
長時間働いているにもかかわらず、給料が低いと感じる場合は、残業代が正しく支払われていない可能性があります。
実際に、サービス残業として処理されていたり、タイムカードや勤怠記録を書き換えられていたりするケースも少なくありません。
未払いの残業代が発生している場合は、会社へ請求できます。
ただし、残業時間を証明するための証拠集めや残業代の計算、会社との交渉が必要になるため、自分だけで対応することが難しい場合もあります。
そのような場合は、弁護士へ依頼することも検討しましょう。
弁護士であれば、証拠集めのサポートや残業代の計算、会社との交渉まで任せられます。
本記事では、残業代の請求を弁護士へ依頼するメリットや費用相場、請求する流れについて解説します。
・残業代を請求するときに弁護士へ依頼した方がよいケースは、未払い残業代が高額、会社が残業代の支払いを認めない、証拠が不足している、退職後に残業代を請求したい
・残業代の請求を弁護士へ依頼するメリットは、残業代を回収できる可能性が高まる、会社との交渉を任せられる、残業代を正確に計算してもらえる
・残業代の請求を弁護士へ依頼した場合の費用相場は、相談料(30分5,000円~1万円程度)、着手金(0~30万円)、報酬金(回収額の20~30%程度)、実費(1~2万円)
・弁護士へ依頼する場合の残業代を請求する流れは、労働時間を証明できる証拠を集める、弁護士へ相談する、会社へ未払い残業代を請求する、労働審判や訴訟を申し立てる
目次
残業代は自分でも請求できる?
未払い残業代は、必ずしも弁護士へ依頼しなければ請求できないわけではありません。
実際に、自分で証拠を集めて会社へ請求し、未払い残業代を回収している方もいます。
まずは、自分で請求できるのか、それとも弁護士へ依頼した方がよいのかを確認していきましょう。
- 自分で残業代を請求することは可能
- 会社との交渉や証拠集めが必要になる
自分で残業代を請求することは可能
未払い残業代は、自分で会社へ請求できます。
労働基準法では、会社に対して残業代を支払う義務があるためです。
そのため、未払い残業代が発生している場合は、在職中でも退職後でも請求できます。
実際に、自分で内容証明郵便を送ったり、会社と交渉したりして残業代を回収するケースもあります。
もっとも、会社が素直に支払いへ応じるとは限りません。
残業代が発生していないと主張されたり、労働時間について争われたりすることもあります。
未払い残業代が少額であり、会社も支払いに応じる姿勢を示している場合は、自分で請求する方法も選択肢の一つです。
会社との交渉や証拠集めが必要になる
残業代を請求するためには、未払い残業代が発生していることを証明しなければなりません。
そのため、タイムカードや勤怠システムの記録、業務日報、メールの送信履歴など、労働時間を証明できる証拠を集める必要があります。
また、集めた証拠をもとに未払い残業代を計算し、会社へ請求しなければなりません。
会社が支払いに応じない場合は、交渉を続けたり、労働審判や訴訟を検討したりすることもあります。
特に、会社側が残業の事実を否定している場合や、証拠が不足している場合は対応が難しくなります。
このように、残業代の請求は単に払ってくださいと伝えるだけではありません。
証拠集めや計算、交渉などが必要になるため、負担が大きいと感じる方もいるでしょう。
関連記事:パワハラの証拠集めはどうする?注意点とポイントをわかりやすく解説します
残業代を請求するときに弁護士へ依頼した方がよいケース
未払い残業代は自分で請求することも可能です。
しかし、会社が支払いを認めなかったり、証拠が不足していたりする場合は、自分だけで対応することが難しくなります。
残業代の請求を弁護士へ依頼した方がよいケースを紹介します。
- 未払い残業代が高額になっている
- 会社が残業代の支払いを認めない
- タイムカードなどの証拠が不足している
- 退職後に残業代を請求したい
- 会社との交渉に不安がある
未払い残業代が高額になっている
未払い残業代が高額になっている場合は、弁護士へ依頼した方がよいでしょう。
残業代は毎月発生するため、長期間にわたって未払いの状態が続いていると、請求額が数十万円から数百万円になることもあります。
数千円程度であれば諦めてしまう方もいるかもしれません。しかし、未払い残業代が高額になると見過ごせる金額ではなくなります。
特に請求額が大きい場合は、弁護士費用を支払ったとしても費用倒れになりにくいことがメリットです。
回収できる金額が大きいため、弁護士へ依頼する価値も高くなります。
また、会社側も高額な請求には慎重に対応する傾向があります。
残業の事実を否定したり、請求額を争ったりするケースもあるため、弁護士へ依頼して対応した方が安心です。
関連記事:未払いの残業代を請求する方法|証拠の集め方や手順、自力で解決できるのか解説
会社が残業代の支払いを認めない
残業代の支払いを簡単に認めてくれる会社はあまり多くありません。
会社側は残業代を支払いたくないため、さまざまな理由を挙げて請求を拒否することがあります。
例えば、「残業は会社の指示ではなかった」「管理職だから残業代は発生しない」「固定残業代に含まれている」などです。
こうした会社の主張に対して反論するには、会社の主張が間違っていることを証明するための証拠や、労働基準法に関する知識が求められます。
タイムカードなどの証拠が不足している
残業代を請求するためには、実際に働いていたことを証明する証拠が必要です。
しかし、会社によってはタイムカードがなかったり、勤怠記録を自由に修正できたりすることがあります。
そのため、残業していたことは間違いないけれど証拠がないというケースも少なくありません。
もっとも、残業を証明できるのはタイムカードだけではありません。
パソコンのログイン・ログアウト履歴やメールの送信履歴、業務日報、チャットのやり取りなどが証拠になることもあります。
どの証拠がどこまで有効だと認められるかは集めた証拠の中身によって異なります。
証拠として使えると思っていたものが認められないこともありますので、弁護士に相談しておくと安心です。
関連記事:職場にタイムカードがないのは違法?残業した証拠になるものは何?
退職後に残業代を請求したい
在職中に残業代を請求するよりも、退職後に請求する方がハードルは高くなります。
退職すると社内システムへアクセスできなくなったり、必要な資料を入手しにくくなったりするためです。
また、未払い残業代を請求できる期間は原則3年です。時間が経過するほど証拠の確保も難しくなります。
退職後は会社との関係を気にせず請求できますが、証拠集めや会社との交渉を自分一人で進めることは簡単ではありません。
退職後に残業代を請求する場合は、弁護士へ依頼した方がスムーズに進められるでしょう。
会社との交渉に不安がある
会社との交渉に不安がある場合も、弁護士へ依頼した方がよいでしょう。
残業代を請求する際は証拠集めや残業代の計算も重要ですが、会社との交渉に不安を感じる方は少なくありません。
会社から反論されたり、請求を拒否されたりすることもありますが、特に在職中の場合は、残業代を請求したことで会社との関係が悪化することが気になるところです。
関係性が悪化すると、職場で嫌がらせを受けたり、不当な扱いを受けたりすることもあります。
このように、残業代の請求は未払い残業代を回収するだけでなく、会社との関係性まで考えながら進めなければなりません。
そのため、不安を感じたまま請求を諦めてしまう方もいます。
残業代の請求を弁護士へ依頼するメリット
残業代の請求は自分で行うことも可能です。
しかし、証拠集めや残業代の計算、会社との交渉などが必要になるため、負担は決して小さくありません。
また、会社が残業代の支払いを認めない場合や、労働審判・訴訟へ発展した場合は、専門的な知識も求められます。
残業代の請求を弁護士へ依頼する主なメリットを紹介します。
- 自分で対応するよりも残業代を回収できる可能性が高まる
- 会社との交渉を任せられる
- 証拠集めのサポートを受けられる
- 残業代を正確に計算してもらえる
- 労働審判や訴訟になった場合も対応できる
- 退職代行と残業代の請求をまとめて相談できる
自分で対応するよりも残業代を回収できる可能性が高まる
弁護士へ依頼する最大のメリットは、未払い残業代を回収できる可能性が高まることです。
残業代請求では、労働時間を証明する証拠の収集や整理、未払い残業代の計算などを行わなければなりません。
会社から反論された場合は、その主張に対して適切に対応する必要もあります。
一方で、労働基準法や裁判例に詳しくない状態では、会社の主張が正しいのか判断することも簡単ではありません。
本来請求できる残業代があるにもかかわらず、会社の説明を受け入れてしまうケースもあります。
弁護士へ依頼すれば、証拠や法的根拠をもとに請求を進められます。
会社側も法的な対応を前提として検討するため、個人で請求する場合と比べて解決につながりやすくなるでしょう。
会社との交渉を任せられる
一個人が会社という大きな組織に立ち向かうことに不安を感じる方は少なくありません。
会社から反論されたり、請求を拒否されたりすると、言いたいことを十分に主張できずに終わってしまうこともあります。
在職中に請求する場合は、会社との関係が悪化し、嫌がらせやパワハラにつながることも少なくありません。
弁護士へ依頼すれば、会社との交渉を任せられます。
請求内容の説明や会社からの反論への対応も行ってもらえるため、自分で会社とやり取りする必要はありません。
会社との交渉に不安がある場合や、精神的な負担を減らしたい場合は大きなメリットといえるでしょう。
証拠集めのサポートを受けられる
残業代を請求する際は、労働時間を証明するための証拠が欠かせません。
タイムカードやメールの送受信履歴、パソコンのログイン記録、業務日報などが証拠になることはインターネットで調べれば分かります。
しかし、本当に重要なのは、その証拠にどの程度の価値があるのかを判断することです。
例えば、業務日報があったとしても、業務内容や労働時間が具体的に記載されていなければ十分な証拠にならない可能性があります。
録音データも、会話の内容によっては証拠としての価値が低いことがあります。
このように、証拠は集めればよいというものではありません。
内容まで確認したうえで、残業の事実を証明できるのかを判断する必要があります。
弁護士へ依頼すれば、集めた資料がどの程度有効なのかを確認してもらえます。
証拠として不十分な場合は、追加でどのような資料を集めるべきかアドバイスを受けられることもメリットです。
残業代を正確に計算してもらえる
未払い残業代を計算することは、思っているほど簡単ではありません。
残業代は、残業時間に時給を掛けるだけで求められるものではないためです。時間外労働や深夜労働、休日労働などによって割増率が変わります。
また、フレックスタイム制や固定残業代制度を導入している会社では、計算方法が複雑になります。
自分で計算することも可能ですが、計算を間違えると本来請求できる金額より少ない金額で請求してしまうこともあるので注意が必要です。
弁護士へ依頼すれば、勤務状況や給与明細などをもとに未払い残業代を正確に計算してもらえます。
請求額を適切に把握するためにも、大きなメリットといえるでしょう。
労働審判や訴訟になった場合も対応できる
会社が残業代の支払いを認めない場合は、労働審判や訴訟へ発展することがあります。
労働審判とは、裁判所で行われる労働トラブルの解決手続きです。
訴訟よりも短期間で解決を目指せることが特徴ですが、主張や証拠を整理して提出しなければなりません。
また、会社との話し合いで解決できない場合は、訴訟によって未払い残業代を請求することになります。
こうした手続きを自分一人で進めることは難しく、専門的な知識も求められます。
会社側が弁護士を立てて対応してくるケースも少なくありません。
弁護士へ依頼していれば、労働審判や訴訟になった場合もそのまま対応を任せられます。
新たに依頼先を探す必要がないため、一貫したサポートを受けながら残業代の請求を進められることがメリットです。
退職代行と残業代の請求をまとめて相談できる
残業代を請求した結果、会社との関係が悪化することは珍しくありません。
未払い残業代を回収できたとしても、そのまま同じ会社で働き続けることに居心地の悪さを感じる方もいます。
また、残業代を適切に支払っていない会社は、長時間労働やハラスメントなど別の問題を抱えているケースもあります。
弁護士が運営する退職代行へ依頼すれば、残業代請求だけでなく退職手続きまでまとめて任せることが可能です。
退職時には、有給休暇の取得や退職日、退職金などを巡ってトラブルになることもあります。
残業代の問題が解決しても、今度は退職に関する問題で会社ともめる可能性もあるでしょう。
残業代の請求と退職を別々に進めるのではなく、まとめて弁護士へ依頼することで手間や精神的な負担を大きく減らせます。
関連記事:退職代行とは?利用するメリット・デメリットと失敗しないサービスの選び方を紹介
残業代の請求を弁護士へ依頼した場合の費用相場
残業代請求を弁護士へ依頼する際に気になるのが費用です。
実際に、弁護士へ依頼したいと思っていても、費用が高いというイメージから相談をためらっている方もいるでしょう。
弁護士費用は法律事務所によって異なります。そのため、相場を把握したうえで比較しながら、自分に合った弁護士を選ぶことが大切です。
残業代請求を弁護士へ依頼した場合の費用相場について解説します。
- 相談料
- 着手金
- 報酬金
- 実費
- 費用倒れになるケース
相談料
残業代請求を弁護士へ依頼する前に、まずは法律相談を受けることが一般的です。
例えば、自分のケースで残業代を請求できるのか、どのくらいの金額を請求できそうなのか、手元にある証拠で十分なのかなどを相談します。
相談料の相場は、30分5,000円~1万円程度です。
ただし、最近は初回相談を無料としている法律事務所も増えています。
そのため、まずは無料相談を利用して、残業代を請求できる可能性や回収できそうな金額を確認してみるとよいでしょう。
なお、相談したからといって必ず依頼しなければならないわけではありません。
弁護士の説明を聞いたうえで依頼するかどうかを判断できます。
残業代請求では、証拠の有効性や回収の見込みによって結果が大きく変わります。
費用が気になる場合は、相談料だけでなく着手金や成功報酬も含めて確認しておくことが大切です。
着手金
着手金とは、弁護士へ正式に依頼した際に支払う費用です。
残業代請求のために弁護士が活動を開始するための費用であり、結果にかかわらず発生します。
そのため、残業代を回収できなかった場合でも原則として返還されません。
着手金の相場は0~30万円程度です。
法律事務所によって異なりますが、20万~30万円前後に設定している事務所もあれば、着手金無料としている事務所もあります。
着手金無料であれば、依頼時にまとまったお金を用意する必要がないため、費用面の負担を抑えられます。
ただし、着手金が無料だからといって必ずしも弁護士費用が安くなるわけではありません。
着手金がない代わりに成功報酬が高く設定されているケースもあります。
そのため、着手金だけで判断するのではなく、成功報酬や実費も含めた総額で比較することが大切です。
報酬金
報酬金とは、未払い残業代を回収できた場合に発生する費用です。
回収した残業代や和解金の金額に応じて計算されることが一般的で、成功報酬や弁護士報酬と呼ばれることもあります。
報酬金の相場は、回収額の20~30%程度です。
例えば、未払い残業代を100万円回収できた場合は20万~30万円程度、150万円回収できた場合は30万~45万円程度が目安になります。
また、交渉で解決した場合と労働審判や訴訟まで進んだ場合では、報酬の割合が異なることもあります。
なお、着手金を無料にしている法律事務所は、その分報酬金を高めに設定しているケースも少なくありません。
弁護士費用を比較するときは、報酬金の割合だけを見るのではなく、着手金や実費を含めた総額で判断することが大切です。
実費
実費とは、残業代請求を進める中で実際に発生した費用のことです。
例えば、内容証明郵便の発送費用や郵送代、コピー代、通信費などです。
労働審判や訴訟になった場合は、収入印紙代や郵便切手代、裁判所までの交通費などが必要になるでしょう。
実費の相場は1万~2万円程度ですが、事件の内容や解決方法によって変動します。
また、どこまでを実費として請求するかは法律事務所によって異なります。
後から想定外の費用が発生しないよう、依頼前に実費の範囲や負担方法を確認しておくと安心です。
費用倒れになるケース
残業代請求を弁護士へ依頼する際は、費用倒れにならないか気になる方も多いでしょう。
費用倒れとは、回収した残業代よりも弁護士費用の方が高くなり、結果的に損をしてしまう状態です。
もっとも、残業代請求では依頼前に回収見込みや費用を確認するため、実際に費用倒れになるケースはそれほど多くありません。
費用倒れになりやすいのは、請求できる残業代が少額なケースです。
また、着手金や成功報酬が高い法律事務所へ依頼した場合も注意が必要です。
例えば、未払い残業代を20万円回収できたケースで、着手金20万円、報酬金25%、実費1万円だった場合を考えてみましょう。
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このケースでは、回収額より弁護士費用の方が高くなるため費用倒れになります。
一方で、未払い残業代を150万円回収できたケースではどうでしょうか。
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この場合は弁護士費用を支払っても約90万円以上が手元に残ります。
未払い残業代は100万~200万円程度になるケースも少なくありません。
そのため、請求額が高額な場合は費用倒れを過度に心配する必要はないでしょう。
弁護士へ依頼する場合の残業代を請求する流れ
弁護士へ依頼して残業代を請求する流れを解説します。
- 労働時間を証明できる証拠を集める
- 弁護士へ相談する
- 会社へ未払い残業代を請求する
- 労働審判や訴訟を申し立てる
- 未払い残業代を回収する
労働時間を証明できる証拠を集める
残業代を請求するためには、実際に働いていたことを証明する証拠を集めることから始めましょう。
タイムカードや勤怠システムの記録、パソコンのログイン記録、業務日報、チャットの履歴などは証拠になる可能性があります。
まずは、証拠になりそうなものをできるだけ集めてください。
証拠として有効かどうかは、弁護士へ提出した際に判断してもらえます。
証拠を集めてから相談した方がスムーズですが、証拠がない状態でも弁護士へ依頼することは可能です。
その場合は、どのような資料を集めればよいのかアドバイスを受けられます。
弁護士へ相談する
相談したからといって、その弁護士へ依頼しなければならないわけではありません。
そのため、最初から1つの法律事務所に絞るのではなく、複数の弁護士へ相談することをおすすめします。
弁護士によって料金体系や実績、対応方針は異なります。
また、安心して任せられるかどうかという相性も重要です。複数の弁護士と話しながら、自分に合った依頼先を探しましょう。
相談時には、勤務先の情報や雇用契約書、給与明細、集めた証拠などを持参するとスムーズです。
法律事務所のホームページに持参資料が記載されていることもあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
なお、初回相談を無料で受け付けている法律事務所もありますが、有料相談の場合は聞きたい内容や経緯をあらかじめ整理しておくと、限られた時間を有効に使えます。
会社へ未払い残業代を請求する
未払い残業代の金額がまとまったら、会社へ支払いを求めます。
まずは弁護士が会社へ連絡し、未払い残業代が発生していることや請求金額を伝えます。
会社が内容を確認し、支払いに応じればその時点で解決です。
一方で、会社が残業代の支払いを認めなかったり、請求を無視したりすることもあります。
そのような場合は、内容証明郵便を利用して正式に請求するのが一般的です。
内容証明郵便とは、いつ、誰が、どのような内容の文書を送ったのかを郵便局が証明してくれる制度です。
内容証明郵便を送ったからといって必ず支払いに応じるとは限りませんが、弁護士が法的な根拠に基づいて請求していることを会社へ明確に示せます。
労働審判や訴訟を申し立てる
会社との交渉で解決できない場合は、労働審判や訴訟を利用して未払い残業代の支払いを求めます。
労働審判とは、労働者と会社のトラブルについて、裁判所で話し合いながら解決を目指す手続きです。
原則として3回以内の期日で終了するため、訴訟よりも早期の解決が期待できます。
会社が労働審判の結果に納得しない場合や、争点が複雑な場合は訴訟へ移行します。
もっとも、実際には会社が裁判まで発展することを避けたいと考え、労働審判の段階で和解が成立するケースも少なくありません。
弁護士へ依頼していれば、必要な書類の作成や裁判所での対応も任せられます。
依頼者本人が法律の知識を身につけながら対応する必要はないため、負担を大きく抑えられるでしょう。
未払い残業代を回収する
会社との交渉や労働審判、訴訟によって支払いが認められると、未払い残業代が支払われます。
支払い方法は会社によって異なりますが、指定した銀行口座へ振り込まれることが一般的です。
回収した残業代から成功報酬などの弁護士費用を支払う場合は、事前に説明された料金体系に従って精算します。
未払い残業代の支払いを受けたら手続きは完了です。
もっとも、会社によっては支払いが遅れたり、約束どおりに支払われなかったりするケースもあります。
そのため、万が一支払いが遅れた場合や約束どおりに支払われなかった場合に、どのような対応になるのかを事前に弁護士へ確認しておくと安心です。
残業代の請求を弁護士に依頼する際によくある質問
残業代の請求を弁護士に依頼する際によくある質問を紹介します。
- 残業代を請求した場合の弁護士費用は相手(会社)に請求できる?
- 残業代を請求して負けることはある?
- 残業代を請求する場合はどのような弁護士がおすすめ?選び方は?
- 残業代を請求できる期間(時効)は何年?
- 退職後でも弁護士に依頼して残業代を請求できる?
- 着手金なしで残業代の請求を依頼できる弁護士はいる?
残業代を請求した場合の弁護士費用は相手(会社)に請求できる?
原則として、残業代を請求するためにかかった弁護士費用を会社へ請求することはできません。
そのため、相談料や着手金、成功報酬などは基本的に依頼者が負担します。
ただし、訴訟になった場合は例外的に弁護士費用の一部が損害として認められることがあります。
もっとも、認められるのは一部に限られるため、実際に支払った弁護士費用の全額を回収できるわけではありません。
また、収入印紙代や郵便切手代などの訴訟費用については、会社側が負担するケースもあります。
そのため、残業代を請求する際は、回収できる金額だけでなく弁護士費用も含めて検討することが大切です。
残業代を請求して負けることはある?
残業代を請求したからといって、必ず認められるとは限りません。
労働時間を証明できる証拠が不足している場合や、会社から残業の指示がなかったと判断された場合は、請求が認められないことがあります。
弁護士へ相談すれば請求が認められる可能性や必要な証拠についてアドバイスを受けられます。
残業代を請求できるか不安な場合は、自分で判断せずに一度相談してみるとよいでしょう。
関連記事:給与未払いで裁判しても負ける?訴訟するまでの手順や注意点を解説します
残業代を請求する場合はどのような弁護士がおすすめ?選び方は?
残業代を請求する場合は、労働問題の解決実績が豊富な弁護士を選びましょう。
交通事故や離婚問題を中心に取り扱う弁護士もいれば、労働問題を専門的に扱っている弁護士もいます。
そのため、過去にどのような労働問題を取り扱っているのか、残業代の請求に関する実績があるのかを確認することが大切です。
また、料金体系が分かりやすいかどうかも重要なポイントです。
着手金や成功報酬、実費などについて事前に説明してくれる弁護士であれば、後からトラブルになるリスクを減らせます。
残業代を請求できる期間(時効)は何年?
現在は、未払いとなった残業代を請求できる期間は原則3年です。
例えば、2026年6月に請求する場合は、2023年6月以降に発生した未払い残業代が対象になります。
それ以前の残業代については、時効によって請求できません。
そのため、残業代が支払われていないことに気づいたら、できるだけ早く行動することが大切です。
また、内容証明郵便による請求や訴訟の提起などによって時効の完成を止められる場合もあります。
請求できる期間が分からない場合は、時効を迎える前に弁護士へ相談するとよいでしょう。
退職後でも弁護士に依頼して残業代を請求できる?
退職後でも未払い残業代を請求できます。
むしろ、在職中は会社との関係悪化を心配して請求をためらう方も多いため、退職後に請求するケースは少なくありません。
退職後は社内システムへアクセスできなくなり、証拠を集めにくくなることもあります。
そのため、退職前にタイムカードや勤怠記録、給与明細などを確保しておくことが大切です。
着手金なしで残業代の請求を依頼できる弁護士はいる?
着手金なしで残業代の請求を依頼できる弁護士はいます。
近年は、着手金無料や完全成功報酬型を採用している法律事務所も増えています。
ただし、着手金が無料だからといって弁護士費用が安いとは限りません。
着手金がない代わりに、成功報酬が高めに設定されていることもあります。
弁護士費用は法律事務所によって大きく異なります。
着手金の有無だけで判断するのではなく、成功報酬や実費も含めた総額で比較するとよいでしょう。
まとめ
残業代は自分で請求することも可能ですが、証拠集めや会社との交渉、残業代の計算などをすべて一人で進めなければなりません。
会社が請求に応じない場合は、労働審判や訴訟へ発展することもあるため、精神的な負担も大きくなります。
弁護士へ依頼すれば、会社との交渉や証拠の整理、労働審判や訴訟への対応まで任せられます。
未払い残業代が高額な場合や会社とのトラブルが予想される場合は、特に依頼するメリットが大きいでしょう。
未払い残業代があるかもしれないと感じたら、まずは労働問題に詳しい弁護士へ相談してみてください。