールかSNSのどちらかで相談できます。無料で相談でき、匿名でも構いません。24時間受付しており、72時間以内に返事がもらえます。

ハラスメント悩み相談室では、パワハラに該当するか、法違反かなどの判断してくれません。悩み事についての相談だけ可能です。プライバシーも保護されるので、安心して利用できます。相談できる対象者が限られていることがデメリットです。

みんなの人権110番

みんなの人権110番は、ハラスメントや差別、虐待など人権問題に関する相談ができる公的機関です。総合労働相談センターやハラスメント悩み相談室は、厚生労働省の管轄ですが、みんなの人権110番は法務省の管轄となっています。

平日午前8時30分から午後5時15分まで受け付けており、メール・電話・面談から相談可能です。電話相談は、最寄りの法務局・地方法務局につながり、法務局職員もしくは人権擁護委員が相談に応じます。パワハラによって人権を侵害されるケースがあります。

人権問題という観点からアドバイスがもらえ、法的手段も視野に入れながら相談できることが特徴です。

こころの耳

こころの耳は、精神的につらい思いをしている人が相談できるメンタルヘルス・ポータルサイトです。厚生労働省が運営する公的機関なので、安心して利用できます。相談方法は、電話・SNS・メールの3つです。こころの耳では「5分でできる職場のストレスセルフチェック」や「疲労蓄積度セルフチェック」があります。

こころの耳

引用元:こころの耳

ストレスセルフチェックでは、現在のストレスの状態がグラフでわかり、コメントでアドバイスがもらえます。相談する前に自分のストレス状態をチェックしておいてもいいでしょう。

こころの耳は、メンタルケアがメインです。そのため、パワハラによって精神的に疲れているときに利用しましょう。

法テラス(日本司法支援センター)

法テラスは、労働問題から借金、暴力、裁判手続きなど、法律トラブルの相談ができる国が運営する公的機関です。電話・メール・チャットで相談できます。電話の受付時間は平日の9時から21時、土曜日の午前9時から午後5時(祝日・年末年始を除く)で、無料で相談可能です。

メールの場合は、返信まで数日かかる可能性が高いため、すぐに相談したい人は電話かチャットを利用しましょう。法テラスは全国に事務所を構えており、弁護士や司法書士などが常勤しています。

「弁護士との無料法律相談」や「弁護費用の一部立替」サービスがあることが特徴です。ただし、どちらも条件を満たしたものに限ります。

弁護士

パワハラの被害がひどく法的手段を検討している人は、弁護士がおすすめです。弁護士は、過去の判例などをもとに、パワハラとして該当するかや法的アドバイスなど、具体的な解決策を相談できます。利用する弁護士事務所によってサービス内容は異なりますが、初回は無料で相談できるケースが多いです。

ただし、2回目以降などは料金が発生するため、まずは上記で紹介した相談窓口を利用しましょう。初めから裁判で訴えるつもりの人は、いきなり弁護士に相談しても構いません。

弁護士に依頼する場合は、パワハラなどの労働問題に強い弁護士がいるか、実績はあるかなどを見てから依頼しましょう。

パワハラを相談する前に準備すること

パワハラを相談する前に準備しておくことは、以下の2つです。

  • パワハラの証拠を集めておく
  • 現在の状況を整理しパワハラによる影響をまとめる

いきなり相談しても構いませんが、ある程度準備しておくことで、スムーズに相談できるようになります。

パワハラの証拠を集めておく

パワハラ被害にあっていることを、証拠として集めておくことが大切です。パワハラに関する相談はどこでもできますが、実際に解決を目指す場合は証拠が必要です。証拠がなければ、調査や指導ができないからです。そのため、自分が証拠になりそうと思ったものは、なんでも構いませんので残しておきましょう。

具体的には以下のような証拠を集めておくといいでしょう。

  • 暴言などを記録した音声
  • 高圧的(脅し・侮辱)な内容の書かれたメールやLINE
  • パワハラによって身体を壊してしまった場合の病院の診断書
  • パワハラにあった日にちや出来事を記した日記やメモ
  • パワハラされている映像が映った監視カメラの録画
  • パワハラ被害を目撃している第三者も証言
  • 自分と同じ相手からパワハラを受けている人の証言
  • パワハラ被害にあった直後に上司や同僚に相談した内容

現在の状況を整理しパワハラによる影響をまとめる

相談窓口は、一人当たりの相談時間が決まっているケースがほとんどです。そのため事前に現在の状況を整理し、相談しやすいように内容をまとめておきましょう。また、パワハラによって自分にどのような影響が出ているのかも、まとめましょう。

例えば、「会社に行くのが辛い」という場合と「会社に行こうとすると足がすくみ体が震えるため通院している」という場合では、状況が異なるためアドバイスの内容も異なります。

またパワハラによって降格・異動・サービス残業など不当な扱いを受けている場合は、労働基準法に違反する可能性があります。この場合は、労働法令に従って解決することになりますので、それに適した相談窓口を選択しましょう。

パワハラ被害にあったときの対処法

パワハラ被害にあったときは、以下の2つの対処法があります。

  • 相談窓口に相談する
  • 転職・退職を検討する

それぞれについて解説します。

相談窓口に相談する

まずは一人で悩まず相談することが大切です。一人で悩んでいてもパワハラは解決しません。

厚生労働省の調べでは、パワハラを受けたあと「誰かに相談した」と回答した人は約60%です。「何もしなかった」と回答する人も多くありました。

相談することで「パワハラが悪化しないのか」「会社から不当な扱いを受けないのか」といった疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。本記事で紹介した相談窓口を見てもらえばわかりますが、「匿名可能」「プライバシー保護」に力を入れている相談窓口が多くあります。そのため、とくに心配することはありません。

相談するときは自分の状況に合った相談窓口を利用しましょう。例えば、精神的な苦痛を和らげたい人は「こころの耳」や「みんなの人権110番」がおすすめです。まずは相談をしたい人は「総合労働相談コーナー」や「NPO法人労働組合」を利用しましょう。

転職・退職を検討する

パワハラがひどい場合は、転職・退職を検討すること大切です。上記の画像にもありますが、約15%の人はパワハラが原因で退職しています。とくに会社に相談したにもかかわらず、会社が何も対応してもらえない場合は、転職・退職を検討してください。

本来であれば会社は、労働者の働きやすい環境を整えること義務があります。しかし、パワハラの存在を認知した後に、何も対応しないような会社は良い会社とはいえません。今よりも良い職場を探すことも選択肢の1つとして考えておきましょう。

パワハラがひどく退職したいのに、上司に伝えにくいと思っている人も少なくありません。「すぐにでも退職したい」「即日退職のやり方を知りたい」と思っている人は、以下の記事を参考にしてください。

即日で退職することは可能?即日退職の条件・やり方・注意点をわかりやすく解説! – 退職代行ほっとライン

パワハラの相談でよくある内容

概要 割合
精神的な攻撃(脅迫・誹謗中傷・暴言など) 48.5%
過大な要求(業務上明らかに不要なこと・仕事の妨害) 38.8%
人間関係からの切り離し(仲間外れ・無視・隔離) 27.8%
個の損害(プライベートに過度に立ち入ること) 27.5%
過少な要求(能力にかけ離れた程度の低い仕事を命じる) 24.5%
身体的な攻撃(暴行・傷害) 5.8%
その他 4.8%

厚生労働省の調べによると、パワハラ被害として多い内容は上記の通りです。

一番多い内容は「精神的な攻撃(暴言など)」です。「仕事ができない役立たず」「お前みたいなやつは仕事を辞めろ」などは、パワハラの典型的な事例といえます。身体的なダメージはありませんが、ちょっとした言葉で傷つくこともあります。

逆に身体的な攻撃は5.8%と少ないです。やはり、暴力などは証拠としても残りやすく問題になりやすいため、パワハラとしては少ないようです。

こうしたパワハラが行われる現場として一番多いのは「通常就業している場所(事務所、店舗)」、いわゆる職場です。同調査では88.6%と一番多く、次いで「就業時間外、休日の連絡(電話、メール等)」が6.0%となっています。

パワハラ相談に関するよくある質問

パワハラ相談に関するよくある質問は、以下の通りです。

  • どこまでがパワハラになるの?
  • パワハラの相手は上司が多いですか?
  • パワハラの相談先はどこですか?
  • パワハラの相談を労働基準監督署にするとどのように対処してくれますか?

それぞれについて解説します。

どこまでがパワハラになるの?

厚生労働省では、パワハラの定義を以下のように定めています。

  1. 優越的な関係を背景とした言動
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
  3. 労働者の就業環境が害される

引用元:ハラスメントの定義

上記の①~③をすべて満たしているものがパワハラです。客観的にみて、業務上に必要な行為や適性範囲内の指示・指導などはパワハラではあります。パワハラの定義をもう少し具体的に見ていきましょう。

まず「①優越的な関係を背景とした言動」とありますが、優越的な関係とは、上司や同僚・部下からの集団による行為などを指します。

「②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」は、業務上明らかに必要のない言動や目的を大きく逸脱した言動を指します。ただし、これに関しては経験年数や性別、年齢など、さまざまな要素が関わるため、総合的に判断することが大切です。

「③労働者の就業環境が害される」は、一般的な労働者が働く上で看過できないほど支障があるか、という点が基準となります。これら3点を踏まえてパワハラに当てはまるか検討しましょう。

パワハラの相手は上司が多いですか?

厚生労働省の調査によれば、パワハラ行為の相手として一番多いのは「上司(65.7%)」です。職場において上司とのコミュニケーションが多いため、必然的にパワハラ行為の相手としても多くなりました。

パワハラの相談先はどこですか?

相談相手として一番多いのは「家族や社外の友人」です。次いで「社内の同僚」「社内の上司」となっています。この3つはあまり数値が変わりません。上司や同僚、家族などは、身近な存在ですので、最初の相談相手として選ばれやすいです。

社外の相談窓口としては「医師やカウンセラー」「公的機関」が多くなっています。傾向としては、まずは社内にある相談窓口を利用して、解決しない場合は社外を利用するという流れが多くなっています。

パワハラの相談を労働基準監督署にするとどのように対処してくれますか?

他の相談窓口と同様に、パワハラに関するヒアリングと問題解決に向けてのアドバイスなどの対応が一般的です。また労働基準監督署は、労働基準法に違反している場合、会社に対して指導勧告や立ち入り調査が可能です。

ただし、必ずしも対処してくれるわけではありません。労働基準を違反している証拠などがなければ動いてもらえないため、必ず証拠をそろえてから相談しましょう。

まとめ

パワハラを受けている場合は、必ず誰かに相談しましょう。一人で抱え込んでしまうと、精神的に病んでしまう恐れがあります。本記事で紹介した「総合労働相談コーナー」や「こころの耳」など、自分の状況に合わせて相談窓口を選びましょう。

相談する前には状況を整理したり、パワハラの証拠を集めたりしておきましょう。相談時間にも限りがありますので、スムーズに話が進むように内容をまとめてから相談することをおすすめします。

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