履歴書の職歴はどこまで書くべき?正しい書き方と書ききれないときの対処法

転職活動で必要になる履歴書ですが、「どこまで書けばいい?」「書ききれないときは?」といった疑問をもつ人は、少なくありません。転職歴が多い人は、職歴を書く内容が増えるので、省略してもいいのか悩むこともあるでしょう。

本記事では、履歴書に職歴がすべて書ききれないときの対処法や正しい書き方について解説します。また履歴書を書く際の注意点も紹介しますので、併せて参考にしてください。

本記事の結論

・履歴書の職歴は、省略せずにすべての職歴を記入すること
・職歴をすべて書ききれないときは「転職者向けの履歴書を使う」「入社と退職を1行にまとめて書く」「自分用の履歴書を作成する」などがおすすめ
・履歴書の職歴を書くときは、会社名や年号を省略しないこと、退社ではなく退職と記入すること、退職理由は簡潔にまとめることに注意する

履歴書の職歴はどこまで書くべき?

履歴書の職歴は、省略せずにすべての職歴を記入する必要があります。書ききれないからといって、自分の判断で一部を省略してはいけません。職歴を省略してしまうと、応募先の企業から「職歴詐称」を疑われる場合があります。

面接時に職歴を省略していることがバレなかったとしても、前職調査やリファレンスチェックでバレる可能性があります。また、厚生年金加入履歴や雇用保険被保険者証などから、入社後にバレることもあるので注意しましょう。

職歴を省略していることがバレると信頼を失いかねません。また、詐欺行為にあたりますので何らかの処罰を科される可能性もあります。自分では騙しているつもりはなかったとしても、企業側は騙されたと捉えることもあります。企業に不信感を与えないためにも、ルールを守り正しい書き方を身につけましょう。

履歴書に職歴がすべて書ききれないときの対処法

転職回数が多い人は職歴が書ききれない場合があります。履歴書に職歴がすべて書ききれないときの対処法は、以下の通りです。

  • 転職者向けの履歴書を使う
  • 学歴を省略して職歴を書く
  • 「現在に至る」と「以上」をまとめて書く
  • 入社と退職を1行にまとめて書く
  • 自分用の履歴書を作成する
  • 職務履歴書など別紙にまとめて書く

少し工夫するだけで職歴をすべて書けるようになりますので、参考にしてください。

転職者向けの履歴書を使う

履歴書には、転職者向け・新卒向け・アルバイトやパート向けなど、いくつかの種類があります。それぞれ特徴が異なり、例えば新卒向けの履歴書は職歴を記入する欄がありません。またアルバイトやパート向けは、自己PR欄が小さくなっています。

転職者向けの履歴書は、趣味や特技などの記入欄が狭く、職歴を書く欄が大きいことが特徴です。退職理由の記入欄があるなど、職歴を書きやすいように構成されています。

転職者向けの履歴書は、職務経歴書とセットで販売されているケースが多いです。小型の文具店では取り扱っていないこともあるので、大型の文具店やネットショップなどを利用しましょう。

学歴を省略して職歴を書く

一般的な履歴書の場合、職歴と学歴を書く欄が共有されています。そのため、学歴を省略することで職歴を書くスペースが広くなります。学歴の書き始めに決まりはありません。中学卒業から書いている人は、高校卒業から記入しましょう。

学歴・職歴(別々にまとめて書く)
学歴
2012 3 大阪〇〇高等学校 卒業
2012 4 〇〇大学〇〇学部〇〇学科 入学
2016 3 〇〇大学〇〇学部〇〇学科 卒業

必要のない学歴は省略しても構いませんが、学部や学科などは省略してはいけませんので注意しましょう。またアルバイトやパート経験も不要です。応募先の企業と深い関係性があれば、記入しても構いませんが、転職時は基本的に書く必要がありません。

「現在に至る」と「以上」をまとめて書く

職歴欄の最後には「現在に至る」と「以上」を書くのが一般的です。「以上」は、その後の職歴に変わりがないことを示す言葉です。一般的には、最後の職歴を書いた後に左詰めで「現在に至る」と書きます。さらにその下に「以上」を右詰めで書きます。

「現在に至る」と「以上」は、必ず分ける必要がないので1文にまとめて書いても問題ありません。1文しか省略できませんが、ギリギリ1文足りないときに使える方法です。

2019 9 株式会社〇〇〇 一身上の都合により退職
2019 10 〇〇〇〇株式会社 入社
現在に至る                 以上

入社と退職を1行にまとめて書く

履歴書の職歴を書くとき、入社と退社を1行ずつ分けて記入するのが一般的です。この場合、2行使うことになります。しかし、職歴が多くて書ききれないときは、入社と退社を一行にまとめても構いません。ただし、1行につき1企業までです。複数の企業をまとめて書いてはいけません。

【2行に分けて記載した場合】

職歴
2015 4 株式会社〇〇 入社
2020 3 株式会社〇〇 会社都合により退職
2020 4 〇〇〇株式会社 入社
2024 3 〇〇〇株式会社 一身上の都合により退職

【1行にまとめて記載した場合】

職歴
2015 4 〇〇〇株式会社 入社(2020年3月 会社都合により退職)
2020 3 〇〇〇株式会社 入社(2024年3月 一身上の都合により退職)

この方法を使えば、通常の半分のスペースで職歴を記載できます。

自分用の履歴書を作成する

応募先の企業が履歴書を指定していなければ、自分用の履歴書を作成するのも1つの手です。自分で作るのが面倒な人は、ネットで職歴の記入欄が広いテンプレートをダウンロードして使ってもいいでしょう。自分で作成する場合は、Word、Excel、Open Officeなどがおすすめです。

作成した履歴書にそのままテキストを入力する場合は、文字のフォントやサイズを統一しましょう。また、職歴の記入欄を広くする場合は、他の記入欄とのバランスを考えてレイアウトしてください。印刷するときにも注意が必要です。一般的な薄い普通用紙を使用するのではなく、0.1~0.2mm厚さの上質紙を使用してください。

一般的なコピー用紙の厚さは0.09mm程度に対して、市販の履歴書の厚さは0.2mm程度と大きく異なります。コピー用紙で提出すると、マイナスな印象を与える可能性があるので注意しましょう。

企業によって手書きかパソコンのどちらが良いか異なります。例えば、IT関連やベンチャー企業などは比較的パソコンのほうが好まれます。一方、老舗企業は直筆の履歴書を好む傾向があります。応募先の特徴に合わせてどちらを選ぶか、考えましょう。

職務履歴書など別紙にまとめて書く

職務経歴書とは、職歴だけでなく業務内容や保有スキルなどを詳しく記載する書類です。転職時に履歴書とセットで提出するケースがあります。履歴書の職歴欄では書ききれない場合は、履歴書に職歴を書いた後に「すべての職歴は職務経歴書に記載」などの文章を添えておきましょう。

職歴
2015 4 株式会社〇〇 入社
2020 3 株式会社〇〇 会社都合により退職
2020 4 〇〇〇株式会社 入社
すべての職歴や業務内容の詳細については、職務経歴書を参照ください
現在に至る
以上

基本的には職務経歴書を用いればいいですが、職歴のみ別紙にまとめて記載しても構いません。この場合、履歴書に「すべての履職歴は別紙に記載」とだけ書くのではなく、一通りの職歴を記載しておきましょう。

履歴書の職歴の正しい書き方【ケース別で紹介】

次は履歴書の職歴の正しい書き方をケース別で紹介します。一般的な職歴の記入例を参考にしながら、ケース別に合わせて書き方を変えましょう。

  • 職歴の正しい書き方(記入例)
  • 職歴に職務内容を書く場合
  • 職歴に退職予定日を書く場合
  • 職歴に異動・転勤を書く場合
  • 派遣社員・契約社員の職歴を書く場合
  • 職歴に空白の期間がある場合

職歴の正しい書き方(記入例)

まずは、一般的な職歴の記入例です。職歴欄に書ききれない場合は、先ほど紹介した対処法をもとにアレンジしてください。

年(西暦) 学歴・職歴(別々にまとめて書く)
学歴
2012 3 大阪〇〇高等学校 卒業
2012 4 〇〇大学〇〇学部〇〇学科 入学
2016 3 〇〇大学〇〇学部〇〇学科 卒業
職歴
2016 4 〇〇〇株式会社 入社
京都本社 営業部 〇〇課に配属
新規顧客開拓を担当
2019 3 一身上の都合により退職
2019 4 株式会社〇〇〇 入社
大阪支社 営業部 〇〇課に配属
新規顧客開拓を担当
2021 3 会社都合により退職
2021 4 〇〇〇株式会社 入社
大阪本社 営業部 〇〇課に配属
現在に至る
以上

書き方のポイント(注意点)については、後ほど紹介しますが、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 「退社」ではなく「退職」と記入する
  • 会社名(部署名)は正式名称を記入する
  • 年号を和暦・西暦で統一する
  • 退職理由は簡潔にまとめる

職歴に職務内容を書く場合

職歴
2015 4 株式会社〇〇 入社
2018 3 株式会社〇〇 会社都合により退職
2018 4 〇〇〇株式会社 入社
東京本社 営業部 〇〇課に配属
自動車部品の販売営業を担当
主任としてメンバー4人の指導と育成を携わる
現在に至る
以上

記入例のように簡単な業務内容だけでなく、職務内容を書く場合の書き方を紹介します。そもそも業務内容と職務内容の違いを理解しておく必要があります。業務内容は、会社の事業に対して部署全体が取り組み仕事のことです。例えば、新規顧客開発本部、関西エリアを担当などです。

一方の職務内容は業務内容を細分化したものにあたります。つまりは、部署全体ではなく、個々に受け持つ仕事のことです。例えば、自動車部品の販売営業や、PC周辺機器の量販店向け営業などです。

職歴欄にスペースが余っている場合は、自分が担当した具体的な職内容を書き加えることでアピールにつながります。ただし、応募先の企業との関連性が低いとアピールとして不十分です。

職歴に退職予定日を書く場合

職歴
2020 4 株式会社〇〇〇 入社
東京支社 営業部 〇〇課に配属
新規顧客開発を担当
現在に至る(2024年〇〇月〇〇日 退職予定 2024年〇〇月〇〇日 入社可能日)
以上

現在は在籍中で、退職予定日が決まっている場合の書き方です。職歴を書いた後に「現在に至る(2024年〇〇月〇〇日 退職予定)」と記載します。なお、入社可能日が決まっている場合は退職予定日の後に記載しましょう。

職歴欄に記載するスペースがない場合は、本人希望欄や職務経歴書に書いても構いません。

職歴に異動・転勤を書く場合

職歴
2020 4 株式会社〇〇〇 入社
東京支社 営業部 〇〇課に配属
新規顧客開発を担当
2024 10 大阪本社 営業部 〇〇課へ転属
新規顧客開発を担当
現在に至る
以上

社内異動の場合でも、異動の年月を記入し、異動した部署や店舗などの名前を記入してください。例えば、店舗異動の場合は、「〇〇店に異動(配属)」のように記入します。職位異動や転籍なども同様です。また転勤も同様に年月を記入後、転勤先の部署や店舗を書きます。

派遣社員・契約社員の職歴を書く場合

職歴
2018 4 株式会社〇〇に登録
△△株式会社 営業部にて派遣社員として就業
首都圏エリアで提案営業を担当する
2021 3 派遣期間満了につき退職

派遣社員の場合は、派遣元の企業名を書き、「入社」ではなく「登録」と記入します。その下に派遣先の企業名や業務内容をまとめましょう。「△△株式会社 営業部にて派遣社員として就業」のように記入すると、派遣元と区別できるためわかりやすくなります。

派遣期間の途中で退職した場合は、「一身上の都合により退職」や「会社都合により退職」と記載してください。派遣期間満了での退職は上記の例を参考にしてください。契約社員の場合も同様に、雇用形態の違いがわかるように「契約社員として入社」などを記入しましょう。

職歴に空白の期間がある場合

職歴
2018 4 株式会社〇〇 入社
2021 9 株式会社〇〇 出産のため退職
※現在は保育園に入園しているため業務に支障はありません

職歴に空白の期間がある場合は、空白になった理由をわかりやすいように記入します。「両親の介護のため」や「出産のため」など、そのままの理由を記入して問題ありません。業務に支障がない場合は、その旨も併せて記入します。業務に支障が出る場合は、職歴には記入せず、本人希望欄に記入しましょう。

職歴
2020 4 〇〇株式会社 入社
2023 9 〇〇株式会社 一身上の都合により退職
※〇〇の資格取得の勉強をしながら、1年間飲食業でアルバイト

空白の期間が一身上の都合であっても、空白の期間に何をしていたか記入します。例えば、アルバイト・留学・資格取得・家業の手伝いなどです。記入するときは、なるべくネガティブな内容は避け、ポジティブな内容を記入しましょう。

履歴書の職歴に関する6つの注意点

履歴書の職歴を記入するときに注意するポイントは6つです。正しい書き方を意識しながら、以下の6つに注意してください。

  • 1.「退社」ではなく「退職」と記入する
  • 2.会社名(部署名)は正式名称を記入する
    3.年号を和暦・西暦で統一する
    4.退職理由は簡潔にまとめる
    5.履歴書を提出する前に見直す
    6.職歴に記入漏れ・ミスがあればすぐに会社へ連絡する

1.「退社」ではなく「退職」と記入する

履歴書の職歴を記入するときは、「退社」ではなく「退職」と記入します。どちらも似た言葉ですので、同じように思えますが意味が少し異なります。退社は、「①仕事を辞める」という意味だけではありません。「②その日の業務を終えて会社を出る」という意味もあります。

一方の退職は「仕事を辞める」という意味しかありません。採用担当者に誤解を与えないためにも「退社」ではなく「退職」と記入しましょう。

2.会社名(部署名)は正式名称を記入する

履歴書の職歴を記入するときに、会社名や部署名を省略してはいけません。「(株)・(有)」のように記入しないようにしましょう。また、西暦も「H〇年・R〇年」といった書き方はNGです。

会社名が変わった場合も、両方の会社名を記入します。例えば、「株式会社〇〇(現:株式会社△△) 入社」のように記入します。

3.年号を和暦・西暦で統一する

年号は和暦・西暦のどちらで記入しても問題ありません。ただし、履歴書全体でどちらか片方を統一してください。履歴書の職歴内では統一されていても、職歴以外の記入欄でバラバラになっているパターンがあります。履歴書全体で統一することが重要ですので、注意しましょう。

4.退職理由は簡潔にまとめる

退職理由を記入するときは、職歴欄に詳しく記入する必要はありません。とくに転職回数が多い人は、一つずつ詳しく書いているとスペースが足りなくなってしまいます。一般的には「一身上の都合により退職」「会社都合により退職」「契約期間満了につき退職」がといった定型文を利用しましょう。

しかし、空白の期間がある場合は、わかりやすい説明が必要です。

5.履歴書を提出する前に見直す

履歴書が書き終われば、提出する前に必ず見直し、間違いがないか見直しましょう。誤字脱字などのケアレスミスが多いと、「注意力のない人」という印象を与える可能性があります。自分一人では不安の人は、転職エージェントなどに添削してもらいましょう。

6.職歴に記入漏れ・ミスがあればすぐに会社へ連絡する

応募先の企業に履歴書を提出した後に、記入漏れや記載ミスに気がつく場合があります。ミスに気付いたときは、すぐに応募先の採用担当者へ連絡しましょう。簡単なミスの場合は電話で伝えるだけで構いません。

修正が必要な場合は、正しい情報を記入した新しい履歴書を再提出しましょう。ただし、「再提出する必要はない」と言われた場合は指示に従ってください。一般的には、まず電話で伝えますが、採用担当者につながらないときは、メールでも問題ありません。

まとめ

履歴書の職歴には、省略せずにすべての職歴を記入しましょう。自分勝手に省略すると「職歴詐称」だと疑われる可能性があります。とくにすべて書ききれないときに、省略しがちですので注意してください。職歴がすべて書ききれないときは、「入社と退職を1行にまとめて書く」「職務経歴書に書く」などの工夫が必要です。

採用担当者に好印象を与えるためにも、正しい履歴書の書き方を意識しましょう。

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