
会社の不正を知ってしまった場合は、感情的に行動せず、慎重に判断することが大切です。
内部通報をした人は公益通報者保護法によって保護されます。
しかし、実際には通報したことが社内に知られ、人間関係の悪化や嫌がらせなど、不利益な扱いを受けるケースがないとは言い切れません。
特に、不正の規模が大きい場合や関与している人が多い場合は、より慎重な対応が求められます。
本記事では、会社の不正を知ってしまったときの対処法や相談先、内部通報制度の仕組み、会社を辞めたい場合の対応についてわかりやすく解説します。
・会社の不正を知ってしまったときは、まずは事実関係を確認する、会社が不正を行っている証拠を保全する
・不正を会社に伝えるリスクは、内部通報したことが知られる、上司や会社から圧力や嫌がらせを受ける、不正の内容によっては社会的な問題に発展する可能性がある
・会社の不正を知ってしまった場合の相談窓口は、社内の通報窓口、総合労働相談コーナー、労働基準監督署、警察相談専用電話(#9110)、公益通報者保護制度相談ダイヤルなど
・会社の不正を言わない場合に知っておきたいことは、転職も検討する、退職をめぐってトラブルになりそうなら退職代行を利用する、退職後に会社の不正を通報できる
目次
会社の不正を知ってしまったときは内部通報すべきか
会社の不正を知ってしまった場合は、すぐに内部通報するのではなく、状況をよく考えてから行動することが大切です。
内部通報とは、会社で行われている法令違反や不正行為を、社内の通報窓口やコンプライアンス部門などへ報告する制度です。
不正の早期発見や被害拡大の防止につながるため、多くの企業で内部通報制度が設けられています。
また、一定の要件を満たす公益通報は、公益通報者保護法によって保護されます。
通報を理由とする解雇や降格などの不利益な取り扱いは禁止されており、通報者を守るための仕組みです。
一方で、実際には通報者が特定され、職場で孤立したり、人間関係が悪化したりする可能性も否定できません。
特に、不正に関与している人が上司や経営陣である場合は、社内の通報窓口へ相談しても、適切に対応してもらえないおそれがあります。
会社の不正を知ったからといって、必ず内部通報しなければならないわけではありません。
不正に関与しない意思を示し、関係する業務から距離を置くという選択肢もあります。
そのため、内部通報するかどうかは不正の内容や規模、通報後も会社で働き続けたいのかなどを踏まえて判断する必要があります。
通報した後に起こり得る影響まで考えたうえで、自分にとって適切な対応を選びましょう。
関連記事:会社の不正はどこに告発すればいいの?内部告発の通報先と注意点を解説
会社の不正を知ってしまったときはどうすればいいのか
会社の不正を会社へ伝える場合は、感情的に行動するのではなく、適切な相談先や通報先を選ぶことが重要です。
不正の内容や関与している人によっては、直属の上司へ相談するよりも、内部通報窓口や行政機関、弁護士へ相談したほうが適切なケースもあります。
ここでは、会社の不正を伝える主な方法と、それぞれの特徴について紹介します。
- まずは事実関係を確認する
- 会社が不正を行っている証拠を保全する
まずは事実関係を確認する
会社の不正を伝える前に、まずは本当に法令違反や社内ルール違反が行われているのか事実関係を確認しましょう。
不正だと思ったという印象だけで行動すると、実際には業務上の手続きや会社のルールに基づく対応だったというケースもあります。
誤った情報をもとに通報すると、不要な混乱を招くおそれがあるため注意が必要です。
不正が疑われる場合は、いつ・どこで・誰が・何をしていたのかなど、客観的な事実を整理しましょう。
自分で無理に調査を進めたり、関係者を問い詰めたりする必要はありません。
事実関係を確認したうえで、不正の疑いが強いと判断した場合は、証拠を保全し、適切な相談先や通報先を検討することが大切です。
会社が不正を行っている証拠を保全する
会社の不正が疑われる場合は、客観的な証拠を保全しておくことが重要です。
内部通報や行政機関への通報を行う際は、不正が行われていたことを裏付ける証拠があると、事実関係を確認してもらいやすくなります。
例えば、メールやチャットのやり取り、契約書、請求書、業務日報、写真、録音データなど、不正に関係する資料があれば、適切な方法で保存しておきましょう。
ただし、証拠を集めるために会社へ不正アクセスをしたり、閲覧権限のない資料を取得したり、機密情報を無断で持ち出したりすることは避けてください。
証拠収集の方法によっては、自分が責任を問われる可能性があります。
どこまで証拠を集めればよいかわからない場合は、無理に収集を続けるのではなく、弁護士などの専門家へ相談しながら対応を進めることをおすすめします。
会社の不正を会社へ伝える場合の対応
会社の不正を会社へ伝える方法はいくつかあり、相談先によって対応できる範囲や特徴が異なります。
例えば、上司へ相談する方法もあれば、社内の内部通報窓口を利用する方法、行政機関や弁護士へ相談する方法もあります。
不正に関与している人や不正の内容によって、適切な相談先は変わるため、自分の状況に合った方法を選ぶことが大切です。
- 上司に相談する
- 内部通報制度を利用する
- 行政機関へ通報する
- 弁護士へ相談する
上司に相談する
不正に直属の上司が関与していない場合は、まず上司へ相談してみましょう。
現場で起きている不正であれば、上司が事実関係を確認し、改善に向けて対応してくれる可能性があります。
誤解や認識違いだった場合も、相談することで疑問を解消できるでしょう。
一方で、上司自身が不正に関与している場合や、不正を黙認している場合は、相談しても適切に対応してもらえないでしょう。
また、相談内容が関係者へ伝わり、トラブルにつながるおそれもあります。
そのため、上司が信頼できる相手かどうかを見極めたうえで相談することが大切です。
少しでも不安がある場合は、内部通報窓口や弁護士など、別の相談先を検討しましょう。
内部通報制度を利用する
不正の事実関係を確認できている場合は、内部通報制度を利用して専用の窓口へ相談・通報することも選択肢の一つです。
内部通報制度は、法令違反や不正行為を早期に発見し、是正することを目的とした制度です。
通報された内容を担当部署が調査し、必要に応じて会社が改善措置を講じます。
また、一定の要件を満たす公益通報は公益通報者保護法の対象となるため、通報を理由とした解雇や降格などの不利益な取り扱いは禁止されています。
ただし、経営陣や内部通報窓口の担当者まで不正に関与している場合は、制度が適切に機能ているとは限りません。
通報内容が関係者へ伝わり、情報が漏えいするリスクも考えられるため注意が必要です。
そのため、不正に関与している範囲や会社の体制を踏まえたうえで、内部通報制度を利用するか、それとも行政機関や弁護士へ相談するかを慎重に判断しましょう。
行政機関へ通報する
会社で行われている不正の内容によっては、行政機関へ通報することもあるでしょう。
例えば、労働基準法違反であれば労働基準監督署、景品表示法違反であれば消費者庁、環境法令違反であれば自治体や関係行政機関など、違反している法令に応じて相談先や通報先が異なります。
行政機関は通報内容をもとに事実確認を行い、必要に応じて立入調査や行政指導、改善命令などの対応を行います。
そのため、社内だけでは解決が難しい場合や、内部通報制度が機能していない場合の選択肢になるでしょう。
ただし、行政機関が対応するためには、不正の内容や証拠が重要です。
通報前に事実関係を整理し、客観的な資料を準備しておくと、調査が円滑に進みやすくなります。
弁護士へ相談する
会社の不正にどのように対応すればよいかわからない場合は、弁護士へ相談することも有効です。
弁護士であれば、不正の内容や証拠をもとに、内部通報・行政機関への通報・刑事告発など、状況に応じた適切な対応をアドバイスしてもらえます。
また、知らない間に自分が不正に関与してしまっている場合も、法的なリスクを踏まえたうえで対応方法を検討できます。
さらに、通報したことで会社から不利益な取り扱いを受けた場合や、損害賠償請求などのトラブルへ発展した場合にも、代理人として対応を依頼できることがメリットです。
不正の規模が大きい場合や、経営陣が関与していて社内では解決が難しい場合は、一人で判断せず、早めに弁護士へ相談することを検討しましょう。
不正の通報者は法律で守られている(公益通報者保護法)
会社の不正を通報すると、通報したことがバレてしまうのではないかと不安を感じる方もいるでしょう。
こうした不安を軽減するために設けられているのが公益通報者保護法です。
公益通報者保護法の概要や保護される内容について解説します。
- 公益通報者保護法とは?保護される範囲
- 通報を理由とする解雇や不利益な取り扱いは禁止されている
- 通報妨害や通報者を探索する行為は禁止されている
- 不正の発覚は内部通報が最も多い
公益通報者保護法とは?保護される範囲
公益通報者保護法とは、会社などの法令違反を通報した人を保護するための法律です。
労働者や退職者、役員などが一定の要件を満たして公益通報を行った場合、通報したことを理由に不利益な取り扱いを受けないよう保護されます。
保護の対象となる通報先は、勤務先だけではなく、行政機関や報道機関なども含まれます。
一方で、単なる噂や憶測だけをもとにした通報や、法律の保護対象にならない内容の通報は、公益通報者保護法の対象外です。
通報を理由とする解雇や不利益な取り扱いは禁止されている
公益通報をしたことだけを理由に、会社が通報者を不利益に扱うことは禁止されています。
例えば、公益通報を理由とした解雇や降格、減給、不当な配置転換などは、公益通報者保護法によって禁止されています。
通報したことへの報復として、不利益な処分を行うことは認められていません。
また、2025年の法改正により、公益通報者の保護はさらに強化されています。
企業には適切な内部通報体制を整備することが求められており、通報者が安心して相談できる環境づくりも重要視されています。
通報妨害や通報者を探索する行為は禁止されている
会社が従業員の通報を妨害したり、誰が通報したのかを探したりする行為も禁止されています。
例えば、外部へ通報しないよう誓約書を書かせる、通報したら処分すると脅すといった通報をためらわせる行為は、通報妨害です。
また、内部通報の担当者が通報者の氏名などの情報を不必要に漏らしたり、会社が通報者を特定するために調査を行ったりすることも適切ではありません。
通報者が安心して相談できる環境を整えるため、通報者の秘密は保護されるべきものとされています。
不正の発覚は内部通報が最も多い
企業の不正は、内部通報をきっかけに発覚するケースが最も多いです。
実際に、消費者庁の調査では、不正が発覚したきっかけとして内部通報が68.4%と最も多くなっています。
次いで、上司による日常的なチェック(44.8%)、内部監査(41.9%)が続いており、社内からの情報提供が不正発覚に大きな役割を果たしていることがわかります。
このような結果から、多くの企業が内部通報制度を整備し、不正を早期に発見・是正できる体制づくりを進めているのです。
不正を放置すると企業の信用低下や損害拡大につながるため、内部通報はコンプライアンスを維持するうえで重要な仕組みといえるでしょう。
会社の不正を会社へ伝えるリスク
会社の不正を伝えることは、不正の是正や被害拡大の防止につながる一方で、通報者自身がさまざまな影響を受ける可能性もあります。
そのため、会社へ不正を伝える際は、起こり得るリスクも理解したうえで、慎重に判断することが大切です。
- 内部通報したことが知られる可能性がある
- 上司や会社から圧力や嫌がらせを受ける可能性がある
- 不正の内容によっては社会的な問題に発展する可能性がある
内部通報したことが知られる可能性がある
内部通報制度を利用しても、通報したことが周囲に知られる可能性はあります。
多くの企業では、通報者の秘密を守るために匿名通報や情報管理の仕組みが整備されています。
しかし、不正の内容や関係者の数によっては、この情報を知っているのは限られた人だけと推測され、通報者が特定されることもあるでしょう。
特に、部署の人数が少ない場合や、不正を知っている人が限られている場合は、匿名で通報しても身元が推測されやすくなるため注意が必要です。
そのため、内部通報を検討する際は、会社の通報制度や情報管理体制を確認するとともに、必要に応じて弁護士などへ相談しながら慎重に対応することが大切です。
上司や会社から圧力や嫌がらせを受ける可能性がある
会社の不正を伝えたことで、上司や会社から圧力や嫌がらせを受ける可能性もあります。
公益通報者保護法では、通報を理由とした解雇や降格などの不利益な取り扱いは禁止されています。
しかし、実際には業務から外されたり、周囲から孤立させられたり、精神的なプレッシャーを受けたりするケースがないとは言い切れません。
特に、不正に関与している人が上司や経営陣である場合は、報復を受けるリスクが高くなる可能性があります。
もし、通報後に不利益な取り扱いや嫌がらせを受けた場合は、一人で抱え込まず、弁護士や労働局などへ早めに相談することが大切です。
嫌がらせの内容や会社とのやり取りは、証拠として記録を残しておくと、その後の対応に役立ちます。
関連記事:パワハラ被害にあった場合の無料相談窓口8選!被害にあったときの対処法とセットで解説します
不正の内容によっては社会的な問題に発展する可能性がある
会社の不正は、内容によっては社会的な問題へ発展する可能性があります。
例えば、食品の産地偽装や品質データの改ざん、粉飾決算、個人情報の漏えいなどは、報道機関で大きく取り上げられるケースも少なくありません。
不正が公になると、企業の信用が失われるだけでなく、取引先や顧客にも大きな影響を及ぼします。
また、社内調査や行政機関の調査、刑事事件へ発展する可能性もあり、会社全体が大きな混乱に陥ることもあります。
そのため、不正を知った場合は、感情的に行動するのではなく、事実関係を確認したうえで適切な相談先へ相談することが重要です。
自分だけで抱え込まず、状況に応じて慎重に対応を進めましょう。
会社の不正を言わない場合に知っておきたいこと
会社の不正を知っても、関わりたくない、通報すると自分が不利益を受けそうと考え、何も行動しないことを選ぶ人もいるでしょう。
会社の不正を通報しない場合に知っておきたいポイントについて解説します。
- 不正に加担したら責任を問われる場合もある
- 不正への関与を拒否した証拠を残しておく
- 対応が難しい場合は異動や退職を検討する
不正に加担したら責任を問われる場合もある
会社の不正であっても、自分が加担してしまうと責任を問われる可能性があります。
不正と知りながら協力した場合は、懲戒処分や損害賠償請求の対象となるだけでなく、不正の内容によっては刑事責任を問われることもあります。
上司に指示された、断れなかったという理由だけで、責任を免れられるとは限りません。
不正だと認識しているのであれば、安易に従わないことが重要です。
もし、不正への協力を求められて断ることが難しい場合は、一人で抱え込まず、社内の通報窓口や弁護士などへ早めに相談しましょう。
不正への関与を拒否した証拠を残しておく
自分の身を守るためにも、不正には関与していない、または関与を拒否したことがわかる証拠を残しておくことが大切です。
不正だと知りながら自ら加担した場合は、会社から懲戒処分を受けたり、不正の内容によっては法的な責任を問われたりする可能性があります。
一方で、不正への関与を拒否していたことや、やむを得ず従わざるを得ない状況だったことが客観的にわかれば、責任は問われないでしょう。
不正な指示を断ったメールやチャットの履歴、業務上のやり取りなど、後から確認できる形で証拠を残しておくことが望ましいです。
口頭で指示を受けた場合も、日時や場所、指示の内容をメモしておくと役立ちます。
対応が難しい場合は異動や退職を検討する
会社の不正を止めることが難しく、自分の身を守れないと感じた場合は、異動や退職を検討することも選択肢の一つです。
不正が一部の部署だけで行われているのであれば、異動によって不正への関与を避けられる可能性があります。
一方で、経営陣が関与しているなど会社全体の問題であれば、異動だけでは解決しないケースも少なくありません。
また、不正への協力を繰り返し求められたり、通報したことで職場に居づらくなったりした場合は、そのまま働き続けることが大きな精神的負担になることもあります。
自分の身や将来のキャリアを守ることも重要です。
不正が改善される見込みがなく、安全に働き続けることが難しいと感じた場合は、転職や退職も視野に入れながら、自分にとって最善の選択を検討しましょう。
会社の不正を知ってしまったら一人で悩まないこと|7つの相談窓口
会社の不正を知ってしまったら一人で悩まないことがポイントです。
会社の不正について相談できる7つの窓口を紹介します。
- 社内の通報窓口・コンプライアンス部門
- 上司が不正に関与している場合は監査役やさらに上の役職者
- 総合労働相談コーナー
- 労働基準法違反は労働基準監督署
- 犯罪行為が疑われる場合は警察相談専用電話(#9110)
- 公益通報者保護制度相談ダイヤル
- 弁護士
社内の通報窓口・コンプライアンス部門
会社に内部通報制度がある場合は、社内の通報窓口やコンプライアンス部門へ相談できます。
通報窓口では、不正の内容をもとに事実確認や社内調査が行われます。
そのため、相談というよりも、不正を会社へ報告するための窓口という位置付けに近いと考えたほうがよいでしょう。
不正の内容や会社の体制によっては、社内ではなく行政機関や弁護士などへ相談したほうが適切な場合もあります。
上司が不正に関与している場合は監査役やさらに上の役職者
上司が不正に関与している場合は、その上司へ相談することは避け、さらに上の立場にいる役職者へ相談しましょう。
例えば、部長や本部長、役員、監査役など、不正に関与していない立場の人が相談先になります。
相談先がわからない場合は、会社の就業規則や内部通報規程、社内ポータルなどを確認してみましょう。
また、会社のホームページに役員情報やお問い合わせ先が掲載されていることもあります。
社内で適切な相談先が見つからない場合や、経営陣も不正に関与している可能性がある場合は、行政機関や弁護士など社外の相談窓口を利用することも検討してください。
総合労働相談コーナー
総合労働相談コーナーは、厚生労働省が全国の労働局や労働基準監督署などに設置している無料の相談窓口です。
匿名でも相談できるため、会社に相談したことが知られるリスクを抑えながら利用できます。
相談内容をもとに担当者が状況を整理し、今後の対応方法についてアドバイスを受けられます。
また、不正の内容に応じて、労働基準監督署など適切な相談先を案内してもらうことも可能です。
総合労働相談コーナー自体が会社を調査したり、不正を是正したりするわけではありません。
まずは状況を整理し、次に取るべき行動を相談したい場合に適した窓口です。
労働基準法違反は労働基準監督署
会社の不正が労働基準法違反に該当する場合は、労働基準監督署へ相談・申告できます。
例えば、違法な長時間労働や残業代の未払い、最低賃金を下回る賃金の支払いなどは、労働基準監督署が対応する代表的なケースです。
相談内容をもとに労働基準法違反の疑いがあると判断された場合は、会社への立入調査や是正勧告などが行われることがあります。
一方で、パワハラや会社の横領、粉飾決算など、労働基準法とは関係のない不正は対応の対象外です。
不正の内容に応じて、警察や行政機関、弁護士など適切な相談先を選びましょう。
犯罪行為が疑われる場合は警察相談専用電話(#9110)
会社の不正が犯罪に該当する可能性がある場合は、警察相談専用電話「#9110」へ相談しましょう。
#9110は、緊急性のない事件や犯罪に関する相談を受け付けている窓口です。
横領や業務上横領、詐欺、文書偽造など、犯罪が疑われる場合に相談できます。
相談内容をもとに警察が状況を確認し、必要に応じて最寄りの警察署を案内したり、事件として対応したりします。
なお、事件や事故が現在進行中で緊急性がある場合は、#9110ではなく110番へ通報してください。
公益通報者保護制度相談ダイヤル
公益通報者保護法の対象になるか不安な場合は、公益通報者保護制度相談ダイヤルを利用する方法があります。
公益通報者保護制度相談ダイヤルは、消費者庁が設置している相談窓口です。
公益通報者保護法の内容や保護の対象となるかなどについて相談できます。
通報すべきか迷っている場合や、どの窓口へ通報すればよいかわからない場合でも、状況に応じたアドバイスを受けることが可能です。
ただし、この窓口が会社へ調査や是正を行うわけではありません。
公益通報制度に関する疑問や不安を相談するための窓口として利用しましょう。
弁護士
対応方法に迷っている場合や、会社とのトラブルが心配な場合は、弁護士へ相談することをおすすめします。
弁護士であれば、会社の不正が法律上どのような問題に当たるのかを判断してもらえるほか、証拠の集め方や通報の進め方についてもアドバイスを受けられます。
また、通報によって不利益な扱いを受けた場合や、退職をめぐって会社とトラブルになった場合も、状況に応じたサポートを受けることが可能です。
一人で対応することに不安がある場合は、早い段階で弁護士へ相談することで、自分にとって最適な対応方法を検討しやすくなります。
会社の不正を知ってしまって居づらい場合は退職も選択肢
会社の不正を知ると、企業への信頼を失い、そのまま働き続けることに不安や罪悪感を抱くことがあります。
不正を改善する見込みがなく、企業としての姿勢に納得できない場合は、無理に働き続ける必要はありません。
自分の身や将来のキャリアを守るためにも、退職を選択することも一つの方法です。
ここでは、不正が原因で退職を検討する場合のポイントを解説します。
- 改善が見込めない場合は転職も検討する
- 退職をめぐってトラブルになりそうなら退職代行を利用する
- 退職後に会社の不正を通報することもできる
改善が見込めない場合は転職も検討する
会社が不正を改善する見込みがない場合は、転職を検討することも選択肢の一つです。
一度不正が発覚しても、会社が真摯に改善へ取り組むのであれば、働き続けるという選択もあります。
しかし、不正を隠蔽したり、従業員へ不正への協力を求めたりするような会社では、安心して働き続けることは難しいでしょう。
そのような環境で働き続けると、不正に巻き込まれるリスクが高まるだけでなく、精神的な負担も大きくなります。
会社の体質に改善が見込めないのであれば、無理に残り続ける必要はありません。
自分の価値観や将来のキャリアを大切にするためにも、より安心して働ける職場への転職を検討してみましょう。
退職をめぐってトラブルになりそうなら退職代行を利用する
会社の不正が原因で退職を言い出しにくい場合は、退職代行を利用してみましょう。
不正を行っている会社では、退職を引き止められたり、退職届を受け取ってもらえなかったりすることもあります。
また、不正に関与していた上司から圧力をかけられることを不安に感じる方もいるでしょう。
退職代行を利用すれば、会社への退職の意思表示や連絡を代行してもらえるため、会社と直接やり取りする必要がありません。
精神的な負担を抑えながら退職手続きを進められる点がメリットです。
なお、未払い賃金の請求や会社との交渉を依頼したい場合は、弁護士や労働組合が運営する退職代行を選ぶことをおすすめします。
退職後に会社の不正を通報することもできる
会社を辞めたあとでも、不正を通報することは可能です。
公益通報者保護法では、一定の要件を満たせば退職者も保護の対象となります。
そのため、在職中は報復や人間関係への影響が心配で通報できなかった場合でも、退職後に通報しても良いでしょう。
また、退職して会社との関係がなくなることで、精神的な負担が軽くなり、落ち着いて対応しやすくなることもあります。
ただし、退職後に通報する場合でも、事実を裏付ける証拠は重要です。
メールやチャットの履歴、業務記録などを適切な方法で保全したうえで、行政機関や弁護士などへ相談しながら進めるとよいでしょう。
会社の不正を知ってしまったことに関するよくある質問
会社の不正を知ってしまったことに関するよくある質問を紹介します。
- 会社の不正はどこに告発すればいい?
- 不正だらけの会社を辞めたいときは?
- 従業員や社内不正の事例は?
- 内部告発する人はどのような心理で通報する?
会社の不正はどこに告発すればいい?
会社の不正は、不正の内容に応じて告発先が異なります。
- 労働基準法違反:労働基準監督署
- 脱税:税務署
- 独占禁止法違反:公正取引委員会
- 製品データの改ざんや食品偽装など:所管する行政機関
- 横領や詐欺など犯罪行為:警察
なお、公益通報者保護法の要件を満たす場合は、会社の内部通報窓口や行政機関へ公益通報することも可能です。
不正だらけの会社を辞めたいときは?
会社を退職するときは、退職する2週間前に退職の意思を会社へ伝え、引き継ぎなどの必要な手続きを済ませれば退職できます。
特にトラブルがない場合は、会社と退職日を調整し、円満に退職できるケースがほとんどです。
一方で、不正をきっかけに強く引き止められたり、退職を認めてもらえなかったりするなど、会社とのトラブルに発展することもあります。
そのような場合は、弁護士や退職代行を利用することも一つの方法です。
会社とのやり取りを任せられるため、精神的な負担を抑えながら退職手続きを進められます。
従業員や社内不正の事例は?
会社の不正は、業種を問わずさまざまな企業で発生しています。ここでは、実際に発生した代表的な事例を紹介します。
- ビッグモーター(2023年):保険金を不正に請求するために故意に車へ傷を付けていたことなどが発覚しました。また、街路樹の問題なども明らかとなり、大きな社会問題となりました。
- ダイハツ工業(2023年):認証試験で不正が行われていたことが判明しました。長年にわたり不正が続いていたことから、国内外の多くの車種で出荷停止となるなど、大きな影響が生じました。
- 神戸製鋼所(2017年):アルミ製品や銅製品などで品質データを改ざんしていたことが発覚しました。取引先は500社以上に及び、日本を代表する製造業の不祥事として注目されました。
- 東芝(2015年):利益を実際より多く見せる不適切会計が長年行われていたことが判明しました。経営陣の責任も問われ、日本企業のコーポレートガバナンスが見直されるきっかけとなりました。
これらの事例からもわかるように、会社の不正は一部の企業だけで起こる問題ではありません。
不正を知ってしまった場合は、一人で抱え込まず、状況に応じて適切な対応を取ることが大切です。
内部告発する人はどのような心理で通報する?
内部告発をする理由は人それぞれですが、最も多いのは、不正を放置できないという正義感や責任感です。
また、不正への関与を求められたことや、会社が改善に向けた対応を取らなかったことをきっかけに通報を決意するケースもあります。
会社の利益よりも、利用者や取引先、社会への影響を重視して内部告発に踏み切る人も少なくありません。
まとめ
会社の不正を知ってしまった場合は、感情だけで行動するのではなく、まずは事実関係を確認し、証拠を保全することが大切です。
そのうえで、不正の内容や自分の立場を踏まえ、社内の通報窓口や行政機関、弁護士など適切な窓口へ相談・通報するか判断しましょう。
また、不正に加担しないことも重要です。
不正への関与を拒否した証拠を残しておくことで、自分の身を守れる場合があります。
会社に改善が見込めず、安心して働き続けられないと感じる場合は、退職や転職を検討することも選択肢の一つです。
不正を一人で抱え込まず、自分の身や将来を守るために適切な対応を取りましょう。