面接のために企業へ足を運ぶ際、交通費を請求できるのか悩む人もいるのではないでしょうか。とくに遠方から参加する場合、移動費の負担は大きく、少しでも補助があると助かるものです。
結論からいえば、面接の交通費は一般的に自己負担ですが、企業から支給されるパターンもあります。
本記事では、面接の交通費は請求できるのか解説します。また、面接の交通費を正しく請求する方法や請求するときの注意点などを紹介しますので、参考にしてください。
・面接の交通費は請求できますが、一般的には自己負担です
・面接の交通費が支給されるパターンは、事前に交通費支給ありと案内されている、遠方からの面接、特別な事情がある場合など
・面接の交通費を正しく請求する方法は、事前に交通費支給の有無を確認する、領収書などの必要書類を準備する、請求書・明細書を作成するなど
・面接の交通費を請求するときの注意点は、事前に支給条件を確認せず請求しない、過剰請求や実費を超える請求をしないなど
目次
面接の交通費は請求できる?
企業の面接に参加する際、交通費を請求できるかどうかはケースによって異なります。一般的には自己負担ですが、企業によっては支給される場合もあります。
- 面接の交通費は一般的に自己負担
- 面接の交通費が支給される割合
面接の交通費は一般的に自己負担
多くの企業では、面接の交通費を応募者が負担するのが一般的です。交通費が自己負担になる理由としては、採用活動には多くの候補者が関わるため、全員分の交通費を支給すると企業のコストが大きくなるからです。
ただし、最終面接や役員面接など採用決定に近い段階になると、交通費を一部または全額負担する企業もあります。応募先がどういった方針を取っているかは、事前に求人票やメールを確認することが大切です。
面接の交通費が支給される割合
マイナビが2024年4月に調査した結果によれば、中途採用の面接で交通費の支給があった人は15.1%です。支給された段階の内訳は、以下の通りです。
支給が始まった段階 | 割合 |
---|---|
一次面接から | 51.1% |
二次・三次など途中から | 12.4% |
最終面接から | 17.3% |
その他 | 19.2% |
結果を見ると、一次面接からの支給が過半で、支給がある場合は選考初期から始まる傾向があります。
一方、マイナビの別の調査によれば、新卒就活生では約6割が内々定前に交通費や宿泊費の支給を受けた経験があると回答しています。
これらの調査を踏まえると、学生は交通費を支給される傾向があるが、中途採用の場合は支給されないケースが多いです。
面接の交通費が支給されるパターン
面接の交通費は基本的に自己負担ですが、条件によっては企業が負担してくれる場合があります。交通費が支給されやすいパターンについて見ていきましょう。
- 事前に交通費支給ありと案内されているパターン
- 遠方から面接するパターン
- 特別な事情がある場合に相談して承認されるパターン
- 支給される場合は全額・一律・一部の3パターンがある
事前に交通費支給ありと案内されているパターン
交通費が支給される最も分かりやすいケースは、求人票や案内メールに交通費支給ありと記載されている場合です。この場合、面接にかかった費用を請求できます。
支給の有無は企業によって異なるため、求人票や採用サイトなどで事前に確認しておきましょう。記載がない場合は、基本的に自己負担になります。
遠方から面接するパターン
応募者が遠方から面接に参加する場合、交通費が支給されるケースがあります。とくに、地方から都市部の本社や支店に向かう場合や、新幹線や飛行機を利用する場合に該当します。
企業側は、優秀な人材を確保するために遠方からの応募者の負担を軽減する意図で支給することが多いです。中途採用でも、どうしても会いたい候補者や重要ポジションの場合は一部支給や全額支給の可能性があります。
支給される場合は、事前に金額や精算方法を確認し、領収書を保管しておくことが大切です。交通手段によって支給対象が異なる場合もあるため、企業の指示を確認して無駄な費用をかけないようにしましょう。
特別な事情がある場合に相談して承認されるパターン
交通費が支給されるケースには、応募者の事情を考慮して企業が承認する場合もあります。たとえば、育児や介護などで日帰りが難しく宿泊が必要な場合や、現職の都合で面接時間を調整しなければならない場合です。
こうした特別な事情がある場合は、事前に人事担当者に相談し、承認を得てから面接に向かうことが重要です。
相談にあたっては、理由を簡潔に伝え、必要な証明書類や費用の見積もりを添えると承認されやすくなります。企業によって対応が異なるため、自己判断で行動せず、必ず事前に確認することが安全です。
支給される場合は全額・一律・一部の3パターンがある
面接の交通費が支給される場合でも、支給方法は企業によって異なります。一般的には、全額支給、一律支給、一部支給の3パターンです。
全額支給では、領収書を提出すれば実際にかかった費用がすべて支給されます。一律支給は、距離や地域に応じて一定額の交通費が支給される方式で、交通手段の違いに関わらず一定額が受け取れます。
一部支給では、上限金額や補助率が設定されており、実費の一部のみが支給される方式です。中途採用の場合は一部支給や上限付きのケースが多く、新卒採用では全額支給されることが比較的多い傾向です。
支給方法を事前に確認し、領収書など必要書類を正しく提出しましょう。
面接の交通費を正しく請求する方法
面接の交通費を請求する際は、正しい手順を踏むことが重要です。手続きや書類の不備で精算が遅れたり、トラブルになることがあります。面接の交通費をスムーズに請求するための具体的な手順と注意点を詳しく解説します。
- 事前に交通費支給の有無を確認する
- 領収書などの必要書類を準備する
- 請求書・明細書を作成する
- 書類を提出して承認を受ける
- 受け取り後にお礼のメールを送る
事前に交通費支給の有無を確認する
面接の交通費を請求する際は、まず支給の有無を事前に把握しておくことが基本です。求人票や案内メールに交通費支給ありと記載されていれば安心ですが、記載がない場合は人事担当者に問い合わせましょう。
直接「交通費は支給されますか?」と尋ねると、採用担当者に悪い印象を与える可能性があるので、問い合わせの方法には注意してください。
そのため、当日の持ち物を確認することで間接的に支給の有無を判断するのがおすすめです。支給される場合は、印鑑や交通費の領収書などが必要になることが多いため、担当者の案内に応じて準備しましょう。
領収書などの必要書類を準備する
交通費を請求する際は、必要書類をきちんと準備することが重要です。公共交通機関を利用した場合は切符やレシート、飛行機や新幹線の場合は発券控えや電子チケットの控えを保管しておきましょう。
タクシーやバスを利用した場合も、領収書が発行される場合は必ず受け取ることが大切です。企業によっては支給対象となる交通手段が限定されている場合もあります。
そのため、どの手段であれば交通費が支給されるのか事前に確認しておきましょう。また、複数の面接を同日に行う場合は、それぞれの交通費を分けて記録しておくと後の精算がわかりやすくなります。
万が一、領収書や明細書を準備し忘れた場合は、交通費が支給されないこともあります。企業によって対応が異なりますので、採用担当者に確認してください。
請求書・明細書を作成する
交通費を支給してもらうために、請求書や明細書を作成します。企業によっては所定のフォーマットが用意されており、メール添付や面接当日の提出を求められることもあります。
請求書には、面接日や訪問先、交通手段、金額を正確に記入しましょう。特に金額や日付の誤りは、承認が遅れる原因になるため注意が必要です。
複数の面接を同日に行った場合は、交通費ごとに明細を分けて記載するとわかりやすくなります。また、領収書や明細書を請求書に添付して提出すると、担当者が確認しやすく、承認もスムーズに進みます。正確で丁寧な作成を心がけましょう。
書類を提出して承認を受ける
交通費の請求書や領収書、明細書を作成したら、次は企業指定の方法で提出し承認を受けるステップです。提出方法はメール添付や郵送、面接時に手渡しなど、企業によって異なります。
提出後は、担当者が内容を確認し、承認を得てから支給されるのが一般的です。
承認が下りる前に支払を求めたり、自己判断で手続きを進めたりすると、トラブルの原因になるので注意しましょう。
承認後の振込日や精算方法を事前に確認しておくと、いつ支給されるか安心です。不明点がある場合は早めに担当者に問い合わせ、正確に手続きを進めましょう。
受け取り後にお礼のメールを送る
交通費を受け取った後は、お礼のメールを送ることで好印象を残せます。例えば、以下のようなメールを参考にしてください。
株式会社〇〇
人事部 〇〇様
お世話になっております。先日は面接の機会をいただき、誠にありがとうございました。
また、面接にかかる交通費をご支給いただき、重ねてお礼申し上げます。
貴社の面接を通じて、業務内容や組織の方針に対する理解が深まり、改めて貴社での業務に携わりたいという意欲が高まりました。
今後の選考に向けて、引き続きよろしくお願い申し上げます。
〇〇(氏名)
お礼のメールは、マナーとしても重要です。特に中途採用の場合は、候補者の印象として残ることがあります。請求手続きが完了したことを報告するとともに、感謝の気持ちを伝えることで、企業側との良好な関係を維持できます。
送信は交通費を受け取った当日か翌日までに行うと、より丁寧な印象になります。誤字脱字などがあれば、逆に悪い印象を与えることになるので注意しましょう。
面接の交通費を請求するときの注意点
面接の交通費を請求するときの注意点について紹介します。
- 事前に支給条件を確認せず請求しない
- 過剰請求や実費を超える請求をしない
- 面接時に交通費について質問しない
事前に支給条件を確認せず請求しない
面接の交通費を請求する際は、事前に支給条件を確認せずに請求しないことが大前提です。求人票や案内メールに明記されていない場合、自己判断で交通費を請求すると、企業側に誤解や不信感を与える可能性があります。
特に中途採用の場合は、交通費の支給が基本的に自己負担であることが多く、事前確認を怠ると非常識な応募者と見なされるリスクもあります。
必ず、支給の有無や条件を事前に確認し、承認を得てから請求手続きを行うことが重要です。
過剰請求や実費を超える請求をしない
交通費を請求する際は、過剰請求や実費を超える請求をしないことが重要です。領収書や明細書に記載された金額以上を請求したり、交通費として認められない費用を含めると、信頼を損なう原因になります。
企業によっては、支給上限や一律金額が設定されている場合もあります。そのため、事前に支給範囲や上限を確認し、実際にかかった交通費だけを正確に請求することが大切です。
過剰請求は意図的でなくてもトラブルの元となるため、注意深く金額を計算しましょう。
面接時に交通費について質問しない
面接の場で交通費について直接質問しないことも大切です。面接は候補者のスキルや適性を判断する場であり、交通費の話を持ち出すとマナー違反と受け取られる可能性があります。
交通費の支給の有無や精算方法は、面接前に求人票や案内メールで確認するか、メールや電話で人事担当者に相談して把握しておくのが適切です。面接当日は、選考に集中し、交通費の話題は避けるようにしましょう。
面接の交通費を節約する方法
面接にかかる交通費は、工夫次第で節約できます。とくに遠方で複数の企業を訪問する場合や、移動手段が複数ある場合は、計画的に行動することが重要です。交通費を効率よく抑える方法を具体的に解説します。
- 1日で複数の面接を済ませる
- 事前にルートや料金を調べて最安ルートを選ぶ
- オンライン面接のある企業を選ぶ
1日で複数の面接を済ませる
交通費を節約する最も効果的な方法のひとつは、1日に複数の面接をまとめて行うことです。とくに同じ地域に複数の企業がある場合、1回の移動で複数の面接を組むことで、交通費だけでなく移動時間も節約できます。
スケジュールを組む際は、移動距離や所要時間をあらかじめ調べ、無理のない順番で回ることが重要です。
また、面接時間に余裕を持たせることで、電車の遅延や交通トラブルにも対応できます。移動中の体力消耗を考慮し、昼食や休憩の時間も確保しておくと安心です。
1日で複数の面接を済ませるためには、当然一度に複数企業へ応募する必要があります。複数応募のメリットやデメリットについて、以下の記事で紹介しているので参考にしてください。
関連記事:転職は何社受けるべき?平均応募社数と内定を勝ち取るコツを紹介
事前にルートや料金を調べて最安ルートを選ぶ
面接の交通費を節約するには、事前にルートや料金を調べて最安の移動方法を選ぶことが効果的です。電車やバス、飛行機など複数の交通手段がある場合は、所要時間や乗り換え回数、料金を比較して最も効率的なルートを選びましょう。
とくに新幹線や特急を利用する場合、早期予約割引や回数券の活用で費用を抑えられることがあります。都市部ではICカードや交通系アプリを使うと、最短ルートや最安ルートの検索が簡単にできます。
オンライン面接のある企業を選ぶ
交通費を節約する方法として、オンライン面接を導入している企業を選ぶことも有効です。ZoomやTeamsなどのツールを使った面接では、移動費がかからないため、交通費だけでなく移動時間や体力も節約できます。
とくに遠方の企業や複数回面接が必要な場合には、大きなメリットとなります。
オンライン面接を希望する場合は、求人情報や企業の採用サイトで対応可否を確認しておきましょう。応募段階で「オンライン面接は可能でしょうか」と問い合わせると、スムーズに調整できます。
また、オンライン面接でも服装や身だしなみ、周囲の環境など、対面と同様の準備が必要です。交通費を節約しつつ、選考に遅れずしっかり対応できるよう、事前準備を徹底しましょう。
面接の交通費に関するよくある質問
面接の交通費に関するよくある質問について紹介します。
- 面接の交通費を請求するときは往復?片道?
- 面接の交通費を請求するときに印鑑や領収書を忘れた場合は?
- 新幹線(指定席)や飛行機で面接に行っても交通費は受け取れる?
- 面接の交通費を多く請求したらバレる?
面接の交通費を請求するときは往復?片道?
面接の交通費は基本的に往復分で請求するのが一般的です。企業側も、応募者が面接に行き帰りする費用を想定して支給するため、片道だけでは不十分な場合が多いです。
ただし、企業によっては「片道のみ支給」や「上限金額まで支給」というルールがあることもあります。そのため、事前に求人票や案内メールで確認することが重要です。
往復分の請求であっても、領収書や明細書は必ず保管し、実際にかかった金額を正確に記入することで、トラブルを避けられます。
面接の交通費を請求するときに印鑑や領収書を忘れた場合は?
面接の交通費を請求する際に、印鑑や領収書を忘れてしまった場合は、請求ができないか、支給が遅れる可能性があります。企業は領収書を確認して実費精算することが多いため、証拠となる書類がないと承認されないケースがあります。
もし忘れてしまった場合は、すぐに担当者に連絡し、再発行できるか確認しましょう。例えば、電子チケットの控えやオンライン明細、再発行の領収書を活用する方法があります。
新幹線(指定席)や飛行機で面接に行っても交通費は受け取れる?
新幹線の指定席や飛行機で面接に向かう場合でも、交通費として支給されるケースは多いです。ただし、企業によっては「通常の公共交通機関の運賃まで」と制限している場合もあるため、事前に確認しておくことが大切です。
とくに飛行機や新幹線を利用する場合は、チケット代の領収書や電子チケットの控えを必ず保管しましょう。
また、グリーン車やプレミアムシートなど、通常より高額な座席を利用する場合は、追加費用が自己負担となることがあります。支給範囲を確認し、実費相当分だけを正確に請求することが重要です。
面接の交通費を多く請求したらバレる?
交通費を多く請求すると、バレる可能性が高いです。企業は領収書や明細書をもとに精算を行うため、実際の支出と請求金額が一致しない場合は担当者に確認されます。
意図的な過剰請求は信頼を損ない、選考や今後の関係に悪影響を及ぼします。
交通費は、あくまで実際にかかった金額を正確に請求することが基本です。複数の移動手段や乗り換えがある場合も、領収書をまとめ、合計金額を計算して請求しましょう。
まとめ
面接の交通費は基本的に自己負担ですが、企業や状況によって支給される場合があります。支給される代表的なケースは、求人票や案内メールに交通費支給ありと明記されている場合や遠方からの面接、特別な事情がある場合です。
請求する際は、事前に支給の有無を確認し、領収書や明細書を準備して正確に請求書を作成しましょう。承認後にはお礼メールを送ると、印象を良く保てます。
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