仕事と育児を両立したいと考える人は多くいます。しかし、体力的な問題や会社やパートナーから理解を得られないことにより、断念する人も少なくありません。自分自身の体力以上に周りの理解やサポートがなければ両立するのが難しいでしょう。
本記事では、仕事と育児の両立ができないと悩む人に向けて、両立させるために取り入れたい考え方や役立つ制度を紹介します。
・仕事と育児の両立ができないことを理由に退職した人は4割
・仕事と育児を両立させるために取り入れたい考え方は、100%を目指さない、優先順位を決める、周囲に頼ることも考えるなど
・仕事と育児を両立しやすい環境を作るには、フレックスタイム制度や時短勤務などを活用する、上司や同僚に理解を求める、環境の良い職場に転職するなど
・仕事と育児を両立させるために役立つ制度は、育児休業(育休)制度、産後パパ育休(出生時育児休業)、子の看護等休暇など
目次
仕事と育児の両立ができない!無理!と思う人は41.5%
厚生労働省が発表した「令和2年度 仕事と育児等の両⽴に関する実態把握のための調査研究事業」によると、末⼦妊娠判明時の仕事を辞めた理由として一番多いのが「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさで辞めた(41.5%)」です。
さらに詳しく見てみると「自分の気力・体力がもたなさそう」「勤務先に育児との両立を支援する雰囲気がない」「配偶者・パートナーの協力が得られない」といった意見が多くありました。仕事と育児の両立ができないと悩む人の多くは、自分の体力・職場の理解・パートナーの協力、の3つで悩んでいることがわかります。
この3つの改善策を順番に紹介しますので、自分の悩みに合わせて参考にしてください。
参考元:厚生労働省「令和2年度 仕事と育児等の両⽴に関する実態把握のための調査研究事業」
仕事と育児を両立させるために取り入れたい考え方
仕事と育児を両立させるためには、意識を変えることが重要です。自分一人ですべてこなすには体力的に厳しいこともあります。そのため、周囲のサポートを積極的に活用することで自分への負担を軽減できます。
- 仕事と育児の両立で100%目指さない意識改革
- 「手を抜く」のではなく「効率化」する考え方
- 優先順位を決めることが仕事と育児を両立させる第一歩
- 両立を目指すなら周囲に頼ることも大切
仕事と育児の両立で100%目指さない意識改革
仕事と育児を両立させようとすると、どちらも完璧にこなそうとしてしまいがちです。しかし、100%を目指すと心身ともに疲れてしまい、どちらも中途半端な結果に終わってしまうことも少なくありません。大切なのは「できること」と「できないこと」を区別し、必要以上に自分を追い込まないことです。
例えば、子どもの送り迎えや家事をすべて完璧にこなそうとするのではなく、時には簡単な食事で済ませたり、掃除を翌日に回したりする柔軟さが必要です。仕事でも同様に、すべてを自分で抱え込まずに、チームで協力しながら進めることが求められます。
また、「両立は難しいもの」と受け入れることも大切です。無理に頑張りすぎず、時には「今日はこれで十分」と割り切ることで、心の余裕が生まれます。その結果、仕事の効率も上がり、育児にもより集中できるようになるでしょう。
「手を抜く」のではなく「効率化」する考え方
仕事と育児の両立を考える際、「手を抜く」ことに罪悪感を覚える人は多いかもしれません。しかし、重要なのは単に労力を減らすのではなく、より効率的にこなす工夫をすることです。
例えば、家事の時間を短縮するために、ロボット掃除機や食洗機を活用するのも一つの方法です。また、食材の宅配サービスを利用すれば、買い物の手間が減り、その分の時間を仕事や育児に充てられます。仕事においても、優先順位を見極め、重要な業務に集中することで、限られた時間の中で成果を出しやすくなります。
さらに、スケジュール管理を工夫することも効率化の一環です。朝のうちにその日のタスクを整理し、どの時間帯に何をこなすかを明確にしておけば、無駄な時間を減らせます。育児中は突発的な対応が必要になることも多いため、スキマ時間をうまく活用する意識を持つことが重要です。
優先順位を決めることが仕事と育児を両立させる第一歩
両立の鍵となるのが、優先順位を決めることです。すべてを完璧にこなそうとすると、時間も体力も足りなくなってしまいます。そのため、「何を最優先にするか」を明確にし、それに沿って行動することが大切です。
例えば、仕事では締め切りが近いものや重要なタスクを優先し、それ以外の業務は後回しにすることが必要です。一方で、家庭では子どもとの時間を最優先し、掃除や片付けは週末にまとめて行うなど、メリハリをつけることで負担を減らせます。
このように、仕事と家庭の両方で「今やるべきこと」と「後回しにできること」を整理することで、限られた時間を有効に使えます。
両立を目指すなら周囲に頼ることも大切
仕事と育児の両立には、自分一人で抱え込まないことが大切です。パートナーや家族、職場の同僚に協力を求めることで、負担を分散させられます。
家庭では、パートナーと家事・育児の役割分担を話し合い、無理のない範囲で協力し合うことが重要です。また、親や友人、自治体のサポートを活用するのも有効です。保育サービスやベビーシッターを利用することで、仕事に集中できる時間を確保できます。
職場では、上司や同僚に事情を伝え、フレックスタイム制度やテレワークを活用するのも一つの方法です。周囲に助けを求めることで、自分の負担を減らし、より良いバランスを保つことができます。このように、仕事と育児を両立させるためには、一人で頑張るのではなく、周囲のサポートを上手に活用することが欠かせません。
仕事と育児を両立するには夫婦の協力が必要不可欠
仕事と育児を両立するには、夫婦の協力が欠かせません。どちらか一方だけが負担を抱えるのではなく、お互いに支え合うことで、ストレスを軽減しながら両立しやすくなります。そのためには、夫婦で目標を共有し、役割分担を明確にしながら、効率的に進めることが大切です。
- 夫婦で同じゴールを共有すること
- 家事と育児の役割分担は「見える化」がポイント
- パートナーに「察してほしい」はNG!上手な頼り方とは
- 夫婦のチームワークを高めるために意識したいこと
夫婦で同じゴールを共有すること
仕事と育児を両立するためには、夫婦の間で同じ目標を持つことが重要です。お互いの考えがずれていると、どちらかが負担を感じやすくなり、ストレスが溜まってしまいます。そのため、まずは「家庭としてどのような形で両立を目指すのか」を話し合いましょう。
例えば、「子どもとの時間を大切にしながら仕事も続けたい」「家事は平等に分担したい」など、具体的なゴールを設定するとよいでしょう。目標が明確になれば、互いに協力しやすくなります。話し合う際には、お互いの価値観や仕事の状況を理解し合い、現実的な範囲での目標を決めることがポイントです。
家事と育児の役割分担は「見える化」がポイント
夫婦で協力する際に重要なのが、家事と育児の役割分担を「見える化」することです。曖昧なまま進めてしまうと、「自分ばかりが負担している」と感じやすくなり、不満が募る原因になります。
具体的には、家事や育児のタスクをリストアップし、それぞれの担当を明確にするとよいでしょう。例えば、「朝の子どもの支度は夫、夕食の準備は妻」など、時間帯や得意なことに応じて分担するのも効果的です。カレンダーやアプリを活用してスケジュールを共有するのもおすすめです。
また、分担を決めた後も定期的に見直すことでお互いの負担を軽減できます。仕事の状況や子どもの成長に応じて負担のバランスが変わるため、柔軟に調整しながら進めることが、無理なく継続するポイントとなります。
パートナーに「察してほしい」はNG!上手な頼り方とは
夫婦間で協力する際、つい「察してほしい」と思ってしまうことがあります。しかし、相手が気づくのを待っていては、負担が一方に偏ってしまいがちです。上手に頼るためには、具体的にお願いすることが大切です。
例えば、「もう少し手伝ってほしい」と漠然と伝えるのではなく、「洗い物をお願いできる?」や「明日の朝、子どもの送迎を頼んでもいい?」といった具体的な言葉を使うと、相手も動きやすくなります。
また、お願いする際には、責めるのではなく感謝の気持ちを伝えることも大切です。「手伝ってくれてありがとう」といった一言があるだけで、協力しようという気持ちが生まれやすくなります。
お互いの得意・不得意を理解したうえで頼ることも重要です。料理が得意な夫が食事を担当し、片付けが得意な妻が後片付けをするなど、負担を公平に分けることで、無理なく協力しやすくなります。
夫婦のチームワークを高めるために意識したいこと
仕事と育児を両立するには、夫婦が一つのチームとして機能することが重要です。チームワークを高めるためには、日頃のコミュニケーションを大切にすることが欠かせません。
例えば、1日の終わりにお互いの状況を共有し合う時間を作るのも効果的です。「今日はこんなことがあった」「今週は仕事が忙しくなるからサポートしてほしい」といった情報を共有することで、負担のバランスを調整しやすくなります。
また、育児の楽しさや悩みを共有することで、共通の目的意識を持ちやすくなるでしょう。
お互いの努力を認め合うことも大切です。「いつも頑張ってくれてありがとう」といった感謝の言葉を伝えるだけで、関係が良好になりやすくなります。小さなことでも積極的に褒め合うことで、前向きな気持ちで協力できるようになるでしょう。
夫婦のチームワークが高まれば、仕事と育児の両立もスムーズに進みます。お互いに支え合いながら、無理のない形で両立を目指していきましょう。
職場の理解を得る方法|仕事と育児を両立しやすい環境を作るには?
仕事と育児を両立するためには、職場の理解を得ることが不可欠です。会社の制度や働き方の柔軟性によって、育児との両立のしやすさが大きく変わります。また、職場でスムーズに仕事を進めるためには、上司や同僚と良好な関係を築き、適切なコミュニケーションを取ることが大切です。
- 育児と仕事を両立しやすい職場の特徴とは?
- 同僚や上司の理解を得るためのコミュニケーション
- フレックスタイムやリモートワークがない場合は?
- 仕事と育児を両立しやすい会社に転職するのも大切
育児と仕事を両立しやすい職場の特徴とは?
育児と仕事を両立しやすい職場には、いくつかの共通する特徴があります。まず、フレックスタイム制度や時短勤務、リモートワークが可能な環境が整っていることです。これらの制度がある職場では、保育園の送迎や子どもの急な体調不良にも柔軟に対応しやすくなります。
また、育児に理解のある職場は、上司や同僚が協力的である点も特徴的です。例えば、子どもの行事に参加しやすいようにスケジュールを調整しやすかったり、急な休みにも配慮があったりする環境は、ストレスを軽減する要素となります。
社内に育児中の社員が多い職場も、両立しやすい傾向があります。実際に同じ立場の人がいることで、互いに助け合いやすく、理解を得るハードルが低くなるためです。働きやすい職場を選ぶ際には、これらのポイントを意識するとよいでしょう。
同僚や上司の理解を得るためのコミュニケーション
職場で育児と仕事を両立しやすくするためには、周囲の理解を得ることが不可欠です。そのためには、積極的なコミュニケーションが重要になります。
まず、上司には事前に自身の状況を説明し、業務に支障が出ないように調整をお願いすることが大切です。「育児を理由に仕事を減らしてほしい」と一方的に頼むのではなく、「どのようにすれば職場に迷惑をかけずに両立できるか」を相談する姿勢を持つと、理解を得やすくなります。
また、同僚にも日頃から感謝の気持ちを伝えることが大切です。例えば、急な早退や休みが必要になった際、「申し訳ありません」だけでなく「助かりました、ありがとうございます」と伝えることで、円滑な関係を築けます。
定期的な情報共有も重要です。業務の進捗や引き継ぎをしっかり行うことで、周囲もサポートしやすくなり、負担が偏ることを防げます。相手の立場を考えながら、誠意をもって接することで、職場の理解を得やすくなるでしょう。
フレックスタイムやリモートワークがない場合は?
職場にフレックスタイムやリモートワーク制度がない場合でも、工夫次第で仕事と育児の両立をしやすくなります。まず、上司に相談し、柔軟な働き方ができるかどうかを聞いておくことが必要です。例えば、「普段よりも30分早く退勤する」「昼休憩を短縮して業務時間を調整する」など、育児がしやすいように調整してもらえる確かめましょう。
また、育児中の社員同士で情報を共有し、どのように両立しているかを参考にするのも効果的です。同じ悩みを抱える人がいる場合、職場全体で改善策を考えやすく、働きやすい環境が整いやすくなります。
家族や外部サービスを活用することも大切です。例えば、ベビーシッターや病児保育を利用することで、仕事のスケジュールに柔軟に対応できます。働く環境が整っていない場合でも、できる工夫を取り入れてみましょう。
仕事と育児を両立しやすい会社に転職するのも大切
現在の職場で仕事と育児の両立が難しい場合、思い切って転職を検討するのも一つの選択肢です。近年では、育児をしながら働きやすい企業が増えており、とくにリモートワークやフレックスタイムを導入している会社は、両立しやすい傾向があります。
転職を考える際には、企業の福利厚生や育児支援制度をチェックすることが重要です。例えば、「育児休業の取得率」「時短勤務の有無」「柔軟な働き方の実績」などを確認することで、自分に合った環境を見つけやすくなります。
また、転職エージェントを活用するのも有効な手段です。育児と仕事の両立を希望する人向けの求人を紹介してくれるため、自分に合った職場を効率よく探せます。職場の環境を変えることで、無理なく仕事と育児を両立できる可能性が広がります。
自身の状況に合わせて、最適な選択を考えてみましょう。
仕事と育児を両立させるために役立つ制度やサービス
仕事と育児を両立するためには、企業が提供する制度や支援サービスを最大限に活用することが重要です。育児休業や時短勤務制度など、働き方を柔軟に調整できる制度を知り、適切に利用することで負担を軽減できます。また、自治体の支援や家事代行サービスを活用することで、よりスムーズに両立を実現できるでしょう。
- 育児休業(育休)制度
- 産後パパ育休(出生時育児休業)
- 子の看護等休暇
- 時短勤務制度
- フレックスタイム制度
- テレワーク・在宅勤務制度
- 企業独自の育児支援制度
- 家事・育児サポートサービス
- 自治体の子育て情報ポータルサイト
育児休業(育休)制度
育児休業制度は、子どもが原則1歳未満に達するまでの期間、仕事を休んで育児に専念できる制度です。法律に基づいて取得できるため、会社が就業規則に育児休業に関する規定がなくても、取得できます。育児休業によく似た言葉で「育児休暇」がありますが、これは会社独自に作られた制度です。
育児休業制度を取得できる条件や期間についてみていきましょう。
取得条件 | 子供が1歳6か月を迎える日まで雇用契約が満了することが明らかでないこと |
取得期間 | 原則子供が1歳になるまで(条件を満たせば1歳6か月~2歳まで延期可能) |
申請方法 | 育児休業申出書を会社に提出 |
育児休業は一般的に女性が取得いますが、男性も取得可能です。男性については次に紹介する産後パパ育休(出生時育児休業)をご確認ください。
産後パパ育休(出生時育児休業)
産後パパ育休(出生時育児休業)とは、父親が子どもの出生直後に育児のために取得できる休業制度です。2022年の法改正により導入され、子どもの出生後8週間以内に最大4週間まで取得できます。
取得条件 | 日雇い労働者以外の労働者(契約社員は別途条件あり) |
取得期間 | 子どもの出生後から8週間以内まで |
申請方法 | 育児休業給付受給資格確認票や母子健康手帳のコピーなどを会社に提出 |
この制度を活用することで、父親も積極的に育児に関われる環境が整い、母親の身体的・精神的負担の軽減にもつながります。とくに、産後の母親は体力の回復が必要なため、夫婦で協力しながら育児を進めることが重要です。
子の看護等休暇
子の看護等休暇は、小学校入学前の子を養育する従業員がけがや病気で子の看護が必要なときに取得できる休暇制度です。2025年4月1日以降(一部は同年10月1日)に施行されます。改正前と改正後の変更点をまとめました。
【改正前】
名称 | 子の看護休暇 |
対象となる子の範囲 | 小学校入学前の子 |
取得理由 | 病気・けが・予防接種・健康診断 |
労使協定の締結により除外できる労働者 | 1.引き続き雇用された期間が6か月未満 2.週の所定労働日数が2日以下 |
【改正後】
名称 | 子の看護等休暇 |
対象となる子の範囲 | 小学校3年生まで延長 |
取得理由 | 感染症に伴う学級閉鎖等、入園(入学)式、卒園式を追加 |
労使協定の締結により除外できる労働者 | 「1.引き続き雇用された期間が6か月未満」を撤廃して「2.週の所定労働日数が2日以下」のみ |
申請するときは従業員の氏名や子どもの氏名、取得する理由などを会社に伝えます。書面ではなく口頭でも可能ですが、会社手続き方法に従って申請してください。なお、取得した日は無給になりますので、注意しましょう。
柔軟に対応してもらえる会社であれば、子の看護等休暇として休みを取得するよりも、有給休暇を消化するほうが賃金が発生するのでおすすめです。
参考元:育児・介護休業法 令和6年(2024年)改正内容の解説
時短勤務制度
時短勤務制度は、育児中の社員が通常の労働時間より短い時間で働ける制度です。子どもが3歳未満の場合、労働者が希望することで適応されます。所定労働時間を1日原則6時間としていますが、週のうち数日はフルタイム勤務して残りの日の時間を短縮するなど、設定を変更できます。
この制度を利用することで、保育園の送迎や子どもの体調不良時の対応がしやすくなるのがメリットです。ただし、時短勤務により収入が減少する可能性もある、というデメリットがあります。しかし、2025年4月から始まる「育児時短就業給付金」によって、このデメリットが緩和されます。
「育児時短就業給付金」とは、2歳未満の子を養育する労働者に対し、時短勤務中の各月に支払われた賃金の10%を支給する制度です。時短勤務制度と育児時短就業給付金では、対象となる年齢が異なるので注意しましょう。
参考元:厚生労働省
フレックスタイム制度
フレックスタイム制度とは、労働者が始業や終業の時間を自由に決められる柔軟な働き方のことです。一般的な勤務体系とは異なり、出社や退社の時間が固定されていないため、個人のライフスタイルに合わせたスケジュール調整が可能です。
フレックスタイム制度は、「コアタイム」と「フレキシブルタイム」という2つの時間帯が設けられています。コアタイムとは、労働者が必ず勤務しなければならない時間帯のことで、フレキシブルタイムは、労働者が自由に始業・終業時間を決められる時間帯のことです。
フレックスタイム制度を活用すれば、通勤ラッシュを避けたり、家族の予定に合わせて働く時間を調整したりと、働きやすさが向上します。また、集中力が高まる時間帯に仕事を進めることで生産性の向上も期待できます。一方で、自己管理が求められるため、時間の使い方が苦手な人には課題となるでしょう。
テレワーク・在宅勤務制度
テレワーク・在宅勤務制度とは、従業員が自宅やサテライトオフィスなど、会社のオフィス以外の場所で業務を行う働き方のことです。インターネット環境の発展により、オフィスに出社せずに業務を進められる環境が整い、近年では多くの企業がこの制度を導入しています。
テレワークには、大きく分けて以下の3つの形態があります。
- 在宅勤務:従業員が自宅で業務を行う方法で、育児や介護などの事情がある人にとって、柔軟に働ける点が魅力
- モバイルワーク:外出先や移動中に業務を行う方法で、移動時間の有効活用に役立つ
- サテライトオフィス勤務:企業が設置した専用オフィスや共有ワークスペースなどで働く方法で、自宅では集中しにくい人に適している
通勤時間の削減やワークライフバランスの向上、とくに育児や介護と両立しながら働きたい人にとっては大きな利点となる制度です。
企業独自の育児支援制度
近年、企業は従業員のワークライフバランスを重視し、独自の育児支援制度を導入する動きが広がっています。例えば、保育料の補助や、社内に託児所を設ける企業も増えています。これにより、育児中の社員が安心して働ける環境が整備されつつあります。
まずは自社でどのような育児支援制度が導入されているか確認しましょう。
家事・育児サポートサービス
仕事と育児の両立に悩む人々にとって、家事・育児サポートサービスの利用は大きな助けとなります。家事代行サービスでは、掃除や洗濯、料理の作り置きなどを依頼でき、忙しい毎日の負担を軽減できます。
一方、ベビーシッターサービスは、保護者の外出や急な用事の際に便利なサービスです。保育士資格を持つスタッフが在籍するサービスも多く、安心して子どもを預けられるのが魅力です。
また、買い物代行や送迎サポートを行うサービスも人気があります。これらのサービスを上手に活用すれば、限られた時間の中でも育児と仕事のバランスを取りやすくなります。
自治体の子育て情報ポータルサイト
自治体が運営する子育て情報ポータルサイトは、地域の育児支援に関する情報がまとめられており、非常に便利です。保育園や幼稚園の情報、子育てイベントの案内、育児相談窓口の連絡先などが掲載されており、地域に密着したサポートが受けられます。
また、自治体独自の補助金や手当についての情報も確認できるため、家計の負担を軽減するためにも役立ちます。
子育て中の家庭同士がつながるための交流イベントや、オンライン掲示板が設けられているポータルサイトも魅力の一つです。これにより、育児の悩みを共有したり、気軽に相談できる仲間を見つけることが可能です。自治体のサポートを積極的に活用することで、育児に関する不安を減らせるでしょう。
仕事と育児の両立が難しい理由
仕事と育児の両立が難しいと感じる理由には、夫婦の協力が得られずワンオペ育児になりやすいことや、職場の理解が不十分なケースが多いです。その他にもいくつか原因がありますので、具体的に紹介します。
- 夫婦の協力が得られない(ワンオペ育児になる)場合がある
- 職場の理解が足りない
- 自分の時間・休息が確保できない
- 体力的な負担が大きい
- 時間が圧倒的に足りない
夫婦の協力が得られない(ワンオペ育児になる)場合がある
仕事と育児の両立が困難になる原因の一つが、夫婦の協力が十分に得られない状況です。パートナーが多忙で家事や育児に関わる時間が確保できないと、片方に負担が集中しやすくなります。いわゆる「ワンオペ育児」になってしまうと、精神的・肉体的な疲労が蓄積しやすく、仕事と育児の両立が難しいです。
夫が長時間労働や出張が多い、育児に対して非協力的な場合では、その負担はさらに大きくなります。価値観の違いから育児の方針が合わない場合も、意見の対立が起こり、協力が得られにくくなるでしょう。夫婦間のコミュニケーションを意識し、役割分担の見直しや家事代行の活用など、具体的な対策を講じることが重要です。
職場の理解が足りない
職場の理解が不足していると、仕事と育児の両立は難しいです。例えば、子どもの急な体調不良や行事のために早退や休暇を申し出た際、上司や同僚の理解がないと、気まずさや罪悪感を感じやすくなります。
その結果、職場の人間関係が悪化し、退職に追い込まれるケースも少なくありません。育児への配慮がない職場環境では、休みを取りづらい雰囲気が漂いやすく、時短勤務や在宅勤務の制度が整っていても利用しにくい状況が生まれます。
このような状況を改善するには、まずは上司や人事担当者に自身の状況を伝え、協力を求めることが大切です。育児支援制度の利用や、同僚とのコミュニケーションを積極的に行うことで、働きやすい環境を整えられます。
自分の時間・休息が確保できない
仕事と育児の両立に追われると、自分の時間や休息が確保しづらくなります。こうした状態が続くと、疲労やストレスが原因で体調を崩しやすくなり、イライラが募って家庭内の雰囲気が悪化することも少なくありません。
自分の時間を確保するためには、短時間でもリフレッシュの時間を意識的に作ることが重要です。例えば、10分間の散歩や好きな音楽を聴く時間を取り入れるだけでも、気分転換になります。パートナーや家族に協力を依頼し、無理のない範囲で自分のための時間を確保することが大切です。
体力的な負担が大きい
育児は体力を消耗する場面が多く、仕事との両立ではその負担がさらに増します。とくに乳幼児期の子どもがいる家庭では、夜泣き対応や抱っこなどの身体的負担が日常的に発生します。
体力的な負担を軽減するためには、家電製品を活用して家事の負担を減らしたり、栄養バランスの取れた食事を意識し体力回復を図る工夫が必要です。十分な睡眠時間を確保することも、体力維持には欠かせません。無理をせず、意識的に休息を取るよう心掛けましょう。
時間が圧倒的に足りない
仕事と育児の両立において、時間の不足は最大の課題といえます。出勤準備、保育園の送り迎え、食事の準備、掃除など、やるべきことが次々と発生し、1日のスケジュールが埋め尽くされがちです。
時間を有効に活用するためには、優先順位を明確にし、重要なことから取り組むことが大切です。すき間時間を活用し、できることを前倒しで進める工夫も役立ちます。また、家族や外部サービスを積極的に頼ることで、時間の余裕が生まれやすくなります。無理のないスケジュールを組み、自分に合ったペースを見つけることが両立のカギです。
仕事と育児の両立に関するよくある質問
仕事と育児の両立に関するよくある質問を紹介します。
- 仕事と育児の両立ができないときは退職すべき?
- 仕事と育児の両立がしんどい、疲れたと感じたときの対処法
- 仕事と育児の両立支援制度とは?
仕事と育児の両立ができないときは退職すべき?
仕事と育児の両立ができないと感じたとき、退職して育児に専念すべきなのか悩む人は多いのではないでしょうか。まずは状況を整理し、可能な解決策を検討することが大切です。退職は生活やキャリアに大きな影響を与えるため、慎重な判断が求められます。
例えば、両立ができないと感じる原因が「時間の不足」であれば、時短勤務やリモートワークの導入など、働き方を柔軟に変える方法が有効です。職場に理解がない場合は、上司や人事担当者に相談し、サポートが得られないか模索してみてもよいでしょう。
一方で、どんな対策を講じても心身の負担が限界に達している場合や、家庭環境や健康に深刻な影響が出ているときは、退職を検討するのも選択肢の一つです。退職する際は、生活費や再就職の準備を整えたうえで決断することが重要です。まずは自分の気持ちと向き合い、できる対策を講じたうえで判断するようにしましょう。
仕事と育児の両立がしんどい、疲れたと感じたときの対処法
仕事と育児の両立がしんどい・疲れたと感じたときは、心身の負担を軽減するための対策が必要です。まず意識したいのが、自分の気持ちや体調を無視しないことです。つらいと感じたときは、その思いを素直に受け止め、休息の時間を確保しましょう。
リフレッシュの方法としては、短時間でも一人になれる時間を作ることが効果的です。好きな音楽を聴いたり、コーヒーを飲みながら静かに過ごしたりするだけでも、気持ちが落ち着きやすくなります。パートナーや家族に事情を話し、短時間でも子どもを預ける機会を作ると、より効果的にリフレッシュできます。
無理をしすぎず、自分の心と体を守る行動を意識することが、両立の負担を軽くする第一歩となるでしょう。
仕事と育児の両立支援制度とは?
仕事と育児の両立支援制度とは、仕事と育児の両立を支援するための制度です。代表的なものに「育児休業制度」や「短時間勤務制度」があります。
これらの支援制度は、会社ごとに内容が異なるため、利用できる制度がないか確認することが大切です。上手に活用することで、負担を減らしつつ、仕事と育児を無理なく続けることが可能になります。
まとめ
仕事と育児の両立ができないときに、共働き夫婦が取り入れたい考え方と役立つ制度について紹介しました。仕事と育児の両立ができないと悩む人は多くいます。家族や職場などの理解がなければ両立は難しいです。そのため、職場の理解が乏しい場合は転職も検討しましょう。
「仕事と育児の両立ができない」と思い詰めるのではなく、状況に応じた対策を取り入れながら、自分に合った無理のない方法を見つけていくことが大切です。
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